日本は生き残れる?「クラウドソーシング」で変わる働き方

J-WAVE平日(月〜金)夜の番組「JAM THE WORLD」。4月1日のオンエアからは、ジャーナリストの青木理さんが金曜日のナビゲーターを務めることに。同番組のワンコーナー「CASE FILE」では、月曜日から5日間にわたり「クラウドソーシング」について、東京工業大学・イノベーションマネジメント研究科・技術経営専攻の教授、比嘉邦彦さんにお話を伺がってきました。

「クラウドソーシング」は、インターネットを介して不特定多数の人材にアクセスをして仕事をしてもらうという形でスタートしたもの。このクラウドソーシングを使った、時間や場所に縛られない新しい働き方が広まりつつある中、一方で日本のクラウドソーシングのやり方では稼げないというニュースが話題になっています。今回の放送では、クラウドソーシングの今後の課題について注目しました。

比嘉教授によれば海外の市場は、高報酬(最低で数十万、上は1億円超え)でスキルや経験が豊富な「高度人材」や博士号まで持っているような専門分野の人たちを求める動きと、誰でもできるロースキルな仕事の代わりに報酬の単価も低いという二極に分かれているそうです。その中で注目されているのが、その中間にあたる層の仕事、つまり正規雇用されている人が行っている仕事に、クラウドソーシングのムーブメントがいつ来るかということだとか。

「そうなると、今まで90%正規雇用で10%が派遣やパートだったのが、10%が正規雇用で90%がクラウドソーシングってことも十分起こり得るわけですよね」(比嘉教授)

実際にクラウドソーシングによって、従来の数分の一のコストにもかかわらず、数倍のスピードで新しい商品を市場に出す事例が起きているそう。この状況に比嘉教授は、日本企業へ警鐘を鳴らします。

「これが定着して、正規社員のかなりの数がクラウドソーシングに置き換わると、海外の競合企業の競争力が上がるだけでなくコストが極端に下がるんです。そうしたときに果たして日本の企業が対抗できるのか。明らかにできないです。じゃあどうすればいいかというと、残念ながら海外で起きているような、政府調達をきっかけにして民間企業がどんどん(クラウドソーシングを)使うっていうのは日本で起きてませんし、今後も起きないだろうと思っています。なので、日本に必要なことは、日本独特のクラウドソーシングの発展型っていうものを模索すること。そうでないと本当に海外の競合企業に遅れをとってしまいます」(比嘉教授)

旧来の労働の概念もガラッと変わりそうなクラウドソーシング。近い未来、日本企業での「働き方」も変わってくるかもしれません。

【関連サイト】
「JAM THE WORLD」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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