第2期森保ジャパン、強さの秘訣は? 森保 一監督が語る「凡事徹底」「信頼」の重要さ

サッカー日本代表・森保 一監督が、第2期「森保ジャパン」で重視しているポイントや、選手たちとのコミュニケーション、2026年ワールドカップへの意気込みを語った。また、決断を下す際に意識しているポイントを明かした。

森保監督が登場したのは、9月19日(金)、9月26日(金)放送のJ-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)の「WORDS FROM THE FIELD」。ラッパーのGAKU-MCが、さまざまなフィールドで活動している方々に話を伺うコーナーで、2025年9月26日(金)で最終回を迎えた。

「やるべきことを徹底してやる」が強さに繋がる

これまで、さまざまなフィールドで活躍するゲストを迎えてお届けしてきた「WORDS FROM THE FIELD」。最終回までの2週連続で登場したのは、サッカー日本代表監督の森保 一だ。

森保:最後に私でいいんですか?

GAKU-MC:もちろんですよ! 日本サッカーを象徴する存在でもありますし、いろんなことを聞きたいと思って準備してきました!

森保:よろしくお願いします!

GAKU-MC:直近の大きな思い出としては、2022年のカタールワールドカップになるのかなと思っております。予選でも日本代表は強いですね!

森保:僕自身が監督としての経験が浅く、うまくスタートが切れませんでした。ですけども、サポーターのみなさんの力をいただきながら、選手たちがしっかり勝ってくれました。力を示してくれた予選が本大会にもつながったと思います。

GAKU-MC:それから、第2期「森保ジャパン」に続投が決まりまして本当にうれしかったですし、コーチに入ったメンバーを見てもワクワクしました。実際にワールドカップで活躍した選手がコーチに入っていく姿を見て、「日本もついにそんな時代がやってきたか!」と思ったんですね。予選が始まり蓋を開けてみたら、ぶっちぎりの勝率で、次のワールドカップのチケットを獲得することになりました。監督はその流れをどう見ていましたか?

森保:まずはコーチングスタッフとして、2期目は名波(浩)コーチと前田(遼一)コーチに入ってもらって。分析も世界で活躍していた若林(大智)テクニカルスタッフにも入ってもらったりして、これまでの日本のよさは継続しつつ、足りなかった部分、世界で勝っていくために必要な部分をまた積み上げていくうえで最高のコーチングスタッフを組めたと思っております。

ワールドカップと日本代表を経験した名波と前田のサポートは、これまでとこれからを形づくるうえで多くのアイデアをチームに落とし込み、新しい風を吹き込んできた。その働きが、これまでの好結果につながっていると森保は語る。

森保:2026年の北中米ワールドカップに向けて、最終予選は3試合残してワールドカップの出場権を掴み取ることができました。選手のレベルアップはもちろんですが、コーチングスタッフ、チームスタッフが選手たちの力を最大限引き出してくれました。やっていることは日々「凡事徹底」、やるべきことを徹底してやる。さらに、いまの自分たちの殻を破るためにチャレンジすることを、ベースを崩さずにやってきました。予選に関しては2位争いをしているチームが団子状態になってくれたので、相手との兼ね合いもあって早く決めることができたと思いますが、当たり前のことを当たり前にやり続けたことが大きかったかなと思います。

森保は第2期「森保ジャパン」において、コーチ陣がそれぞれの役割を発揮し、チームを勝たせるマネジメント型の監督を務めているという。

GAKU-MC:第1期「森保ジャパン」と第2期「森保ジャパン」で監督としての役割は変わっていたりするんですか?

森保:そうですね。全体的な役割としては、第1期目は僕自身が現場に立って練習もミーティングも中心になって実践しつつ、コーチ陣にサポートしてもらっていました。第2期目はコーチ陣にそれぞれ自分の役割からチームを勝たせるという、コーチ陣に託すという点ではヘッドコーチ型からマネジメント型へと変わったところはあります。“これまでどおり”ではなく“これから”をどう作るかという未来を考えたときに、新しいコーチからアイデアをもらいながら実践していく方法もあったかと思います。ですが、それ以上に新しい風を吹き込むために、名波コーチと前田コーチに来てもらいました。ミーティングから練習まで、どんどん主体的に動いてもらったんです。

シンプルだが強い「みんなで頑張る」というメッセージ

森保監督は、その他のコーチも「自分が練習を担当する」「ミーティングを行う」「選手に戦術を浸透させる」といった役割を明確にし、それぞれが日々考えながら取り組んでくれたと語る。

GAKU-MC:いまのお話を聞いて「役割を自分の部下にまかせるのは難しい」と感じている人もいると思うんです。そのあたりのコツはあるんですか?

森保:コツは、信用し、信頼することだと思います。自分よりもできる人たちが周りにいるので(笑)。監督としてはチームのトップとして「決断を下す役」と「責任を取る役」を担っていますが、それ以外は、みんなが思い切りやりがいを持って仕事に向き合えるような環境づくりをすることが大事だと思っています。コーチングスタッフやチームスタッフが生き生きしている姿を見られるのがうれしいので、自然と託せていますね。

GAKU-MC:なるほど。

森保:あとは、おこがましいかもしれませんが、ある人から「万物育成を考えろ」と手紙で言われたんですね。当然、自分自身も成長しないといけないですけど、自分に関わる人たちを成長させてもらえるように考えろという意味だったと思います。「あなたは万物育成ができる人だ」と言ってもらって、そこから「みんなが成長するためにはどうすればいいか」を考えるようになりましたね。

GAKU-MC:それは日本代表の監督になってからいただいたお手紙ですか?

