ニューヨークで活躍するジャズキーボーディストのBIGYUKI(ビッグユキ)が、音楽を始めたきっかけや影響を受けたアーティスト、最新ミニアルバム『John Connor』について語った。
BIGYUKIが登場したのは、5月16日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。BIGYUKIはおやつカンパニーの『ベビースター台湾ラーメン味』(北陸・東海地方限定)を持参し、ビールとともに楽しんだ。
BIGYUKIは兵庫県出身、三重県育ち。高校卒業後、すぐにアメリカに渡り、バークリー音楽大学に入学。在学中からボストンのジャズクラブや教会で演奏を行ったのち、活動の拠点をニューヨークへ移した。ビラルやロバート・グラスパーなどのトップアーティストとの共演を積み重ね、シーンのなかで確固たる地位を築いている。
クリス:高校を卒業してすぐアメリカに行かれたんですね。
BIGYUKI:そうですね、駅前留学みたいな語学勉強を少ししていて。実は母が高校生のときに、交換留学生としてニューヨーク州のスケネクタディっていう町に行ってたんです。だから、母が英語をしゃべるので、家で母から英語を学んだりもしていました。
クリス:そうなんだ。バークリーに行こうと思ったのはなぜ?
BIGYUKI:高校生のときに、みんな進学するのかどうか、そしてそこから将来どういうことをしたいのかみたいなおぼろげなイメージを持って、そこから逆算して「じゃあ、学校どこに行こう」みたいな時期なんですけれど、僕は自分が何をしたいかっていうイメージが湧かなかったんです。でも、「自分の人生で続けてるものって何かな」って考えたときに、ピアノを5、6歳のころから始めてるなと。その音楽をきっかけにして、当時いた場所から別の場所に行くきっかけになるんじゃないのかなと思いました。アメリカがイメージとして身近なもので、当時、活躍していたミュージシャンの小曽根 真さんとか、レジェンドの穐吉敏子さんとかがバークリー出身っていうことで、そこからいろいろ調べ始めたっていう感じです。
バークリー音楽大学の同級生には、エスペランサ・スポルディングをはじめ、素晴らしいミュージシャンが大勢いたと語る。
BIGYUKI:エスペランサなんかは本当に大活躍してるアーティストのひとりです。上原ひろみさんも近い世代で、僕が入学したときにはすでに学内のスターでしたね。上原さんが校内の大きな演奏会場でライブをやっていると、アメリカ人とか他の国から来てる人たちが、物を投げるジェスチャーをするんです。僕、怒ってるのかなと思ったんですけど、みんな感極まって「うわーっ」って投げるジェスチャーだったんです。それを見て、「こんなに世界中の人を沸かしてる日本人アーティストがいるんだ」って感激しました。そこから数年で学内スターから世界的なスターになりましたよね。
BIGYUKI:子どもながらにその姿を見て「触りたい」みたいなことを言ったんでしょうね。ポロポロとピアノを触っていて、母もそれを面白がって、たぶん母が習っていたピアノの先生にちょっと見てもらったりしてるうちに、別のピアノの先生を紹介してもらって。本当に素晴らしい先生に恵まれて、今の自分の音楽性の根幹になるような体験をしました。
クリス:クラシックから入った?
BIGYUKI:そうですね。先生についてからはクラシック。いわゆるバイエルだとか、チェルニーだとか、そういう練習曲みたいなのを始めました。
クリス:今はジャズのみならずいろんな音楽に携わってるけれど、大きいジャンルで言うとジャズピアニストになりますよね。小さいころからジャズは好きだったの?
BIGYUKI:全然知らなかったです。基本的にはクラシック音楽と、あとは当時聴いていたポップス音楽でした。
初めて買ったCDは当時好きだったアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)の主題歌、B.B.クィーンズの『おどるポンポコリン』だったという。
クリス:これがBIGYUKIのルーツなんですね。
BIGYUKI:つくづく思うんですけど、音楽はタイムカプセルみたいなもんだなと思って。音楽を聴くと、当時の記憶がおぼろげに戻ってくるような気がするんですよね。心がキュッてなります。
クリス:ロックは通らなかったの?
