King GnuとRADWIMPSに感じる共通項は─新井和輝×武田祐介、ベーシスト同士で語り合う

RADWIMPSの武田祐介(Ba)とKing Gnuの新井和輝(Ba)がJ-WAVEで対談。武田から多大な影響を受けたと語る新井の学生時代のエピソードや、RADWIMPSのニューアルバム『あにゅー』について語り合った。

武田が登場したのは、11月18日(火)放送のJ-WAVE『SPARK』(ナビゲーター:King Gnu・新井和輝)。注目のアーティストが曜日ごとにナビゲーターを務める音楽番組だ。ナビゲーターは、月曜 sumika、火曜 新井和輝(King Gnu)、水曜 秦 基博、木曜 ØMI(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)が担当している。

新井は武田のことを「生みの親」と公言

高校3年間にわたってRADWIMPSのコピーバンドをやってきたことを公言してきた新井。オープニングトークでは、その影響の大きさから「生みの親みたいな存在」とまで語った。

新井:なんといっても僕のベースのほぼ生みの親は武田さんです。

武田:そういううわさをちょいちょい聞くんですけど、恐れ多すぎて。

新井:中学2年の終わりぐらいからベースを弾き始めて。中3ぐらいのときに地元のTSUTAYAでラッドの4枚目の『RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~』をジャケ買いで買ったんです。

武田:お勧めされたとかではなくて、ジャケを見て? なんか弁当食ってるなこの人たち、みたいな(笑)?

新井:その時になんでジャケ買いしたのかまでは覚えてないんですけど、CDを買って。「なんだ、このバンドは!」というところが最初です。そこからラッドが好きで、ずっと聴いていて、当時、陸上部だったんですけど、同じ部活のやつらに貸したりして「ちょっとこれヤバい」みたいになって。ベースも始めたから「ラッドの曲もやってみたい」という感じでバンドスコアを買いました。『遠恋』を聴いて「これ、なにやってるんだろう?」というのがまったくわからないまま、教則本とか『おかずのごはん』のスコアを買って「スラップというものがあるらしいぞ」みたいなのが。

遠恋

武田:間奏でソロバトルみたいなかけ合いがあってね。

新井:それで「うわ、これやりたい!」というところから、ちょっとテクニカル志向になったというか。それまではアジカンの山田貴洋さんがピック弾きだったから、ピックで弾いてました。

武田:本当に光栄だけど、たぶん教則本とかを見てスラップを練習した3日後ぐらいに、僕は抜かれてると思うな(笑)。

新井:そんなことないですよ(笑)。

武田:そうか、うれしいなあ。

驚異的な速度でアルバムをリリース

新井は当時、RADWIMPSが驚異的なスピードでアルバムを出していたことに触れた。

新井:そのころに4枚目のアルバムってヤバいですよね。デビューが相当早かったということですよね。だって、僕らがいま4枚目が出たところですから。それで「5枚目頑張ろうぜ」と言ってるところなので。僕らで言う4枚目が『おかずのごはん』ということじゃないですか。それが19年前。

武田:デビューした年にアルバムを2枚出してるんです。俺的には1st、インディーズのときに出したRADWIMPSの1枚目には俺は参加してないから、俺的には(『おかずのごはん』は)3rdだけど。とはいえ、たしかに生き急いでいたね。

新井:すごい勢いで曲を制作していたということですよね。

武田:めちゃくちゃやってたね。

新井:その3、4、5枚目あたりの、僕がドンズバのキッズだった時代なんですけど、あのときの空気感とかバンドのスケジュール感がどんな感じだったか覚えてますか?

武田:(予定が)めちゃくちゃ詰まっていたと思う(笑)。たしか、3枚目を作り終わって、すぐに4枚目を作りたいとうちのボーカル(野田)が言い出して。

新井:そうなんですね。音楽的には3、4、5枚目の色はかなりしっかり区別されているというのが、僕のなかではあるんです。でも、3枚目の終わりと4枚目の始まりが近かったんですね。

武田:近かったですね。

新井:3枚目が2006年2月、4枚目は2006年12月!?

武田:恐ろしくない(笑)?

新井:恐ろしい!

武田:いま、自分で(資料を)見ても恐ろしい。そんなことある?

新井:あとでニューアルバムの話をしますけど。10月8日に新しいアルバムが出て、つまり2026年の8月ぐらいにもう1枚新しいアルバムを出してくださいということですからね。

武田:ホラーだよホラー、やばいやばい。よくやったよ。

もともとはプレイヤーではなくベースを作る人になりたかった

RADWIMPSが3枚目と4枚目のアルバムをリリースした当時、武田は「しかも、そのとき俺、学生だった」と語る。

新井:19年前って、そうか。

武田:大学1年か2年。

新井:すごいキャリアですね。

武田:だから、ほとんど行ってなかったよ。「半分、単位取りに行ってます」みたいな。

新井:それこそ、洗足音大(洗足学園音楽大学)出身ですよね。

武田:肩書きだけは(笑)。

新井:僕は武田さんの世代の1個下のギタリストとか、同い年のドラマーとかとちょこちょこ一緒に演奏させてもらったりとかもしていて。武田さんの話をその人づてに聞いたりしてるんです。そもそも、ラッドに入ったのは高校生のタイミング?

武田:誘われたのが高3の終わりで。「これから大学で勉強するぞ!」と意気込んでいたときに誘ってもらって。大学に入ると同時ぐらいかな。

新井:そのときは、もう洗足に入ることは決めていたタイミングでバンドの話もあったんですね。

武田:決まったあとにお誘いいただいて。

新井:洗足に入るぞと決めたということは、なにかしらベースプレイヤーとしてやっていこうという志があったんですよね。

武田:それもあったんだけど、それプラス楽器が好きで。ベースが好きだったから、俺はクラフトのほうに行こうと高校のときに思っていたの。

新井:作るほうということですか?

