1976年のデビュー以来、音楽シーンを自由にかけ抜けてきた矢野顕子。40周年イヤーの今年は「ふたりでジャンボリー」と題して、石川さゆり、清水ミチコ、奥田民生、森山良子、大貫妙子、糸井重里、上原ひろみとの共演も実現してきました。そして12月2日(金)、そのさらなる特別編とも言える「J-WAVE SPECIAL LIVE 矢野顕子 40th Anniversary ふたりでジャンボリー ゲスト:YUKI」が開催されました!
フォトレポートは後日アップする予定ですが、一足先に、同ライブのオフィシャルレポートをお届けしますので、どうぞお楽しみください♪
* * *
矢野顕子のデビュー40周年を記念して春から行われてきた共演シリーズ「ふたりでジャンボリー」特別編が、12月2日にZepp DiverCity TOKYOで、J-WAVE SPECIAL LIVEとして開催された。ゲストはYUKI。
意外な顔合わせに思えるが、90年代に矢野が所属したエピック・レコードからJUDY AND MARYもデビュー、二人はレーベルメイトだった。また矢野が2006年に出したセルフ・カヴァー・アルバム『はじめてのやのあきこ』の共演者にYUKIも名を連ねている。幸運を手にいれた観客は椅子席・立ち席合わせ2000人。どんなライヴになるのか、誰もが期待に胸を高鳴らせていた。
まずは、グリーンのミディ丈ドレス姿の矢野顕子が登場。ステージ中央に置かれたスタインウェイのグランドピアノにつくと、大らかなタッチの「BAKABON」からスタート。赤塚不二夫の漫画がモチーフのコミカルな曲に、会場内の空気も緩んでいくようだった。さらに空気を和ませたのは、次の曲に移ろうとしたところ空調の風で譜面がピアノから落ちてしまい、矢野は即興で「この風はどこから~?」と歌ってスタッフに対処を指示。客席に笑い声が溢れる中、アドリブから自然に次の曲「椰子の実」に入って行ったのも見事だった。有名な童謡を、まるで違う曲のように歌っていく矢野スタイルは相手を選ばない。
限定グッズの缶バッヂを、3日前にYUKIと二人で描いて作ったと、バッヂ作りの機械を操作する真似をした後で「半分ウソです」などと和やかなMCを挟みながら、「ごはんとおかず」「こんなところにいてはいけない」と自身の楽曲を演奏。柔軟なピアノと伸びやかな歌が矢野独特のスタイルで、曲を生き生きと聴かせていく。
そして、「YUKIの詞はすごい!」と感心して歌った「汽車に乗って」も、見事に矢野スタイルになっていて、YUKIファンは驚いたのではないだろうか。歌い終わった矢野が「YUKIさんです!」と紹介すると、ピンクのグラデーションが綺麗なフワフワのミニドレスにピンヒールブーツ姿のYUKIが登場。少女のようにキャッキャと声をあげて挨拶をした二人が、最初に演奏したのは「リンゴの歌」。YUKIが1番を津軽弁で、2番を函館弁で歌うスペシャル・ヴァージョンだ。函館出身のYUKIが修学旅行で青森に行った時のバスガイドが歌っていたものを覚えていたのだとか。次に歌った「丘を越えて」は、姉が持っていた矢野の初作『JAPANESE GIRL』をよく聴いていたので矢野の歌い方で覚えてしまったと、思い出を語った。そして、JAMでデビューする頃に聴いていたという「SUPER FOLK SONG」は、矢野の曲をYUKIのスタイルで聴かせ、「おかあさん」ではYUKIの描くお母さんがそこに現れた。
曲によって1番をどちらかが歌い、2番はもう一人が歌う構成だったり、ハーモニーをつけるパートがあったりと、どれもこの日だけの歌。さらなるスペシャルは、この日のために二人が共作した新曲「バナナが好き」だ。矢野が書いた歌詞にシンプルだがポップで華のあるメロディがついている。この曲を作るにあたり、いつも自分の作品は「曲をもらって詞をつける」と言ったYUKIに、矢野が「じゃあ、逆をやりましょう」と即決したのだそうだ。歌詞をもらってから完成まで10日ほどかかったと、苦労のほどがYUKIの言葉から感じられた。
