吉岡里帆「許される気がして」蓮沼執太の曲から感じたこと

J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。9月2日(日)のオンエアでは、音楽家でアーティストの蓮沼執太さんをゲストにお招きしました。


■最新アルバムに込められた意味

蓮沼さんが中心となって活動している蓮沼執太フィルの最新アルバム『ANTHROPOCENE(アントロポセン)』が7月にリリースされました。「アントロポセン」とは地層の年代を意味する言葉で、オゾン層の研究でノーベル賞を受賞した化学者パウル・クルッツェンが考案した造語です。蓮沼さんはなぜ、アルバムを「アントロポセン」と名付けたのでしょうか?

蓮沼:今までの地層は、地球に存在するものの積み重ねだったんです。アントロポセンというのは、人間が生活をしだしたら地球上に無かったものを作り出してしまって、それが地層になってしまったという話なんですね。人間の活動が地球に影響を及ぼしてしまったっていう……。
吉岡:これがここからどうアルバム名の意味になるかというと、この話から「もう一度、改めて見直しませんか?」というメッセージになっているんですよね?
蓮沼:そうです。
吉岡:みなさん、伝わっていますか(笑)!?
蓮沼:(笑)。
吉岡:でも本当に面白いタイトルで、自分が当たり前に思っていることに少し疑問を持ってみたり、少しイレギュラーなことをしてみようっていうタイトルになっていて、それは蓮沼さんが実行されていることの表れにもなっているんじゃないかと思いました。
蓮沼:日常がどんどん便利になって、当たり前のように生活をしているけれど、「それでいいのかな?」というちょっとした気づき。直接的に「今日の1日を変えよう!」とは思わないかもしれないけれど、アルバムを聴いている人が例えば「今日は掃除をするのにいい気分だぞ」と思うだけで、1日が本当に変わると思うんですね。そういう小さいにきっかけになれば良いと思ってるんですけど、アルバムのタイトルはすごい大きい意味になったって感じです(笑)。
吉岡:すごく深いですよね。でも「ちょっとアントロポセってみようよ」みたいな感じにも(笑)。
蓮沼:いいですね、軽い感じが(笑)。


■歌詞が覚えられないのはなぜ?

大学生の頃から環境音を録音する生活を続けている中で、蓮沼さんに訪れた「気づき」についても伺いました。

蓮沼:音ってボケーっとしてたら聴こえないんです。ただ音は鳴っているんですよ。だから色んな音を「聴こう!」って思った瞬間に、360度色々な音が入ってくるというか。そういう意識、無意識のオンオフみたいなものに気がつかされました。

そんな蓮沼さんに、吉岡は音楽を聴く上でのある悩みを相談しました。

吉岡:歌詞を覚えられる人と覚えられない人がいるじゃないですか。私、完全に覚えられない人なんですよね。メロディは覚えられるけど歌詞は覚えられない。「これってちゃんと聴いてないってことなのかな?」ってすごい自己嫌悪になって……。
蓮沼:そんなことで自己嫌悪にならないでください(笑)。でも僕もそうなんですけど、多分、言葉と音が一緒じゃないんですよ。最初にメロディがあって、その後に歌詞が乗っかっているって音楽を認識してるんです。だから実は僕も覚えられない。譜面と一緒に歌詞も置いて演奏してますしね。
吉岡:よかった! あと、蓮沼さんの曲をさっきも聴いてたんですけど、考え事したり仕事しながらでも聴ける心地よさがあって。どんな秘密があるんですか?
蓮沼:僕自身が歌ものの曲をあまり作ってなくて、声とか歌詞とかも楽器の一つなんです。例えばユーフォニアムっていう管楽器の奏者が僕のアンサンブルにいるんですけど、彼の演奏と僕の歌詞は同じレベルで作っているので、急に歌詞だけが飛んでくるとか、メロディだけが飛んでくるっていう作り方になってないんですね。
吉岡:そうなんですね。なんか罪悪感に苛まれないというか……。
蓮沼:罪悪感(笑)。面白いなあ。
吉岡:蓮沼さんの曲だったらちゃんと歌詞を聴いていなくても許される気がして。「よし聴くぞ!」って思わなければいけない音楽もある中で、これって実はすごいことだと思っていました。

蓮沼さんの音楽、気になった方はぜひ一度触れてみてください!

【番組情報】
番組名:『UR LIFESTYLE COLLEGE』
放送日時: 毎週日曜 18時-18時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/lscollege/

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