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宮本慎也×鳥谷 敬が対談。今だから明かせる、引退決意の裏側「何回、生まれ変わっても…」

宮本慎也×鳥谷 敬が対談。今だから明かせる、引退決意の裏側「何回、生まれ変わっても…」

宮本慎也と鳥谷 敬──プロ野球の歴史を築いたふたりが、J-WAVEで対談した。大谷翔平のすごさや、プロの世界で生きていくうえで大切なこと、引退を決意した瞬間に抱いた想いを語り合った。

この内容をお届けしたのは、10月13日(月・祝)放送のJ-WAVE『J-WAVE SPECIAL REGNO THE GREAT HISTORY』(ナビゲーター:nico)。偉大な歴史を築いたレジェンドが思い出の地をブリヂストンのフラッグシップタイヤ「REGNO」を装着した車両でのドライブで巡りながら、そのヒストリーを語るスペシャルプログラムだ。

現在、ポッドキャストとしてディレクターカット版を配信中だ。ここでは、トーク内容のごく一部をご紹介する。

大谷翔平の「表情」から感じることは?

プロ野球のレギュラーシーズンが終了したばかりの10月。普段から顔を合わせることの多い、気心の知れた宮本慎也と鳥谷 敬のドライブがスタートした。

宮本は1994年にヤクルトスワローズに入団。堅実なプレーでチームを支え、2012年に名球会入りを果たす。一方、鳥谷は2003年に阪神タイガースに入団。2016年には史上4人目となる600試合連続フルイニング出場を達成。2017年に同じく名球会入りを果たした。

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話題は、今年も大活躍のメジャーリーガー・大谷翔平について。

鳥谷:今シーズンの活躍はどう見てますか?

宮本:もうさ、俺らが言うあれじゃないじゃん。

鳥谷:いつも思いますよね。「(大谷選手を)解説してください」って言われても厳しいですね。

宮本:厳しいよ(笑)。

鳥谷:同じ世界で野球をしてないですからね。

宮本:そう。本当に楽しいと思うよ。

鳥谷:大谷選手は打ってるときにすごく楽しそうに見えるんですけど、ピッチャーをやってるときは、三振を取ったら作ってないガッツポーズをするじゃないですか。表情を見ると、意外にピッチャー(の人)なんじゃないかなって。

宮本:なるほどね。

鳥谷:ピッチャーのときって笑ってるとかないじゃないですか。

宮本:ない。

鳥谷:打ったときは、みんなをのせるためにガッツポーズをしているというか、「みんなこいよ!」ってガッツポーズをするじゃないですか。でも、ピッチャーのときは違う温度感というか。本質はピッチャーなのかなと思って。

宮本:そうなんだろうね。実際、ピッチャーってまわりが迷惑かかるくらいマイペースじゃないとできないんじゃないってくらいだから。「大谷選手のすごいところってどこですか?」って言われるけど、そんなの全部すごいし。

続いて宮本は、大谷の野球に対する真摯な姿勢に驚かされた出来事を語る。

宮本:大谷選手は自分の生活のルーティンを守るために、ヌートバーが遠征に来て「ごはんに行こう」って言ってるのに「寝るから行けない」って言えるのが俺はすごいと思う。そうだったとしても、1時間くらい付き合ってやるかってなるけど、それをきっぱり断れるのがすごいなって。

鳥谷:やっぱり野球と向き合ってる時間が長いんでしょうね。

宮本:長いね。俺、これもすごいと思ったのが、何年か前に「いま、何がいちばんほしいですか?」と言われて、大谷選手が「料理の腕」って言ったのよ。要するに自分がこの栄養を摂らないといけないっていうなかで料理を作ると、なかなかおいしいものは自分で作れない。それがおいしく作れたらすごい幸せな気持ちで食事ができるみたいなことを言ってて、ここも野球なんだって。

鳥谷:全部、野球につながってるんですね。

宮本:そこがすごいなって。だから、あそこまでいく人は生まれ持った才能よりも、やり切るとか、そういう才能がすごいんだろうね。たぶん鳥(鳥谷)もそういうのに自信あると思うんだよ。俺もなんとなく自信はあるんだけど、そういうのを聞いちゃうと、そこまではできなかったなって。

試合に出続けることの大切さ

続いての話題は、厳しいプロの世界で生きていくうえで大切なことについて。

宮本は、「運やケガのタイミングが少しでもずれていたら、また違う野球人生になっていたかもしれない」と語る。

宮本:俺はちょこちょこケガをしてたけど、ショートで出続けるって無理だと思うのよね。鳥は(667試合連続)フルイニング出場じゃん。どうやって体を維持してたのかってすごく気になったのね。

鳥谷:めちゃくちゃ練習したんですよ。試合する日って、みんな調整するじゃないですか。でも、調整しないんですよ。午前中は筋トレして試合して、そのあとは打ち込んでとか。それを最初の何年間かはずっとやって。100パーセントのベースを試合にしないで、その前のトレーニングを休んだら、それだけでも休養日になるくらいの練習量にしてたんですよ、わざと。

宮本:これはいまの選手に聞かせたいね。

鳥谷:そうやってとにかくベースを上げることをずっとやってましたね。

ちょうどそのころ、阪神タイガースには、のちに1,492試合連続フルイニング出場という偉大な記録を打ち立てる金本知憲がいた。

鳥谷:骨折しても出て、どんなことがあっても出るっていう。そういう人が近くにいたのは大きかったですね。

宮本:俺も、ヤクルトで古田(敦也)さんはプレイできるケガなら試合に出てたんだよね。1回、古田さんが人差し指の先を骨折したとき、恥ずかしげもなく「セカンド送球はワンバンでいけるから」って言って出てたのよ。ちょっとケガしたくらいならテーピング巻いたら出れるかなとか、痛み止め飲んだら出れるかなとかみたいな姿が、俺らのベースになるじゃん。

