提供:パナソニック エナジー株式会社
私たちのくらしに欠かせない電池。リモコンや時計、懐中電灯、ガスコンロなど様々な機器に使用され、日常の「当たり前」を支えている。そんな電池市場において国内トップクラスのシェアを誇るメーカーが、パナソニック ホールディングスの事業会社であるパナソニック エナジーだ。
J-WAVEでは、2026年10月25日(日)から3回にわたって「J-WAVE SELECTION Panasonic ENERGY SILENT HEROES」(ナビゲーター:秀島史香)を放送する。同番組では毎回、様々な分野で活躍するゲストを迎え「支えること、そして、支えられること」をテーマにトークを展開するとともに、これからの世界を支える技術とそれを生み出してきた人々の物語を紹介する。
J-WAVE NEWSは、番組ナビゲーターを務める秀島史香とともに大阪府守口市にあるパナソニック エナジー本社を訪問。電池の意外な活用シーンから宇宙開発分野への広がり、さらには今後のビジョンについて、社内を巡りながら担当者に話を聞いた。
このオフィス改革の目玉というべき場所が、本社のエントランスだ。外観はごく一般的なコンクリート造りのビル。しかし入り口をくぐれば、うっそうとした原生林が眼前に広がる。足を踏み入れた秀島は「すごい! 森じゃないですか!」と目を丸くした。耳をすませば、鳥のさえずりや木々のそよぐ音まで聞こえてくる。「この場所は『ハーモニアス エントランス(調和の森)』と言って本物の木や植物が植えられています」と案内するのは、パナソニック エナジー 企画センターの山城桃子さん。早速、どのような場所なのか聞いてみた。
秀島:「パナソニック エナジー=電池事業を展開する会社」という印象から、「エントランスは近未来的な空間なのかな?」と想像していました。それがまさか、エントランスに森があるとは驚きです。
山城:そうですよね。もともと当社のエントランスには電池のオブジェなどが置かれていたのですが、パナソニック エナジー設立を機にこの「調和の森」が造られました。
秀島:社員の皆さんからの評判はいかがですか?
山城:「癒される」などの声をよく聞きます。私自身とても気に入っていて、特に好きなポイントが、ほのかに漂う森の香りです。そこに鳥のさえずりや風の音、水のせせらぎがBGMとして流れ、五感で森を感じられる空間なんです。
秀島:ここを通れば、朝早い出勤時にも、多忙な一日を終えた退勤時にも、何だか穏やかな気持ちになれそうだなと感じます。ほかにも気になったのが、森の中に無数に散りばめられた小さなライトです。これには何か意味があるのですか?
山城:1つの光で「1000万個の電池」を表しています。全ての光を合わせると当社が世界中で1年間に生産する電池の数に相当する約65億個になります。この無数の光で、私たちが生み出す日々のくらしの幸せを表現しているんです。
秀島:そういった背景を知ると、この原生林がより幻想的で魅力的なものに見えますね。
山城:当社では法人向け製品の開発・生産・販売も行っています。身近な例を挙げると、電子棚札(デジタルのプライスタグ)にも私たちの電池が使われているんです。
秀島:スーパーでよく見かける機器ですよね。紙の値札をいちいち差し替える必要がなく、簡単に値段表記を変えられて便利そうだなと思っていました。
山城:また、非常灯や誘導灯、火災報知器などにも活用されています。さらに水道やガスのスマートメーターにも採用されており、交換時期を気にせず使える長寿命な電池として役立っています。
秀島:交換を気にしなくていいというのは、設置する側にとっても大きな安心ですね。
山城:さらに、AEDや人工呼吸器、人工肺をはじめとした医療機器、停電時などの鉄道車両の安全確保や通信システムの維持のためのバックアップ電源にも電池が利用されています。
秀島:生活インフラや医療現場の『命を守る砦』として用いられているあたり、信頼の高さがうかがえます。そして私たち一般ユーザーにとって、電池は台風や地震などの『災害や停電』の時にも欠かせない存在ですよね。
山城:まさにその通りです。近年は激しい豪雨や地震など突然の停電リスクが増えていますが、停電時の非常用ライトや防災ラジオを動かす電源として乾電池は命綱になります。また、防災時の使用も想定した、当社の「電池がどれでもライト」という商品はご存じですか?単1形から単4形の電池なら、どれでも1本で点灯できるライトなんです。
秀島:どのサイズでも使えるんですね!それなら、いざという時に手元にある電池を活用できて安心ですね。
山城:いざという時に『買ったまま放置していたら使えなくなっていた』というお困りごとが起こらないよう、当社の乾電池には10年間保管しても安心してお使いいただける技術や、液漏れを防ぐ工夫が組み込まれています。平時の便利さだけでなく、災害などの有事の備えとしても選ばれている理由がここにあります。
