日本野鳥の会・自然保護室の岡本裕子さんが、鳥の視点から考える海のごみ問題を解説した。
この内容をお届けしたのは、9月20日(土)放送のJ-WAVE『BLUE IN GREEN』(ナビゲーター:甲斐まりか)の「NISSUI PEACEFUL BLUE」。海や水にまつわるサスティナブルな話題を中心にピックアップし、自然と自分とのつながりを考えるコーナーだ。
甲斐:日本野鳥の会のホームページでは、現在「プラスチック汚染から海鳥をまもろう」プロジェクトが開設されています。実際、海鳥にどんな影響が出ているのでしょうか?
岡本:私たちの生活のさまざまな場面で使われているプラスチックですが、プラスチックごみになって自然界に流出すると、海鳥や海洋環境に大きな影響を与えます。
アホウドリの仲間は、普段、餌にしているイカやクラゲと間違えて「誤食」するケースがあるという。また、ヒナが親鳥から餌としてプラスチックを与えられ、栄養不良で死んでしまうことも少なくない。
岡本:ハワイ諸島の北西にあるミッドウェー環礁とその周辺の海には、海流の関係でたくさんのプラスチックごみが集まるのですが、ここで繁殖するコアホウドリの大部分がプラスチックごみを取り込んでいます。
プラスチックによる海鳥への影響は大きく3つに分けられる。ひとつ目は「誤食」、ふたつ目は細い紐などへの「絡まり」、3つ目はプラスチックに含まれる「有害化学物質の蓄積」だ。
岡本:プラスチックごみは、粉々になって5ミリ以下になると「マイクロプラスチック」と呼ばれます。これが海を漂ううちに、有害な汚染物質をくっつけて運んでしまうことがあるんです。そして、それが海鳥の体に蓄積されてしまうんですね。
岡本:オーストンウミツバメは海の表面でついばむようにして餌を取るんですね。なので、海を漂っている小さなプラスチックを間違って食べてしまったり、餌になる小さなエビの仲間を通じてプラスチックが体に取り込まれたりということが考えられます。また、先ほどお伝えした有害な汚染物質も蓄積されていることがわかりました。
現在、陸と海を合わせて1,500種もの生きものがプラスチックを体内に取り込んでいると言われている。そのなかでも海鳥による取り込みは年々増加しており、2050年までには全種の海鳥の99パーセントに達すると予測されている。
甲斐:海の環境、そこから恩恵を受けている私たちや動物にも影響を与えるマイクロプラスチックを減らすために、私たちができることを教えていただけますか?
岡本:多くの方が取り組まれていると思いますが、マイバッグやマイボトルを使うことで、レジ袋やペットボトルの使用を減らすことができます。
甲斐:基本的なことですけども、ちょっとしたことがどれだけ自然界に影響を与えるのか考えるのは大事ですよね。
岡本:次回は、10月1日(水)に「国際プラスチック条約と有害化学物質の問題」をテーマに予定しております。ホームページからの申し込みが必要になりますが、誰でも参加できるものです。あとは、親子で参加できる体験講座やバードウォッチングをしながらごみ拾いをする「クリーンアップ探鳥会」も実施しています。この問題を解決するためには、プラスチックを使い捨てない、持続可能な社会に向けて、社会の仕組み自体を変える必要があると考えています。日本野鳥の会ではいろいろなNGOや市民団体のみなさんと連携して、政府への政策提言活動なども行っています。
甲斐:ご紹介ありがとうございます。海ごみは海の生物たちにフォーカスが当たりがちですが、海鳥たちも生態系の一部なんですよね。たくさんの学びをありがとうございました。
日本野鳥の会の詳細は公式ホームページまで。
『BLUE IN GREEN』のコーナー「NISSUI PEACEFUL BLUE」は、海や水にまつわるサスティナブルな話題を中心にピックアップし、自然と自分のつながりを考える10分間。放送は毎週土曜の12時15分ごろから。
この内容をお届けしたのは、9月20日(土)放送のJ-WAVE『BLUE IN GREEN』(ナビゲーター:甲斐まりか)の「NISSUI PEACEFUL BLUE」。海や水にまつわるサスティナブルな話題を中心にピックアップし、自然と自分とのつながりを考えるコーナーだ。
海に漂うプラスチックごみを海鳥が誤飲
今回は、「鳥の視点から考える海のごみ」を考える。日本野鳥の会・自然保護室の岡本裕子さんを迎え、海洋ごみが生物と海に与える影響について聞いた。甲斐:日本野鳥の会のホームページでは、現在「プラスチック汚染から海鳥をまもろう」プロジェクトが開設されています。実際、海鳥にどんな影響が出ているのでしょうか?