鳥谷:たしかに。

宮本:だから、相川(亮二)がFAでヤクルトに来たときに、あいつ指を骨折したのよ。俺が「出れるだろ?」って言ったら、「いや、骨折です」って言うから「古田さんもそうだったけど、1週間我慢したら慣れるから」って言ったら「じゃあ、明日から出ます」って言って。「ダメダメ。1日空いたら心が折れるから今日から出なさい」って無理やり出させたことがある(笑)。いまって、それができないじゃん。

鳥谷:そうですね。

宮本:トレーナーからストップもかかるし。そうかもしれないけど、それだと稼げないよって思っちゃうんだよね。自分が出たら他の人にチャンスを与えないし。万が一、出てないときに他の選手が活躍するとレギュラーを取られちゃうんじゃないかなっていう恐怖があったのね。だから、出てたりしたんだけど。タイガースはそういう意味ではいろんな見本がいて。

鳥谷:いましたね。

宮本:東京から大阪に出て阪神に行ってよかったんじゃない?

鳥谷:最初はとんでもないところに来たなって思いましたけどね。

何回生まれ変わっても、これ以上のものは絶対に出ない

ドライブ後半では、お互いが引退を決意した瞬間に抱いた想いを語り合った。

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宮本:鳥はプロを何年やったんだっけ?

鳥谷:18年ですね。

宮本:辞めるときのきっかけは?

鳥谷:最後はロッテに行って、7月くらいに2軍に行ったんですね。そこで若い選手とか見て、初めて育成の選手とかと一緒に練習をしたときに、こんな感じで支配下登録の1枠を使ってるのは申し訳ないなと思って。

宮本:なるほどね。

鳥谷:で、必要とされてるんだったらもうちょっとやろうかなと思って、その年のシーズンの最終戦までに1軍に呼ばれなかったら辞めようと思ったんです。それで「呼ばれなかったので辞めます」って。時間で区切って辞めちゃうみたいな、メジャーを諦めるときもそうだったんですけど。宮本さんはどうだったんですか?

宮本:俺は辞める前年の大事な時期の8月に右第6肋軟骨骨折したのよ。事故的なケガじゃないケガはひさしぶりで。しかも、Aクラスを争っているときにファームで調整していたら、編成の人に「慎也どうしたい?」って言われて。俺、こんな性格だから「どうしたい?」ってことはどっちでもいいってことかなと思って「じゃあ、辞めます」って言ったの。「いやいや、そういうことじゃなくて」って言われたけど、「いや、辞めます」って。

鳥谷:なるほど。

宮本:そこから説得されてもう1年残れることになったんだけど、俺の中ではあと1年で辞めようって。

宮本は自身の野球人生について、「イメージよりもよかった」と振り返る。

宮本:俺は入団したときに「守備だけで打てない」って言われていて。実際にキャンプに行ったときに、正直な話、プロって守備はたいしたことないなって思ったの。全然いけるわって。でも、体つき、バッティングを見て、これはレギュラーを取れないなって思ったの。早く結果はほしいけど、いま出ても結果が出ないことが見えてたから、とにかくこの1年間で体を大きくする、強くする、当時の野村(克也)監督はバッティングはガンガン打たなくても最低限できれば使ってくれる可能性もあるだろうと思ってたから、1年目は絶対にチャンスはくるなよって思ってた。そこがうまくいって、2年目からは出られて。まさか2,000本安打をすると思ってないし、10年できて成功と思ってたから満足は満足だよね。

鳥谷:自分はメジャーに行く以外は、想像していたとおりでした。「40歳の年にショートを守って辞める」って言って、実際に守って辞めてるので。1年目は無理だろうって自分でわかってたので、2年目くらいからレギュラーを獲って、何年で向こうで挑戦してってやってきて。何回生まれ変わってもこれ以上のものは絶対に出ないと思いますね。自分の持ってるマックスでやり切ったって感じですね。

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野球との出会いから転機まで…じっくり語り合う

ふたりはここで紹介した以外にも、あらゆる切り口で語り合った。

「今の野球」に関しては、阪神タイガースや東京ヤクルトスワローズについてなど、2025年シーズンを振り返りながら、来年開催されるWBCへの期待や注目選手について言及。

自身のことについては、学生時代の思い出や野球との出会いや、憧れた選手たちの話、プロとしてのキャリアの中で印象に残る監督との出会い、ターニングポイントとなった試合についてなど、ふたりの人生を段階的にたどっていった。

中盤では、苦境との向き合い方や挫折をどう乗り越えたのかなど、それぞれの「野球人生」を掘り下げた。日本野球界の未来についてもトークを展開している。

また、ふたりのプライベートな一面に迫る場面も。本番組はブリヂストンのフラッグシップタイヤ「REGNO」を装着した車中で語り合うというスタイルだったこともあり、トークのテーマは“車”となった。ふたりは、今回のドライブ中にタイヤがもたらす「静かさ」や「乗り心地の安定性」を感じたことに触れながら、免許取得時のエピソード、愛車遍歴やドライブ時のこだわり、車内で聴く音楽など、車愛があふれるトークに花を咲かせた。

ポッドキャストでは、オンエアでは話しきれなかったトークも楽しめる。



■番組公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/holiday/20251013_sp/

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番組情報
J-WAVE SPECIAL REGNO THE GREAT HISTORY
2025年10月13日(月・祝)
18:00-19:55

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