J-WAVEで放送中の番組『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』(ナビゲーター:ピストン西沢・松嶋初音)。1月20日(日)は、1月13日に「東京オートサロン2019」ブリヂストンブースでインディカー・ドライバー佐藤琢磨さんをゲストに迎えた公開収録の模様をオンエアしました。
■今年10年目のインディ参戦
まず参戦10年目となるインディカー・シリーズについて訊きました。
佐藤:F1が7年ちょっとで、それを追い越すとは夢にも思いませんでしたね。
西沢:最初インディにはどういう経緯で転向になったんですか?
佐藤:基本的にはスーパーアグリF1が2008年のシーズン途中で撤退になってしまったので、そのあとのF1復帰が結果として叶わなくて、しばらく浪人生活があって。それまでは自分の人生って「レース=F1」だったんですよね。そのあと「F1だけが全てじゃないのかな」と思って、ずっと「インディ500ってどんなだろう」と興味あったんですよ。それで「よし、観に行ってみよう」と、2009年のインディアナポリス500マイルレースの予選の日に観に行ったんです。
インディカーを観に行った佐藤さんは、「F1のスピードを経験しているから(スピードには)驚きはないだろう」と思っていたそうです。しかしインディアナポリスの1コーナーの内側に立ってみたら、トップスピード390キロという当時のF1より30キロも速いスピードでマシンがやって来て、コーナーに加速していく姿を見て衝撃を受け、「北米で世界一を目指そう」と決心し、2010年のインディカー・シリーズに参戦します。
■F1とは違うアメリカのレース文化
最初にインディカーに乗ったときの戸惑った点を訊きました。
佐藤:最初のインディカーの印象は「デカイ、重い、息が切れる」でした。パワー自体はF1より劣っていたし、車重も重くてF1のような機敏な動きがなかったけど、パワーステアリングもついていない、電子制御で車を安定させる装置も一切ついていない。ハンドルもブレーキも全てが重くて久しぶりに車のほうから挑戦状を叩きつけてくるような。それでけっこうやる気になって、でも速く走らせるのは難しいなと。新たな自分のドライビングスタイルを確立しないといけなかったです。
佐藤さんが得意としている市街地コースの話を訊くと、アメリカとの違いについて驚きの話をしてくれました。
佐藤:市街地コースは、F1のモナコGPを観ていると車も暴れているし、路面も荒れて(バンピー)いるように見えますが、モナコは毎年レース前に舗装し直しているんです。だから走るときはスムーズなんです。
西沢:それはF1側やドライバーから要望があるんですか?
佐藤:そうです。ドライバーが「あそこは危ないからなんとかしろ」と言うと一晩でそこを平らにしてくれるのがF1だったの。それが僕がはじめてインディに行ったときに、最初がサンパウロの市街地コースで、バックストレートがバンピーすぎて前が見えない、穴だらけなんですよ。ありえないと思って「あれは危ないじゃないか」と言ったら、インディカーは「そこに穴があるなら避けて走れ」「お金をもらって走ってるんだからそれくらい避けろ」と。全然メンタルが違って、文句を言う人もいないんですよ。「あるもので楽しもうぜ。それをどうにかするのが俺たちだから」という考え方ですね。面白いでしょ(笑)。
西沢:なるほどね!
F1は絶対的なテクノロジーと技術、スピードへの挑戦に予算を使うことに重きを置くのが美学であるのに対して、アメリカのエンターテイメントありきのインディカーは、お金があるなら小さいチームを助けてあげて、サイド・バイ・サイドの接戦をみせるのが観客にとってよいという考え方だと佐藤さん。
佐藤:モノの観点からみると、インディカーのテクノロジーはF1には遠く及ばないけれど、スポーツという視点、コックピットから見える景色はものすごく壮絶な競争で面白いです。
■次世代をサポートする立場に
「誰もがトップを走りたいし、トップチームには行きたい。でも行けない環境でどれだけ頑張れるかはドライバーとしての真価が問われるわけで、続けていれば必ずチャンスはやってきます」と語る佐藤さん。レーシングドライバーとしての経験は、昨年就任した「鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)」校長職にも活かされているといいます。
佐藤:自分もあそこでチャンスをもらって育ててもらって、そこから世界に飛び出すことができたので、自分としては原点。そのスクールの校長を、中嶋 悟さんからバトンを受け継ぐことは本当に光栄だし、責任も感じます。自分は現役でやっていますから、若手には負けたくないけれど、次の世代のドライバーは気になるから、自分も刺激を受けながら学びながら、自分の知っていること、この子たちをサポートできることは最大限やっていきたいと思います。
2019年のインディカーのシーズンを、去年と同じレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング所属2年目として戦う佐藤さん。最後に、今年の抱負については次のように語りました。
佐藤:去年、後半戦ずっと伸びていったというところはすごいキーポイントなんです。シーズン後半に伸びるのはすごく難しいので、それができたチームで新シーズンを迎え、シーズン序盤での課題をなんとか克服して、いいエンジニアも入ってきたので大改革をしています。この勢いを保ったままの2019年、終盤戦で走ったあの勢いで行きます!
「チームの力に沿った結果を出す。まずは3位を目指して」と開幕戦の現実的な目標を掲げた佐藤さん。2019年のインディカーレースでの活躍に期待です!
