
第1弾は『若きウェルテルの悩み』、第2弾は『ジーキル博士とハイド氏』、第3弾は、O・ヘンリーの短編「賢者の贈り物」と「ミス・マーサのパン」を原案にお届けしました。現在は、全話をポッドキャストでお楽しみいただけます。
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古典文学と言うと、少しハードルが高い印象を持つ方も少なくないのではないでしょうか。でも、世界中で読み続けられた名作は、おもしろさもお墨付き。そこで今回は、古典文学ならではの魅力や、初めての人におすすめな一冊について、2025年の新書大賞を受賞した『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』などで知られる文芸評論家・三宅香帆さんにお話を伺いました。

「みんな本を読みたくなくなった」わけじゃない
──『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の冒頭に書かれている、「ちくしょう、労働のせいで本が読めない!」という悲痛な叫び、すごく共感しました。労働と趣味の両立って難しいですよね。もともと三宅さんにとって、本はどんな存在だったのでしょう?昔から、本当に活字を読むのが好きで。映画やアニメなど映像は、ちゃんと観ないといけないけど、本ならいつでもどこでも読める。それがすごく大きな利点ですし、自分の好きなスピードで読めること自体が頭の中をラクにしてくれるなと感じます。「いちばんの暇つぶし」という感覚もありますし、人生や思想に影響を与えたものでもあります。実際、『燃えよ剣』(著:司馬遼太郎)という小説を読んですごく新選組を好きになって、「京都の大学を受けたいな」と志望校を決めた経験があって。

<プロフィール:三宅香帆(みやけ・かほ)◎文芸評論家。1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了(専門は萬葉集)。著作に『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』、『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない―自分の言葉でつくるオタク文章術―』、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』、『人生を狂わす名著50』など多数。2025年3月には、都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家の谷頭和希とともに、『実はおもしろい古典のはなし: 「古典の授業?寝てたよ!」というあなたに読んでほしい』を刊行した。>
出版不況と言うとすぐ出版社の方は「みんな本を読みたくなくなったんじゃないか」と言う人も多かったと思うんです。でも実際は「読みたいけど、なかなか生活の中で読む時間がない」とか、「本を置く場所がない」「何を買ったらいいかわからない」という方もたしかに存在する。この本でそれを伝えられていたら嬉しいな、と思っています。
──本の中でも古典文学はハードルが高いと感じる人も多い気がします。そこで今回は、三宅さんへのインタビューで、古典文学の魅力を紐解ければと思っています。
古典文学の魅力は、普遍性に癒される経験ではないでしょうか。自分とは全く異なる国、時代に生きている人でも、自分と同じようなことを好んだり考えたりしている。この事実そのものが、自分の悩みは決して孤独なものではないと教えてくれて、救われる感覚が私にはあります。
──『なぜ働いていると~』でも、“読書の魅力は、遠くの他者の文脈に触れられること”と書かれていますよね。古典文学は、まさにその魅力を味わいやすいジャンルなのかなと。三宅さん自身が古典にハマったのは、どんなきっかけなんですか?
高校生のころ、日本の古典文学をダイジェストや現代語訳で読むようになったんです。そのとき、自分が好きな少女マンガや小説の源流が古典文学にあるのだと理解できて、すごく楽しくて。具体的には、「『伊勢物語』って、いろんな恋愛が描かれていて、今の少女漫画の原型なんだな」という。加えて、「千年を越えても変わらないおもしろさってあるんだ。すごいことだな」とも感じました。
最初の一冊にピッタリな古典文学
── 海外文学だと、とくにどの国の作品が好きですか?大学時代にイギリス文学を読むようになって。その流れでアメリカ文学もよく読んでいました。イギリス文学は女性作家も多く、個人的に親しみを持って読めましたね。世の中の規範みたいなものを大切にしつつも葛藤を覚えている……というような雰囲気があり、日本人が読みやすい作品も多いと思います。アメリカ文学だと、もう少し規範への反抗心が描かれていて、若いときに読んで「かっこいいな」と感じていました。
──とくに印象的な作品は?
イギリス文学だと、ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』は、イギリス文学を身近に感じるきっかけとなる作品でした。イギリスの貴族社会における結婚を描いている物語なのですが、今で言う“婚活”の中で繰り広げられる会話が現代とあまり変わらないように思えて。おもしろかったですね。

<『高慢と偏見』:はつらつとした知性を持つエリザベスと姉妹たちは、近所に越してきた裕福で朗らかな青年紳士とその友人ダーシーと知り合いになる。ダーシーの高慢な態度にエリザベスは彼への嫌悪感を募らせるのだが……。すれ違いの恋を笑いと皮肉たっぷりに描く、英国文学の傑作、香気あふれる決定訳。>
イギリス文学で、同じくジェーン・オースティンの『エマ』は、わりと読みやすいです。あと、ディストピア小説の金字塔と言われるオルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』。現代に通じるところがあるし、SFが苦手な方でも読みやすく、とっつきやすい古典文学だと思います。

