若きカリスマが盆栽師を目指したきっかけとは?

J-WAVE月曜-木曜14時からの番組「ACOUSTIC COUNTY」(ナビゲーター:坂倉アコ)内で、9月から始まった期間限定の新コーナー「AMERICAN EXPRESS THE POTENTIALIST」。将来の可能性を秘め、より高いところを目指す人「ポテンシャリスト」を毎回ひとりずつフォーカスしていきますが、9月12日(月)の放送では日本の若き盆栽師・平尾成志に迫りました。

日本の伝統文化、盆栽。平安時代から鎌倉時代あたりに中国から渡来し、枝や葉、木の幹から根に至るまで、鉢に入ったその姿全体を鑑賞するものとして日本でも親しまれてきました。

平尾さんがイタリアの巨匠が営む盆栽園への売り込みに一緒についていった時のこと、売り込むよりも何よりも前に、その巨匠から「もっと日本で盆栽を盛んにしないといけない。そっちのほうが問題じゃないか」とお叱りを受けたのだそうです。

日本では若い人が盆栽を知らないし浸透していない。巨匠のその言葉をきっかけに、海外よりまず日本で盆栽を広めようと、平尾さんはその後、国内の活動を増やすようになります。

徳島県出身の平尾さんが盆栽を初めて見たのは、京都・東福寺の方丈庭園で、大学生の時のことでした。

「自分が何か文化を継承したいと思ったことと、盆栽を見た時の感情が一致したような気がしました」と当時の気持ちを思い返してくれた平尾さん。卒業後すぐに盆栽の道に入ることを決意した平尾さんが師事したのは、さいたま市盆栽町にある加藤蔓青園三代目の故・加藤三郎氏でした。

「僕が蔓青園へ面接に行った時、後の師匠となる三代目が、その時はもう90歳近かったんですが、僕に『もっと日本の盆栽は世界に出ないとだめだ』とおっしゃったんです。まさか90歳近い人から“世界”という言葉が出るなんて…これはすごい、この人の元で修業してみたい、と思いました。今も運命のように感じています」

そこから13年間、弟子入りしていた蔓青園を離れ、今年の春、自身の盆栽園を構えた平尾さん。音楽家とのコラボレーションで生まれたもの、海外の企業からの依頼で作ったもの、瀬戸内国際芸術祭に出品したものなど、平尾さんの作品は多岐に渡りますが、盆栽を作っていく工程について、「完成がない芸術なので、作っては崩し作っては崩しの繰り返しで、終わることが無い」との言葉が印象的でした。

そんな平尾さんが今挑戦しているのが、人が多い所に盆栽を飾ること! 都内のイベントなど人が多い場所で、ただ単に盆栽を持っていって飾るのではなく、住環境やその場の雰囲気などを考え意味合いを持たせながらやろうと追求しているそうです。

これまで世界中でデモンストレーションを行いながらも、今一度、ここ日本でその美の神髄を伝えたいと語る平尾さん。

「日本人がもともと持っている形式美を引き出す、それだけで良いのじゃないかなと感じています」

【関連リンク】
「ACOUSTIC COUNTY」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/acoustic/

関連記事