J-WAVEで2カ月に1度、第1日曜にお送りしている番組『RADIO SAKAMOTO』(ナビゲーター:坂本龍一)。7月1日(日)のオンエアでは、坂本の近況や、テイ・トウワさんからのメッセージなどをお届けしました。
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■テイ・トウワから教授にメッセージ
「教授、お元気でしょうか? 映画などで拝見しております」
テイさんから坂本へのメッセージが届きました。
テイ:私、テイ・トウワはこの度、Sweet Robots Against The Machineという3人組の新バンドでアルバムを作りました。これはバカリズムさんと、METAFIVEでも一緒の砂原良徳くんと、3人で作ったものなんですけれども。もともと僕が一人でやってたものなんですが、3枚目ということで3人組になってみようかなという感じでやってみました。普段は何もコンセプトなく曲を作って、なんとなく10曲ぐらい集まったら出してたりするんですけど、今回は詩の朗読に曲を付けるところから始まりまして、比較的自分のソロに比べてはコンセプチュアルなアルバムというか、ポエトリー・リーディングならぬ、テクノ・リーディングというか。スポークン・ワードならぬ、スポークン・テクノという感じに仕上がったと思います。やってることは高校生のときに作ったデモテープを教授のところに送ったことと何ら変わりないような気もするんですけれども、よかったぜひ聴いてみてください。
テイさんからのメッセージに坂本は……。
坂本:Sweet Robots Against The Machine(SRATM)というユニットなんですね。なるほど、このテイくん以外の2人は何をしているんでしょうね。砂原くんと言えば、(高橋)幸宏もやっているMETAFIVEにも参加していますけど、テイくんと一緒に。まりんくんは、METAFIVEではベースをやっているんですよね。まりんくん(砂原さんの愛称)の弾くベースのリズム感がとてもいいんですよ、すごいなあと思って。上手いんじゃない? 鍵盤、キーボードを弾くのが。「ちゃんと弾けるんだね」と思って(笑)。すいません、あまりよく知らないので失礼なことを言ってしまいました。テイくんは自分でも言ってましたけども、変わらないですね、ほんとに。音のセンスとか、もう高校や大学のときから一貫したものがありますね。これは自然にそうなっているんでしょう。僕はほんとに恐ろしくいろいろ変わってしまうので、羨ましいですね、変わらない人のことが。
■本当は伝統音楽がやりたかった
続いては坂本の近況の中から、坂本が手がけた韓国映画の音楽の話題を語りました。6月に、坂本が音楽を手がけた韓国映画『天命の城』が日本でも公開されました。監督はファン・ドンヒョクさん、出演しているのが、イ・ビョンホンさん、キム・ユンソクさん、パク・ヘイルさん、コ・スさん。
坂本:キム・ユンソクさんて、日本ではイ・ビョンホンさんほどは知られていないかもしれないけど、僕はこのところものすごく韓国映画を観ているので、キム・ユンソクさんはたくさん出ていて、とても個性的で、強い役柄が多くてですね、まあ名優ですね。もう一人のパク・ヘイルさんというのは恋愛映画とかにわりと長い間出ていて、最近、たぶん40歳を越して、少し渋い役も増えてきたと思うんですけども、今回は難しい決断に迫られる王様役で。いい顔してるし、とてもいい演技をしてますね。監督から聞いたんですけども、この難しい役は「もうパク・ヘイルしかいない!」ということで、何度も頼んだんですけど、何度も断られて、3度目に朝の4時までお酒を飲んでやっと口説き落としたと言っていましたけども、なんでそんなにパクさんが断ったのか。実はこの『天命の城』、これ実話ですけど、お隣の巨大な中国が、明という国から清に変わる頃のお話で、明と仲がよかった韓国にも清が攻めてきちゃうんですね。で、「明と手を切って、俺の味方、子分になれ」というわけなんです。それでもう十何万人という大軍で攻めてくる。迎え討つ韓国側は1万人ちょっとしかいない。結局は清の皇帝に頭を下げるんですけども、頭を下げて非常な屈辱を受けるわけですね、この王様も韓国人たちも。なので、未だに300年経っても、韓国で一番人気のない王様なんですって。まあそういう屈辱の歴史を刻印したということで、多分そのせいで、パクさんは断ったらしいんですよね。だけど監督は、パクさんのノーブルな気品のある顔じゃないと、この映画は作ってもしょうがない、とまで思ったそうです。
