歌人・穂村弘が短歌を詠み始めた理由

J-WAVEで放送中の番組「GOOD NEIGHBORS」(ナビゲーター:クリス智子)。12月21日(木)のオンエアでは、歌人の穂村弘さんをお迎えしました。

穂村さんは、北海道大学文学部の在学中に塚本邦雄さんの作品に出会い、短歌に興味を持つようになります。その後、上智大学へ入学。短歌の創作を始め、歌集、評論、エッセイ、絵本の翻訳など著書多数です。

短歌は古くて難しい言葉を使っているというイメージだったものの、大学の図書館で短歌の本を読んでいたところ、偶然に、穂村さんと同じ年齢の林あまりさんの作品が掲載されていたそうです。その短歌には捨て台詞が使われていて、短歌が「今の自分たちの生活感情や恋愛感情を表現できるツール」だということに気付き、自分でも詠むようになったそうです。

穂村:例えば「ダイレクトメールが凍ってる」とか、本来は季節とは関係のないことで現代の季節を表現してみようと思ったんです。今、みんながスマートフォンで写真を撮りますが、そういう眼差しで世界を見ているのと同じように、短歌や俳句をたしなむ人は5・7・5や5・7・5・7・7のフレームを持っていて、それでシャッターを切ってるんです。
クリス:短歌を詠むようになると、訓練されるというのはありますよね。
穂村:もしも、ツイッターの長さが31文字だったら全員が突然、歌人になるんです(笑)。

ところで、この31文字という文字数が、穂村さんによって長いのか、短いのかが気になりますが、始めは短く感じたものの、詠んでいくうちに長く感じるようになったそうです。

穂村:最初に“5”を置いた後、その次の“7”は無数の可能性があるわけです。その中から最善のものを置いたとして、「まだ次に5がある」と思って、最善の“5”を選ぶんです。数が無限に広がっていく感覚が身体に入るとプロという感じになります。短く感じるうちは始めたばかりの感受性で、感覚が日常のままなのかと思います。
クリス:短歌を始めると、私たちも変わってくるんでしょうね。

さて、穂村さんは『これから泳ぎにいきませんか:穂村弘の書評集』『きっとあの人は眠っているんだよ:穂村弘の読書日記』(共に、河出書房新社)を11月に発売しました。「書評は、その作品がものすごく好きな場合は簡単で、ラブレターを書けばいいんです」ということでした。

そんな穂村さんの最近のお気に入りは、諸星大二郎さんの漫画『BOX~箱の中に何かいる~』(講談社)だそうです。関係のない老若男女が箱に入っていて、さまざまな課題をクリアしないと外に出られない。果たして…という内容です。気になった方は、要チェック! そのほか、放送では“恋愛マスター”の穂村さんに、リスナーからの相談に乗っていただきました。

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【番組情報】
番組名:「GOOD NEIGHBORS」
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/

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