J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・寺岡歩美)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。7月24日(火)のオンエアでは、現在物議を醸している、ケンドリック・ラマー来日を伝える黒塗りポスターについて注目しました。
「黒塗り」とは、行政機関が公文書の情報公開請求を受けたときに、個人情報や非公開内容にあたる部分を黒で消して公開することで、通称「のり弁」と呼ばれます。なぜヒップホップ・スターの来日を伝えるポスターのキービジュアルに使用されたのでしょうか。今回はそのポスターの制作・デザイン・企画を行った株式会社GOのプロデューサー・田中陽樹さんとプランナー・飯塚政博さんにお話を訊きました。
■賛否両論を呼んだ「黒塗り」広告
田中:渋谷で22日夜に掲出して、そこから色々なところに貼られています。場所でいうと、クラブの多い円山町エリア、センター街、宇田川町のエリアに貼っています。
寺岡:渋谷よりもひと足早く、国会議事堂前駅と霞ヶ関駅の構内に貼り出されてすごく話題になりましたが、なぜそのような戦略を取ったんですか?
田中:ケンドリック・ラマーの音楽を聴いてもらいたい人は、若い方、音楽が好きな方、ファッション好きな方が非常に多いので、渋谷には出したいというのはもともとのゴールとしてありました。しかし、この広告が話題になる場所にまず掲出して渋谷に出したほうが、よりみんなの目に触れると思い、駅貼り広告をやった上で渋谷で展開する流れを考えました。
サッシャ:敢えて黒塗り文書のお膝元で先行して掲出したわけですけど、反応はどうだったんでしょうか?
飯塚:反応としては真っ二つで、賛否両論でした。
サッシャ:否定意見もあるんですか?
飯塚:めちゃめちゃありますね。「なんだこれは、ふざけるな」みたいな声と「でかした」という絶賛の声で、完全に真っ二つで、中間の声がないのが特徴かなと思います。ただこういう際どい試みだったのは、僕らも事前にわかっていたので、こういった反応が来ることは予想していました。
サッシャ:説明するとちょっとくしゃくしゃになった紙が戻されたようになっていて、そこによく見ると消されていないところが「〜学園」だったり……。
飯塚:まあ何かを匂わせる感じで……(笑)。
田中:何とは言わないですけど(笑)。
飯塚:わかる人にはわかる設計にしている感じですね。
サッシャ:否定的な意見はあまり理解できないですけどね。
田中:多かったのは、これが実際ケンドリック・ラマー本人が音楽を通して伝えていることと、今回のビジュアルから通して伝わるものの乖離みたいなものを感じる人もいたようです。
■ポスター掲出の目的は?
このポスター自体は、ケンドリック・ラマーの来日を伝えるというのが、ひとつのメインのメッセージです。
田中:フジロックに出るんですが、5年ぶりくらいに来日するんで、それのプロモーションも兼ねています。
サッシャ:そもそも彼が所属している日本のユニバーサル ミュージックがクライアントになるわけですけど、どんなリクエストがあったんですか?
飯塚:ケンドリック・ラマーはグラミー賞アーティストであり、ラッパー史上初のピューリッツァー賞をとったという、今本当に本国アメリカで一番リスペクトされている人気のアーティストで、アーティストという面だけじゃなく世界の最重要人物なんだと。かつてのオバマ元大統領やマイケル・ジャクソンがそうだったように、ブラックパワーの象徴として最重要人物であるところに僕らは注目していたんですけど、そんな彼が日本では知名度も人気もアメリカと比べたらまだというところで、そのような状況を改善したいという要望をいただいて企画しました。
サッシャ:ただのいちミュージシャンじゃないんだと。この黒塗りアイディアは誰が思いついたんですか?
飯塚:私が発案しました。どんな思いでというところでいうと、ケンドリック・ラマーは映画『ブラックパンサー』の主題歌に選ばれたり、現代のブラックパワーの最前線に立っているような人物だと僕は思っています。ブラックパワー=黒という色を敢えて強調した表現をできないかなとずっと考えていて、そのときにたまたま5月くらいに「のり弁」的な話題が報道されていて。世界で言われているマイノリティの人々を鼓舞させる色として機能している黒と、今日本で報道されている公文書の不都合を隠すみたいな黒の使われ方の対比に皮肉を感じ、そのまま広告表現に落とすことができたら強い表現になり、彼の存在を世に知らしめることができるんじゃないかと考えたわけです。
サッシャ:ケンドリックは、これに対してなんて言ったんでしょうか? 訊いてない?
飯塚:訊いてないですね(笑)。
サッシャ:知りたいわー。フジロックのライブは行かれるんですか?
田中:もちろんです。今回の僕らのチームで行きます。
飯塚:バックステージにもし入れたら訊いてみたいですね。
サッシャ:「Damn!」(※ケンドリック・ラマーのアルバム名が『DAMN.』)っていわれたら困りますね(笑)。
この話題のポスター、現在は渋谷界隈に掲出されています。特に宇田川町のFrancfrancから渋谷パルコへ向かう坂道には、16種類の全パターンを張っているそうなので、ぜひチェックしてみてください!
さて、次週は「大人の自由研究!」をテーマに、身近な気になる疑問を『STEP ONE』が大調査します! 31日(火)は渋谷スクランブル交差点地下「しぶちか商店街」に迫ります。どうぞお聴き逃しなく!
