J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。2月19日(火)のオンエアには、北参道の人気フレンチ「シンシア」のシェフ・石井真介さんと、フードライターの佐々木ひろこさんが登場。現在取り組んでいる「サステナブル・シーフード」の活動について訊きました。
■日本の漁業が抱える現実
石井さんと佐々木さんが持続可能な海の資源を守る活動をはじめたきっかけは、佐々木さんが日本の漁業の現実を知ったことからでした。
佐々木:長年、食の分野で書かせていただいていましたが、2年前に漁業についてしっかりと勉強したところ、日本の漁業が大変なことになっていると知りました。そこでいつも仕事をさせていただいているシェフの方々に訊いたら、誰もそのことを知らない。「それだったら勉強会をしてみたらどうか」と石井シェフにお声がけしたのがはじまりです。
石井:シェフたちも魚を扱いながら、薄々は気づいていながらも、仕事も忙しいので注力することなく過ごしていました。佐々木さんにお話をいただいて、知り合いのシェフ30人がシンシアに夜中集まって、佐々木さんの話を聞き、事実を知る機会になりました。知った僕たちもショックでしたし、食の分野の人たちが知らないなら一般の人たちはもっと知らないだろうと思い、料理人にできることもあると思い、活動をしています。
日本の業業で実際起きている現実はどのようなものなのでしょうか。
佐々木:日本の漁獲量は1980年代が一番多いんですが、そのときから3分の1くらいに減っていて、実際とれないんです。どの漁師さんに訊いても「魚がいない」と言っているんです。
クリス:漁師さんの数や漁港が減っているのではなく、魚がいないんですね。
佐々木:その結果、漁師が減っています。未来が見えないので後継者がいないのが現実です。漁師さんは15万人を切っていて、農家さんの300万戸に比べても今の漁業の厳しさが見えます。
■太平洋のクロマグロは最盛期の僅か3%まで減少
石井さんもシェフになった頃から今にかけて徐々に魚の値段の高騰を感じ、時化になると魚の取り合いになる状況を10年前から感じていたそう。しかし、なかなか自分の出来ることは考えなかったと振り返ります。
マグロを例にとると、太平洋にいる本マグロは、50年間で3%まで減少。食べ過ぎ・獲りすぎも原因ですが、まき網で産卵期のマグロを乱獲したうえに安値で買い叩かれる現実がある一方で、規制も追いついていない状況が現在も続いているといいます。
クリス:知らなかったです……。
石井:僕らも知った時はショッキングでした。
佐々木:太平洋は3%といいましたが、大西洋のクロマグロも絶滅危惧種に指定されていました。でもこちらは10年ほど前に規制を入れて、今ではほぼもとの数字に戻っているので、規制をすれば戻る魚種といわれています。卵を産ませて増やしていただければと思っています。
石井:マグロは「ない」といわれながら、スーパーにもあります。たまに食べる、高級お寿司屋さんだけで食べるというのもマグロのよさなのかなと。私たちが常にマグロを食べることを求めてしまう意識がいけないんじゃないかと最近すごく思うんです。フレンチではあまりマグロは使わないですが、ウチの店では大西洋のクロマグロを提供することで「サステナブルな大西洋クロマグロ」と載せて、なにがサステナブルなのかや、枯渇状態から10年前に資源管理をしたことで以前のように戻ったこと、だから太平洋クロマグロも管理できるんじゃないか、という提案をするのが我々料理人のできることかなと思ってやっています。
■海外でも資源を守る魚類への認証マークが一般的に
海外ではイギリス発祥の「MSC認証」という、サステナブルな魚種につける認証マークが広まっています。日本ではサステナブルな魚種が少ないため、このマークがついたものもまだ少ないものの、それでも認証マークが増えつつあるそうです。養殖についても「ASC認証」が導入され、日本の漁業者の間でも取得に向けた動きがはじまっています。
では我々は、普段どのようなことを意識すればよいのでしょうか?