BIGYUKI:通ってないんですよ。僕が日本にいて、ポップスが全盛期だった音楽といったら小室哲哉さんがいますね。そこから逆算というか、グラムロックの存在を知り、そこからパンクの存在を知り……。
クリス:ロック通ってるじゃない。
BIGYUKI:でも、現象としてのって感じです。音がすごく刺さったというよりは、ファッションであるとか、そういうのが面白いなと思ったりはしました。
クリス:ほかにはどんなのを聴いていたんですか?
BIGYUKI:地元ですごくオシャレな友だちがいて、そのお兄さんがファッション系の仕事をしていて、彼からたとえばニルヴァーナとか、スマッシング・パンプキンズ、ガービッジ、ソニック・ユースとか、思えば自分なりに手の届く範囲で聴いていたりしてましたね。今思い出したんですけど、アタリ・ティーンエイジ・ライオットっていうドイツのバンドも聴いてました。速い四つ打ちに「ギャー!」ってずっと叫んでるみたいな。それを、すごく平和な住宅地の自分の部屋の窓を開けて、大音量でかけてました。若気の至りというか。処理しきれない何かがあったんだと思います。
クリス:のちに一緒にビラルとバンドをやるでしょ?
BIGYUKI:バークリーから離れて、ボストンにしばらく住んで。そこから次は何なんだとなったときに、やっぱりニューヨークだなと。ニューヨークに何回かバスに乗って行ったりして、行くたびにすごいエネルギーに当てられて「ここに自分はいたいな」っていう漠然とした思いが募っていったんです。ニューヨークに移って1年目、そこで(ロバート・)グラスパーが出てくるんですね。(ビラルのバンドに)彼が在籍してたんですけど、彼が抜けて一新というタイミングで、共通のミュージシャンからの紹介で僕の存在を知ってもらって一緒に演奏することになったんです。同時期にタリブ・クウェリのバンドにも参加することになって、そこからニューヨークでの生活が変わっていきましたね。
また「当時のピアノヒーローといえば、ブラッド・メルドーだった」と続ける。
BIGYUKI:彼のハーモニーの感覚であるとか、リズムの遊び方とか、すべてがフレッシュだったんです。脳みそを引っかき回されるぐらいフレッシュで、聴いて「ウヒャー」って。おそらく各世代、各時代ごとに次の時代を開拓していくパワーを持った音楽を提示するアーティストがいると思うんですけど、ブラッド・メルドーは僕が渡米した初期のころの時代を作った、そういう存在でした。あと、自分が一緒に演奏しているミュージシャンからの影響がいちばん大きかったですね。そのひとりは、日本人ドラマーの中村 亮くん。僕が渡米したときに通っていたジャズクラブで演奏してたんです。当時、自分がひよっこのときに憧れていた場所で演奏していた日本人ミュージシャンが4人いたんですけど、そのなかでも亮くんは一緒にバンドをやったり曲を作ったりと、素晴らしい友人でございます。
クリス:タイトルの『John Connor』(ジョン・コナー)って、(映画『ターミネーター』の登場人物の)サラ・コナーの息子だよね。
BIGYUKI:そうです(笑)。『ターミネーター2』が、めっちゃ好きだったんですよね。影響を受けたもののひとつで。このアルバムではAIのソフトウェアを使ったんですけど、『John Connor』は悪いAIに支配された世界に対してのレジスタンス。よいAIを使って戦いに挑むっていうので、後付けなんですけどもともと『John Connor』って曲を書いていて、その曲を今回2通りのパターンで収録して、そこからのタイトルですね。
クリス:AIとの共存みたいな感じなのかな。
BIGYUKI:人間のやっていることをさらにブーストするというか、思わない発想を得るための手段としてAIを使用することはすごく夢があるんじゃないかと。
クリス:このアルバムで聴いてもらいたいポイントは?
