J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』。今週は、お休みのクリス智子に代わって、女優・南沢奈央がナビゲート。4月9日(月)のオンエアでは、 小説家・西加奈子さんが登場。8年ぶりに執筆した短編小説『おまじない』(筑摩書房)の話や、長編と短編の取り組み方の違いについて話しました。
■短編小説を書く大変さって?
西さんは長編小説を書くのが好きで、しばらく長編を書いてきました。しかし、「長編は自由な状況でやらせてもらっていたので、このままでは自由過ぎてよくないのではないか」と思い、あえて苦手な短編に挑戦したと言います。
南沢:長編と短編では書き方が違うんですか?
西:人によると思うんですけど、長編は自由なので、カッコイイ言い方をすると、物語のほうから動いてくれることがあって、委ねられるというか。たとえば、長編で「ナオ」という女の子を何気なく登場させたとすると、その子がのちに重要になったり。でも短編だと、今回は枚数を決めて書いたので、ナオの人生に責任を持たなければいけない、物語の中できちんと機能しないといけないから、コントロールするのがすごくしんどいんです。
短編作品を書いていると「長編だったら書けるのに」と思うことがあると西さん。
南沢:素人からすると、長編のほうが大変というイメージがありました。短編で物語を納めないといけないのは難しいことなんですね。
西:短編のほうが得意な人もいると思うけど。短編は説明するのがしんどいことがあるから、私は長編のほうが楽です。
■新作は“おじさん”の言葉でみんなハッピーに
そんな西さんが書いた短編集『おまじない』のキーパーソンとなるのは“おじさん”です。おじさんが、少女、ファッションモデル、キャバ嬢などの女性たちにヒントを与えていくというストーリー。
南沢:どうして、おじさんをキーパーソンにしたんですか?
西:最初に、全ての女性を肯定したいと思ったんです。女性を救うのは女性でもよかったけど、女性同士の話ならきっと誰かが書いてるんじゃないかと思って。私は今のフェミニズムムーブメントに弾かれがちな、いわゆる“おじさん”から言葉をもらって、みんながハッピーになる話を書きたいと思いました。
南沢:おじさんが、どのように女性と関わるのか読んでたんですけど、意外とナチュラルな関係性。「おじさんと女性だから」と構えてしまうこともなく、異性ということを意識せずに、私も自然とおじさんに励まされました。
西:よかった! それを狙ってたんです。人間同士として描きたかったんです。
ちなみに、『おまじない』の中で、西さん自身は、最後の作品『ドラゴン・スープレックス』 がお気に入りだそうです。
西:『おまじない』という作品集を作るにあたって、全てのおまじないを覆すような物語を最後に書こうと決めてたんです。「そのおまじないが祝福であるうちはいいけど、それがしんどくなってしまったら、そんな言葉は捨てていい」という話を書きたかったんです。それが書けて良かったと思ってます。
南沢:帯に書いてある、「あなたを救ってくれる言葉が、この世界にありますように。」という西さんの言葉のどおり、この本を読んで救われた気分になりました。励まされたとはまた違う、孤独で迷子になってるときに、後ろから「大丈夫だよ」と抱きしめてくれるような優しい話ばかり。それがやがて、背中を押すことにつながっていくっていう。
西:私自身も弱くて救われたい気持ちがあるからだと思います。「こんな弱い人間でも生きていけるのが人間の社会」という思いがあります。
南沢は、『おまじない』の内容もさることながら、装丁にも感心していました。表紙は、西さんが段ボールにクレヨンで描いた絵です。6月10日(日)からは、千代田区「AI KOWADA GALLERY」で西さんの個展が開催されます。どうぞ、チェックしてみてください。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
■短編小説を書く大変さって?
西さんは長編小説を書くのが好きで、しばらく長編を書いてきました。しかし、「長編は自由な状況でやらせてもらっていたので、このままでは自由過ぎてよくないのではないか」と思い、あえて苦手な短編に挑戦したと言います。
南沢:長編と短編では書き方が違うんですか?
西:人によると思うんですけど、長編は自由なので、カッコイイ言い方をすると、物語のほうから動いてくれることがあって、委ねられるというか。たとえば、長編で「ナオ」という女の子を何気なく登場させたとすると、その子がのちに重要になったり。でも短編だと、今回は枚数を決めて書いたので、ナオの人生に責任を持たなければいけない、物語の中できちんと機能しないといけないから、コントロールするのがすごくしんどいんです。
短編作品を書いていると「長編だったら書けるのに」と思うことがあると西さん。
南沢:素人からすると、長編のほうが大変というイメージがありました。短編で物語を納めないといけないのは難しいことなんですね。
西:短編のほうが得意な人もいると思うけど。短編は説明するのがしんどいことがあるから、私は長編のほうが楽です。
■新作は“おじさん”の言葉でみんなハッピーに
そんな西さんが書いた短編集『おまじない』のキーパーソンとなるのは“おじさん”です。おじさんが、少女、ファッションモデル、キャバ嬢などの女性たちにヒントを与えていくというストーリー。
南沢:どうして、おじさんをキーパーソンにしたんですか?
西:最初に、全ての女性を肯定したいと思ったんです。女性を救うのは女性でもよかったけど、女性同士の話ならきっと誰かが書いてるんじゃないかと思って。私は今のフェミニズムムーブメントに弾かれがちな、いわゆる“おじさん”から言葉をもらって、みんながハッピーになる話を書きたいと思いました。
南沢:おじさんが、どのように女性と関わるのか読んでたんですけど、意外とナチュラルな関係性。「おじさんと女性だから」と構えてしまうこともなく、異性ということを意識せずに、私も自然とおじさんに励まされました。
西:よかった! それを狙ってたんです。人間同士として描きたかったんです。
ちなみに、『おまじない』の中で、西さん自身は、最後の作品『ドラゴン・スープレックス』 がお気に入りだそうです。
西:『おまじない』という作品集を作るにあたって、全てのおまじないを覆すような物語を最後に書こうと決めてたんです。「そのおまじないが祝福であるうちはいいけど、それがしんどくなってしまったら、そんな言葉は捨てていい」という話を書きたかったんです。それが書けて良かったと思ってます。
南沢:帯に書いてある、「あなたを救ってくれる言葉が、この世界にありますように。」という西さんの言葉のどおり、この本を読んで救われた気分になりました。励まされたとはまた違う、孤独で迷子になってるときに、後ろから「大丈夫だよ」と抱きしめてくれるような優しい話ばかり。それがやがて、背中を押すことにつながっていくっていう。
西:私自身も弱くて救われたい気持ちがあるからだと思います。「こんな弱い人間でも生きていけるのが人間の社会」という思いがあります。
南沢は、『おまじない』の内容もさることながら、装丁にも感心していました。表紙は、西さんが段ボールにクレヨンで描いた絵です。6月10日(日)からは、千代田区「AI KOWADA GALLERY」で西さんの個展が開催されます。どうぞ、チェックしてみてください。
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番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/