<『すばらしい新世界』:西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め……。>

<『グレート・ギャッツビー』:絢爛豪華な邸宅に贅沢な車を持ち、夜ごと盛大なパーティを開く男、ギャッツビーがここまで富を築き上げてきたのは、すべて、かつての恋人を取り戻すためだった。だが、異常なまでのその一途な愛は、やがて悲劇を招く。過去は取り返せる──そう信じて夢に砕けた男の物語。>
『嵐が丘』はすごく好きな小説です。光文社古典新訳文庫が15周年だった2021年に「わたしの推しの光文社古典新訳文庫」というフェアがあり、帯に推薦文も書かせていただきました。光文社古典新訳がわかりやすく、表現される心情も伝わってきやすくていい訳だと感じます。

<『嵐が丘』:ヨークシャの荒野に立つ屋敷<嵐が丘>。その主人が連れ帰ったヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに恋をする。しかしキャサリンは隣家の息子と結婚、ヒースクリフは失意のなか失踪する。数年後、彼は莫大な財産を手に戻ってきた。自分を虐げた者への復讐の念に燃えて……。激しく吹きすさぶ寒風が、二人の主人公の心情と一体となって読む者の心に押し寄せる──時を超えて読み継がれてきた壮大な愛憎劇。陰鬱で荒々しい英国の自然を活写することで、その真の魅力に迫る。>

<『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』:官界における栄達を遂げた判事イワン・イリイチ。ある日、病によって初めて「自らの死」と直面する(イワン・イリイチの死)。美しい妻と音楽師との関係を疑ったボーズヌイシェフ公爵は、嫉妬の情念を燃やし、ついには妻をその手に……(クロイツェル・ソナタ)。トルストイの後期中編2作品。>
『星の王子さま』で知られるサン=テグジュペリが、『人間の大地』というエッセイを書いています。これも光文社古典新訳で出てますね。サン=テグジュペリはもともと飛行機の操縦士なんですよ。そのときの仕事論も綴りつつ、自分の空へのロマンがあふれる話になっています。「ロマンを取り戻したい」みたいなときに読むのにピッタリかもしれません。

<『人間の大地』:郵便機のパイロットとして長いキャリアを持つ著者が、駆け出しの日々、勇敢な僚友たちのこと、アフリカや南米での人々との交流、自ら体験した極限状態などについて、ときに臨場感豊かに、ときに哲学的に語る。人間にとって大切なものは何かを鋭く問うたサン=テグジュペリ文学の大傑作。>
古典文学は「ネタバレ禁止」ではない魅力がある
──古典文学を読み進めるコツはありますか?購入する前にちょっと立ち止まって、翻訳が好みかどうか確かめることが大切だと思います。自分好みの現代語訳を選ぶと読み進めやすいんですよね。また、物語や展開についていくためには、本の後ろに載っている「解説」を先に読むのも、手です。今ってどんな物語についても「ネタバレ禁止」みたいな感覚が強いと思うんですけど、古典はネタバレをされてもおもしろいことが特徴だと思うんです。むしろ解説で大枠を理解してから読むと、物語に入りやすい。また、古典はいろんな人が「解説本」も書いているので、それらに頼るのもおすすめです。
──三宅さんも、『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』という解説本を出版されていますね。
自分ひとりだとわからなかったけど、人が教えてくれて理解できるようになった、というのは古典を読む醍醐味のひとつ。新しい世界が広がるきっかけにもなると思います。最終的には、時間に頼ることも大切ですね。難しい古典については「今はよくわからなかったけど、もうちょっと年齢を重ねたらわかるかもしれない」くらいに思っておくといいんじゃないでしょうか。
──なるほど。日常生活や労働って、どうしても「わかる」「できる」明確さが求められるので、「わからない」という余白に身を任せられるのは読書の魅力のひとつだなと、お話を聞いていて感じました。
あとは一回、マンガや映画に頼っちゃうのもアリだと思います。古典って、わりと映画化されていることも多いんです。先ほどお話した『高慢と偏見』も、私はドラマ版や映画版を観たうえで、原作である小説もなにより楽しめました。日本の古典も、コミカライズされていたり、舞台になっていたり、歌舞伎になっていたりします。古典はあらゆる形でメディアミックスされているので、いきなり小説を読むことにハードルの高さを感じる場合や、そもそも作品選びに迷うときは、映像や舞台を選ぶのもいいんじゃないかなと思います。
もしも自分がラジオドラマを作るならどの作品?
──今回、J-WAVE×光文社がコラボして制作したラジオドラマも、古典文学を手に取る入口になると嬉しいです。ラジオドラマでは、『若きウェルテルの悩み』や『ジキル博士とハイド氏』、O・ヘンリーの『賢者の贈り物』を現代の東京を舞台にアレンジしてお届けしました。それぞれの作品の思い出はありますか?『若きウェルテルの悩み』は大学生時代に読んだのですが、「こういう友だち、周りにいっぱいいるな……」みたいなことを感じた思い出があります(笑)。今読んだら、また違う印象になるかもしれません。
──(笑)。『若きウェルテルの悩み』の現代版アレンジも、まさに大学生が主人公でした。演劇に情熱を傾けているけど、身近にもっと才能のある人がいて思い悩む……という。
『ジーキル博士とハイド氏』は、本当にいろんな読み方ができる小説だなと思っていて。人の二面性のことを「ジーキルとハイド」と表現されることがあるように、「自分にも当てはまる部分があるのかも」と、自分に置き換えて共感しながら読みやすい小説なのでは。
──もし、三宅さんがラジオドラマのプロジェクトに参加するとしたら、どんな作品を選びますか?
『アンナ・カレーニナ』をやりたいですね。めちゃくちゃおもしろい小説なんですけど、とにかく長い。私自身すごく好きな作品なんですが、人におすすめするには、すごく長いよなともいつも思うんです(笑)。なので、ラジオドラマという触れやすい形にすることで、もっと多くの人に知られてほしい。もう少し短い物語にして、登場人物を現代に置き換えるとか……。映画化もされているんですけど、映像化って主人公の容姿がきれいになりすぎてしまうところがあるので、想像の余地があるラジオドラマはちょうどいいかも、と思いました。

