父の形見の携帯で…東北の高校生が参加する、登山のプロジェクトの出来事

J-WAVEで放送中の番組「GOOD NEIGHBORS」(ナビゲーター:クリス智子)のワンコーナー「Cosme Kitchen ORGANIC CONCIERGE」。3月8日(木)の放送では、クライミングジム・ヨガスタジオ「PLAY」を営む、田部井進也さんが登場。2016年10月に他界した女性登山家、田部井淳子さんの長男である進也さんの活動について伺いました。


■東北の高校生が参加する富士山登山プロジェクト

進也さんが淳子さんから引き継いだことのひとつが、東北の高校生の富士山登山のプロジェクトリーダーです。

田部井:いろんな子がいる。やんちゃそうな子や、おとなしそうな子も。当時の高校生って震災を体験して、高校生なので自分の考えもあり、言語もできるけれど、でもそれを発信というか、自分の言葉で言い表わすまではいかなかったので、根強い部分で何か抱えているんじゃないかな。そういう子が、今振り返ればいたと思います。今の参加してくれる高校生は、もちろん震災を体験していますけど、当時小学生だったので、「親に連れて行かれた」とかそういうのが強いので、変わってきているというのはありますね。

■子どもの抱える思いに「気づけなかった」申し訳なさ

子どもたちと接してきて、その場では気づけなかったこともある、と言います。

田部井:一回目のときに、やんちゃっぽい子が疲れてきて「ダルい」とか「めんどくせぇ」とか「うざってえ」とか言い始めたんですけど、僕としてはお願いしてやってもらってるわけじゃないので「おまえが自分で参加表明してるんだから、うざってえとか言ってんじゃねえよ」みたいなことを言ったら「はーい」と。今どきですよね。登り始めて頂上に着いて、携帯で写真を撮ったり、メールをしてる姿をみて「普通なんだな」と思ってたんですけど。

田部井:プロジェクトが終わって3日くらい経ってから、お母さんから手紙をいただいて、「息子からはじめてメールが届きました」と。「着いたよ」と写真が届いていたと聞いて。その子がはじめて富士山でそういうことをやったことが嬉しかったというのもありますが、お父さんが津波で流されて亡くなっていて「お父さんの携帯を形見として持って行って写真を送った」というのを知って「申し訳ないな。そこに気づけなかった……」という気持ちがありました。

田部井さんのもとには当時の子どもたちから「無事成人しました」「女の子が生まれました」と嬉しい便りがあるそうです。

「彼らと過ごしたのはたった3日間で、接している時間は数時間なのに、自分の大切な節目を連絡してくれるのは、彼らの心のなかに強いインパクトがあったのかな」と語りながら「多感な時期に自分たちのふるさとは違う景色を見てもらって『日本や世界のいろいろな所を見てみたい』という子が増えたらいいかな」と思いを明かしました。

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【番組情報】
番組名:「GOOD NEIGHBORS」
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/

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