・ポッドキャストページ
秀島:これは「はやぶさ」の模型ですね。隣には黄色い電池も展示されていますが。
山城:これは当社のリチウム一次電池です。2003年に打ち上げられた「はやぶさ」にこの電池が搭載され、一緒に宇宙へと旅立ちました。2010年に地球へ帰還する際、機体から分離された、サンプルを収めた帰還カプセルがオーストラリアの砂漠に落とされたのですが、その落下地点を報せるビーコン信号発信器の電源として使用されたのが、この電池です
秀島:プロジェクトの最終局面を支える重要な役割を担った電池なのですね。
山城:また、2014年には「はやぶさ2」にも採用されました。この時は帰還時のミッションだけでなく、小惑星の内部物質を掘り起こすために人工クレーターをつくる衝突装置、その衝突装置が人工クレーターを作る様子を撮影する分離カメラ、再突入カプセルの地球大気圏再突入時の飛行データ計測器と、計4つの装置を動かす電源として活用されました。
秀島:宇宙空間というと過酷な環境というイメージがあるのですが、そこでも耐えられる電池ということなのでしょうか?
山城:おっしゃる通りです。幅広い温度に対応する力が求められたため、ー40度から85度まで耐えられる仕様となっています。「はやぶさ」が約7年間、「はやぶさ2」が約6年間飛行したように、宇宙での任務は長期にわたります。その間、電池のメンテナンスや交換はできません。 ですので、長期間にわたって状態・品質をキープし、その時が来たら確実に動作するということが非常に重要なんです。
秀島:技術力の高さを感じさせるお話ですね。遠い未来に人類が宇宙で生活する未来が訪れた時、パナソニック エナジーの電池が欠かせないエネルギーになりそうだなと思いました。
秀島:そもそも、創業以来大切にされてきた「モノづくりの原点」とは何でしょうか?
山城:「お客様視点でお困りごとに寄り添いながら、お役立ちを果たすこと」です。約100年前、自転車の灯火にはローソクや石油ランプを用いることが主流でした。また、電池式自転車用ランプもあるにはあったのですが、寿命がわずか2~3時間で故障も多いという状況だったと言います。そこで、創業者の松下幸之助は半年間の試作を重ねた末に1923年、豆球と電池を組み合わせて、30~40時間の長寿命を実現する「砲弾型電池式ランプ」を完成させました。暗闇の中で自転車を走らせる不便からの解放につながったこの発明により、パナソニック エナジーの電池事業が始まりました。
秀島:当時の人たちからしたら革新的な商品だったでしょうね。
山城:さらに1954年には、日本初の完全金属外装裸式乾電池「ナショナルハイパー」を発売しました。それまでの乾電池は紙の外装が施されていましたが、新たに金属外装を採用したことで課題とされていた液漏れが大幅に改善され、保存期間も格段に向上しました。
秀島:乾電池の「液漏れ」というお困りごとからユーザーを解放したというわけですね。その後、昭和から平成にかけてラジオや家電製品も一気に広がっていきましたよね。
山城:そうなんです。戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、ポータブルラジオやテープレコーダー、電気シェーバー、コードレス電話、デジタルカメラなど、身の回りの電化製品が普及・コードレス化していきました。こうした家電機器の進化に合わせて、電池の技術も発展し、人々の新しいライフスタイルや便利で豊かな生活を支えてきました。
秀島:家電の進化と電池の進化は、非常に関係が深いのですね。また、環境問題に配慮した電池づくりにも早くから取り組まれているそうですね。
山城:今から30年ほど前、世界的な環境意識の高まりを受け、「地球の未来のために電池をどう作っていくか」という課題が芽生えました。その結果、それまで微量ながら使用されていた水銀を含まない乾電池の開発に成功し、1991年に水銀ゼロ使用マンガン乾電池、続く1992年に水銀ゼロ使用アルカリ乾電池を発売しました。また、環境という観点では、同じ1990年代に開発されたリチウムイオン電池も欠かせません。なかでも車載用リチウムイオン電池は、自動車の電動化を支えることで、CO₂排出量の削減に大きく貢献しています。
秀島:暗闇に液漏れ、環境と、時代とともに変わっていく生活者や社会が抱える課題と真摯に向き合い続ける中で、パナソニック エナジーの電池は進化していったのですね。
山城:私たちは、パナソニックグループが取り組む社会貢献活動「LIGHT UP THE FUTURE」に、アジア・アフリカの無電化地域へ届けるソーラーランタンの提供を通じて協力しています。この活動は、無電化地域にくらす人々の教育・健康・収入向上につながる機会の創出を目指していて、これまでに36カ国へ約13万台のソーラーランタンが届けられています。
秀島:このソーラーランタンは、具体的にどのように役立てられているのですか?