そんな話をしているところへドラムセットが現れ、この曲ではYUKIがドラム演奏を披露。2012年のツアー"BEATS ON TEN"以来のことだ。その時に使ったドラムセットを持参したらしい。ドラムを叩きながら歌うのは緊張したのだろう。歌い終わるとドラムスティックを握ったまま両手を挙げて「やった!」と笑顔を見せた。
終盤はYUKIの「tonight」。原曲もピアノをフィーチュアした曲だが、矢野のピアノも新たな味わいを加えていた。そして「もっと話したい」「またやりたい」と二人が時間を惜しみながら、最後に演奏したのは「ごはんができたよ」。冒頭に書いた、矢野の作品でYUKIが参加した曲だ。その時にオリジナルと歌詞が変更されているのだが、ここでは当然YUKI・ヴァージョンで。交互に歌いコーラスをする二人の声が、響き合い大きな波となって場内にあふれていた。
アンコールに応えて再登場した二人は、再度「またやりたい」と言い、矢野が「40年やってると、こういういいこともある」と笑顔を見せて、「JOY」のイントロを歌い出すと客席から歓声が起こった。演奏が終わり二人がステージ中央に並ぶと、YUKIが涙を拭い顔を覆った。そんなYUKIを矢野が優しくハグした。そして二人は手をつないで頭を下げ、笑顔でステージを離れた。
この公演の模様は、1月1日22時からの「J-WAVE SELECTION Akiko Yano The 40th Anniversary Live with YUKI」でオンエアされる。
※text by 今井智子(音楽評論家)
※当初公開した記事内(YUKIさんの以前のドラム演奏について)に誤りがありました。お詫びして訂正させて頂きます。
【番組情報】
番組名:「J-WAVE SELECTION Akiko Yano The 40th Anniversary Live with YUKI」(ナビゲーター:横山エリカ)
放送日時:2017年1月1日(日)22時-22時54分
セットリスト&フォトレポート:https://www.j-wave.co.jp/blog/eventarchives/2016/12/_yuki.html
フォトレポートは後日アップする予定ですが、一足先に、同ライブのオフィシャルレポートをお届けしますので、どうぞお楽しみください♪
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矢野顕子のデビュー40周年を記念して春から行われてきた共演シリーズ「ふたりでジャンボリー」特別編が、12月2日にZepp DiverCity TOKYOで、J-WAVE SPECIAL LIVEとして開催された。ゲストはYUKI。
意外な顔合わせに思えるが、90年代に矢野が所属したエピック・レコードからJUDY AND MARYもデビュー、二人はレーベルメイトだった。また矢野が2006年に出したセルフ・カヴァー・アルバム『はじめてのやのあきこ』の共演者にYUKIも名を連ねている。幸運を手にいれた観客は椅子席・立ち席合わせ2000人。どんなライヴになるのか、誰もが期待に胸を高鳴らせていた。
まずは、グリーンのミディ丈ドレス姿の矢野顕子が登場。ステージ中央に置かれたスタインウェイのグランドピアノにつくと、大らかなタッチの「BAKABON」からスタート。赤塚不二夫の漫画がモチーフのコミカルな曲に、会場内の空気も緩んでいくようだった。さらに空気を和ませたのは、次の曲に移ろうとしたところ空調の風で譜面がピアノから落ちてしまい、矢野は即興で「この風はどこから~?」と歌ってスタッフに対処を指示。客席に笑い声が溢れる中、アドリブから自然に次の曲「椰子の実」に入って行ったのも見事だった。有名な童謡を、まるで違う曲のように歌っていく矢野スタイルは相手を選ばない。
限定グッズの缶バッヂを、3日前にYUKIと二人で描いて作ったと、バッヂ作りの機械を操作する真似をした後で「半分ウソです」などと和やかなMCを挟みながら、「ごはんとおかず」「こんなところにいてはいけない」と自身の楽曲を演奏。柔軟なピアノと伸びやかな歌が矢野独特のスタイルで、曲を生き生きと聴かせていく。