BIGYUKI:シンセサイザーであるとか、AIであるとか、いろいろ使っているんですけど、自分の中ではこれはソロピアノ作品というイメージなんです。コロナ期から自分がピアノと向き合ってきた結果としてのもの。普段、自分がバンドで作るアルバムとか、プロダクションに重きを置いたアルバムとか、そういうものではなかなか見せることがなかった一面を見せることができるんじゃないかなと。今までの自分の音楽を知ってくれてる方でも、ちょっと新鮮な気持ちで聴けるんじゃないかなと思います。
BIGYUKIは10月にオーストラリアツアーを計画しているほか、バンドセットでのフルアルバムも制作中だ。そのほか、BIGYUKIの最新情報はユニバーサル ミュージック ジャパンの公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
BIGYUKIが登場したのは、5月16日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
この日の放送は5月23日(土)28時ごろまで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
バークリーで出会った才能たち
BIGYUKIは、ア・トライブ・コールド・クエストからロバート・グラスパー、椎名林檎、新しい学校のリーダーズまで、国内外のトップアーティストとのコラボレーションでも知られている。Theiā
クリス:高校を卒業してすぐアメリカに行かれたんですね。
BIGYUKI:そうですね、駅前留学みたいな語学勉強を少ししていて。実は母が高校生のときに、交換留学生としてニューヨーク州のスケネクタディっていう町に行ってたんです。だから、母が英語をしゃべるので、家で母から英語を学んだりもしていました。
クリス:そうなんだ。バークリーに行こうと思ったのはなぜ?
BIGYUKI:高校生のときに、みんな進学するのかどうか、そしてそこから将来どういうことをしたいのかみたいなおぼろげなイメージを持って、そこから逆算して「じゃあ、学校どこに行こう」みたいな時期なんですけれど、僕は自分が何をしたいかっていうイメージが湧かなかったんです。でも、「自分の人生で続けてるものって何かな」って考えたときに、ピアノを5、6歳のころから始めてるなと。その音楽をきっかけにして、当時いた場所から別の場所に行くきっかけになるんじゃないのかなと思いました。アメリカがイメージとして身近なもので、当時、活躍していたミュージシャンの小曽根 真さんとか、レジェンドの穐吉敏子さんとかがバークリー出身っていうことで、そこからいろいろ調べ始めたっていう感じです。
バークリー音楽大学の同級生には、エスペランサ・スポルディングをはじめ、素晴らしいミュージシャンが大勢いたと語る。
BIGYUKI:エスペランサなんかは本当に大活躍してるアーティストのひとりです。上原ひろみさんも近い世代で、僕が入学したときにはすでに学内のスターでしたね。上原さんが校内の大きな演奏会場でライブをやっていると、アメリカ人とか他の国から来てる人たちが、物を投げるジェスチャーをするんです。僕、怒ってるのかなと思ったんですけど、みんな感極まって「うわーっ」って投げるジェスチャーだったんです。それを見て、「こんなに世界中の人を沸かしてる日本人アーティストがいるんだ」って感激しました。そこから数年で学内スターから世界的なスターになりましたよね。
In A Trance
音楽はタイムカプセルみたいなもの
幼いころからピアノに親しんでいたBIGYUKI。きっかけは、趣味でピアノを弾いていた母の存在だった。BIGYUKI:子どもながらにその姿を見て「触りたい」みたいなことを言ったんでしょうね。ポロポロとピアノを触っていて、母もそれを面白がって、たぶん母が習っていたピアノの先生にちょっと見てもらったりしてるうちに、別のピアノの先生を紹介してもらって。本当に素晴らしい先生に恵まれて、今の自分の音楽性の根幹になるような体験をしました。
クリス:クラシックから入った?
BIGYUKI:そうですね。先生についてからはクラシック。いわゆるバイエルだとか、チェルニーだとか、そういう練習曲みたいなのを始めました。
クリス:今はジャズのみならずいろんな音楽に携わってるけれど、大きいジャンルで言うとジャズピアニストになりますよね。小さいころからジャズは好きだったの?
BIGYUKI:全然知らなかったです。基本的にはクラシック音楽と、あとは当時聴いていたポップス音楽でした。
初めて買ったCDは当時好きだったアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)の主題歌、B.B.クィーンズの『おどるポンポコリン』だったという。
おどるポンポコリン
BIGYUKI:つくづく思うんですけど、音楽はタイムカプセルみたいなもんだなと思って。音楽を聴くと、当時の記憶がおぼろげに戻ってくるような気がするんですよね。心がキュッてなります。
クリス:ロックは通らなかったの?