山城:この取り組みは、NPOやNGO、国際機関などとの協働で成り立っています。現地からは例えば、あかりがない地域では、日が暮れると勉強や仕事ができる時間が限られてしまいますが、ソーラーランタンがあることで、子どもたちが夜に勉強できたり、大人が家で仕事をして収入向上につながったり、夜道を安全に移動することができるようになったと聞きました。また、医療施設では、夜間の出産や急な病気の際に処置を行うためのあかりとしても役立っているようです。
秀島:「LIGHT UP THE FUTURE」は直訳すると「未来を照らす」ですが、プロジェクト名に相応しい、無電化地域の未来を明るく照らすような素晴らしい取り組みなのですね。
パナソニック エナジーでは「未来を変えるエナジーになる」というビジョンを掲げている。 これには、電池技術を起点に、人々のくらしや産業、社会の発展を支える存在であり続けたいという想いが込められている。このビジョンは、会社として大切にしているミッション(使命)の実現に向けて掲げられたものであり、そのミッションが「調和の森」の誕生にも大きく関係しているようだ。
山城:社長の只信(一生)はパナソニック エナジー設立に際し、役員全員で原生林へ足を運びました。森の中で話し合いを重ねた結果、見えてきたのは「調和の大切さ」だったと言います。
秀島:調和の大切さ、ですか。
山城:はい。人間の生活が便利になればなるほど、CO₂が排出されて資源が消費され、次の世代の豊かさを奪ってしまう。そんな矛盾を電池の力で解消できないかと社長は常々考えていました。電池はエネルギーを貯め、効率的に放出する装置です。そこで電池事業を通じ、環境との調和を目指しながら人々の豊かさを支えていくという決意を込めて、当社では「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」というミッションを設立時より掲げています。この矛盾なく調和した環境を日々社員に感じてもらうために、また会社としての思いをお客様にも感じて頂くためエントランスに本物の木や植物を植えて原生林を再現したというわけです。
秀島:「調和の森」が作られた背景には、只信社長の強い思いがあったのですね。
山城:さらに、社長のこだわりから「朽ちた木」も置いています。
秀島:そこにはどんな意図が込められているのでしょうか?
山城:社長には「自分がいなくなった後も、後輩たちがその意思を受け継いでいってほしい」という思いがあります。「矛盾なく調和した社会の実現」は容易ではなく、1世代で完遂できるミッションではありません。そのため、自分たちが朽ち木のように養分となり、次の世代にバトンを引き継いでいってほしいという考えを表しているのです。
秀島:素敵なお話ですね。
朽ち果てた木はやがて土へと還り、若木を育てる豊かな養分となる。生命が循環する肥沃な原生林の土壌のように、パナソニック エナジーでは、諸先輩方が築いてきた当社のDNAを次の世代、またその次の世代へと引き継いでいく。そして「お客様のお役立ちをする」という創業時から変わらぬ思いのもと、その時代毎に発生した社会課題を電池とエネルギーの力で陰ながら解決し、今そこにある当たり前を支える「SILENT HERO」であり続ける。
(取材・文:小島浩平、撮影:竹内洋平)
私たちのくらしに欠かせない電池。リモコンや時計、懐中電灯、ガスコンロなど様々な機器に使用され、日常の「当たり前」を支えている。そんな電池市場において国内トップクラスのシェアを誇るメーカーが、パナソニック ホールディングスの事業会社であるパナソニック エナジーだ。
J-WAVEでは、2026年10月25日(日)から3回にわたって「J-WAVE SELECTION Panasonic ENERGY SILENT HEROES」(ナビゲーター:秀島史香)を放送する。同番組では毎回、様々な分野で活躍するゲストを迎え「支えること、そして、支えられること」をテーマにトークを展開するとともに、これからの世界を支える技術とそれを生み出してきた人々の物語を紹介する。
J-WAVE NEWSは、番組ナビゲーターを務める秀島史香とともに大阪府守口市にあるパナソニック エナジー本社を訪問。電池の意外な活用シーンから宇宙開発分野への広がり、さらには今後のビジョンについて、社内を巡りながら担当者に話を聞いた。
パナソニックグループの電池部門が集結し、22年4月に設立
パナソニック エナジーが設立されたのは2022年4月。パナソニックの事業会社制移行に伴い、グループ内の電池部門が集結して誕生した。社屋がある場所は、90年以上の歴史を持つパナソニックの守口拠点。新会社としてスタートを切るにあたり、「出社するのが楽しみになるようなオフィスにしたい」という幹部らの思いから大規模なリノベーションが敢行された。秀島:「パナソニック エナジー=電池事業を展開する会社」という印象から、「エントランスは近未来的な空間なのかな?」と想像していました。それがまさか、エントランスに森があるとは驚きです。
山城:そうですよね。もともと当社のエントランスには電池のオブジェなどが置かれていたのですが、パナソニック エナジー設立を機にこの「調和の森」が造られました。
秀島:社員の皆さんからの評判はいかがですか?
