時代に合わせて変幻自在な建築物?「中銀カプセルタワービル」

J-WAVE平日(月~木)の朝の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Morning Insight」。8月10日のオンエアでは、中銀カプセルタワービルから戦後70年の東京の街を見つめました。

銀座に建築された1972年以来、斬新な外観で異彩を放つ中銀カプセルタワービル。建築家、黒川紀章さん設計のこのビルは、大きな丸い窓が付いた直方体のカプセルが、積木のように積みあがった形状が特徴です。140個ある、このカプセルの一つひとつが分譲マンションとして、現在も住居や事務所で使われています。実はこのカプセルユニット、交換可能なのだというから驚きです。

このユニークな中銀カプセルタワービルが建築された背景には、1960年代から70年代、戦後の日本の復興の中で起こった建築の潮流「メタボリズム運動」があります。メタボリズム運動とは、どんなものだったのでしょう。一級建築士のいしまるあきこさんに聞きました。

「メタボリズムは生物学用語で新陳代謝を表しています。大きな構造体と、取り換え可能なパーツやカプセルユニットなどを組み合わせることで、生物のように増殖できるとか、古くなったら取り換えることができるとか、時代に合わせて変えることができるような建築を作る、そんな動きがありました」(いしまるさん)

新陳代謝する建物、その発想から生まれたのが、交換可能なカプセルで構成された中銀カプセルタワービルだったわけですね。他にメタボリズム運動を汲む建物は、上野の不忍の池のそばにあった菊竹清訓さん設計によるソフィテル東京がありましたが、2008年に解体。現存するものとしては、銀座にある丹下健三さん設計の静岡新聞の建物と、中銀カプセルタワービルのみとなってしまいました。

その中銀カプセルタワービルも、築43年の建物と老朽化が進み、建て替えの話が持ち上がるように。そこで今、ビルを保存しようという機運が起きています。その代表者、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト 代表の前田達之さんは、このビルを現存させる意義を次のように語りました。

「国内はもちろんですが、やはり海外からもメタボリズムの影響を受けた建築家、建物というのはたくさんあります。そのシンボル的な建物として、歴史的、学術的な観点で保存していかないと。もう二度とこういった建物を作ることはできないと思っていますので」(前田さん)

戦後70年を振り返るという意味でも、東京の街の風景のなかで保存するもの、変わっていくもの、しっかり見つめていきたいですね。

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