ボブ・ディランが「ちょっとやりたいんだけど」と…!? フジロックの生みの親・日高正博が語る今年の見どころ

J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。7月7日(土)のオンエアでは、フジロックの生みの親「大将」ことSMASHの日高正博さんが登場。今年で22回目を迎える「FUJI ROCK FESTIVAL '18」の見どころを訊きました。

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■目玉はイギリスからやってくる、移動式遊園地!

フジロックも今年で22年目。苗場での開催は20周年です。そんなフジロック、今年の目玉を訊くと……。

日高:「アンフェアグランド」という移動式遊園地。非常にクレイジーなオブジェとパフォーマンスとDJ総勢50人くらいが、ロンドンからやってきます。すごいお金がかかってるんですけど、なんで持ってこられるかと言うと、「アンフェアグランド」があるイギリスの「グラストンベリー・フェスティバル」が今年はないんですよ。農耕地だから、何10年に1回は牛のために休めなきゃいけないと。今回は休むというので、苗場と湯沢町に相談したら「何とか協力します」みたいな感じになって。あと佐渡のパーカッションのグループ「鼓童」は、新潟のほうからの協力を得て。
クリス:「アンフェアグランド」はどこで開催されるんですか、敷地内で?
日高:FIELD OF HEAVENの向こうの、以前ORANGE COURTがあったところで。これはとんでもないことになってしまうのではないかと。
クリス:どんなものが見られるんですかね?
日高:来てみてのお楽しみ。「鼓童」は、佐渡島のパーカッショングループ。ヨーロッパで非常に有名なパフォーマーです。総勢2、30人で、俺が初めて観たのは実は昔バチカン王国のローマ法王が日本の初めて来たとき、日本側の歓迎式典を武道館でやって、それに関わったわけですよ。そのときに初めて。すごくて声がでない。この大きな光景、とにかく筋肉を鍛えて。
クリス:彼らはどこの出身なんですか?
日高:いろいろなところからで、佐渡島で自分らでかたまってはじめて。
クリス:彼らはどこで演奏するんですか?
日高:GREEN STAGE。そうとう大きなサイズで20~30人で、大きな太鼓から小さな太鼓まで。「日本代表」として、ぜひ観てほしい。



■ボブ・ディラン、フジロック初登場の裏話

クリス:今年、日高さんがブッキングしたアーティストでは、どういう人がいるんですか? 日高さんの中で「この人はちょっと大変だったな」とか「これは観てもらいたい」という。
日高:普段だったら大変な人が、そんなに大変でもなかったですね。何10年もやってて初めてのことだったけど。
クリス:ボブ・ディランですか?
日高:ボブ・ディランは、向こうから「ちょっとやりたいんだけど」と言ってきたんですよ。
クリス:今までも2回くらい話をしたんだけど、いつもどこかで立ち消えになってしまって、そういう人なんだと思うんですけど。
日高:すごいへそ曲がりな人なんでしょ、ボブ・ディランって。
クリス:へそ曲がりって言ったらかわいそうだけど、気ままに風に吹かれるままに。
日高:彼は自分で「反体制とは思ってない」と言っているもんね、60年代の雰囲気って、ベトナム戦争とか、公民権運動だとかの嵐のときにニクソンとか、アメリカのシステムサイドからみると危ないなと。
クリス:60年代の反ベトナム戦争の主砲というか、先陣切っているイメージがありますもんね。
日高:あの人は個人で言ってるけど「そんなつもりで言ったんじゃない」と。なんか確たる信念を持って言ったんじゃないと。
クリス:詩人であることは詩人だけど、あまり政治的な意図ではないということなんでしょうね。
日高:だから彼ら、中国にも行きたかったんだよね。中国はローリング・ストーンズを呼ぶのに、ボブは政治色が強いから……と。何か間違っているな、中国は、と思います。
クリス:ボブ・ディランは、ヒッピーカルチャーを表しているような中国では受け入れられないのかもしれないですけど、ボブからのオファーはいつだったんですか?
日高:去年かな。本当に本気にしていなかった。「そのうち、立ち消えになるだろう」とでもレスポンスして、「どうも本気だよ、これ」と。春前かな、2月とか3月とか。「よし、そうなったらがんじからめにしてやれ、前後縛ればキャンセルできねえだろ」と、台湾とかと話して。フジの前に台湾、韓国。フジのあとはオーストラリア。
クリス:キャンセル不可能な状態に。でも、嬉しいですよ、僕ボブ・ディランを観たことがまだないんですよ。この前「最後になるだろう」という日本公演が観れなかったんで、「そうか、俺の人生の中のボブ・ディランはなかったんだな」と思っていたところ、フジで観られるということで。初ボブですよ。日高さんは、ボブ・ディランは観たことは?
日高:俺が観たのは1回だけで、10何年前にグラストンベリー・フェスティバルでみて、そのときグランドコンディションがめちゃくちゃで、雨が何日も続いて農耕地だから、足が膝までぬかっていて、そこで8万以上のキャパシティでしょ。立って観ていて疲れてしょうがないし、知らない曲ばっかり演って、みんな「何てひねくれた人間なんだ」という雰囲気だった。
クリス:へそ曲がりというか、ひねくれているんですよ。みんなよく言いますよね、アレンジも変えるし、歌い出しを聴いてもわからないほどアレンジを変えたり。今のボブはどうなんでしょうね?
日高:わかんないよ。この人だけは先行きが見えない。ただ自分でフェスに出たいということで、フェスは違うお客さんも来るわけでしょ? 普通のコンサートはその人がみたいと、それと違うところで彼は出るわけだから、俺としてはいい意味での正攻法で攻めてもらえれば嬉しいだろうなと、日本のお客さんは。


