氣志團・綾小路 翔、現代の“ヤンキーカルチャー”をどう思う? 若いファンと話して気づいたこと

氣志團の綾小路 翔が、成人式の思い出を振り返り、バンド結成のエピソードを語った。

綾小路が登場したのは、1月12日(月・祝)放送のJ-WAVE『THE KINGS PLACE』(ナビゲーター:04 Limited Sazabys)。4組のバンドが曜日ごとにナビゲーターを務めるロックプログラムだ。ナビゲーターは、月曜 04 Limited Sazabys、火曜 MAN WITH A MISSION、水曜 ねぐせ。、木曜 ヤングスキニーが担当している。

綾小路の成人式は「苦い思い出だった」

氣志團は1997年、千葉県・木更津のカリスマヤンキーである綾小路“セロニアス”翔を中心に結成。ヤンキーカルチャーとパンクロックを融合させた、唯一無二のロックスタイル「ヤンクロック」を掲げ、前衛的なビジュアルと過激なパフォーマンスでライブハウスシーンを席巻。2001年にメジャーデビューを果たした。

まずは、放送日の「成人の日」にちなんで、成人式の思い出を聞いた。

GEN:近年は成人年齢が18歳になりましたよね。自治体によっては成人式の名称も「20歳の集い」や「20歳を祝う会」になっています。翔さんは、ご自身の成人式の思い出ってありますか?

綾小路:当時、木更津の成人式って、『アッコにおまかせ!』(TBS系)が毎年来るくらい有名で、いまで言う北九州の成人式みたいな感じだったんですよ。東京からも来やすい距離だし、毎年テレビの人が来るわけだから、みんな張り切っちゃって(笑)。

GEN:それは調子に乗っちゃいますね(笑)。

綾小路:みなさん、白い紋付袴で車の上に乗って登場、みたいないろんなことをやっていましたね。僕らのときは随分と落ち着いていたんですけど、僕はそのときに同級生と揉めちゃったんですよ。

GEN:なるほど!

綾小路:目が覚めたら、中学時代にちょっと付き合ってた女の子の家で、血だらけの状態で看病されてました。何が起きたか全然覚えてないし、彼女も「お前を連れて帰れって言われたけど、私、関係ないのに。早く帰ってくれ」って言われて。「失礼しました」と帰って……すごく苦い思い出ですね。

GEN:血気盛んだったんですね。

綾小路:この前、お正月に同級生たちと集まって、まさにその話をしたんですよ。「お互い若かったね」と話しました。

GEN:20歳なんて、いま振り返ると全然、大人じゃないですからね。

綾小路:いま振り返ると、情けないくらい子どもでした。

令和を生きる若者たちがヤンキー文化にハマる理由

番組では、22歳のリスナーから届いた「全盛期のヤンキー文化を知らない世代ですが、若い世代が理解しておいたほうがよい、当時のカルチャーや精神はありますか?」という質問に、綾小路が答える場面があった。

綾小路:いまは『ラヴ上等』(Netflixで配信中のヤンキーによる純愛リアリティショー)ですからね。僕らからすると、全然わからない世界というか。当時のことで、いまに役立つことってあるんだろうか。

GEN:でも、精神性みたいなものは、カルチャーとしてすごく好きなんですよ。僕も小学校のころに『疾風伝説 特攻の拓』(講談社)とか『湘南純愛組!』(講談社)といったヤンキー漫画を読んでましたし、バイクも好きで。そういうヤンキーカルチャーは大好きなんですけど、いまに通じるものってありますかね?

綾小路:(ヤンキーカルチャーを)完全に「歴史もの」として捉えて、映画とかを観ると面白いかもしれないです。

GEN:なるほど!

