音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
作家・島田雅彦が考える震災の表現者への影響

牡鹿半島 荻浜小学校の旧木造校舎に並ぶ木像

作家・島田雅彦が考える震災の表現者への影響

J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組「J-WAVE SELECTION」。1月7日(日)のオンエアではクリス智子がナビゲーターを務め、2017年夏、東日本大震災の被災地のひとつである宮城県石巻市と牡鹿半島を中心に、アートと音楽と食の総合祭として開催された「Reborn-Art Festival 2017」を、作家の島田雅彦さんが巡った記憶をお送りしました。

震災後は毎年数回にわたり被災地を旅するという島田さん。とても大きな悲しみと喪失のあった土地にアートはどんな変化をもたらすのか。防潮堤建設や嵩上げ工事といった、再建では成し遂げられない被災地の再生、「Reborn」とはどういうことなのかを探る今回の旅。

アートや音楽にとても造詣の深い島田さんが2017年夏、被災地で詠われた再生の叙事詩を辿った、アート巡礼の記憶を巡りました。

「東日本大震災による被災は、被災地の人だけの経験ではありません。そこにいなかった人も、実は心の被災をしています。小説家もミュージシャンも、画家や映画監督も、どんな表現者も震災をきっかけにして、もう今まで通りのやり方じゃ無理だろうと。自分の作風が震災後には通じない、何の意味も持たないのだろうというようなことを、自問自答してきていると思います」(島田さん、以下同)

島田さんが震災後に書くものは、直接的に震災をテーマとして扱っていない作品でも、どこかに震災という体験が反映されているそうで、震災後の7年間は、島田さん自身のなかで、ずっと追求しているような気がしているのだそうです。

「『Reborn-Art Festival 2017』の出品作品は、どこか震災に絡んだモニュメント的な要素があるわけです。これまでは慰霊碑など石碑を建てるというようなアイデアしかなかったのですが、この取り組みは、様々なコンセプトに独自の鎮魂の流儀をアート作品に結実させるという試みにもなっています」

昨今、町おこしの一環としてのアートフェスティバルを、どの自治体も試みているなか、「Reborn-Art Festival」は被災地ならではの取り組みだと島田さんは話します。

「ときにコンセプチュアル、ときに手作り感満載のアートの展示をすることで、この震災を風化させないようにするという試み。これも震災から時間が経過したからようやく人々がいろんなことを考えられるようになり、再び多様性に向けて知性を発揮できる余裕ができた証として受けとめていいんじゃないでしょうか」

今回の旅で島田さんは、多くのパワフルな作品群から様々なヒントや栄養を供給されたと感じたそうです。

震災がもたらしたものは、破壊と喪失だけではなく、絶望の淵に想像と再生の種を運んでいました。そして、アートに刺激されて、被災地では様々なものや動きが生まれようとしています。

島田さんの「Reborn-Art Festival 2017」を巡る旅は、再生そして新しい息吹を強く感じさせる時間となりました。

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:「J-WAVE SELECTION SEA OF FERTILITY」
放送日時:1月7日 22時-22時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jwaveplus/

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン