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レッチリのフリー、還暦を過ぎてジャズに原点回帰。2年間“毎日トランペットを練習”して生まれた初ソロ作を紐解く

レッチリのフリー、還暦を過ぎてジャズに原点回帰。2年間“毎日トランペットを練習”して生まれた初ソロ作を紐解く

3月に初のソロアルバム『Honora』をリリースした、Red Hot Chili Peppersのベーシスト、フリーに注目した。

この内容をお届けしたのは、4月8日(水)放送のJ-WAVE『MIDDAY LOUNGE』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)の「TWO ROOMS MUSIC EXPLORER」。世界の音楽シーンのムーブメントを“今”の視点で考察するコーナーだ。

『MIDDAY LOUNGE』はグローバルなルーツを持つ国際色豊かなナビゲーターたちが、リスナーと一緒に「新しい自分、新しい世界と出会う」3時間のプログラム。ナビゲーターは、月曜 ハリー杉山、火曜 市川紗椰、水曜 クリス・ペプラー、木曜 ジョン・カビラが日替わりで担当している。

フリーの人生を大きく変えたジャズとの出会い

Red Hot Chili Peppersのベーシスト、フリーは3月27日(金)に初のソロアルバム『Honora』をリリース。ルーツであるジャズに回帰した、極めてパーソナルな作品となっている。今回は、あまり語られることのないフリーの人生をたどりながら、アルバムについて紹介した。

Red Hot Chili Peppers - Higher Ground

フリーの本名は、マイケル・ピーター・バルザリー。1962年にメルボルンで生まれ、幼いころにアメリカへ渡る。9歳のときに両親が離婚し、その後、母親の再婚相手がジャズミュージシャンだったそう。

クリス:家のリビングで行われるジャズセッションを目の当たりにし、フリーは大きく感動。「人生で最高の体験だった」と語っています。ジャズは彼に、この世界には想像もつかない素晴らしいものがあるということを感じさせたんですね。そして、自然とトランペットを手に取り、練習するようになったそうです。そのころの憧れはクリフォード・ブラウン、ディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィスといった偉大なジャズトランペッターたち。かなり硬派というか、正統派ジャズが当時は好きだったんですね。

フリーはロサンゼルスの高校でヒレル・スロヴァクと出会い、ロックに目覚める。1983年、20歳のときにアンソニー・キーディスやジャック・アイアンズとバンドを結成する。これがのちのRed Hot Chili Peppersとなる。

クリス:ちなみに、じっとしていられない性格から、高校時代はノミという意味の「フリー(Flea)」と呼ばれ、そのあだ名がそのまま定着しました。みなさんご存知のとおり、Red Hot Chili Peppersは世界的なモンスターバンドに成長しますが、そのかたわらでフリーは2008年、46歳のときに南カリフォルニア大学の音楽学部に入学。音楽理論やジャズトランペットを本格的に学び直したんですね。

『Honora』で見せたフリーの新境地

ソロアルバム『Honora』の制作を決意したのは、フリーが60歳を迎える直前のこと。

クリス:当時、ツアーの真っ只中で、家には奥さんと生まれたばかりの子どもがいる環境でしたが、「2年間、トランペットの練習を毎日する」と決めて実行しました。アルバム『Honora』には、Radioheadのトム・ヨークが参加した『Traffic Lights』という曲が収録されています。

フリーとトム・ヨークは、2009年10月にAtoms For Peaceというバンドを結成していた。

クリス:Atoms For Peaceは「FUJI ROCK FESTIVAL」に出演したり、単独ライブなども行っていましたね。フリーの別の側面を垣間見ることができて、すごくいいライブを見せてくれたなと思います。今回、『Honora』に収録された『Traffic Lights』の原型は、ドラマーのディアントニ・パークスと初めて演奏したときに生まれたもので、Atoms For Peaceを思わせるサウンドだったことからトム・ヨークにデモを送ったところ、ボーカルだけでなくピアノやシンセサイザーでも参加することになりました。

Flea feat. Thom Yorke - Traffic Lights (Official Visualizer)

『Honora』では、チャド・スミスやジョン・フルシアンテといったRed Hot Chili Peppersのメンバーのほか、ニック・ケイヴが参加。さらにジョージ・クリントンらが手がけた『Maggot Brain』のカバーも収録されている。

クリス:基本的には、現代ジャズシーンの一流ミュージシャンたちが参加してます。そのなかでフリーは、トランペットとベースで新たな境地を見せてくれています。

自身もベーシストであるクリスは、フリーのベースについて解説する。

クリス:フリーのベースにはいくつかのルーツがあります。チャールズ・ミンガスやジャコ・パストリアスといったジャズの影響に加え、ラリー・グラハムやブーツィー・コリンズといったファンクやソウルの影響も大きいです。意外なところでは、ニュー・オーダーのピーター・フックのようなポストパンクのベーシストからも影響を受けています。つまり『Honora』はジャズアルバムでありながら、ジョン・コルトレーンからSex Pistolsまであらゆる音楽的ルーツが詰まった作品であると、フリー本人はインタビューで語っています。フリーは「音楽がなかったら人生が困難だっただろう」と語っていて、まさに“ノー・ミュージック、ノー・ライフ”を体現している存在ですね。

アルバムタイトルの『Honora』は、フリーの高祖母の名前に由来している。貧しいなかで密造酒を売りながら生き抜いた、不屈の女性だったという。さらにジャケット写真には、フリーの奥さんの母、つまり義母の写真が使われている。こうした点からも家族やルーツが大きなテーマになっていることがうかがえる。

番組では、『Honora』からフリーがベースとトランペットを演奏している『Thinkin Bout You』をオンエアした。

Flea - Thinkin Bout You (Official Visualizer)

アルバムから感じられる“フリーらしさ”も魅力

『Thinkin Bout You』をオンエアし、クリスはアルバムの印象についてあらためて語る。

クリス:お聴きのとおり、今回のアルバムは、これまでのレッチリのイメージとはかなり違いますよね。YouTubeなどでも彼が演奏している映像が公開されています。アメリカのトーク番組『The Tonight Show』で披露していて、ベースを弾いたあと、そのままトランペットを手に取って吹き始めると、観客から大きな拍手が起きるんですね。フリーがトランペットを吹く姿を初めて見た人も多かったと思いますが、このアルバムはまさに彼の内面を映し出した作品だと感じます。

Flea: Thinkin Bout You | The Tonight Show Starring Jimmy Fallon

10代からパンクやミクスチャーで、かなり破天荒な活動をしてきたフリーだが、その一方で、心の中では穏やかなものを求めていたのかもしれないとクリスは分析する。

クリス:還暦を過ぎて、PeaceやCalmといった感覚を強く求めていることが、このアルバムから伝わってきます。ジャズをベースにしながら少し外れた楽曲もありつつ、全体としてはジャズアルバム。トランペットを聴かせたいという意図も感じますが、やはりベースラインにはフリーらしさがしっかり出ていて、「やっぱりレッチリだな」と思わせる瞬間もあります。非常に面白い作品なのでレッチリファンはもちろん、それ以外の方にもぜひ聴いてみてほしい1枚です。

J-WAVE『MIDDAY LOUNGE』のコーナー「TWO ROOMS MUSIC EXPLORER」では、世界の音楽シーンのムーブメントを「今」の視点で考察する。放送は月曜~木曜の14時ごろから。

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番組情報
MIDDAY LOUNGE
月・火・水・木曜
13:30-16:30