そして、「YUKIの詞はすごい!」と感心して歌った「汽車に乗って」も、見事に矢野スタイルになっていて、YUKIファンは驚いたのではないだろうか。歌い終わった矢野が「YUKIさんです!」と紹介すると、ピンクのグラデーションが綺麗なフワフワのミニドレスにピンヒールブーツ姿のYUKIが登場。少女のようにキャッキャと声をあげて挨拶をした二人が、最初に演奏したのは「リンゴの歌」。YUKIが1番を津軽弁で、2番を函館弁で歌うスペシャル・ヴァージョンだ。函館出身のYUKIが修学旅行で青森に行った時のバスガイドが歌っていたものを覚えていたのだとか。次に歌った「丘を越えて」は、姉が持っていた矢野の初作『JAPANESE GIRL』をよく聴いていたので矢野の歌い方で覚えてしまったと、思い出を語った。そして、JAMでデビューする頃に聴いていたという「SUPER FOLK SONG」は、矢野の曲をYUKIのスタイルで聴かせ、「おかあさん」ではYUKIの描くお母さんがそこに現れた。
曲によって1番をどちらかが歌い、2番はもう一人が歌う構成だったり、ハーモニーをつけるパートがあったりと、どれもこの日だけの歌。さらなるスペシャルは、この日のために二人が共作した新曲「バナナが好き」だ。矢野が書いた歌詞にシンプルだがポップで華のあるメロディがついている。この曲を作るにあたり、いつも自分の作品は「曲をもらって詞をつける」と言ったYUKIに、矢野が「じゃあ、逆をやりましょう」と即決したのだそうだ。歌詞をもらってから完成まで10日ほどかかったと、苦労のほどがYUKIの言葉から感じられた。
そんな話をしているところへドラムセットが現れ、この曲ではYUKIがドラム演奏を披露。2012年のツアー"BEATS ON TEN"以来のことだ。その時に使ったドラムセットを持参したらしい。ドラムを叩きながら歌うのは緊張したのだろう。歌い終わるとドラムスティックを握ったまま両手を挙げて「やった!」と笑顔を見せた。
終盤はYUKIの「tonight」。原曲もピアノをフィーチュアした曲だが、矢野のピアノも新たな味わいを加えていた。そして「もっと話したい」「またやりたい」と二人が時間を惜しみながら、最後に演奏したのは「ごはんができたよ」。冒頭に書いた、矢野の作品でYUKIが参加した曲だ。その時にオリジナルと歌詞が変更されているのだが、ここでは当然YUKI・ヴァージョンで。交互に歌いコーラスをする二人の声が、響き合い大きな波となって場内にあふれていた。
アンコールに応えて再登場した二人は、再度「またやりたい」と言い、矢野が「40年やってると、こういういいこともある」と笑顔を見せて、「JOY」のイントロを歌い出すと客席から歓声が起こった。演奏が終わり二人がステージ中央に並ぶと、YUKIが涙を拭い顔を覆った。そんなYUKIを矢野が優しくハグした。そして二人は手をつないで頭を下げ、笑顔でステージを離れた。
この公演の模様は、1月1日22時からの「J-WAVE SELECTION Akiko Yano The 40th Anniversary Live with YUKI」でオンエアされる。
※text by 今井智子(音楽評論家)
※当初公開した記事内(YUKIさんの以前のドラム演奏について)に誤りがありました。お詫びして訂正させて頂きます。
【番組情報】
番組名:「J-WAVE SELECTION Akiko Yano The 40th Anniversary Live with YUKI」(ナビゲーター:横山エリカ)
放送日時:2017年1月1日(日)22時-22時54分
セットリスト&フォトレポート:https://www.j-wave.co.jp/blog/eventarchives/2016/12/_yuki.html
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