J-WAVEで放送中の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。26日(木)のオンエアでは、次世代のコンピュータ「量子コンピュータ」の分野で画期的な開発に成功した東京大学の研究チームより、武田俊太郎さんをゲストにお迎えしました。
現在、世界的なニュースになっていますが、まずは量子コンピュータの基礎について、武田さんに伺いました。
量子コンピュータとは、物理の量子力学の研究成果を利用した新しいタイプの超高速コンピュータのこと。計算内容によっては、日本で一番早いと言われているスーパーコンピュータ「京」の数千倍、数万倍も早く計算ができると言います。
そのアイディアが生まれたのは1980年代。そして90年代に入ると、“量子コンピュータが実現すれば劇的に計算が早くなる”ことがわかり、一気に研究が進みました。
そもそも動く原理、仕組みが今のコンピュータとは全く異なり、従来のコンピュータが半導体の技術で電気回路を組んで計算をしているのに対して、量子コンピュータはミクロな物質の性質を使って計算を行うのだとか…。
現在の量子コンピュータはまだ、大きな装置で簡単な計算をしている段階ですが、将来的にはより小型に、難しい計算ができるようになるとのこと。実はすでに販売しているベンチャー企業も存在し、実用化に近づいているということでも注目が集まっているそうです。
しかし、量子コンピュータが今、実用化すると、現在使われている通信セキュリティーの暗号技術が簡単に解読できてしまうのだそう…! 従来のコンピュータで解読するのに数十万年かかってしまう計算が、1秒以内に解読できてしまうため、同じく量子力学を使った新しいセキュリティーやIT技術全体の仕組みを変えていく必要があるようです。
ちなみに、今回、話題になっているのは「量子テレポーテーション」と呼ばれる情報の瞬間移動を利用した“究極の量子コンピューター”の実用化原理の開発です。電気信号に情報をのせるのではなく、光の粒を利用すると、非常に複雑な計算を効率よくできるのだとか。
それにしても、とても難しい話ですね…。とにかく素早い計算が可能になるようなのですが、そこまで計算が早くなることで私たちの生活に何か影響はあるのでしょうか?
武田さんは、薬の開発が一気に進化することを予測しました。量子コンピュータを使うことで、どのような分子を作れば病気を治すことができるかという計算が一瞬でできるようになるそうです。また、丈夫で軽い新しい金屬の開発なども可能になったり、まだ解明されていない植物の光合成の謎を解くことで、太陽から効率よくエネルギー取り出す新しいデバイスを作ることも可能になるかもしれません。
まだ基礎研究段階で、実用化には20~30年かかるという予想もある量子コンピュータ。現在30歳の武田さんは「生きている間にできれば」と語りました。別所に「ノーベル賞の可能性は?」と聞かれると、「そのうち量子コンピュータの分野でも出るのではと思うので、今回の発明した仕組みでコンピュータができるとひょっとすると…」とも。
今後どんどん発展していく量子コンピュータの技術が私たちの生活を大きく変える日もそう遠くないかもしれませんね!
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聞き直せます。
【番組情報】
番組名:「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/
現在、世界的なニュースになっていますが、まずは量子コンピュータの基礎について、武田さんに伺いました。
量子コンピュータとは、物理の量子力学の研究成果を利用した新しいタイプの超高速コンピュータのこと。計算内容によっては、日本で一番早いと言われているスーパーコンピュータ「京」の数千倍、数万倍も早く計算ができると言います。
そのアイディアが生まれたのは1980年代。そして90年代に入ると、“量子コンピュータが実現すれば劇的に計算が早くなる”ことがわかり、一気に研究が進みました。
そもそも動く原理、仕組みが今のコンピュータとは全く異なり、従来のコンピュータが半導体の技術で電気回路を組んで計算をしているのに対して、量子コンピュータはミクロな物質の性質を使って計算を行うのだとか…。
現在の量子コンピュータはまだ、大きな装置で簡単な計算をしている段階ですが、将来的にはより小型に、難しい計算ができるようになるとのこと。実はすでに販売しているベンチャー企業も存在し、実用化に近づいているということでも注目が集まっているそうです。
しかし、量子コンピュータが今、実用化すると、現在使われている通信セキュリティーの暗号技術が簡単に解読できてしまうのだそう…! 従来のコンピュータで解読するのに数十万年かかってしまう計算が、1秒以内に解読できてしまうため、同じく量子力学を使った新しいセキュリティーやIT技術全体の仕組みを変えていく必要があるようです。
ちなみに、今回、話題になっているのは「量子テレポーテーション」と呼ばれる情報の瞬間移動を利用した“究極の量子コンピューター”の実用化原理の開発です。電気信号に情報をのせるのではなく、光の粒を利用すると、非常に複雑な計算を効率よくできるのだとか。
それにしても、とても難しい話ですね…。とにかく素早い計算が可能になるようなのですが、そこまで計算が早くなることで私たちの生活に何か影響はあるのでしょうか?
武田さんは、薬の開発が一気に進化することを予測しました。量子コンピュータを使うことで、どのような分子を作れば病気を治すことができるかという計算が一瞬でできるようになるそうです。また、丈夫で軽い新しい金屬の開発なども可能になったり、まだ解明されていない植物の光合成の謎を解くことで、太陽から効率よくエネルギー取り出す新しいデバイスを作ることも可能になるかもしれません。
まだ基礎研究段階で、実用化には20~30年かかるという予想もある量子コンピュータ。現在30歳の武田さんは「生きている間にできれば」と語りました。別所に「ノーベル賞の可能性は?」と聞かれると、「そのうち量子コンピュータの分野でも出るのではと思うので、今回の発明した仕組みでコンピュータができるとひょっとすると…」とも。
今後どんどん発展していく量子コンピュータの技術が私たちの生活を大きく変える日もそう遠くないかもしれませんね!
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