岡本:私たちの生活のさまざまな場面で使われているプラスチックですが、プラスチックごみになって自然界に流出すると、海鳥や海洋環境に大きな影響を与えます。
アホウドリの仲間は、普段、餌にしているイカやクラゲと間違えて「誤食」するケースがあるという。また、ヒナが親鳥から餌としてプラスチックを与えられ、栄養不良で死んでしまうことも少なくない。
岡本:ハワイ諸島の北西にあるミッドウェー環礁とその周辺の海には、海流の関係でたくさんのプラスチックごみが集まるのですが、ここで繁殖するコアホウドリの大部分がプラスチックごみを取り込んでいます。
プラスチックによる海鳥への影響は大きく3つに分けられる。ひとつ目は「誤食」、ふたつ目は細い紐などへの「絡まり」、3つ目はプラスチックに含まれる「有害化学物質の蓄積」だ。
岡本:プラスチックごみは、粉々になって5ミリ以下になると「マイクロプラスチック」と呼ばれます。これが海を漂ううちに、有害な汚染物質をくっつけて運んでしまうことがあるんです。そして、それが海鳥の体に蓄積されてしまうんですね。
海鳥のプラスチックの取り込みが深刻化
日本野鳥の会で実施されている調査のなかには、伊豆諸島で繁殖する海鳥への影響調査がある。最新の調査によると、オーストンウミツバメという海鳥の体内には、プラスチック製品に含まれる有害化学物質「紫外線吸収剤」が蓄積されていることが判明した。岡本:オーストンウミツバメは海の表面でついばむようにして餌を取るんですね。なので、海を漂っている小さなプラスチックを間違って食べてしまったり、餌になる小さなエビの仲間を通じてプラスチックが体に取り込まれたりということが考えられます。また、先ほどお伝えした有害な汚染物質も蓄積されていることがわかりました。
現在、陸と海を合わせて1,500種もの生きものがプラスチックを体内に取り込んでいると言われている。そのなかでも海鳥による取り込みは年々増加しており、2050年までには全種の海鳥の99パーセントに達すると予測されている。
甲斐:海の環境、そこから恩恵を受けている私たちや動物にも影響を与えるマイクロプラスチックを減らすために、私たちができることを教えていただけますか?
岡本:多くの方が取り組まれていると思いますが、マイバッグやマイボトルを使うことで、レジ袋やペットボトルの使用を減らすことができます。
甲斐:基本的なことですけども、ちょっとしたことがどれだけ自然界に影響を与えるのか考えるのは大事ですよね。
オンラインでプラスチックごみ問題を学ぼう
日本野鳥の会では、プラスチックが引き起こす問題を学ぶオンラインセミナーを開催している。岡本:次回は、10月1日(水)に「国際プラスチック条約と有害化学物質の問題」をテーマに予定しております。ホームページからの申し込みが必要になりますが、誰でも参加できるものです。あとは、親子で参加できる体験講座やバードウォッチングをしながらごみ拾いをする「クリーンアップ探鳥会」も実施しています。この問題を解決するためには、プラスチックを使い捨てない、持続可能な社会に向けて、社会の仕組み自体を変える必要があると考えています。日本野鳥の会ではいろいろなNGOや市民団体のみなさんと連携して、政府への政策提言活動なども行っています。
甲斐:ご紹介ありがとうございます。海ごみは海の生物たちにフォーカスが当たりがちですが、海鳥たちも生態系の一部なんですよね。たくさんの学びをありがとうございました。
日本野鳥の会の詳細は公式ホームページまで。
『BLUE IN GREEN』のコーナー「NISSUI PEACEFUL BLUE」は、海や水にまつわるサスティナブルな話題を中心にピックアップし、自然と自分のつながりを考える10分間。放送は毎週土曜の12時15分ごろから。
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2025年9月27日28時59分まで
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番組情報
- BLUE IN GREEN
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毎週土曜12:00-15:00