【連載】やきそばかおるのEar!Ear!Ear!(vol.39)
「ライオンの絵を描いて」と言われると、あたかもデッサンのようにスラスラと描いてしまう人がいます。私はというと、動物が好きなので本物のライオンを何度も見ていますが、そんな私でもうまく描けません。絵が好きな人に相談すると大抵「よく見て描いたら描けるじゃん」と言われますが、この一言は野球でいえば王貞治さんのようなホームラン王が「ボールをよく見れば打てますよ」と言うのと似ています。絵がうまい人は、日頃から物の形を“図形”として捉えているため、いざという時でも絵が描けるのだとか。逆をいえば、脳がそれをしていないと、絵はうまく描けないそうです。眠っている脳を起こさないといけません。
動物や人を描くのは苦手でも、“物”ならうまく描けそうな気がします。そんな中、とある金曜の夜、ラジオを聞いていたら、こんな声が聞こえてきました。
「突然ですが、ラジオの前の皆さん、窓の絵を描く時どんな風に描きますか?」
声の主はJ-WAVEの番組「Koh Gen Do WORDS ALIVE」(金曜 24時)のナビゲーターで映画監督の安藤桃子さんです。私だってコアラは描けなくても、窓の絵なら描けます。
ただし、普通の人は「田」のような絵を描くと思いますが、高校時代よりイギリスに留学、ロンドン大学芸術学部を次席で卒業している安藤さんともなると違います。安藤さんは、「窓の絵を描いて」と言われて、窓枠の他にカーテンも描いて、風が内側から外に向かって吹き抜けている様子の絵を描いたそうです。映画監督の安藤さんとしては、他の作品では窓が表現方法のひとつとしてどのように使われているか…ということも気になるそうで、自身の作品でも窓を表現方法の一つとして使っているそうです。
この番組では他にも、安藤さんがかつて過ごしたイギリスの話がよく登場します。番組のテーマも「ピクトグラム」「ボードゲーム」から「忍者」「麻布十番」まで多種多様。ラジオを聴いていて「凄い!」と思うのは、安藤さんの話の他に、テーマについて研究をしている人の話を織り交ぜながら、30分の間に「なるほど!」という話が非常にたくさん出てくる点です。ちなみに、窓をテーマにした回では、日本の学校の教室の窓の位置に関する話が出ました。
皆さん、通っていた小学校の教室を、よーく思い出してみてください。教室の右手が廊下になっていたはずです。YKK AP窓研究所・山本絹子さんの話によると、日本人は右利きの人が多いことから、文字を書く時にノートをとる部分が影にならないように、光が当たりにくい北側を廊下に、光が入ってくる南側を教室にする…というルールを、明治時代に当時の文部省が決めたのだそうです。
また、安藤さんが生まれ育った街「麻布十番」がテーマだった時には、麻布十番の“十番”の由来について「江戸時代の河川工事で、この地区が10番目に工事を行う予定だったことから付けられた」説が、有力との話に。
「箱」がテーマの時には、日本と西洋では箱に対するイメージが違うという話も。英語圏では、箱をあまりいい意味では使わないそうです。「例えば『Think outside the box(箱の外で考えろ).』は『もっと独創的になれ』とか、『常識の外に出ろ』とか、問題解決のためにどうしたらいいのか、という時に使われます」(昭和女子大学・岸山睦さん)とのことでした。
イギリスの話から麻布十番の話まで、サラリと展開する安藤さん。まさに都会の香りがしますが、現在は高知に住んでいらっしゃいます。せっかくなので最後は私から安藤さんに関するお話をすると、安藤さんは2013年に映画「0.5ミリ」を高知で撮影したことがきっかけで、高知が気に入って移住。さらに、今年10月には高知市内にミニシアター「キネマ M」を期間限定でオープンさせました。「高知の映画人口を増やしたい」という思いから、開館にこぎつけたそうです。
実はお父様の奥田瑛二さんも、2007年に山口県下関市で自身の映画館「シアター・ゼロ」をオープンさせました。こちらは、下関の映画館が閉館することを知った奥田さんが、自身が監督を務めた映画「風の外側」のロケを下関で行ったこともあり、映画の灯を消してはならないとの思いで開館にこぎつけたのです。その後、約4年間、映画館を守り続けました。下関は私の地元なので奥田さんに足を向けて寝られません(元々、足を向けていたわけではありませんが)。それにしても、親子って似るんですね。以上、山口県出身の私からの「WORDS ALIVE」でした。
Koh Gen Do WORDS ALIVE http://www.j-wave.co.jp/original/wordsalive/