森保:いえ。サンフレッチェ広島の監督になるときにいただいたものです。

GAKU-MC:みんなで育っていくことが重要なんですね。

森保:実は、日本代表のチームコンセプトの用紙の最初には「みんなで頑張る」と書かれています(笑)。

GAKU-MC:いいですね!

森保:プロの集団で「みんなで頑張る」です。さらに、「個の責任」「個の強さ」と書いてあります。たぶん小学生でもわかるようなことを伝えています。

GAKU-MC:若い人も代表メンバーにいるなかで、若い方たちとの関わり方で意識していることはありますか?

森保:若い人たちは脳の仕組み自体が自分とは違うと思っているので、あまり無理に理解しようとはしていません。むしろ教えてもらったり、刺激を受けたりすることのほうが大きいと思います。実際には、若手とベテランを区別して考えることはなく、相手を尊重しながらお互いに関係を築けるよう意識しています。

GAKU-MC:最後に、森保 一監督が大切にしている言葉を教えていただけますか?

森保:やはり「凡事徹底」ですね。日々、自分にやれることをしっかりやり続けることが大切かと思います。

ワールドカップは「日本にも絶対にチャンスはある」

9月26日(金)の放送は、2026年に開催されるワールドカップに向けての選手育成、目標について聞いた。

GAKU-MC:ワールドカップが目の前ですけども、ここからはどういう状況になっていきますか?

森保:ワールドカップに向けてチームの戦術を積み上げていって、選択肢を広くしていきます。ワールドカップの対戦国もいろんな戦術を練ってくるので、たくさんのプランを持って戦いに挑みたいです。限られた準備期間、試合数ですが、より多くの選手たちを選択できるように強化していければと思っております。

GAKU-MC:ちなみに、いままで何人ぐらい招集されているんですか?

森保:1期目、2期目を加えると、100人は超えていると思います。

GAKU-MC:責任重大ですね!

森保:そこを考えるだけで自分がドキドキしてきます。プレッシャーがかかりましたね(笑)。

GAKU-MC:ずばり、ワールドカップの目標は?

森保:ワールドカップの目標は「優勝」です!

GAKU-MC:ありがとうございます!

森保:もちろん、ニュートラルに見たときに、本命国相手に優勝するには「もっと力をつけないと」とは思っています。ただ、カタールワールドカップのときに「もっと上までいけたな。決勝までいけた」という感覚を持てましたし、選手たちも悔しさを持っていたんですね。日本にも絶対にチャンスはあるし、それだけの力がついてきているなと思えるので、優勝を目指して戦いに挑みたいと思います。

普段の生活でもサッカーを常に意識

森保監督は、勝利を目指すうえでのプレッシャーは感じているものの、ストレスは感じていないと明かす。

森保:自分にできるベストを尽くすことしか考えていないですし、その先の結果はコントロールできるものではないんですよね。プロセスのなかで、自分ができることに全力を尽くそうと思っています。ただ、体はけっこう正直なので、メンタル的には大丈夫なんですけど、試合前になると胃が痛くなったりします(笑)。

GAKU-MC:なるほど(笑)。

森保:ただ、それが不安とかストレスってことではなくて、たぶん集中力が上がっていってるんだろうなと、もうひとりの自分で自分を見ています(笑)。

GAKU-MC:オンとオフの切り替え方がうまいっていうのもあるんですか?

森保:それもあると思います。もっと言うと、ずっとオンかもしれないです。結局、ずっとサッカーのことを考えていると思いますね。家に帰ってもサッカーの映像を観ますし。

GAKU-MC:へええ!

森保:もちろん家族といるとき、犬の散歩をしているときは楽しいと感じますし。孫もいて、めちゃくちゃかわいいんですよ(笑)。

GAKU-MC:最高ですね!

挑戦には“楽しむこと”も大切

前週の放送で、監督として「決断を下す役」と「責任を取る役」を担っていると話した森保監督。決断に悩んだときの対処法を聞いた。

森保:日本代表の監督としての決断に迷ったときは、「決断の原理・原則とは何か」に立ち返るようにしています。それは日本代表の勝利と、日本サッカー発展のために仕事をしているので、そこに立ち返って決断・判断することがそれに見合っているかを考えます。「日本にために考えているか」もうひとりの自分に問いただしますね。

GAKU-MC:なるほど。

選手を招集する際には、実績のある選手、いままさに活躍している選手、将来の成長が期待できる選手と、さまざまなタイプがいる。そのなかで「いまのベスト」と「未来へのつながり」をどう両立させるかに、正解はない。「目の前の勝利、選手一人ひとりの成長、そしてチームとしての価値を大切にしながら取り組んでいきたい」と森保監督は語る。

森保:自分がもし辞めたとしても、やってきたことがなんらかのかたちで次につながっていくように、いつもコーチ陣と常に共有しています。いまにこだわりながら、未来に向けて、ということは意識しています。

GAKU-MC:ということは、ずいぶん先の未来も想像されているんですか? お話を聞いていると、「第三期森保ジャパン」もあるのかなと感じました。

森保:まずはワールドカップまで走り抜けたいと思います! 代表チームの未来というよりも、日本のサッカーが将来どうなっていくかはたくさん想像していますね。

最後に森保監督から、「働くすべての人に向けた“挑戦”についてのメッセージ」を聞いた。

森保:私自身も挑戦という言葉を常に心に刻みながら生活しています。「人生常に挑戦」ということで考えていきたいのですが、うまくいかないときもあります。失敗したときも「自分らしくてよかった」と思えるように、常に楽しむことを忘れずにチャレンジしていく、という充実した毎日を過ごしています。

GAKU-MC:楽しいチャレンジを心がけていきたいと思いました! ありがとうございました!

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金曜
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