BIGYUKI:通ってないんですよ。僕が日本にいて、ポップスが全盛期だった音楽といったら小室哲哉さんがいますね。そこから逆算というか、グラムロックの存在を知り、そこからパンクの存在を知り……。
クリス:ロック通ってるじゃない。
BIGYUKI:でも、現象としてのって感じです。音がすごく刺さったというよりは、ファッションであるとか、そういうのが面白いなと思ったりはしました。
クリス:ほかにはどんなのを聴いていたんですか?
BIGYUKI:地元ですごくオシャレな友だちがいて、そのお兄さんがファッション系の仕事をしていて、彼からたとえばニルヴァーナとか、スマッシング・パンプキンズ、ガービッジ、ソニック・ユースとか、思えば自分なりに手の届く範囲で聴いていたりしてましたね。今思い出したんですけど、アタリ・ティーンエイジ・ライオットっていうドイツのバンドも聴いてました。速い四つ打ちに「ギャー!」ってずっと叫んでるみたいな。それを、すごく平和な住宅地の自分の部屋の窓を開けて、大音量でかけてました。若気の至りというか。処理しきれない何かがあったんだと思います。
Atari Teenage Riot "SPEED" (REMASTERED)
出会いで変わったニューヨーク生活
「10点満点のアルバムは?」と質問されたBIGYUKIは、学生時代によく聴いていたビラルの『1st Born Second』を挙げた。Reminisce
BIGYUKI:バークリーから離れて、ボストンにしばらく住んで。そこから次は何なんだとなったときに、やっぱりニューヨークだなと。ニューヨークに何回かバスに乗って行ったりして、行くたびにすごいエネルギーに当てられて「ここに自分はいたいな」っていう漠然とした思いが募っていったんです。ニューヨークに移って1年目、そこで(ロバート・)グラスパーが出てくるんですね。(ビラルのバンドに)彼が在籍してたんですけど、彼が抜けて一新というタイミングで、共通のミュージシャンからの紹介で僕の存在を知ってもらって一緒に演奏することになったんです。同時期にタリブ・クウェリのバンドにも参加することになって、そこからニューヨークでの生活が変わっていきましたね。
また「当時のピアノヒーローといえば、ブラッド・メルドーだった」と続ける。
London Blues (Live)
Maestro's Kingdom
AIと向き合った最新作は「ソロピアノ作品というイメージ」
BIGYUKIは5月13日に最新ミニアルバム『John Connor』をリリースした。本作はコロナ禍、東京のスタジオにこもって録り溜めていたトラックを集めた、完全ソロレコーディングによる作品だ。クリス:タイトルの『John Connor』(ジョン・コナー)って、(映画『ターミネーター』の登場人物の)サラ・コナーの息子だよね。
BIGYUKI:そうです(笑)。『ターミネーター2』が、めっちゃ好きだったんですよね。影響を受けたもののひとつで。このアルバムではAIのソフトウェアを使ったんですけど、『John Connor』は悪いAIに支配された世界に対してのレジスタンス。よいAIを使って戦いに挑むっていうので、後付けなんですけどもともと『John Connor』って曲を書いていて、その曲を今回2通りのパターンで収録して、そこからのタイトルですね。
John Connor I
John Connor II
BIGYUKI:人間のやっていることをさらにブーストするというか、思わない発想を得るための手段としてAIを使用することはすごく夢があるんじゃないかと。
クリス:このアルバムで聴いてもらいたいポイントは?
BIGYUKI:シンセサイザーであるとか、AIであるとか、いろいろ使っているんですけど、自分の中ではこれはソロピアノ作品というイメージなんです。コロナ期から自分がピアノと向き合ってきた結果としてのもの。普段、自分がバンドで作るアルバムとか、プロダクションに重きを置いたアルバムとか、そういうものではなかなか見せることがなかった一面を見せることができるんじゃないかなと。今までの自分の音楽を知ってくれてる方でも、ちょっと新鮮な気持ちで聴けるんじゃないかなと思います。
BIGYUKIは10月にオーストラリアツアーを計画しているほか、バンドセットでのフルアルバムも制作中だ。そのほか、BIGYUKIの最新情報はユニバーサル ミュージック ジャパンの公式サイトまで。
番組の公式サイトには、過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。
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2026年5月23日28時59分まで
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番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週土曜18:00-18:54