シンガーソングライターの寺尾紗穂が、音楽の原体験や影響を受けたアルバム、歌詞を書くうえで大切にしていること、参加するトリオバンド・冬にわかれてのニューアルバム『forgotten』について語った。
寺尾が登場したのは、5月23日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。寺尾はISETAN MITSUKOSHI THE FOODの『燻製ミックスナッツ』を持参し、ビールとともに楽しんだ。
クリス:最初に買ったレコードは覚えてますか?
寺尾:4歳のときだったんですけど、小林明子さんの『恋におちて -Fall in Love-』でした。当時、ドラマの主題歌だったと思うのですが、母と一緒にレコード店に入ったときにこの曲がかかっていたらしいんですね。「これがほしい」ってその場で言って、母が買ってくれました。
クリス:小さいころから音楽は好きだったんですか?
寺尾:そうですね、4歳からピアノを習っていたので。歌うのも好きでした。
クリス:そのほか、子どものころに聴いていた音楽は?
寺尾:母が買った大貫妙子さんの『Comin' Soon』っていうレコードが家にあったり、ピアノ曲の有名な『エリーゼのために』とか『トルコ行進曲』とかが入ったクラシックのレコードもありました。
クリス:その時期に聴いた音楽に大きな影響を受けていますか?
寺尾:でも、そんなに家にレコードがあった感じでもなかったので、好きな人を聴くみたいな感じでしたね。母が持っていたレコードには、ニーナ・シモンとかもあったので、そういうところから影響を受けています。
クリス:お母さまは、ほかにどんなレコードを聴かれていたんですか?
寺尾:私も好きでよく聴いていたのが、ロン・カーターのレコードとか。昔、母の誕生日に、ロン・カーターのライブを観に一緒にブルーノートへ行ったりしました。
寺尾:それを観て、「私もこれをやりたい」と思って「入れてください」って言いに行ったら、「私たちは大学受験になっちゃうから後輩は取らない」って言われて。「じゃあ、同じ学年で作ろう」と思ってそういう同好会を作って、毎年ミュージカルを作っていました。中2から高3まで、70曲くらい。
クリス:すごいですね! どんなミュージカルなんですか?
寺尾:最初はL・M・モンゴメリの物語とかを下敷きに脚本を書いていたんですけど、そのうち自分で考えたオリジナルの物語を作ってやってました。
クリス:どちらかというと、ロックオペラというよりは王道オペラって感じですか?
寺尾:どうなんだろう。曲はジャズっぽかったりポップスっぽかったりって感じだと思います。『レ・ミゼラブル』とか『オペラ座の怪人』とかの音源は参考に聴いてはいたんですけど。
クリス:その音源って、まだあるんですか?
寺尾:ありますね。テープとかMDとかですけど残っています。
バンド活動を始めると、大貫妙子やCymbalsのカバーを演奏していたという。
クリス:それ以外に、大好きだったアーティストとか熱中したアルバムってありますか?
寺尾:父とはずっと別居で育ってるんですけど、たまに父が自分の好きな音源をCDに焼いて送ってきてくれたんです。それに財津和夫さんとか入ってたりして、それもよく聴いたと思います。
クリス:お父さまはシュガー・ベイブの元ベーシスト・寺尾次郎さんですよね。音楽ファミリーって感じだったんですか?
寺尾:そんな感じでもなかったですけどね。父は私が生まれたころにはバンドをやめてベースも売っちゃってたので、わりと音楽と決別して映画の世界に入ったという感じでした。
寺尾:デイヴィッド・T・ウォーカーが参加して、「エレキギターってこんなにいい音がするんだ」って。アナログな作り方もそれまでのドリカムの感じとはちょっと違って新鮮でよく聴いたアルバムですね。
クリス:ドリカムというよりは吉田さんのソロのスタイルがハマったって感じですか。
寺尾:それまでのドリカムも好きだったんですけど、このアルバムはすごく新鮮に響きましたね。
また、「10点満点のアルバムは?」と訊かれた寺尾は、ニール・ヤングの『After the Gold Rush』を挙げた。
クリス:名盤ですよね。どこに惹かれましたか?
寺尾:最初はメロディですね。ちょっと寂しさを含んでいるような世界観がタイトルとも相まってすごく気になって。それぞれの歌詞を見ていくと、自然が失われていくこととか、『Southern Man』って曲では南部での黒人差別のこととかが歌われていたり。アルバムとしての統一感みたいなものもあるし、すごく印象に残ったアルバムですね。
寺尾:このタイトル、すごいなと思うんです。「大事なものって誰でも何かしらあるんじゃないの?」って。「家族とか友人とか夢とか、何かあるでしょう」って言いたくなるんですけど、もしかしたら「何も大事なものはない」って言うしかない人もいるかもしれないっていう、家庭の事情とか人生がそれぞれあるわけですよね。そこで想像のスイッチが押された感じがして。映画とか小説とかも、そういう想像力を養うために見るようなとこがある気がするんですけど、この歌もまさに「大事なものはありません」って言い切られることで、違う景色を想像してみるというか、そういうインスピレーションをもらった曲ですね。Momの歌詞はマイノリティの視点というか、大多数がそうだよねってうなずけることとちょっと違う視点を見せてくれるところが魅力的だなと思っています。
クリス:なるほど。寺尾さんが歌詞を書くときに大切にしていることは何ですか?
