将来は年金も? 生活保護費のプリペイドカード支給で生じる問題

J-WAVE平日(月~木)朝の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」 (ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「KONICA MINOLTA MORNING VISION」。 1月29日のオンエアでは、プリペイドカードによる生活保護費の支給問題について触れました。

大阪市はこの春から生活保護費の一部をプリペイドカードで支給する全国初の“モデル事業”をスタートさせるため、 来月から利用希望者の募集を開始します。食費や光熱費をカードで支払うことで、 家計簿のようなデータが作られ、それを基に生活指導が行えて自立支援のツールとして活用できるのでは…… とのことですが、導入前から「受給者の権利侵害ではないか?」など批判の声が上がっているそうです。

そこで、同事業に反対する、あかり法律事務所の弁護士・小久保哲郎さんに話を聞いてみました。

「生活保護は金銭給付が原則とされているんですけれども、プリペイドカードは使えるところが限られており、 お金ではないので法律に反します。今回のモデル事業は法改正が必要なのに、 法改正をせずに実施することがまず問題」と小久保さん。そのほか 「使える先が加盟店に限られますので、田舎や下町は不便。受給者の中には、アレルギーや化学物質過敏症やその他の病気で、 特定の人や生産者から直接食材を購入している方も少なくないので、 場合によっては命や健康に関わる問題が生じると思いますね」などの問題も指摘しました。

大阪市は、生活保護費を過度な飲酒やギャンブルに使用する方への支援のため、 と今回の事業に乗り出しましたが、小久保さんは、飲酒やギャンブルは「依存症」の可能性が高く、 ケースワークが必要で、ただ叱りつけても改善されないと考えており、「これは建前に過ぎなくて、 むしろ受給者の生活を管理・支配して、生活保護を使いづらくするという狙いがあるんじゃないかなと私は思っています」とも。

また、同事業は、三井住友カードなどの提案に橋本市長が同意したという側面があり、 カード会社は大阪市同様に全国の自治体に広めていきたいと発表しているそう。 記者会見でカード会社らは、児童手当や災害手当などの給付も、 年間100億ドル以上がプリペイドカードで支給されるアメリカのような社会を目指していると答えており、 これに対して小久保さんは「将来は児童手当や児童扶養手当とか、 場合によっては年金まで全てプリペードカード化される恐れもあるということで、 大阪市の生活保護を受けている人だけの問題でないことを、みなさんにも理解してほしいなと思っています」と話しました。

実は将的に自分にも関わってきそうな同問題。今回は期間限定の実施のようですが、 そこから見えてくる改善点も数多くありそうです。

【関連サイト】
「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/tmr/

関連記事