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完売続出、異例の売り上げを記録! 小学館の文芸誌『GOAT』発行への思いを編集長に聞く

完売続出、異例の売り上げを記録! 小学館の文芸誌『GOAT』発行への思いを編集長に聞く

小学館の新文芸誌『GOAT』の反響や、その魅力に注目した。

この内容をお届けしたのは、6月4日(水)放送のJ-WAVE『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のコーナー「MORNING INSIGHT」だ。

「もう一度、紙の文芸誌に挑戦してみたい」

出版不況と言われる昨今。小学館は紙媒体の文芸誌『GOAT』(ゴート)を2024年11月27日に創刊した。発売後、文芸誌としては異例の売り上げを記録し、書店では売り切れが続出。話題沸騰のなか、第2号を6月4日(水)に発売。番組では、編集長・三橋 薫さんをゲストに招き、『GOAT』が人気を集める理由、紙媒体ならではの魅力について聞いた。

別所:まずは、文芸誌そのもののお話からお伺いします。デジタル化が進み、紙の文芸誌は休刊が相次いでいて逆風だと思うんです。なぜ、いま、紙の文芸誌を作ったのでしょうか?

三橋:小学館では以前は紙の文芸誌がいくつかあったんですけども、時流もありましてすべてWEB化してしまったんですね。著者のみなさんも「仕方ないね」と言ってくださったんですが、寂しくも感じていらっしゃっていて。そんななかで、編集部内で「もう一度、紙の文芸誌に挑戦してみたい」という声があがりまして、有志で立ち上げた企画になります。

別所:すばらしい! いろんな作家さんが参加されていますけども「待っていました!」ってことなんでしょうか。

三橋:そうですね。ありがたいことに「こういう文芸誌を待っていた」という声をたくさんいただいています。それに応援されながら作っている感じです。

別所:三橋さんとしては、紙媒体にこだわった理由は何だったのでしょう?

三橋:WEBにはWEBのよさがあって、誰でもアクセスできるのはメリットですよね。ただ、それだとお目当ての作品だけを読んでしまいがちだと思うんです。紙のよさというのは、全然知らない作家さんとの“不意な出会い”があるのが、いちばんの魅力かなと思っております。

紙媒体の魅力のひとつとして、コレクション性も挙げられる。『GOAT』では、本文に色上質紙を使用するなど資材にもこだわりが光る。

三橋:第2弾では“究極の黒い紙”と言われている「NTラシャ 漆黒」を使っています。その漆黒にインスパイアされて、朝井リョウさんが短編を書いてくださいました。

別所:本を開いてみましたが、冒頭が漆黒の紙ですね!

三橋:光を反射しないので、普通の黒よりもさらに黒い色となっております。

別所:これは紙という質感のなかで感じる色じゃないと伝わらないですね。

三橋:そうですね。第1弾でも「愛と再生」をテーマにした詩のコーナーで、米のもみ殻から再生した紙を使いました。

ジャンルを問わない豪華執筆陣も魅力

『GOAT』には尾崎世界観、西 加奈子、市川沙央らが参加。エッセイ、短歌、詩、対談、座談会、インタビューなどさまざまな言葉が並ぶ。ジャンルや国境を越えて豪華執筆陣も見どころとなっている。

別所:加藤シゲアキさんもいらっしゃいますね。

三橋:文学賞の選考委員長をしていただいております。

別所:冲方 丁さん、朝吹真理子さんなど、(自分が)知っている方も何人かいらっしゃいます。

三橋:執筆陣は編集部員それぞれがいま読んでほしい“推し”を載せているかたちでして、みんなで企画を出し合っています。

別所:尾崎世界観さんや上白石萌音さんも文章を書かれているんですか?

三橋:はい。尾崎さんは小説を、上白石さんはコラムで参加していただいています。

完売続出の『GOAT』創刊号の反響は?

『GOAT』の表紙を飾るのは、紙を愛してやまないヤギのゴートくんだ。誌名はヤギと「Greatest Of All Time」(かつてない、史上最高の)の頭文字が由来となっている。

三橋:かつてない紙の文芸誌を作りたいという思いから『GOAT』と名付けました。

別所:ヤギさんがすごく素敵な表紙です。ずっしりとしたボリュームなので重さを測りましたが、創刊号は680グラムぐらいありますね。第2号はさらにボリュームアップして710グラムぐらいです。

三橋:ページ数はちょっとだけ減っているんですが、資材が違うので増えたのかも(笑)。

別所:両方とも500ページ超えですね。僕、思うんですけど、デジタルになるとお金の重さとか本の重さといった質量を感じなくなる気がするんですよ。そういった質量を子どもたちも含めて知ってもらえたらなって思いますよね。

三橋:そうですね。

別所:創刊号は完売続出とのことですが、何部ぐらいだったのでしょうか?

三橋:1万部スタートだったのですが、ありがたいことに大増刷しまして、5万部を突破しております。なので、第2号は3万部でスタートです。

別所:すばらしい! これもすぐ売れちゃうだろうなあ。読者からはどんな反響が届いていますか?

三橋:「初めて文芸誌を買った」という声がたくさんあり、それが何よりうれしかったです。読書人口を増やしたいと常々思っておりまして、小説ファンはもちろんのこと、普段はあまり読まない、あるいは読書から遠ざかってしまった方が多いんですね。そういう方にも気軽に手に取っていただけるようにしたいという思いがあったので、とてもうれしいです。

『GOAT』第2号のテーマは「悪」

『GOAT』第2号の特集は「悪」となっている。テーマに込められた思いを三橋さんは説明する。

三橋:第1号の特集は「愛」だったのですが、今回は「悪」にしました。世界規模の大きな悪から、私たちが身近に感じているような日常的な悪まで、悪とひと言で言ってもさまざまだと思うんですね。作家さんそれぞれが考える現代的な悪というのを真正面から取り上げたいと思って、こういったテーマにしています。

別所:テーマは号によって変わってくるってことですよね。

三橋:4号までテーマは決まっています。

別所:楽しみです! 今後、『GOAT』をどのような文芸誌にしたいですか?

三橋:いい意味で毎号サプライズがあり、「こう来たか!」と思えるような雑誌にしていきたいです。そのためには、私たち編集部員が全力で遊んでいくというか、毎回、全力投球でやっていきたいです。

小学館の文芸誌『GOAT』の詳細は公式サイトまで。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時35分ごろから。

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