山城:「癒される」などの声をよく聞きます。私自身とても気に入っていて、特に好きなポイントが、ほのかに漂う森の香りです。そこに鳥のさえずりや風の音、水のせせらぎがBGMとして流れ、五感で森を感じられる空間なんです。
秀島:ここを通れば、朝早い出勤時にも、多忙な一日を終えた退勤時にも、何だか穏やかな気持ちになれそうだなと感じます。ほかにも気になったのが、森の中に無数に散りばめられた小さなライトです。これには何か意味があるのですか?
山城:1つの光で「1000万個の電池」を表しています。全ての光を合わせると当社が世界中で1年間に生産する電池の数に相当する約65億個になります。この無数の光で、私たちが生み出す日々のくらしの幸せを表現しているんです。
秀島:そういった背景を知ると、この原生林がより幻想的で魅力的なものに見えますね。
意外と知られていない日常の活用シーン
電池というと、電化製品などに使用する単3、単4など市販の乾電池をイメージする人が大半だろう。しかし、パナソニック エナジーが手掛ける電池はそれだけにとどまらないと、山城さんは話す。山城:当社では法人向け製品の開発・生産・販売も行っています。身近な例を挙げると、電子棚札(デジタルのプライスタグ)にも私たちの電池が使われているんです。
秀島:スーパーでよく見かける機器ですよね。紙の値札をいちいち差し替える必要がなく、簡単に値段表記を変えられて便利そうだなと思っていました。
山城:また、非常灯や誘導灯、火災報知器などにも活用されています。さらに水道やガスのスマートメーターにも採用されており、交換時期を気にせず使える長寿命な電池として役立っています。
秀島:交換を気にしなくていいというのは、設置する側にとっても大きな安心ですね。
山城:さらに、AEDや人工呼吸器、人工肺をはじめとした医療機器、停電時などの鉄道車両の安全確保や通信システムの維持のためのバックアップ電源にも電池が利用されています。
〈パナソニック エナジーの山城桃子さん。秀島から「街中や商業施設などで、設備・機器に使用されている電池の状態が気になったりしますか?」と“職業病”について聞かれると、「非常灯は絶対に見て『ちゃんと光ってるな』と確認するようになってしまいました(笑)」と話していた。〉
山城:まさにその通りです。近年は激しい豪雨や地震など突然の停電リスクが増えていますが、停電時の非常用ライトや防災ラジオを動かす電源として乾電池は命綱になります。また、防災時の使用も想定した、当社の「電池がどれでもライト」という商品はご存じですか?単1形から単4形の電池なら、どれでも1本で点灯できるライトなんです。
秀島:どのサイズでも使えるんですね!それなら、いざという時に手元にある電池を活用できて安心ですね。
山城:いざという時に『買ったまま放置していたら使えなくなっていた』というお困りごとが起こらないよう、当社の乾電池には10年間保管しても安心してお使いいただける技術や、液漏れを防ぐ工夫が組み込まれています。平時の便利さだけでなく、災害などの有事の備えとしても選ばれている理由がここにあります。
小惑星探査機「はやぶさ」の重要ミッションも担当
「J-WAVE SELECTION Panasonic ENERGY SILENT HEROES」の初回には、宇宙飛行士として活躍した野口聡一さんがゲストとして登場する。そんな背景もあり、本社2階にある、パナソニック エナジーの電池事業の歴史をたどる年表や歴代製品が展示された展示室に立ち寄った際、秀島は、小惑星から表面の物質(サンプル)を地球に持ち帰る技術を実証するために打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」に関する展示の前で足を止めた。・ポッドキャストページ
〈展示室には、電池事業をスタートしてから近年に至るまで、電池を通じて人々を課題から解放してきた軌跡をたどる「解放の軌跡」と題した展示コーナーが設けられている。〉
山城:これは当社のリチウム一次電池です。2003年に打ち上げられた「はやぶさ」にこの電池が搭載され、一緒に宇宙へと旅立ちました。2010年に地球へ帰還する際、機体から分離された、サンプルを収めた帰還カプセルがオーストラリアの砂漠に落とされたのですが、その落下地点を報せるビーコン信号発信器の電源として使用されたのが、この電池です
