フレックス制の廃止や課長職の復活 “昭和回帰”進む職場事情

J-WAVE 平日(月~木)朝の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。4月14日のオンエアでは、日本の働く環境の今について取り上げました。

ここ数年、大企業のフレックス制度の廃止や、課長職の復活など、働き方の“昭和回帰”が進んでいます。ひところ、ライフ・ワーク・バランスの取れた働き方を実現するために、次々と大企業などで取り入れられたこれらの制度。なぜ今、企業は昭和の働き方に戻ろうとしているのでしょうか。就職や働く環境に詳しい東洋経済HRオンライン編集長の田宮寛之さんは、時代を逆行するかのような職場の働き方事情を次のように分析します。

「結局、フレックス制だと、社員同士の時間がすれ違ってしまい、十分なコミュニケーションが取れなかったんですね。例えば、部下が上司に相談しようとしても、上司がいないとか。また、課長という中間管理職がいないと、平の人たちは自分の仕事ばかりして管理業務をしない。上に立つ人たちは、部下の面倒を見ないから、若い人が育たない。やはり、それでは組織がうまく機能しなかったんです」(田宮さん)

やはり、組織が円滑に機能するためには、社員間の十分なコミュニケーションや、中間管理職という潤滑油が必要だったということでしょうか。田宮さんは、今後、グローバルスタンダードを促進していく一部の企業と、大多数の昭和回帰する企業と、分散化すると見ています。

さらに、話は新入社員の離職率にも及びました。現在、3年以内の離職率は約31%。田宮さんはその要因の一つに、社内の人間関係を挙げています。「困ったときに愚痴をこぼす同期がいないとか、気楽に話せる兄貴分的な先輩がいないとか、自分が組織の中で疎外感を感じてしまうと、辞めてしまうんです」(田宮さん)

その若者の離職に歯止めをかけるのも昭和回帰だと言います。「面白いのは、ここ最近、いかにも昭和風の社内イベントが復活しているんです。例えば、社員旅行、社内運動会、クラブ活動、飲み会など。最近の若い人は、インターネット世代ですから、コミュニケーションが苦手で、こういうイベントがあると社内の人と話せるので、かえって歓迎している傾向があるんです」(田宮さん)。

昭和の大家族のような会社に身を置き、濃密な人間関係の中で切磋琢磨されて人間的にも成長していく。これも仕事人生の楽しみ方の一つなのかもしれませんね。

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