綾小路:この前、新曲の『汚れなきクソ野郎ども』のリリースイベントをやったときに、10代とか20歳そこそこの子たちが参加してくれて。こっちのほうが戸惑っちゃって、「なんで?」となったんですよ。そうしたら、みんな『東京卍リベンジャーズ』(講談社)とか『WIND BREAKER』(講談社)とかの漫画やアニメに夢中らしいんです。それって、もはや新選組を好きになって“歴女”になるみたいな感覚で、ファンタジーに近いんですよね。

汚れなきクソ野郎ども

GEN:へええ!

綾小路:侍、忍者、ニホンオオカミみたいな、実在はしたけど絶滅しかけてる存在みたいに僕らがなっていて(笑)。「試しにちょっと見てみよう」くらいで来てくれたら、「イメージと違ったけど面白かった」と。こんな出会いもあるんだなって、ありがたいなと思いますね。

GEN:少し前に『今日から俺は!!』(小学館)が流行りましたし、『不適切にもほどがある!』(TBS系)もありましたよね。昔の文化をいまに置き換えると、すごく面白くなる感覚があるんじゃないでしょうか。

綾小路:そうだねえ。僕は正直、『今日から俺は!!』をやるって聞いたとき、ウケないだろうって思ってたんですよ。でも、めちゃくちゃウケてて。そうしたら、うちのメンバーが「ヤンキーがどうこうじゃないんだよ。“ただしイケメンに限る”なんだよ」と言っていて(笑)。『東京卍リベンジャーズ』みたいに、かっこいい子たちがやると違う文化として伝わるんだなって思いましたね。「我々も頑張らなきゃね」という話になりました(笑)。

男性アイドルに憧れて音楽の道へ

月曜の『THE KINGS PLACE』内、ゲストの素に迫るコーナー「GENの部屋」では、綾小路の音楽の原点、氣志團デビューまでの経緯を掘り下げた。

GEN:まずは翔さん、音楽を好きになったきっかけから教えてください。

綾小路:やっぱり最初は光GENJIですね。昭和最後のアイドルと言っていいくらいの存在で、本当に社会現象でした。チェッカーズも好きでしたけど、当時、小学校5年生くらいで初恋のタイミングと重なって、完全にハマったんです。

GEN:初恋と同時期だったんですね。

綾小路:しかも相手は転校生(笑)。ある日、彼女の机の上に光GENJIの下敷きがあって「誰だ、この男たちは?」となったんですよ。それでいとこに聞いたら「知らないの? 光GENJIだよ」と言われて、カセットテープをダビングしてもらったんです。そこからテレビで音楽番組を自分の意志で観て、気づいたら完全に虜になってしまって、「これには敵わない」と思ったんですよね。

GEN:なるほど!

綾小路:勝ち目がないから「じゃあ“向こう側”に行くしかない」と思って、いとこに相談したら、ファンクラブみたいなところに応募してみたらどうかとアドバイスを受けていたんです。当時、僕は母親からすごく溺愛されていたんですけど、履歴書を書いてはんこを押してもらおうとしたら、初めて平手打ちをされて泣かれました(笑)。

GEN:ええ~! なぜでしょう?

綾小路:「お母さん的にはハンサムだと思ってるけど、世間的にはそうでもない!」と言われました(笑)。

GEN:世間とのギャップで怒られるんですか(笑)。母親からの反対を受けたけど、好きな気持ちは抑えられなかった?

綾小路:そうですね。

GEN:男性アイドルからそういう世界に興味を持つようになったんですね。

学生時代は「ホコ天」に通う少年だった

アイドルの道を諦めることになった綾小路だったが、世間では空前のバンドブームが到来。THE BLUE HEARTSやチェッカーズといった伝説的なバンドの楽曲が、日常的に耳に入る時代だった。

また、原宿の歩行者天国・通称「ホコ天」は、80年代末のバンドブームの象徴として週末になると数多くのバンドが集まり、路上でライブを繰り広げた。そのなかから、のちにメジャーシーンで活躍するバンドも数多く誕生している。

綾小路:いまの代々木公園のあたりが歩行者天国になって、両サイドに300バンドくらい並んで演奏していたんです。

GEN:へええ!