秀島:プロジェクトの最終局面を支える重要な役割を担った電池なのですね。
山城:また、2014年には「はやぶさ2」にも採用されました。この時は帰還時のミッションだけでなく、小惑星の内部物質を掘り起こすために人工クレーターをつくる衝突装置、その衝突装置が人工クレーターを作る様子を撮影する分離カメラ、再突入カプセルの地球大気圏再突入時の飛行データ計測器と、計4つの装置を動かす電源として活用されました。
秀島:宇宙空間というと過酷な環境というイメージがあるのですが、そこでも耐えられる電池ということなのでしょうか?
山城:おっしゃる通りです。幅広い温度に対応する力が求められたため、ー40度から85度まで耐えられる仕様となっています。「はやぶさ」が約7年間、「はやぶさ2」が約6年間飛行したように、宇宙での任務は長期にわたります。その間、電池のメンテナンスや交換はできません。 ですので、長期間にわたって状態・品質をキープし、その時が来たら確実に動作するということが非常に重要なんです。
秀島:技術力の高さを感じさせるお話ですね。遠い未来に人類が宇宙で生活する未来が訪れた時、パナソニック エナジーの電池が欠かせないエネルギーになりそうだなと思いました。
「お困りごとに寄り添い、お役立ちを果たしたい」が原動力に
身近な電化製品から産業機器、果ては宇宙分野まで。パナソニック エナジーの電池は時代とともに進化を遂げ、活用シーンを広げ続けている。しかし、その根底にある思いは、今から100年以上前に電池事業をスタートした時から何一つ変わっていないという。秀島:そもそも、創業以来大切にされてきた「モノづくりの原点」とは何でしょうか?
山城:「お客様視点でお困りごとに寄り添いながら、お役立ちを果たすこと」です。約100年前、自転車の灯火にはローソクや石油ランプを用いることが主流でした。また、電池式自転車用ランプもあるにはあったのですが、寿命がわずか2~3時間で故障も多いという状況だったと言います。そこで、創業者の松下幸之助は半年間の試作を重ねた末に1923年、豆球と電池を組み合わせて、30~40時間の長寿命を実現する「砲弾型電池式ランプ」を完成させました。暗闇の中で自転車を走らせる不便からの解放につながったこの発明により、パナソニック エナジーの電池事業が始まりました。
山城:さらに1954年には、日本初の完全金属外装裸式乾電池「ナショナルハイパー」を発売しました。それまでの乾電池は紙の外装が施されていましたが、新たに金属外装を採用したことで課題とされていた液漏れが大幅に改善され、保存期間も格段に向上しました。
秀島:乾電池の「液漏れ」というお困りごとからユーザーを解放したというわけですね。その後、昭和から平成にかけてラジオや家電製品も一気に広がっていきましたよね。
山城:そうなんです。戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、ポータブルラジオやテープレコーダー、電気シェーバー、コードレス電話、デジタルカメラなど、身の回りの電化製品が普及・コードレス化していきました。こうした家電機器の進化に合わせて、電池の技術も発展し、人々の新しいライフスタイルや便利で豊かな生活を支えてきました。
山城:今から30年ほど前、世界的な環境意識の高まりを受け、「地球の未来のために電池をどう作っていくか」という課題が芽生えました。その結果、それまで微量ながら使用されていた水銀を含まない乾電池の開発に成功し、1991年に水銀ゼロ使用マンガン乾電池、続く1992年に水銀ゼロ使用アルカリ乾電池を発売しました。また、環境という観点では、同じ1990年代に開発されたリチウムイオン電池も欠かせません。なかでも車載用リチウムイオン電池は、自動車の電動化を支えることで、CO₂排出量の削減に大きく貢献しています。
秀島:暗闇に液漏れ、環境と、時代とともに変わっていく生活者や社会が抱える課題と真摯に向き合い続ける中で、パナソニック エナジーの電池は進化していったのですね。
ソーラーランタンが紡ぐ未来