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』
放送日時:毎週日曜19時-19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/drivetothefuture/
■今年10年目のインディ参戦
まず参戦10年目となるインディカー・シリーズについて訊きました。
佐藤:F1が7年ちょっとで、それを追い越すとは夢にも思いませんでしたね。
西沢:最初インディにはどういう経緯で転向になったんですか?
佐藤:基本的にはスーパーアグリF1が2008年のシーズン途中で撤退になってしまったので、そのあとのF1復帰が結果として叶わなくて、しばらく浪人生活があって。それまでは自分の人生って「レース=F1」だったんですよね。そのあと「F1だけが全てじゃないのかな」と思って、ずっと「インディ500ってどんなだろう」と興味あったんですよ。それで「よし、観に行ってみよう」と、2009年のインディアナポリス500マイルレースの予選の日に観に行ったんです。
インディカーを観に行った佐藤さんは、「F1のスピードを経験しているから(スピードには)驚きはないだろう」と思っていたそうです。しかしインディアナポリスの1コーナーの内側に立ってみたら、トップスピード390キロという当時のF1より30キロも速いスピードでマシンがやって来て、コーナーに加速していく姿を見て衝撃を受け、「北米で世界一を目指そう」と決心し、2010年のインディカー・シリーズに参戦します。
■F1とは違うアメリカのレース文化
最初にインディカーに乗ったときの戸惑った点を訊きました。
佐藤:最初のインディカーの印象は「デカイ、重い、息が切れる」でした。パワー自体はF1より劣っていたし、車重も重くてF1のような機敏な動きがなかったけど、パワーステアリングもついていない、電子制御で車を安定させる装置も一切ついていない。ハンドルもブレーキも全てが重くて久しぶりに車のほうから挑戦状を叩きつけてくるような。それでけっこうやる気になって、でも速く走らせるのは難しいなと。新たな自分のドライビングスタイルを確立しないといけなかったです。
佐藤さんが得意としている市街地コースの話を訊くと、アメリカとの違いについて驚きの話をしてくれました。
佐藤:市街地コースは、F1のモナコGPを観ていると車も暴れているし、路面も荒れて(バンピー)いるように見えますが、モナコは毎年レース前に舗装し直しているんです。だから走るときはスムーズなんです。
西沢:それはF1側やドライバーから要望があるんですか?
佐藤:そうです。ドライバーが「あそこは危ないからなんとかしろ」と言うと一晩でそこを平らにしてくれるのがF1だったの。それが僕がはじめてインディに行ったときに、最初がサンパウロの市街地コースで、バックストレートがバンピーすぎて前が見えない、穴だらけなんですよ。ありえないと思って「あれは危ないじゃないか」と言ったら、インディカーは「そこに穴があるなら避けて走れ」「お金をもらって走ってるんだからそれくらい避けろ」と。全然メンタルが違って、文句を言う人もいないんですよ。「あるもので楽しもうぜ。それをどうにかするのが俺たちだから」という考え方ですね。面白いでしょ(笑)。
西沢:なるほどね!
F1は絶対的なテクノロジーと技術、スピードへの挑戦に予算を使うことに重きを置くのが美学であるのに対して、アメリカのエンターテイメントありきのインディカーは、お金があるなら小さいチームを助けてあげて、サイド・バイ・サイドの接戦をみせるのが観客にとってよいという考え方だと佐藤さん。
佐藤:モノの観点からみると、インディカーのテクノロジーはF1には遠く及ばないけれど、スポーツという視点、コックピットから見える景色はものすごく壮絶な競争で面白いです。
■次世代をサポートする立場に
「誰もがトップを走りたいし、トップチームには行きたい。でも行けない環境でどれだけ頑張れるかはドライバーとしての真価が問われるわけで、続けていれば必ずチャンスはやってきます」と語る佐藤さん。レーシングドライバーとしての経験は、昨年就任した「鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)」校長職にも活かされているといいます。
佐藤:自分もあそこでチャンスをもらって育ててもらって、そこから世界に飛び出すことができたので、自分としては原点。そのスクールの校長を、中嶋 悟さんからバトンを受け継ぐことは本当に光栄だし、責任も感じます。自分は現役でやっていますから、若手には負けたくないけれど、次の世代のドライバーは気になるから、自分も刺激を受けながら学びながら、自分の知っていること、この子たちをサポートできることは最大限やっていきたいと思います。
2019年のインディカーのシーズンを、去年と同じレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング所属2年目として戦う佐藤さん。最後に、今年の抱負については次のように語りました。
佐藤:去年、後半戦ずっと伸びていったというところはすごいキーポイントなんです。シーズン後半に伸びるのはすごく難しいので、それができたチームで新シーズンを迎え、シーズン序盤での課題をなんとか克服して、いいエンジニアも入ってきたので大改革をしています。この勢いを保ったままの2019年、終盤戦で走ったあの勢いで行きます!
「チームの力に沿った結果を出す。まずは3位を目指して」と開幕戦の現実的な目標を掲げた佐藤さん。2019年のインディカーレースでの活躍に期待です!
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【番組情報】
番組名:『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』
放送日時:毎週日曜19時-19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/drivetothefuture/