綾小路:人気のあるバンドには人だかりができていて、業界の人も観に来ていました。僕は中1のころは毎週通っていて、デモテープを買い漁ってましたね。

GEN:そこでいろんなものを吸収して、ご自身のバンドである氣志團を結成されるじゃないですか。そのときはどういうモチベーションで集まったんですか?

綾小路:上京してくるときは憧れがいっぱいあったんですよね。自分のロールモデルとしてはBLANKEY JET CITY、Hi-STANDARD、eastern youth、ギターウルフと、全部スリーピースバンドなんですよ。

GEN:全然違うじゃないですか(笑)。

綾小路:ストリートから出てきたちょっと不良っぽいバンドに憧れていたんですよね。「そういったバンドのいい要素を全部集めて、いま上京いたしました!」「ちょっくら世界を変えにきました!」って感じだったんです。自己肯定感が非常に高い勘違い野郎だったんですけども、あっという間に現実を見ることになります。

諦めのなかで見出した「ヤンキー」の可能性

東京には、同じような志を持つ人間が山ほどいた。綾小路はそのなかでレベルの違いを痛感し、生活の厳しさも重なって、20歳を迎えるころには夢も自信も失っていったという。

GEN:そこから、「ひょっとしたらいけるかも」と思えるようになったきっかけはあったのでしょうか?

綾小路:とにかく生活するのに精一杯だったんだけど、うちのドラマーの白鳥雪之丞君は高校生時代からいろんなライブハウスに潜り込んで、いろんな方とコミュニケーションを取っていたんです。ドラマーは引く手あまたで、気がついたら6バンドぐらい掛け持ちしていたんですよ。

GEN:すごい!

綾小路:彼に対して、正直、やっかみも相当ありました。バンドを教えたのも、東京のライブハウスに連れて行ったのも俺なのに、気がつけば、もう手の届かない存在になっていたんです。そのころから仕事もうまくいかなくなって、歌舞伎町でフラフラとアルバイトをするようになりました。そのあと、ライブハウスのスタジオに勤めることになって、そのときに「やっぱり、最後にバンドをやりたい」と思ったんですよね。

先人たちへの憧れの気持ちを捨て、「これは違う」「これも違う」と一つひとつ選択肢を削っていった結果、最後に残ったのが、もっとも離れたかった“ヤンキー”という存在だった。

綾小路:東京に来てヤンキーの世界から逃げられると思っていたんですけど、俺にはヤンキーしか残っていなかったんですよね(笑)。東京では指を差されて笑われましたけど、「ここしかない」と思ったんです。歌もうまくないから、最初はインストバンドでしたし。

GEN:インストバンドだったんですか!? 独自の道を見つけましたね(笑)。

綾小路:みんながやっていることをやっていたら何者にもなれないと思って始めたんですよね。「これでどうにかなるだろう」と思ったことはほぼなかったんですけど、いまのメンバーたちがバイト先にいて、「手伝おうか」と入ってくれたんですよ。

GEN:そういうことだったんですね。メンバーたちも翔さんの生き様に可能性を感じたんでしょうね。そうして始まったバンドがもう25周年ということで。

綾小路:デビュー25周年で、結成は29年目に突入しました。

氣志團の最新情報は公式サイトまで。

新時代音楽王たちの集い『THE KINGS PLACE』の放送は、毎週月曜~木曜の25時から。04 Limited Sazabysは月曜日の担当。

現在は、Dragon Ash/The RavensのKjがゲストに登場した回が、radikoタイムフリー機能で楽しめる。GENが大好きな大先輩であるKjのプライベートや音楽ルーツ、最近始めたという料理の話まで、たっぷり話を聞いた。再生は2026年2月9日まで。
番組情報
THE KINGS PLACE
月・火・水・木曜
25:00-26:00

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