石井:日本には制度がないですし、私たち料理人ですらどうすればいいかと思うのですが、少しでもマグロを産卵期に食べないとか、料理人も消費者も出来ることがあると思うんです。普段から意識を高めて知ることが大事かなと思います。
佐々木:昨年12月に漁業法が70年ぶりに改正され、水産資源管理という概念が日本ではじめて法律の中で明文化されました。水産庁と漁業者のほうからも色々な変化があらわれてくると思うので、メディアもきちんとフォローし、広めて、消費者の中で意識を高めるのが、長い道のりですが一番の近道なのかなと思います。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
■日本の漁業が抱える現実
石井さんと佐々木さんが持続可能な海の資源を守る活動をはじめたきっかけは、佐々木さんが日本の漁業の現実を知ったことからでした。
佐々木:長年、食の分野で書かせていただいていましたが、2年前に漁業についてしっかりと勉強したところ、日本の漁業が大変なことになっていると知りました。そこでいつも仕事をさせていただいているシェフの方々に訊いたら、誰もそのことを知らない。「それだったら勉強会をしてみたらどうか」と石井シェフにお声がけしたのがはじまりです。
石井:シェフたちも魚を扱いながら、薄々は気づいていながらも、仕事も忙しいので注力することなく過ごしていました。佐々木さんにお話をいただいて、知り合いのシェフ30人がシンシアに夜中集まって、佐々木さんの話を聞き、事実を知る機会になりました。知った僕たちもショックでしたし、食の分野の人たちが知らないなら一般の人たちはもっと知らないだろうと思い、料理人にできることもあると思い、活動をしています。
日本の業業で実際起きている現実はどのようなものなのでしょうか。
佐々木:日本の漁獲量は1980年代が一番多いんですが、そのときから3分の1くらいに減っていて、実際とれないんです。どの漁師さんに訊いても「魚がいない」と言っているんです。
クリス:漁師さんの数や漁港が減っているのではなく、魚がいないんですね。
佐々木:その結果、漁師が減っています。未来が見えないので後継者がいないのが現実です。漁師さんは15万人を切っていて、農家さんの300万戸に比べても今の漁業の厳しさが見えます。
■太平洋のクロマグロは最盛期の僅か3%まで減少
石井さんもシェフになった頃から今にかけて徐々に魚の値段の高騰を感じ、時化になると魚の取り合いになる状況を10年前から感じていたそう。しかし、なかなか自分の出来ることは考えなかったと振り返ります。
マグロを例にとると、太平洋にいる本マグロは、50年間で3%まで減少。食べ過ぎ・獲りすぎも原因ですが、まき網で産卵期のマグロを乱獲したうえに安値で買い叩かれる現実がある一方で、規制も追いついていない状況が現在も続いているといいます。
クリス:知らなかったです……。
石井:僕らも知った時はショッキングでした。
佐々木:太平洋は3%といいましたが、大西洋のクロマグロも絶滅危惧種に指定されていました。でもこちらは10年ほど前に規制を入れて、今ではほぼもとの数字に戻っているので、規制をすれば戻る魚種といわれています。卵を産ませて増やしていただければと思っています。
石井:マグロは「ない」といわれながら、スーパーにもあります。たまに食べる、高級お寿司屋さんだけで食べるというのもマグロのよさなのかなと。私たちが常にマグロを食べることを求めてしまう意識がいけないんじゃないかと最近すごく思うんです。フレンチではあまりマグロは使わないですが、ウチの店では大西洋のクロマグロを提供することで「サステナブルな大西洋クロマグロ」と載せて、なにがサステナブルなのかや、枯渇状態から10年前に資源管理をしたことで以前のように戻ったこと、だから太平洋クロマグロも管理できるんじゃないか、という提案をするのが我々料理人のできることかなと思ってやっています。
■海外でも資源を守る魚類への認証マークが一般的に
海外ではイギリス発祥の「MSC認証」という、サステナブルな魚種につける認証マークが広まっています。日本ではサステナブルな魚種が少ないため、このマークがついたものもまだ少ないものの、それでも認証マークが増えつつあるそうです。養殖についても「ASC認証」が導入され、日本の漁業者の間でも取得に向けた動きがはじまっています。
では我々は、普段どのようなことを意識すればよいのでしょうか?
石井:日本には制度がないですし、私たち料理人ですらどうすればいいかと思うのですが、少しでもマグロを産卵期に食べないとか、料理人も消費者も出来ることがあると思うんです。普段から意識を高めて知ることが大事かなと思います。
佐々木:昨年12月に漁業法が70年ぶりに改正され、水産資源管理という概念が日本ではじめて法律の中で明文化されました。水産庁と漁業者のほうからも色々な変化があらわれてくると思うので、メディアもきちんとフォローし、広めて、消費者の中で意識を高めるのが、長い道のりですが一番の近道なのかなと思います。
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/