斉藤和義がミュージシャンから信頼を集めるワケ…ブレない音作りの秘密【特集】

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。8月9日(木)のオンエアは、いきものがかりの水野良樹とコンビでお送りしました。

注目の新譜・いま注目すべき名盤・話題の来日アーティストなど、週替わりで1組のアーティストを4日間かけて掘り下げていくコーナー「FEATURE TOPICS」。この週は、今年でデビュー25周年を迎える、シンガーソングライターの斉藤和義をピックアップ! 最終回となるこの日は、斉藤さんの曲作りに迫りました。

【1回目】名曲『歩いて帰ろう』、意外な思いが込められていた!
【2回目】斉藤和義、音楽をやめようかとも…立ち直ったきっかけとは?
【3回目】『やさしくなりたい』で紅白初出場…斉藤和義がヒット曲を連発した2010年代



■斉藤和義は「ミュージシャンズ・ミュージシャン」

デビュー当初は、レコード会社の売り出し方と自分のイメージが合わないところがあり、苛立つ日々を送っていました。そんな状況を打破すべく、1997年にリリースされたアルバム『ジレンマ』はセルフプロデュースを行い、ひとり多重録音で作り上げました。その結果アルバムはヒットし、自分が思い描いている表現が正しいことを自らの手で証明。その後も“ミュージシャンズ・ミュージシャン”として、知る人ぞ知る名曲を数多く発表。名曲のなかでも、多くのアーティストがカバーする『歌うたいのバラッド』ですが、リリース当時のオリコン最高順位は91位でした。

水野:名曲って、たまにこういうことがありますよね。
藤田:時代が追いついてないと言いましょうか。その音楽を聴いた当時のミュージシャンのみなさんは、音楽が持っているポテンシャルがすぐわかるわけです。アーティストからのリスペクトは昔から変わらずあったということで、ミュージシャンズ・ミュージシャンというふうに言われるのも納得だと思います。

2008年にリリースされた『やぁ 無情』で、第50回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞。2010年代に入ると『ずっと好きだった』『優しくなりたい』のヒットで『NHK紅白歌合戦』にも出演し、お茶の間レベルまで知れ渡るようになりました。


■ギターからキーボードまでひとりでこなす

さらに、今回は斉藤さんのソングライティングついて迫りました。

藤田:斉藤さんのインタビューを見ると、大抵の場合は、最初にサウンドを作り、歌メロを作り、最後に歌詞を作るという曲の作り方です。多重録音という話がありましたが、マルチプレイヤーなので、ギターをはじめ、ドラムから鍵盤までひとりでこなしていきます。

2018年3月にリリースされた19枚目のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』もひとり多重録音で制作。ピコ太郎さんも使用していた、ローランドの名機と呼ばれる「TR-808(通称:ヤオヤ)」のリズムマシーンや、「リンドラム」というヴィンテージのドラムマシンを手に入れたことから、全編にわたり、打ち込みを取り入れました。

藤田:あえてアナログテープで録音したり、サウンド面は音楽オタク的なこだわりがあり、音楽家として非常に強い探究心があることがわかります。メロディーは、子どもの頃に聴いていた歌謡曲のように、わかりやすいもの。歌詞については、一度聴けばすぐに絵が浮かぶものを心がけているそうです。

バンドサウンドの印象もある斉藤さん。その楽曲作りにおいて、ひとりで多重録音するということは、生楽器を自分で録音し続けるということです。これについて水野は……。

水野:ひとりで演奏することで、同じグルーヴになり、独特の世界が生まれるのかもしれないですね。斉藤さんはいろいろなセッションミュージシャンを集めたりもいするから、そのよさがお互いに引き立つのかも。
藤田:全方位で、全てできるという印象です。“ひとり多重録音”という言葉を多用しましたけど、バンドを率いるダイナミズムを知っていながら、自分の世界をきっちり大切にするコンセプトを持つならば、なお自分で作っていくという。それをどの基準で、というのも本人に聞かないとわからない。ときによってなのかもしれないし、タームによってなのかもしれないし。
水野:大きな枠としてずっとブレませんよね。だからこそ、フォロワーはついていくし、ミュージシャンからも信頼を集める人なのかもしれませんね。

ちなみに、水野が初めて日本武道館に観に行ったライブは、斉藤さんのライブだったそうです。

水野:あんなに広い会場で、そのステージを埋めてるのがひとりだけなんです。でもそのひとりがギター1本で1万人の空間を埋めるんですよ。信じられない感じでしたね !

先月には、2008年にリリースした15周年記念オールタイム・シングルズ・ベストアルバムの続編となる『歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017』をリリースした斉藤さん。これを機に、ぜひじっくりと耳を傾けてみてください。

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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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