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
「黒塗り」とは、行政機関が公文書の情報公開請求を受けたときに、個人情報や非公開内容にあたる部分を黒で消して公開することで、通称「のり弁」と呼ばれます。なぜヒップホップ・スターの来日を伝えるポスターのキービジュアルに使用されたのでしょうか。今回はそのポスターの制作・デザイン・企画を行った株式会社GOのプロデューサー・田中陽樹さんとプランナー・飯塚政博さんにお話を訊きました。
■賛否両論を呼んだ「黒塗り」広告
田中:渋谷で22日夜に掲出して、そこから色々なところに貼られています。場所でいうと、クラブの多い円山町エリア、センター街、宇田川町のエリアに貼っています。
寺岡:渋谷よりもひと足早く、国会議事堂前駅と霞ヶ関駅の構内に貼り出されてすごく話題になりましたが、なぜそのような戦略を取ったんですか?
田中:ケンドリック・ラマーの音楽を聴いてもらいたい人は、若い方、音楽が好きな方、ファッション好きな方が非常に多いので、渋谷には出したいというのはもともとのゴールとしてありました。しかし、この広告が話題になる場所にまず掲出して渋谷に出したほうが、よりみんなの目に触れると思い、駅貼り広告をやった上で渋谷で展開する流れを考えました。
サッシャ:敢えて黒塗り文書のお膝元で先行して掲出したわけですけど、反応はどうだったんでしょうか?
飯塚:反応としては真っ二つで、賛否両論でした。
サッシャ:否定意見もあるんですか?
飯塚:めちゃめちゃありますね。「なんだこれは、ふざけるな」みたいな声と「でかした」という絶賛の声で、完全に真っ二つで、中間の声がないのが特徴かなと思います。ただこういう際どい試みだったのは、僕らも事前にわかっていたので、こういった反応が来ることは予想していました。
サッシャ:説明するとちょっとくしゃくしゃになった紙が戻されたようになっていて、そこによく見ると消されていないところが「〜学園」だったり……。
飯塚:まあ何かを匂わせる感じで……(笑)。
田中:何とは言わないですけど(笑)。
飯塚:わかる人にはわかる設計にしている感じですね。
サッシャ:否定的な意見はあまり理解できないですけどね。
田中:多かったのは、これが実際ケンドリック・ラマー本人が音楽を通して伝えていることと、今回のビジュアルから通して伝わるものの乖離みたいなものを感じる人もいたようです。
■ポスター掲出の目的は?
このポスター自体は、ケンドリック・ラマーの来日を伝えるというのが、ひとつのメインのメッセージです。
田中:フジロックに出るんですが、5年ぶりくらいに来日するんで、それのプロモーションも兼ねています。
サッシャ:そもそも彼が所属している日本のユニバーサル ミュージックがクライアントになるわけですけど、どんなリクエストがあったんですか?
飯塚:ケンドリック・ラマーはグラミー賞アーティストであり、ラッパー史上初のピューリッツァー賞をとったという、今本当に本国アメリカで一番リスペクトされている人気のアーティストで、アーティストという面だけじゃなく世界の最重要人物なんだと。かつてのオバマ元大統領やマイケル・ジャクソンがそうだったように、ブラックパワーの象徴として最重要人物であるところに僕らは注目していたんですけど、そんな彼が日本では知名度も人気もアメリカと比べたらまだというところで、そのような状況を改善したいという要望をいただいて企画しました。
サッシャ:ただのいちミュージシャンじゃないんだと。この黒塗りアイディアは誰が思いついたんですか?
飯塚:私が発案しました。どんな思いでというところでいうと、ケンドリック・ラマーは映画『ブラックパンサー』の主題歌に選ばれたり、現代のブラックパワーの最前線に立っているような人物だと僕は思っています。ブラックパワー=黒という色を敢えて強調した表現をできないかなとずっと考えていて、そのときにたまたま5月くらいに「のり弁」的な話題が報道されていて。世界で言われているマイノリティの人々を鼓舞させる色として機能している黒と、今日本で報道されている公文書の不都合を隠すみたいな黒の使われ方の対比に皮肉を感じ、そのまま広告表現に落とすことができたら強い表現になり、彼の存在を世に知らしめることができるんじゃないかと考えたわけです。
サッシャ:ケンドリックは、これに対してなんて言ったんでしょうか? 訊いてない?
飯塚:訊いてないですね(笑)。
サッシャ:知りたいわー。フジロックのライブは行かれるんですか?
田中:もちろんです。今回の僕らのチームで行きます。
飯塚:バックステージにもし入れたら訊いてみたいですね。
サッシャ:「Damn!」(※ケンドリック・ラマーのアルバム名が『DAMN.』)っていわれたら困りますね(笑)。
この話題のポスター、現在は渋谷界隈に掲出されています。特に宇田川町のFrancfrancから渋谷パルコへ向かう坂道には、16種類の全パターンを張っているそうなので、ぜひチェックしてみてください!
さて、次週は「大人の自由研究!」をテーマに、身近な気になる疑問を『STEP ONE』が大調査します! 31日(火)は渋谷スクランブル交差点地下「しぶちか商店街」に迫ります。どうぞお聴き逃しなく!
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/