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小谷実由「恋が始まるかと…」落ち込んだ夜に届いた、作家・小原晩からの長文

小谷実由「恋が始まるかと…」落ち込んだ夜に届いた、作家・小原晩からの長文

モデルで文筆家の小谷実由が、作家の小原 晩とJ-WAVEで対談。夏の思い出や書くことと話すことの違いについて語り合った。

小谷が登場したのは、10月4日(日)からスタートしたJ-WAVEの新番組『YAWN YAWN』(ナビゲーター:小原 晩)。YAWNは「あくび」という意味。起きたばかりのあくびと寝る前のあくびが重なる時間に、誰かに聞いてもらいたい日常の話をシェアする番組だ。

ナビゲーターはエッセイ集『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』が話題となった作家・小原 晩が務める。

この夏のいちばんの思い出は…

夜型の小原にとって午前5時は原稿を書き終えるころ。初回となった10月4日(日)の放送の冒頭では、パン屋で働く友人とのやり取りを思い出しながら、新番組についての抱負を語った。

小原:その友だちと仲よくなりたてでもあって、けっこうやり取りをしていたんです。パン屋って朝が早いから、21時とか22時くらいになると連絡が途切れるんです。朝の5時ぐらいになって返信が来て、私は起きているから「あ、おはよう」と返すと、「え、早起き」という感じで。「私は今から寝るんだ」「お疲れさま、おやすみ」「そっちは頑張って」みたいなやり取りをしていた思い出があって。そのささやかな時間が好きだったな。ふたりだけの時間のような印象があって、この番組も聴いてくれる人とそういう関係になれるといいなと思っています。どうぞ、肩の力を抜いてお付き合いください。

番組後半のゲストコーナーでは「朝何時に起きているのか知りたい人」を迎えていくという小原。初回となる今回は、親交のある“おみゆさん”こと小谷実由を迎えた。

小谷は、J-WAVEのオリジナルポッドキャスト『おみゆの好き蒐集倶楽部』のナビゲーターを担当している。

・ポッドキャストページ


小原:おみゆさん、朝はいつも何時に起きていますか?

小谷:理想は8時、本当は10時、絶望的なのは11時。

小原:えー! でも、午前中には起きるんですね。

小谷:こんな始まり方でいいんですか(笑)?

3年ほど前から親交があるというふたり。続いて、今年の夏の思い出について語り合う。

小原:私の今年の夏のいちばんの思い出、それはおみゆさんのご実家に遊びに行ったことです。すごいことでしょ。

小谷:来たね(笑)。

小原:私はけっこう夏が苦手だから、夏はほぼすべての予定を断るんです。でも、さすがにこの1回だけは逃すわけにはいかないと思って、「ぜひ行かせてください」と。

小谷:実家のベランダから花火が大きめに見えるときがあるので、これは楽しいはずと思って誘ったんですが……実家来て3秒で馴染んでいたよ(笑)。

小原:うれしい(笑)。

小谷:気付いたらもうお母さんと、お母さんの友だちとテラスで普通に飲んでた。「ここんちの子?」みたいな。

小原:大人になってからの友だちの実家に行くって、夢というか。近くまで迎えに来てくれて、お家まで連れて行ってくれたんですけど、そこがおみゆさんの通学路だったりして、「小原がここにいるの変な感じする」ってずっと(小谷が)言ってた。

小谷:実家なのになぜか仕事場の同僚がいるとか、そういう夢を見る人はいると思うんですけど、そういう感じだった。

話題は、その日に食べたスイカのことへ。

小谷:「スイカを食べたい」って私がお母さんに言ったんですけど、安かったからって、すごく大きいのを1玉買ってきたね。

小原:ミラーボールみたいでしたね(笑)。それをおみゆさんが切っているところをキッチンでじっと眺めたり、手伝いもせずに写真とか撮って。

小谷:手伝いようもないんだけどね。

小原:「友だちの実家に行く」みたいなうれしいことがあると、エッセイに書きたいなと思うことがあるんですけど、おみゆさんもエッセイを書かれているじゃないですか。書きたいなって思うときってありますか?

小谷:「うわ、これ絶対忘れたくない」みたいに思う、すごく個人的に思うことが多いかな。あの夏のことは、私も書きたい瞬間がいっぱいあった。デカいスイカを切ることもそうだし、子どものころから当たり前に行っていたスーパーの前のバス停に(小原)晩さんを迎えに行くこともそうだし。友だちに話しかける気分で書いています。「ちょっと聞いて」みたいな、そういうときがわりと楽しく書ける。

エッセイとラジオ、聴いてくれる人との距離

小原が、ラジオやポッドキャストで話すときもエッセイを書くときと気持ちは同じなのかを尋ねると、小谷は「一緒かも」と答えた。

小原:このラジオが始まるとなって、何をしゃべろうとか、みんなに何を聴いてもらおうと準備しているときに「エッセイと同じだな」と思うところもあるけど、やっぱりおしゃべりってなったときに「全然違うのかも」というのも感じていて。

小谷:全然違うと思ったところは?