「人々のお困りごとを解消したい」という思いは、電池事業だけでなく、社会貢献活動としても形となっている。2013年からパナソニックグループが展開するプロジェクトについて山城さんはこう語る。山城:私たちは、パナソニックグループが取り組む社会貢献活動「LIGHT UP THE FUTURE」に、アジア・アフリカの無電化地域へ届けるソーラーランタンの提供を通じて協力しています。この活動は、無電化地域にくらす人々の教育・健康・収入向上につながる機会の創出を目指していて、これまでに36カ国へ約13万台のソーラーランタンが届けられています。
山城:この取り組みは、NPOやNGO、国際機関などとの協働で成り立っています。現地からは例えば、あかりがない地域では、日が暮れると勉強や仕事ができる時間が限られてしまいますが、ソーラーランタンがあることで、子どもたちが夜に勉強できたり、大人が家で仕事をして収入向上につながったり、夜道を安全に移動することができるようになったと聞きました。また、医療施設では、夜間の出産や急な病気の際に処置を行うためのあかりとしても役立っているようです。
『調和の森』に込められた未来へのバトン
取材の最後に、秀島は冒頭で足を踏み入れ、その美しさに圧倒された「調和の森」へ。一見すると社員や訪れる人を癒やす緑豊かな空間だが、実はここにはパナソニック エナジーの未来に向けた「ある決意」が込められているという。パナソニック エナジーでは「未来を変えるエナジーになる」というビジョンを掲げている。 これには、電池技術を起点に、人々のくらしや産業、社会の発展を支える存在であり続けたいという想いが込められている。このビジョンは、会社として大切にしているミッション(使命)の実現に向けて掲げられたものであり、そのミッションが「調和の森」の誕生にも大きく関係しているようだ。
秀島:調和の大切さ、ですか。
山城:はい。人間の生活が便利になればなるほど、CO₂が排出されて資源が消費され、次の世代の豊かさを奪ってしまう。そんな矛盾を電池の力で解消できないかと社長は常々考えていました。電池はエネルギーを貯め、効率的に放出する装置です。そこで電池事業を通じ、環境との調和を目指しながら人々の豊かさを支えていくという決意を込めて、当社では「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現」というミッションを設立時より掲げています。この矛盾なく調和した環境を日々社員に感じてもらうために、また会社としての思いをお客様にも感じて頂くためエントランスに本物の木や植物を植えて原生林を再現したというわけです。
秀島:「調和の森」が作られた背景には、只信社長の強い思いがあったのですね。
山城:さらに、社長のこだわりから「朽ちた木」も置いています。
山城:社長には「自分がいなくなった後も、後輩たちがその意思を受け継いでいってほしい」という思いがあります。「矛盾なく調和した社会の実現」は容易ではなく、1世代で完遂できるミッションではありません。そのため、自分たちが朽ち木のように養分となり、次の世代にバトンを引き継いでいってほしいという考えを表しているのです。
秀島:素敵なお話ですね。
朽ち果てた木はやがて土へと還り、若木を育てる豊かな養分となる。生命が循環する肥沃な原生林の土壌のように、パナソニック エナジーでは、諸先輩方が築いてきた当社のDNAを次の世代、またその次の世代へと引き継いでいく。そして「お客様のお役立ちをする」という創業時から変わらぬ思いのもと、その時代毎に発生した社会課題を電池とエネルギーの力で陰ながら解決し、今そこにある当たり前を支える「SILENT HERO」であり続ける。
〈パナソニック エナジー本社を巡り終えた秀島(写真右)は「私たちは普段何気なく電池を使用していますが、今回、山城さんのお話を聞かせていただき、いかに様々なシーンで電池が活用され、街中の設備・装置を絶え間なく動かしているのかを知ることができました。また、様々な社会課題と向き合い続けてくれているパナソニック エナジーさんの姿勢に、いち消費者として頼もしさを感じました」と感想を述べた。〉
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