■今年はお客さんの意見を聞いてみたい

クリス:日高さんは他に、「今年はこいつらを観ろ」というのはありますか?
日高:面白いなというのは、メジャークラスでいうとケンドリック・ラマーですかね。才能もあるけど、音楽で訴えられるものは全てやっているなと。こういう言い方するとファンの人に怒られるかもしれないけど、ボブ・マーリーからジョン・レノンから、要するにアメリカでの白人の警官が黒人をボコボコやるみたいな、それを訴えるところから彼は来ていて、だから彼はピューリッツァー賞とか貰った。ずっと観る時間はないけど、ちょっとは観に行こうかなと。
クリス:ラインナップがすごいですよね。ボブ・ディランもいるし、ケンドリック・ラマーもいるし、今、アメリカではビートルズの記録を塗り替えているポスト・マローンがすごいですよね。ルーツサウンド、ワールド系、DJスタイル……いろいろなタイプの音楽があるし、ベテランから若いバンドもいろいろ出ますね。日高さんは開催中はあまり油断できないという感じなんですかね。
日高:夜中の10時から11時くらいまで各ステージのヘッドライナーが終わったあと、お客さんの声を聞きたいなと思ってて。プリンスホテルの裏にドッグランがあって、そこをちょっと大きくして、ミュージシャンが来てアコースティックセットを金土日と毎晩やる。そこに行って、もしお客さんが来たら、いろいろな話をしようかなと。俺と一緒に酒飲みながら。たぶん3、40人しか入らないけど、いい音楽をライブとDJでやって、そこで生のお客さんの声を聞きたいなと。


■お目当て以外のバンドで音楽の楽しみ方をみつけてほしい

オンエア後半では、さらに日高さんのオススメの出演者や、ROOKIE A GO-GOのステージの誕生のきっかけなど、フジロックの裏話を語っていただきました。

クリス:たぶん初めて来る人も多いと思うけど、そういう人たちに「今年フジはぜひ観てもらいたい」とか、あとは「ここはフジの変わらないところだけど、ここをちょっと注目してもらいたい」という部分はありますか?
日高:来たことがない方には、お目当てのバンドだけじゃなくて、1歩でも2歩でも足を伸ばしてもらって「こういう音楽の楽しみ方があるんだ」と「俺の若いときはなかったけどな」ということを感じてもらえればいいなと思っています。


日本のフェスの雛形を作ったフジロック。行く方は、全力で楽しんでください!

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【番組情報】
番組名:『SAPPORO BEER OTOAJITO』
放送日時:土曜 18時-18時54分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/

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