また坂本自身がこの映画にどう関わったかという部分は次のように語りました。
坂本:私は音楽監督として関わって全部の音楽を書いたわけですけど、ひとつ面白かったのは、僕は学生の頃から韓国の民族音楽をよく聴いてきましたし、キム・ドクスさんという韓国の打楽器奏者とは30年以上の友だち関係ですし、せっかく生まれて初めて韓国の映画をやらせてもらうんで、どうしてもその韓国の伝統音楽を取り入れたいということで、非常に韓国的な音楽というのも考えていたんですが、デモを作って監督に聴かせたら、「ちょっと韓国的過ぎる」と言われちゃいまして(笑)。「もう少しモダンなものにしてくれ」と。韓国も、時代劇というか歴史物の映画はとても多いので、そういうものに韓国的な伝統的な音楽が付くというのはたぶん、常套手段で聴き飽きているのかなと。もっとそうじゃない、新しい部分を監督は出したかったのでしょう。ということで慌てて方針転換をして、今のような形になったんですけども。でもね、僕の密かな願いとして、伝統音楽も実は取り入れています。ほんとに慌てて、2、3日だけソウルに行って、キム・ドクスさんの指導の元、若い伝統音楽のミュージシャン、学生とか大学院生ぐらいの若い人たちと録音して、急遽、混ぜてます。
オンエアでは、他にも現在韓国で開催中の展覧会で坂本が関わったインスタレーションについてや、ベルリン、バルセロナなどで開催したカールステン・ニコライとのツアーの模様についてなど、坂本の多忙すぎる6月の活動について語りました。
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【番組情報】
番組名:「RADIO SAKAMOTO」
放送日時:隔月第1日曜 24時-26時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/
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■テイ・トウワから教授にメッセージ
「教授、お元気でしょうか? 映画などで拝見しております」
テイさんから坂本へのメッセージが届きました。
テイ:私、テイ・トウワはこの度、Sweet Robots Against The Machineという3人組の新バンドでアルバムを作りました。これはバカリズムさんと、METAFIVEでも一緒の砂原良徳くんと、3人で作ったものなんですけれども。もともと僕が一人でやってたものなんですが、3枚目ということで3人組になってみようかなという感じでやってみました。普段は何もコンセプトなく曲を作って、なんとなく10曲ぐらい集まったら出してたりするんですけど、今回は詩の朗読に曲を付けるところから始まりまして、比較的自分のソロに比べてはコンセプチュアルなアルバムというか、ポエトリー・リーディングならぬ、テクノ・リーディングというか。スポークン・ワードならぬ、スポークン・テクノという感じに仕上がったと思います。やってることは高校生のときに作ったデモテープを教授のところに送ったことと何ら変わりないような気もするんですけれども、よかったぜひ聴いてみてください。
テイさんからのメッセージに坂本は……。
坂本:Sweet Robots Against The Machine(SRATM)というユニットなんですね。なるほど、このテイくん以外の2人は何をしているんでしょうね。砂原くんと言えば、(高橋)幸宏もやっているMETAFIVEにも参加していますけど、テイくんと一緒に。まりんくんは、METAFIVEではベースをやっているんですよね。まりんくん(砂原さんの愛称)の弾くベースのリズム感がとてもいいんですよ、すごいなあと思って。上手いんじゃない? 鍵盤、キーボードを弾くのが。「ちゃんと弾けるんだね」と思って(笑)。すいません、あまりよく知らないので失礼なことを言ってしまいました。テイくんは自分でも言ってましたけども、変わらないですね、ほんとに。音のセンスとか、もう高校や大学のときから一貫したものがありますね。これは自然にそうなっているんでしょう。僕はほんとに恐ろしくいろいろ変わってしまうので、羨ましいですね、変わらない人のことが。