小原:不安定なんですよね。書くって固めていくというか、完全に自分が100パーセントこれでしかあり得ないっていうかたちにしていく行為なんです。隙も自分のなかの計算で、「こういうリズムが必要だったのでこうしています」という感じ。でもおしゃべりに関しては、その場のグルーヴじゃないですけど、そのときの気分とかをそのまま出せるのかどうかな気がしていて。たぶん、事前に話を用意しすぎても違うんだろうなって。

小谷:そうなんだよ! 私は事前に用意をしすぎてしまう性格だから、ガチガチに固めていくと朗読しているみたいな気持ちになっちゃうなと思った。そのときの自分をちょっと信じながら話していくほうが、きっと伝わるのかもしれない。

小原:たしかに。

小谷:エッセイを書くときも、その先に読んでくれる人がいるという気持ちを考えながら書いたりはしているけれど、ラジオやポッドキャストでしゃべるということは、本当にすぐ近くに聴いてくれる人がいるみたいな気持ちかな。届く時間がより早い。

小原:本当にそうですよね。自分がエッセイを書くときは、自分の思い出だけど、作品だという気持ちのほうが大きいから、読む人のことをあんまり気にできないんですよ。でも、ラジオとなったときに初めてそういう他者の存在を意識したかも。

小谷:本当に隣にいるんだよ。

続いてふたりは、エッセイの題材や1冊に編む際のテーマ設定を普段から話し合っていることに触れた。

小谷:晩さんのすごく優しいなと思うところは、一緒になって考えてくれるところ。「私なんてつまらなすぎる、もう何も書けない、書きたい、でも書けない」みたいなモードに、たまに入っちゃうんです。

小原:あのモード好き、私(笑)。

小谷:このあいだも、ちょっと驚くべき励まされ方をして。それも夜中だったけれど、ポロッと私が弱音を吐いたら、1スクロールは確実にしなきゃいけないぐらいの長文の励ましメールを送ってくれました。次の日に冷静になって読んだときに「これドラマだったら確実に恋が始まるだろ」みたいな、若干プロポーズめいた励まし方で、さすがだなって。

小原:いやいや(笑)。おみゆさんが、“ぐにぐに”になっているときが好きで。画面越しに見ていると、ぐにぐにしているはずがないって思っちゃうんだけど……。

小谷:ぐにぐにってなに(笑)?

小原:おみゆさんの眉間にシワがぐっと寄っているのが、すごくいい顔なんですよ。きれいな喫茶店とかでちょっと斜めになって、眉間にシワをぐっと寄せながら「でもそんなことしたってさ……」みたいなことを言っているときの美しさ。それは美醜の美しさでもあるんだけど、人間としての存在の面白さがすごく出ているというか。

小谷:うれしいですね。そんな自分がダメだと思っているところを、そんなふうに素敵に表現してくれる。

書きながら文章の感じは変わっていくもの

小谷や金原ひとみ、又吉直樹が参加した銀座ソニーパークの『100.80.60.展』を訪れた小原は、そこにあった小谷のエッセイについて感想を伝えた。

小原:おみゆさんは短いエッセイを5つくらい書いていたんですが、勘違いかもしれないけど、文体がちょっと変わったなと思って。おみゆさんの身体感覚により近くなったんじゃないかと思ったんです。

小谷:ドキリ。

小原:リズムとしてもそうだし、目で見たものが出てくるタイミングとか、点の置き方みたいなものが、「しっかり伝えよう」というところから、より自分の身体感覚に近いところを読んでみてっていう感じが出ている気がして、いいなと思ったんです。

小谷:まず、やったことがなかったような企画に参加させてもらうことが初めてだったと思う。それに「私のことを知らない人が読むこともあるんだ」とかいろんなことを考えて、すごく緊張しながら書いてはいた。だからこそ自分の頭のなかに広がっている、見えているものを言葉にしたいと思ったから、たしかにいつもよりも深く潜って書いたような気は、今言われてそうだなと思った。

小原:すごくよかったです。文体というか、文章の感じって書きながら変わっていくものだなと思っていて。1年前の原稿とか2年前の原稿を読むときがあって、「今はこれ書けないだろうな」と思う。

小谷:そういうことあるよね。

小原:今のおみゆさんはこういう気分なんだな、いいなって思いました。

小谷:最近になってやっと、自分の文章を客観視することができるようになったかもしれない。その前は「これでいいのか」「これは面白いのか」、そういうことばかりを気にしていて。「書きたいと思っている気持ちにこの文章は合っているのか」とか、そこまで考えられなかった。自信を持てたわけではないけれど、今はもっと書くことが楽しくなったんだと思う。

小原:へええ、いいですね。

小谷:好きになったし、楽しくなったし、もっとやりたいと思えるようになった。いまだに客観視できているかはわからないけど、そういうふうに感想をもらえて「たしかにそうだな」と思えたってことは、きっとそうなのかな。

小谷は次回、10月11日(日)の『YAWN YAWN』にも引き続き登場する。

小谷実由の最新情報はInstagram公式アカウント(@omiyuno)まで。

『YAWN YAWN』は朝と夜のあいだに、日常の誰かに聞いてもらいたい話をみんなでシェアする時間をお届け。毎週日曜5時よりオンエア。ポッドキャストでも配信する。

・ポッドキャストページ

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YAWN YAWN
毎週日曜
5:00-6:00

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