寺尾:曲ができるときのパターンがいくつかあって、皿洗いをしてるときとかにふっとサビの歌詞とメロディが降りてきたりっていうこともありますし、朝起きてバーッと詞だけ書くようなときもあります。でも、無理に作らないかな。無理に絞り出さない。普段考えてることとか、思いが溜まって曲になっていく感じがあるので、その意味で自然に出てきた言葉を大事にしたいかなって。
クリス:今回のアルバムはテーマとかあったんですか。
寺尾:テーマは最初に決めないで、3人それぞれが作ってきた曲を眺めて「タイトルどうしようか」みたいな感じではありました。
クリス:それで「forgotten」、忘れてしまったってことなんですか。
寺尾:忘れられた何かというか、過ぎ去ったものとか。
クリス:『ペパーミント・タイムズ』という曲では、先ほど話に出たMomが作詞を手がけているんですよね。
クリス:直接オファーされたんですか?
寺尾:オファーしました。最初、伊賀さんがその曲だけできていて、伊賀さんが詞を書けないときは私が代わりに書いたりもしてたんですけど、伊賀さんのつけていたタイトルが「ジャクソン」っていう名前で。でも、特に深い意味があるわけではないらしくて。私は「ジャクソン」だけじゃそれ以降の詞が書けないと思って。それで、Momがやってくれたらピリッとしたかっこいい詞を作ってくれるんじゃないかなと思ってお願いしました。
クリス:あらためて完成したアルバムを聴いて、手応えなどあれば教えてください。
寺尾:私がけっこう気に入っている1曲は『夜半の火の子守歌』っていうジャズっぽい曲で。曲によってボーカリストとしていろんな声を出せたらいいなってずっと思ってたんですけど、この曲ではちょっと今までにはない感じの声で録れたかなと思います。
寺尾紗穂の最新情報は公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
寺尾が登場したのは、5月23日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この日の放送は5月30日(土)28時ごろまで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
ピアノを習い、歌うのも好きだった幼少期
寺尾は1981年生まれ、東京都出身。2007年、ピアノ弾き語りアルバム『御身 onmi』でデビュー。以後、コンスタントにアルバムをリリースしている。映画主題歌も手がけるほか、文筆家としても活躍し、さまざまな書籍を執筆。2025年には『戦前音楽探訪』(ミュージック・マガジン社)を刊行した。クリス:最初に買ったレコードは覚えてますか?
寺尾:4歳のときだったんですけど、小林明子さんの『恋におちて -Fall in Love-』でした。当時、ドラマの主題歌だったと思うのですが、母と一緒にレコード店に入ったときにこの曲がかかっていたらしいんですね。「これがほしい」ってその場で言って、母が買ってくれました。
クリス:小さいころから音楽は好きだったんですか?
寺尾:そうですね、4歳からピアノを習っていたので。歌うのも好きでした。
クリス:そのほか、子どものころに聴いていた音楽は?
寺尾:母が買った大貫妙子さんの『Comin' Soon』っていうレコードが家にあったり、ピアノ曲の有名な『エリーゼのために』とか『トルコ行進曲』とかが入ったクラシックのレコードもありました。
クリス:その時期に聴いた音楽に大きな影響を受けていますか?
寺尾:でも、そんなに家にレコードがあった感じでもなかったので、好きな人を聴くみたいな感じでしたね。母が持っていたレコードには、ニーナ・シモンとかもあったので、そういうところから影響を受けています。
クリス:お母さまは、ほかにどんなレコードを聴かれていたんですか?
寺尾:私も好きでよく聴いていたのが、ロン・カーターのレコードとか。昔、母の誕生日に、ロン・カーターのライブを観に一緒にブルーノートへ行ったりしました。
Yes, Indeed
父はシュガー・ベイブの元メンバー、その影響は…
寺尾は中学校に入ると合唱部に入部し、部長も務めた。同じころ、中学1年生だった寺尾の3つ上の先輩たちは、中高一貫で6年間続く学校のなかで、ミュージカル同好会を作っていた。そこではオリジナルの物語を作り、曲も自分たちで作って、文化祭やクリスマスの時期などに学内で発表していたという。寺尾:それを観て、「私もこれをやりたい」と思って「入れてください」って言いに行ったら、「私たちは大学受験になっちゃうから後輩は取らない」って言われて。「じゃあ、同じ学年で作ろう」と思ってそういう同好会を作って、毎年ミュージカルを作っていました。中2から高3まで、70曲くらい。
クリス:すごいですね! どんなミュージカルなんですか?
寺尾:最初はL・M・モンゴメリの物語とかを下敷きに脚本を書いていたんですけど、そのうち自分で考えたオリジナルの物語を作ってやってました。
クリス:どちらかというと、ロックオペラというよりは王道オペラって感じですか?
寺尾:どうなんだろう。曲はジャズっぽかったりポップスっぽかったりって感じだと思います。『レ・ミゼラブル』とか『オペラ座の怪人』とかの音源は参考に聴いてはいたんですけど。
クリス:その音源って、まだあるんですか?
