料理研究家・土井善晴が「おいしい米の炊き方」をレクチャー!

J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。10月4日(木)のオンエアでは、料理研究家・土井善晴さんをゲストにお迎えし、新米のおいしい食べ方や、秋の食材を使ったレシピなどを伺いました。


■おむすび、ふわっと作るコツ

スタジオに手作りの“おむすび”を持参した土井さん。そのおむすびには、料理研究家である土井さんならではのこだわりがあるそうです。

土井:今日はものすごくラッキーなんですよ。これはね、まさに新米。それも、長野県飯山市の無農薬だけしか作らない篤農家の代表みたいなところの新米です。今朝着いてね、釜で炊いたら「銀シャリや!」っていうぐらいにピカピカに光ってるんですよ。季節を運んできました。やわらかい竹で編んだものに、握りたてをそのまま持ってきました。塩むすびです。あえて何も入れないで、梅干はうちで漬けたのを添えてます。



クリス:三角ではなく、ゴロっとむすんでありますね。
土井:丸く握るんですよ。形にこだわらない。
クリス:おいしい! 見た目もツヤツヤで、こりゃあ幸せだ(笑)!
土井:私も出かけるときに、よくふたつ持って出かけるんですよ。帰りにもうひとつ食べるのが楽しみになるぐらいおいしいですよ。
クリス:飯山のおいしい新米っていうのもあると思いますけど、むすび方がいいですね。私ね、「おにぎり」って言うより「おむすび」って言うのが好きです。
土井:私もおむすび。その握り方にするようになって、「おむすび」って言うようになったんですよ。「おにぎり」って、ちょっと力んでる感じ気がしてね。これは丸くしてるだけです。それもね、炊きたてを握ること。炊きたてってアツアツで握れないんですよ。だから固く絞ったお布巾を左手にかけておいて、ご飯をお茶碗に一旦取ったのを、左手に移して、そのお布巾で一旦コロっと形を作るんです。そのあと杉板の上に転がすんですよ。そして、3、4つ握ってから手に塩つけて、もう1回軽く握りなおします。三角や俵型にしようとしない。そのまま丸い形。両手をむすんだという形ですよね。それがおむすびだと思ってます。


■お米をおいしく炊くコツ

続いて、「お米をおいしく炊くコツ」を伺いました。

土井:まず洗い方としては、やっぱり水が澄むまで洗ったほうが絶対にいいんですよ。潜在的に持っている雑菌がなくなって、純粋なお米の味が引き出されるわけですね。傷み方も違うんですよ。あと、洗ったものをザルにあげること。だいたい30分ぐらい。米は乾物といってもいいぐらい保存状態の高いものですから、元の形に戻してやるのに30分ぐらいかかるんですよ。それから、ちゃんときれいな水で水加減したら、すぐに火を入れること。
クリス:ザルに30分ぐらいあげておいて、私は濡れ布巾とかを上に置いておくんですけど、それはいらないですか?
土井:かけたほうが優しいです。というのは、乾燥して30分以上経つと割れ米になってしまうんですよ。そうなったら不味い米になってしまう。でも、前もってご飯を炊くのに30分、40分と置いておくと思ったら大変でしょう。だからザルにチャッチャッとしっかりと水気を切ったものを、ポリ袋に入れて口を結わいて、冷蔵庫に入れてしまうんですよ。
クリス:ザルに上げたものを? 
土井:ザルから上げた濡れたお米だけです。周りが濡れてるので、吸水してしまって、あとはサラサラとしっとりしたお米になります。翌朝には洗い米になってる。吸水した状態を洗い米というんですよ。洗い米が、たとえばすり切りに1カップだったら、すり切りに1カップの水。洗い米と等量の水加減っていうのが基本ですね。
クリス:じゃあ、夜寝る前にそれをやって冷蔵庫に入れておいて、翌朝に炊くんですか?
土井:水加減してすぐに炊き始めたらいいです。そうやって洗い米になった、吸水したお米は早炊きしましょう。炊飯器にそういうモードがあったら、早炊きモードでいいんです。そうすると、半分ぐらいの時間で炊き上がるんですよ。でも、土鍋だったら30分で炊き上がるっていうでしょ。それでいいわけ。
クリス:土鍋で炊くとやはりおいしいのでしょうか。
土井:土鍋は最初から強火にしておいても、鈍感だからね、「まだ熱くないの?」って、初めチョロチョロでだんだん温度を上げていきますので、お米にとって非常に穏やかに炊きあがるんですよ。


■土井さんオススメの秋の味覚

土井さんにとって「印象的な秋の味覚」を伺いました。

クリス:秋は何から始まりますか? 
土井: 8月の終わりぐらいに秋刀魚が出るでしょ。あと、栗が落ちたら、まずは湯がいといて半割りにしてスプーンで食べると、「秋が来たな」という感じ。身をほじくってお鍋の中に入れて、お砂糖をほぐした栗の半量か1/3ぐらいでいいかな。そして、お水を少し入れて煮詰まると、栗の粒餡ができるんですよ。それを白玉団子に絡めるか、半殺しにしたご飯の上に乗せるんです。それが、おはぎでしょ。……ちょっと怖いこと言いましたけど(笑)、半殺しいうのは、ご飯を潰すことです。そのプロセスそのものが楽しい。うるち米でもコシヒカリだったら粘り気があるから、餅米がなくってもいい。おはぎは餅米と半々ぐらいにするんですけど、お米がモチモチしてるからこれで十分。
クリス:料理は、ストレス発散じゃないけれども、自由な、開放的な時間だっておっしゃってましたね。
土井:心がね、ちょっと自由なんですよ。だって自分たち家族が食べるものだから、商品じゃないからね。おむすびだって大きさが違っても、「クリスさんは、ちっさいのがいいかな、おっきいのがいいかな」って選べるじゃないですか。でも商品だったらみんなそろってないと怒られたりするでしょ。だから家族のためっていうのは自由に、気持ちで「ちょっとちっさいのをあげよう」、「お兄ちゃんにはちょっとおっきくしとこう」とかね。その想いが、血が通った食べものになるんですよね。

料理番組などへの出演のほか、アプリや動画でさまざまな料理を披露している土井さん。ぜひチェックして、おいしいごはんを楽しんでください。

【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/

関連記事