J-WAVEでオンエア中の「~JK RADIO~TOKYO UNITED」(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「FEATURE FOCUS」。2月23日(金)のオンエアでは、この日、劇場公開となった映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のソフィア・コッポラ監督に作品のお話を伺いました。
■『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のストーリー
今年で監督キャリア20年を迎えるソフィア・コッポラ監督。映画『ロスト・イン・トランスレーション』や『マリー・アントワネット』ほか、年齢も、置かれた境遇もさまざまな女性たちを描いてきました。
最新作の舞台は1864年のアメリカ、バージニア州。奴隷制をめぐる南北戦争の時代、戦争から隔離された女子寄宿舎で暮らす7人の女性たちを中心に物語が展開します。ある日、戦いで傷を負った一人の兵士が、森の中で倒れていました。少女に見つけられた兵士は、寄宿舎でかくまわれることに。女性のみの平穏な暮らしの中に、負傷兵が加わったことで起こる、女性たちと一人の兵士の愛憎劇です。
■ソフィア・コッポラ監督、初めてのジャンルに挑戦
コッポラ監督は、本作について以下のように説明しています。
コッポラ:私のこれまでの作品とつながりはあると感じています。柔らかで繊細なシーンなどという意味では私の作品の流れをくんでいますが、一方でストーリーに関しては南部を舞台にしたゴシックスリラーという初めてのジャンルに取り組みました。登場人物の会話に緊張を持たせた脚本に挑戦していて、その意味ではこれまでとは違う作品に仕上がっていると思います」
■南北戦争の時代を舞台に描いた理由
1860年代の南部アメリカを舞台に置いた理由について、コッポラ監督は以下のように語りました。
コッポラ:南北戦争で戦った兵士たちや奴隷の話は多く語られてきましたが、その影でその時代暮らしていた女性たちの話は置き去りにされてきました。私も聞いたことがなかったんです。今と比べると特殊な環境の中に置かれた彼女たちを描いてみたかった。南北戦争時代のアメリカを舞台にしていますが、話の中心となるのは男女の力関係です。世界中の誰もが今でも共感できるテーマを、異なる激動の時代に置きました。
劇中で描かれる南北戦争当時の女性。コッポラ監督は、現在とは異なり、当時の彼女たちは以下のような暮らしをしていたと説明します。
コッポラ:当時、アメリカ南部では、家にお手伝いさんがいて自宅でパーティーを開き、日ごろから男性をもてなすのが理想の女性像として定着していた時代でした。そこにいきなり戦争がやってきて、男たちは戦いに駆り出され、女性たちの暮らしからいなくなります。従来の暮らしにしがみついて生きている女性たちの中に、ある日男性1人が入ってきたことによって、彼女たちは身なりを整え、まるで戦争なんて起こっていないかのような在りし日の暮らしを再現しようとするのです。しかし、そのような時代には戻れないのです。
そんな当時の女性を描くにあたり、コッポラ監督は次のモチーフを用いたと教えてくれました。
コッポラ:南部の女性たちは女性らしさの誇張というか、本来ありえないイメージとして存在していたわけです。愛嬌がよくて、礼儀正しくて、現在でも一部は求められる部分があるかもしれません。
■心理描写が絶妙...女同士の駆け引きに注目
作品ではキルスティン・ダンストやエル・ファニングなどが演じる年齢の違う7人の女性が、1人の迷い込んだ兵士の気を惹こうと、お互いがいない場所で出し抜くようなアプローチをします。どの時代であってもおかしくない、女同士の駆け引きの心理描写を絶妙に描いています。
コッポラ:よく見ていただくと、集団の中での女性同士の力関係、その揺れ動きや、女性と男性との1対1の関係も描き出しているんです。成熟した女性、若さがみなぎる娘、もっと幼い少女とでは、同じ1人の男性を相手にしても抱く感情が違います。7人の女性と1人の男性のそれぞれの人間関係を描くことで、どの年齢の人でも自分を重ね合わせることができると思うんです。男女の主導権が時と場合によって変わっていく様を描写したかったんです。
多くの批評家から「ソフィア・コッポラの新境地」とも評されている『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。みなさんもぜひ、劇場に足を運んでみてください。
