21世紀を生きるヒントも! 原作で読み解くムーミンの世界

J-WAVE 平日(月~木)朝の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。6月2日のオンエアでは、今年、改めて注目を集める「ムーミン」にフォーカスしました。

2014年はトーベ・ヤンソン生誕100周年。記念イベントなどで、子どものころに見たアニメのムーミンに再会した人も多いのではないでしょうか。ただ、このムーミンという作品、原作を読み解くと、意外と知られていない姿が隠されているのだそうです。ムーミン解説本『誰も知らないムーミン谷』(朝日出版)の著者、熊沢里美さんに伺いました。ずばり、アニメのムーミンと原作の違いはどこにあるのでしょうか。

「原作にあって、アニメで省略された設定というのが2つあります。一つはムーミン谷に住んでいるスナフキンが、実は、谷の外から来た両親のいない孤児だったという設定。もう一つが、ムーミン谷は、たびたび洪水や嵐などの自然災害に襲われるという、とても厳しい環境におかれていること。この2つが大幅に省略されています。この省略された中に、実は本当のテーマが隠されていると考えています」(熊沢さん)

原作では、意外に怒りっぽいスナフキンや、ジェンダーフリーのキャラクターなど、アニメ以上に個性豊かなキャラクターに出会えるのだそう。ムーミン谷には多様性を受け入れる豊かな土壌があったんですね。そんな多様なキャラクターからは人間同士の共生を、自然災害からは自然との共生をという、この2つの共生をテーマに原作は描かれているのだと熊沢さんは言います。共生の大切さ……、原作には最近の日本が置かれている状況にも、不思議と近いものが感じられますね。

「私が興味をもって取材を始めたのも、3・11の直後にムーミンのアニメ再放送が頻繁に行われるようになったというのが、一つのきっかけでした。私もあのときの津波の映像を見ていて、ムーミンの原作の挿絵を思い出したんですね。嵐でムーミン屋敷が流されてしまったり、谷から逃げるように避難をしたりとか。この話には、今の私たちの問題と同じ問題が描かれているのかなと探っていたところ、自然との共生というテーマに結び付いてきたんです」(熊沢さん)

他者との違いを認め、共生していくことの尊さ……、ムーミンはそんなことを教えてくれているのかもしれませんね。この機会にムーミンから21世紀を生きるヒントを紐解いてみてはいかがでしょうか。

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