65歳のシンデレラストーリー? オーディション勝ち抜いた女性は

J-WAVE土曜午前の番組「RADIO DONUTS」(ナビゲーター:渡辺祐/山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。11月22日のオンエアでは、映画『南極料理人』『横道世之介』などで監督をつとめた沖田修一さんがゲストに登場。「おばちゃん」を主役にした最新作『滝を見に行く』の裏話を明かしました。

「最初はワークショップで映画を作りませんかっていうお誘いを受けて。ワークショップって俳優になりたい若い人たちが集まってくることが多いんですけど、逆に40歳くらいのおばちゃんって言われるような人たちでも、新人俳優だなって。そういう人たちで作った映画っていうのも面白いんじゃないかって思って」(沖田さん)

出演するおばちゃんを選ぶためにオーディションをしたそうなのですが、その規定は実にゆるいものだったと言います。

「40歳以上の女性なら誰でも応募できるんですよ。そしたら80人前後は応募があって。ある程度しぼって、40人くらい選んで。その40人の一人ひとりに、それぞれ1時間ないくらい、結構話を聞いたんですよ。その人をモデルに話を作ったりもしていたので、3日間くらい、朝から晩まで女の半生を聞き続けるっていう(笑)」(沖田さん)

ゆるい規定ながら、かなり濃密なオーディションが行われたようです。しかし重要なのはやはり、リアルなおばちゃんが感じられるかどうか、というところにあったようです。

「好きな家事とか嫌いな家事とか、質問して。あれがヤダ、これがヤダっていうのを聞いているうちに、リアルなおばちゃんかどうかっていうのが伝わってくるなと思って(笑)。そういう人とやりたいなと思って。そんな感じで7人決めました。見え方によってはシンデレラストーリーみたいな感じかもしれませんね」(沖田さん)

確かに、40歳以上・女性という条件だけでいきなり映画出演となれば、かなりのシンデレラストーリーですね。では、そんな中で主役に選ばれたのはどんな女性だったのでしょうか。出会いは意外な所に合ったようです。

「映画の場所選び、ロケハンでスタッフが歩くんですけど、それに地域の人、観光課や市役所の人が来て案内してくれるんですね。で、今回いろんな滝を案内してくれた人の中にひとり、足腰のしっかりした65歳くらいの女性が付いてきてくれて。この映画は山を登ったりするので体力的にけっこうきついんじゃないかなと思っていたので、オーディションでも体力的なこともよく聞いていたんです。そんな女性いるのかな、本当に? と思っていた時に、すごく元気なそのおばちゃんがいたので、僕も冗談半分にオーディション受けませんか? って聞いてみたんですね。そしたらその観光課のおばちゃんがオーディションに来て」(沖田さん)

その出会いから、あれよあれよという間に主役に決定してしまったのだとか。

「みんなと平等にオーディションしたんですけど、なんか今回の映画の象徴みたいに思えて。その女性、根岸さんの写真をまん中にドンとすえたらすごく気持ちが良かったんですよね。周りの人に怒られるかな、と思ったら、みんなもそれもありかなって。観光課の方が主役を飾ってしまった、不思議な映画です(笑)」(沖田監督)

確かに、オーディションからかなり不思議な雰囲気を醸し出している映画。これまでにない映画だけに、内容が気になりますね。

【関連サイト】
「RADIO DONUTS」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/

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