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【番組情報】
番組名:「-JK RADIO-TOKYO UNITED」
放送日時:金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
■『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のストーリー
今年で監督キャリア20年を迎えるソフィア・コッポラ監督。映画『ロスト・イン・トランスレーション』や『マリー・アントワネット』ほか、年齢も、置かれた境遇もさまざまな女性たちを描いてきました。
最新作の舞台は1864年のアメリカ、バージニア州。奴隷制をめぐる南北戦争の時代、戦争から隔離された女子寄宿舎で暮らす7人の女性たちを中心に物語が展開します。ある日、戦いで傷を負った一人の兵士が、森の中で倒れていました。少女に見つけられた兵士は、寄宿舎でかくまわれることに。女性のみの平穏な暮らしの中に、負傷兵が加わったことで起こる、女性たちと一人の兵士の愛憎劇です。
■ソフィア・コッポラ監督、初めてのジャンルに挑戦
コッポラ監督は、本作について以下のように説明しています。
コッポラ:私のこれまでの作品とつながりはあると感じています。柔らかで繊細なシーンなどという意味では私の作品の流れをくんでいますが、一方でストーリーに関しては南部を舞台にしたゴシックスリラーという初めてのジャンルに取り組みました。登場人物の会話に緊張を持たせた脚本に挑戦していて、その意味ではこれまでとは違う作品に仕上がっていると思います」
■南北戦争の時代を舞台に描いた理由
1860年代の南部アメリカを舞台に置いた理由について、コッポラ監督は以下のように語りました。
コッポラ:南北戦争で戦った兵士たちや奴隷の話は多く語られてきましたが、その影でその時代暮らしていた女性たちの話は置き去りにされてきました。私も聞いたことがなかったんです。今と比べると特殊な環境の中に置かれた彼女たちを描いてみたかった。南北戦争時代のアメリカを舞台にしていますが、話の中心となるのは男女の力関係です。世界中の誰もが今でも共感できるテーマを、異なる激動の時代に置きました。
劇中で描かれる南北戦争当時の女性。コッポラ監督は、現在とは異なり、当時の彼女たちは以下のような暮らしをしていたと説明します。
コッポラ:当時、アメリカ南部では、家にお手伝いさんがいて自宅でパーティーを開き、日ごろから男性をもてなすのが理想の女性像として定着していた時代でした。そこにいきなり戦争がやってきて、男たちは戦いに駆り出され、女性たちの暮らしからいなくなります。従来の暮らしにしがみついて生きている女性たちの中に、ある日男性1人が入ってきたことによって、彼女たちは身なりを整え、まるで戦争なんて起こっていないかのような在りし日の暮らしを再現しようとするのです。しかし、そのような時代には戻れないのです。
そんな当時の女性を描くにあたり、コッポラ監督は次のモチーフを用いたと教えてくれました。
コッポラ:南部の女性たちは女性らしさの誇張というか、本来ありえないイメージとして存在していたわけです。愛嬌がよくて、礼儀正しくて、現在でも一部は求められる部分があるかもしれません。
■心理描写が絶妙...女同士の駆け引きに注目
作品ではキルスティン・ダンストやエル・ファニングなどが演じる年齢の違う7人の女性が、1人の迷い込んだ兵士の気を惹こうと、お互いがいない場所で出し抜くようなアプローチをします。どの時代であってもおかしくない、女同士の駆け引きの心理描写を絶妙に描いています。
コッポラ:よく見ていただくと、集団の中での女性同士の力関係、その揺れ動きや、女性と男性との1対1の関係も描き出しているんです。成熟した女性、若さがみなぎる娘、もっと幼い少女とでは、同じ1人の男性を相手にしても抱く感情が違います。7人の女性と1人の男性のそれぞれの人間関係を描くことで、どの年齢の人でも自分を重ね合わせることができると思うんです。男女の主導権が時と場合によって変わっていく様を描写したかったんです。
多くの批評家から「ソフィア・コッポラの新境地」とも評されている『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。みなさんもぜひ、劇場に足を運んでみてください。
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放送日時:金曜 6時-11時30分
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