吉田羊「女優をやめようかと思った」 最新主演作『ハナレイ・ベイ』に込めた思い

J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。10月15日(月)のオンエアでは、女優の吉田羊さんが登場。主演映画『ハナレイ・ベイ』について伺いました。


■「ハワイの撮影で楽しかった思い出は1個もない」

村上春樹さんの短編集を映画化した作品『ハナレイ・ベイ』。監督は、日本映画界の新鋭・松永大司さんです。ハワイ・カウアイ島のハナレイ・ベイでサーフィンをしていた息子を事故で亡くしたシングルマザーのサチを吉田さんが演じています。

吉田:42ページの短編を映画化するのは誰しも無理だと思っていたと思うんですけど、監督が映画のロケハンをするなかで、ハワイならではの習慣やエピソードを聞いて「これは映画に使えるな」と盛り込んだものもたくさんあります。
クリス:息子との関係もあまりよくないというか、心が通じ合っている親子でもないんですよね。少しクールな感じで、サチも息子に愛情をどう持っているか悩む感じですよね。
吉田:ろくでもない旦那さんの面影を残す息子がどうしても愛せなかったというのもあります。愛せない自分を許容できない部分と愛したいという思いの間で、彼が亡くなったあと、ハワイで過ごす時間の中で彼への愛を再確認していく母親の話なんです。
クリス:撮影もかなりタイトな時間で。
吉田:2週間ハワイに行きました。1週間はカウアイ島、1週間はオアフ島、東京に帰ってきて1週間とタイトなスケジュールのなかで、サチが過ごした10年間を表現しなければいけなかったので。
クリス:ハワイに行って「ハワイいいな」という話ではないですよね。
吉田:サチ自身が閉ざされた世界のなかで生きている人でしたし、そもそも10年間ハワイに楽しむために通っていないので、私自身も全然ハワイを楽しもうという気にもならなかったです。ハワイの撮影で楽しかった思い出は1個もないです(笑)。
クリス:共演者ともあまり言葉をかわさないようにしていたと。
吉田:カメラが回っていないところでもひとりの時間を過ごしたり。なるべく共演者とも関わらないようにして過ごすことでしかサチに入っていけなかったので。


■一時は女優を辞めようと

『ハナレイ・ベイ』の撮影で吉田さんは、サチを演じることに追い込まれて「女優を辞めようかな」とまで考えたそうです。

吉田:監督にも役者として追い込んでいただきました。
クリス:追い込まれると「やってやる」と思うのか、それとも落ちて迷う時間が長かったのですか?
吉田:追い込まれた結果、今のサチができ上がったので、必要な作業だったんだなと思いますし、ずっとキャリアを重ねてきて、現場でダメ出しをされたり、追い込まれたりという経験が減ってくると、「これでいいんだな」と思いがちです。今回の現場で私が「これが自分の武器」と思うことをことごとく監督に否定されて、「小手先じゃない、お芝居じゃない、吉田さんのなかにあるサチを見せてください」と監督が諦めずに最後まで女優・吉田羊に立ち向かって戦いを挑んでくださったので、だからこそこのサチが生まれたと思います。自分でも試写を観て「ああ、自分はこういう表情をしていたんだな」と、正直入り込みすぎて自分がどういう風にお芝居したか覚えていないですけど、自分を再発見する体験をさせていただくくらい貴重な現場でした。
クリス:映画を拝見しましたが、確かに寄せ付けない、でもずっと観ていたくなるような感じはありましたね。
吉田:監督が「不安定なものを撮りたかった」とおっしゃったんですけど、そのとおりで、私がサチという役を掴みたくても掴めなくて「これでいいんだろうか」と常に不安定な状態でいたさまが、サチが息子の死を受け入れたくても受け入れたくないという不安定な状態とリンクしたんじゃないかなと思います。だから半ばドキュメンタリー映画に近い作りになっていると思います。

吉田羊さん主演の映画『ハナレイ・ベイ』は、絶賛公開中です。ぜひ劇場に足を運んでみてください!

【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/

関連記事