武田:進路を親に相談していて、最初にクラフトの専門学校に行きたいと。

新井:クラフトだと、だいたい専門学校ですよね。

武田:と言ったら「専門ダメ」と言われて。いま思うとよくわからないというか、「なんでやねん」と思うけど「大学に行け」と。それで当時、俺は吹奏楽部だったんだけど先輩で音大に行ってる人がいて。その人は洗足だったんだけど「うちの大学にジャズ科というのがあるよ。そこはエレキベースで入学できるからどう?」みたいな。「クラフト、楽器を作る人間はプレイヤーの心がわからないとダメじゃん?」と先輩が言っていて。

新井:弾けたほうがいいですよね。

武田:というので、親にも「洗足大学というのがあるんだけど、ここに行かせてください」と話して。

新井:そういう経緯だったんですね。最初はクラフトマンになりたかったんですね。

武田:そう。ベースを作りたかったんだよ。

通算11枚目のアルバム『あにゅー』の制作エピソード

11月23日(日)にメジャーデビュー20周年を迎えるRADWIMPSは、10月8日(水)に通算11枚目のアルバム『あにゅー』をリリースした。同作には、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の主題歌『賜物』、日本テレビ『news zero』テーマソング『命題』『ピアフ』などを含む全12曲を収録している。

RADWIMPS - 賜物 [Official Music Video]

新井:アルバムを聴かせていただきました。まず、第一印象はかなりフィジカルというか、バンド然に立ち返っての、そこの大事なものを原点回帰じゃないですけど。そういうのを最初に感じました。

武田:うれしいです。まさに、うちらとしてもそれを狙って。「いま俺らが鳴らせるバンドサウンドってなにかな?」というのをまずコンセプトとして持って取り組んだので、そう伝わってくれたのは本当にうれしいです。

新井:それこそ3、4、5枚目のころの衝動感が入っているけど、それでもそれ以降のアルバムの経路というか、消化されたものもすごく感じました。落とし込めてるなという印象というか。

武田:話したいこと全部言ってくれた(笑)。

新井:そう思いましたね。

武田:まさにそうですね。前回のアルバム(『FOREVER DAZE』)とかは、どうしても制作がコロナ禍だったりして、データのやり取りで構築していった曲が多かったので、あまりみんなで集まってスタジオで音を出してということができない環境で作っていたものだったから。バンドサウンドとはまた違うところで、僕たちとしてもすごくいいアルバムができたなという手ごたえもあったアルバムでしたが、やっぱり今回の最新アルバムはそれの反動もあり、スタジオでちゃんと音を鳴らして作ろうということを、旗をかかげて挑みました。

新井:インタビューも読ませてもらいました。半年で大半の曲を作ったと書かれていましたが、本当ですか?

武田:たしかに、半年ですね。

新井:タイアップでアルバムに入っている曲以外の収録曲をほぼ半年でやって、みたいなことが書いてあって。

武田:なんとなく、そんな感じです。

新井:それはすごいですね。

武田:けっこう詰まってましたよ。ずっとやってた。1曲目の『命題』と、先ほど聴いてもらった『賜物』という曲はワールドツアー中とかから温めていた曲ではあったんですけど、それ以外は今年の春ぐらいにギュッと詰めてやりました。

新井:それこそ以前の3、4、5枚目ぐらいのインタビューを当時、読んでいたんですけど、「RADWIMPSってなに?」と言われたときに「うまくひと言で説明できない、というのがRADWIMPSなんじゃないかなと思うよ」というようなことをおっしゃっていて。「ジャンルってなに」とか「どういう音楽というのが説明つかない」とか、それがある意味、RADWIMPSなんだと。それとまったく同じ印象をこのアルバムで受けました。曲の幅がすごいじゃないですか。

武田:たしかにそうだね。

新井:『ワールドエンドガールフレンド』もそうだし、『MOUNTAIN VANILLA』とかも。

武田:たしかに、バンドサウンドにいったり、弾き語りにいったりとかね。

新井:かなり「1曲じゃRADWIMPSというものを語れない」というのをアルバムを通して体現されていたなと。King Gnuもそういう側面があるので、かなりジャンルも幅広く。

武田:だって「King Gnuをひと言で説明してください」と言われたら困るよね。

新井:そういう意味では、僕らとRADWIMPSとの共通項を感じていたりもします。King Gnuを初めてからずっと僕は個人的には思っていて。とにかく半年でこれはすごいですね。制作はデモが送られてきて、ある程度詰めてスタジオにゴーみたいな感じだったんですか?

武田:というのもあったし、スタジオで「ああだこうだ」というのもあって。デモをある程度作り込んでいって、実際にスタジオでみんなで鳴らしたら「なんかこれ違うな」みたいなことって、たまにない?

新井:全然あります。

武田:「テンポ遅くね?」みたいな(笑)。実際に鳴らさないとわからないことっていうのが往々にしてあるからね。ある程度、用意していても、鳴らして直すというのが基本だったかな。

RADWIMPS - ワールドエンドガールフレンド / World End Girl Friend [Official Music Video]

RADWIMPSは11月19日(水)にメジャーデビュー20周年記念トリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』をリリース。そのほか、最新情報は公式サイトまで。

J-WAVE『SPARK』では、月曜から木曜まで日替わりのアーティストがナビゲーターを務める。放送は24時から。
番組情報
SPARK
月・火・水・木曜
24:00-25:00

関連記事