■本当は伝統音楽がやりたかった
続いては坂本の近況の中から、坂本が手がけた韓国映画の音楽の話題を語りました。6月に、坂本が音楽を手がけた韓国映画『天命の城』が日本でも公開されました。監督はファン・ドンヒョクさん、出演しているのが、イ・ビョンホンさん、キム・ユンソクさん、パク・ヘイルさん、コ・スさん。
坂本:キム・ユンソクさんて、日本ではイ・ビョンホンさんほどは知られていないかもしれないけど、僕はこのところものすごく韓国映画を観ているので、キム・ユンソクさんはたくさん出ていて、とても個性的で、強い役柄が多くてですね、まあ名優ですね。もう一人のパク・ヘイルさんというのは恋愛映画とかにわりと長い間出ていて、最近、たぶん40歳を越して、少し渋い役も増えてきたと思うんですけども、今回は難しい決断に迫られる王様役で。いい顔してるし、とてもいい演技をしてますね。監督から聞いたんですけども、この難しい役は「もうパク・ヘイルしかいない!」ということで、何度も頼んだんですけど、何度も断られて、3度目に朝の4時までお酒を飲んでやっと口説き落としたと言っていましたけども、なんでそんなにパクさんが断ったのか。実はこの『天命の城』、これ実話ですけど、お隣の巨大な中国が、明という国から清に変わる頃のお話で、明と仲がよかった韓国にも清が攻めてきちゃうんですね。で、「明と手を切って、俺の味方、子分になれ」というわけなんです。それでもう十何万人という大軍で攻めてくる。迎え討つ韓国側は1万人ちょっとしかいない。結局は清の皇帝に頭を下げるんですけども、頭を下げて非常な屈辱を受けるわけですね、この王様も韓国人たちも。なので、未だに300年経っても、韓国で一番人気のない王様なんですって。まあそういう屈辱の歴史を刻印したということで、多分そのせいで、パクさんは断ったらしいんですよね。だけど監督は、パクさんのノーブルな気品のある顔じゃないと、この映画は作ってもしょうがない、とまで思ったそうです。
また坂本自身がこの映画にどう関わったかという部分は次のように語りました。
坂本:私は音楽監督として関わって全部の音楽を書いたわけですけど、ひとつ面白かったのは、僕は学生の頃から韓国の民族音楽をよく聴いてきましたし、キム・ドクスさんという韓国の打楽器奏者とは30年以上の友だち関係ですし、せっかく生まれて初めて韓国の映画をやらせてもらうんで、どうしてもその韓国の伝統音楽を取り入れたいということで、非常に韓国的な音楽というのも考えていたんですが、デモを作って監督に聴かせたら、「ちょっと韓国的過ぎる」と言われちゃいまして(笑)。「もう少しモダンなものにしてくれ」と。韓国も、時代劇というか歴史物の映画はとても多いので、そういうものに韓国的な伝統的な音楽が付くというのはたぶん、常套手段で聴き飽きているのかなと。もっとそうじゃない、新しい部分を監督は出したかったのでしょう。ということで慌てて方針転換をして、今のような形になったんですけども。でもね、僕の密かな願いとして、伝統音楽も実は取り入れています。ほんとに慌てて、2、3日だけソウルに行って、キム・ドクスさんの指導の元、若い伝統音楽のミュージシャン、学生とか大学院生ぐらいの若い人たちと録音して、急遽、混ぜてます。
オンエアでは、他にも現在韓国で開催中の展覧会で坂本が関わったインスタレーションについてや、ベルリン、バルセロナなどで開催したカールステン・ニコライとのツアーの模様についてなど、坂本の多忙すぎる6月の活動について語りました。
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放送日時:隔月第1日曜 24時-26時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/