寺尾:ありますね。テープとかMDとかですけど残っています。
バンド活動を始めると、大貫妙子やCymbalsのカバーを演奏していたという。
クリス:それ以外に、大好きだったアーティストとか熱中したアルバムってありますか?
寺尾:父とはずっと別居で育ってるんですけど、たまに父が自分の好きな音源をCDに焼いて送ってきてくれたんです。それに財津和夫さんとか入ってたりして、それもよく聴いたと思います。
クリス:お父さまはシュガー・ベイブの元ベーシスト・寺尾次郎さんですよね。音楽ファミリーって感じだったんですか?
寺尾:そんな感じでもなかったですけどね。父は私が生まれたころにはバンドをやめてベースも売っちゃってたので、わりと音楽と決別して映画の世界に入ったという感じでした。
統一感がある「10点満点のアルバム」
寺尾は「熱中したアルバム」として、DREAMS COME TRUEのボーカル・吉田美和の初ソロアルバム『beauty and harmony』を挙げた。寺尾:デイヴィッド・T・ウォーカーが参加して、「エレキギターってこんなにいい音がするんだ」って。アナログな作り方もそれまでのドリカムの感じとはちょっと違って新鮮でよく聴いたアルバムですね。
クリス:ドリカムというよりは吉田さんのソロのスタイルがハマったって感じですか。
寺尾:それまでのドリカムも好きだったんですけど、このアルバムはすごく新鮮に響きましたね。
また、「10点満点のアルバムは?」と訊かれた寺尾は、ニール・ヤングの『After the Gold Rush』を挙げた。
クリス:名盤ですよね。どこに惹かれましたか?
寺尾:最初はメロディですね。ちょっと寂しさを含んでいるような世界観がタイトルとも相まってすごく気になって。それぞれの歌詞を見ていくと、自然が失われていくこととか、『Southern Man』って曲では南部での黒人差別のこととかが歌われていたり。アルバムとしての統一感みたいなものもあるし、すごく印象に残ったアルバムですね。
Southern Man
歌詞制作は「無理に絞り出さない」
「この歌詞にシビれた」と感じた楽曲を尋ねられ、寺尾が挙げたのは、シンガーソングライター・Momの『大事なものはありません』だった。Mom / 大事なものはありません
クリス:なるほど。寺尾さんが歌詞を書くときに大切にしていることは何ですか?
寺尾:曲ができるときのパターンがいくつかあって、皿洗いをしてるときとかにふっとサビの歌詞とメロディが降りてきたりっていうこともありますし、朝起きてバーッと詞だけ書くようなときもあります。でも、無理に作らないかな。無理に絞り出さない。普段考えてることとか、思いが溜まって曲になっていく感じがあるので、その意味で自然に出てきた言葉を大事にしたいかなって。
今までにはない感じの声で録れた1曲
寺尾紗穂、ベーシストの伊賀 航、ドラマーのあだち麗三郎によるトリオバンド・冬にわかれてのニューアルバム『forgotten』が、5月6日にリリースされた。本日発売
— 寺尾紗穂 (@sahotera) May 6, 2026
冬にわかれて『forgotten』
5.6 Release
Linkcore:https://t.co/Fha6hKQrN7
bandcamp:https://t.co/LEU1PGfb3d
冬にわかれて『forgotten』リリースツアー
9.12(土) 名古屋Halle RUNDE
9.22(火・祝) 京都府立文化芸術会館
10.10(土) 東京大手町三井ホール
11.29(日) 福岡ROOMS pic.twitter.com/EYLaoM4Y7h
寺尾:テーマは最初に決めないで、3人それぞれが作ってきた曲を眺めて「タイトルどうしようか」みたいな感じではありました。
クリス:それで「forgotten」、忘れてしまったってことなんですか。
寺尾:忘れられた何かというか、過ぎ去ったものとか。
クリス:『ペパーミント・タイムズ』という曲では、先ほど話に出たMomが作詞を手がけているんですよね。
冬にわかれて – ペパーミント・タイムズ (Lyric Video)
寺尾:オファーしました。最初、伊賀さんがその曲だけできていて、伊賀さんが詞を書けないときは私が代わりに書いたりもしてたんですけど、伊賀さんのつけていたタイトルが「ジャクソン」っていう名前で。でも、特に深い意味があるわけではないらしくて。私は「ジャクソン」だけじゃそれ以降の詞が書けないと思って。それで、Momがやってくれたらピリッとしたかっこいい詞を作ってくれるんじゃないかなと思ってお願いしました。
クリス:あらためて完成したアルバムを聴いて、手応えなどあれば教えてください。
寺尾:私がけっこう気に入っている1曲は『夜半の火の子守歌』っていうジャズっぽい曲で。曲によってボーカリストとしていろんな声を出せたらいいなってずっと思ってたんですけど、この曲ではちょっと今までにはない感じの声で録れたかなと思います。
冬にわかれて - 夜半の火の子守歌 [Official Audio]
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週土曜18:00-18:54
-
クリス・ペプラー