「ライオンの絵を描いて」と言われると、あたかもデッサンのようにスラスラと描いてしまう人がいます。私はというと、動物が好きなので本物のライオンを何度も見ていますが、そんな私でもうまく描けません。絵が好きな人に相談すると大抵「よく見て描いたら描けるじゃん」と言われますが、この一言は野球でいえば王貞治さんのようなホームラン王が「ボールをよく見れば打てますよ」と言うのと似ています。絵がうまい人は、日頃から物の形を“図形”として捉えているため、いざという時でも絵が描けるのだとか。逆をいえば、脳がそれをしていないと、絵はうまく描けないそうです。眠っている脳を起こさないといけません。
動物や人を描くのは苦手でも、“物”ならうまく描けそうな気がします。そんな中、とある金曜の夜、ラジオを聞いていたら、こんな声が聞こえてきました。
「突然ですが、ラジオの前の皆さん、窓の絵を描く時どんな風に描きますか?」
声の主はJ-WAVEの番組「Koh Gen Do WORDS ALIVE」(金曜 24時)のナビゲーターで映画監督の安藤桃子さんです。私だってコアラは描けなくても、窓の絵なら描けます。
ただし、普通の人は「田」のような絵を描くと思いますが、高校時代よりイギリスに留学、ロンドン大学芸術学部を次席で卒業している安藤さんともなると違います。安藤さんは、「窓の絵を描いて」と言われて、窓枠の他にカーテンも描いて、風が内側から外に向かって吹き抜けている様子の絵を描いたそうです。映画監督の安藤さんとしては、他の作品では窓が表現方法のひとつとしてどのように使われているか…ということも気になるそうで、自身の作品でも窓を表現方法の一つとして使っているそうです。
この番組では他にも、安藤さんがかつて過ごしたイギリスの話がよく登場します。番組のテーマも「ピクトグラム」「ボードゲーム」から「忍者」「麻布十番」まで多種多様。ラジオを聴いていて「凄い!」と思うのは、安藤さんの話の他に、テーマについて研究をしている人の話を織り交ぜながら、30分の間に「なるほど!」という話が非常にたくさん出てくる点です。ちなみに、窓をテーマにした回では、日本の学校の教室の窓の位置に関する話が出ました。
皆さん、通っていた小学校の教室を、よーく思い出してみてください。教室の右手が廊下になっていたはずです。YKK AP窓研究所・山本絹子さんの話によると、日本人は右利きの人が多いことから、文字を書く時にノートをとる部分が影にならないように、光が当たりにくい北側を廊下に、光が入ってくる南側を教室にする…というルールを、明治時代に当時の文部省が決めたのだそうです。
また、安藤さんが生まれ育った街「麻布十番」がテーマだった時には、麻布十番の“十番”の由来について「江戸時代の河川工事で、この地区が10番目に工事を行う予定だったことから付けられた」説が、有力との話に。
「箱」がテーマの時には、日本と西洋では箱に対するイメージが違うという話も。英語圏では、箱をあまりいい意味では使わないそうです。「例えば『Think outside the box(箱の外で考えろ).』は『もっと独創的になれ』とか、『常識の外に出ろ』とか、問題解決のためにどうしたらいいのか、という時に使われます」(昭和女子大学・岸山睦さん)とのことでした。
イギリスの話から麻布十番の話まで、サラリと展開する安藤さん。まさに都会の香りがしますが、現在は高知に住んでいらっしゃいます。せっかくなので最後は私から安藤さんに関するお話をすると、安藤さんは2013年に映画「0.5ミリ」を高知で撮影したことがきっかけで、高知が気に入って移住。さらに、今年10月には高知市内にミニシアター「キネマ M」を期間限定でオープンさせました。「高知の映画人口を増やしたい」という思いから、開館にこぎつけたそうです。
実はお父様の奥田瑛二さんも、2007年に山口県下関市で自身の映画館「シアター・ゼロ」をオープンさせました。こちらは、下関の映画館が閉館することを知った奥田さんが、自身が監督を務めた映画「風の外側」のロケを下関で行ったこともあり、映画の灯を消してはならないとの思いで開館にこぎつけたのです。その後、約4年間、映画館を守り続けました。下関は私の地元なので奥田さんに足を向けて寝られません(元々、足を向けていたわけではありませんが)。それにしても、親子って似るんですね。以上、山口県出身の私からの「WORDS ALIVE」でした。
Koh Gen Do WORDS ALIVE http://www.j-wave.co.jp/original/wordsalive/