激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの代表作。愛と理性、虚飾と現実、生と死、そして宗教と社会。真実の愛を求め、苦悩する人間たちが織りなす一大恋愛叙事詩。<全4巻>
『ロミオとジュリエット』ですね。とくに宝塚ではシェイクスピア作品をよく上演していて、中でも同作は何度も再演されているんです。いくつか映像や舞台で観たのですが、役者さんによって解釈が異なっていたり、「どれくらい“若い子たちの衝動的な物語”として描くか」がそれぞれに違っていたりしておもしろかったですね。
舞台で観て初めて「この作品って、本当に14歳くらいの子どもが引き起こした衝動的な物語なんだな」と実感したというか。世間では『ロミオとジュリエット』って、運命的な悲恋の代表例として語られるじゃないですか。でも、実際に観るとまだ10代の登場人物による1週間足らずの出来事。「親からしたら本当にたまったもんじゃないな」と気になったり(笑)。そうした若さゆえの衝動が家族や街全体にも影響を与えてしまう悲劇なんだなと、舞台を観たからこそ理解できた部分がありますね。
古典文学は「現実からの逃避先」にもなる
──古典文学に限らない話ですが、長編小説は手ごわいですよね。どう読んでいけばいいでしょう。そうですね……極端な話をすれば、やっぱり仕事をやめることじゃないかと思います(笑)。極論、会社にばりばり勤めてると、長い古典に手を出すモードに体を変化させるのは難しいですよね。
──ちなみに三宅さんも、長編小説に苦戦した経験はありますか?
ありますよ。ずっとドストエフスキーの長編が読めなくて。でも、会社員を辞めたあとに「今ならドストエフスキーが読める!」みたいなことを感じた経験があります。あと私は、ドイツ文学が本当にわからないというのが、人生の本当にやり残したことの一つなんです。その最たるものがトーマス・マン。大学で作品を読む授業があったにも関わらず、やっぱりわからなかった……という経験があるので、いつかまたじっくり読み解きたいですね。仕事リタイアした後かな。
── 三宅さんの著書やnoteでは、<書評家が伝える「社会人が読書する習慣をつける」10のコツ>など、具体的な方法が紹介されていますよね。「まずは電子書籍を入れよう」など、すごく実用的な内容です。そうしたノウハウも取り入れながら、これから古典を読んでみようかなと考えている人に向けて、メッセージをお願いします。
就職や転職、妊娠出産など、人によって生活リズムが変わることがありますよね。そのときこそ、古典を手に取るチャンスだと思います。あるいは、付き合っていた人と別れたとか、仕事がうまくいかないとか、嫌なことが合ったとか、そういった人生にちょっとマイナスなことが起きたときこそ、古典を手に取るのがいいんじゃないかと思います。というのも古典って、時間のスパンが長いところがいいんですよ。だから、現実で嫌なことがあったときに読んで「1000年前の人も同じようなことに悩んでいたんだ」と感じると、ちょっと楽になる瞬間があると思う。そういう逃避場所として使えるものなんじゃないかなと私は思っています。
(取材・文=西田友紀)
ラジオドラマで触れる、古典文学の世界
J-WAVE×光文社のコラボレーションで制作した、古典文学をもとにしたラジオドラマは、第1弾は『若きウェルテルの悩み』、第2弾は『ジーキル博士とハイド氏』、第3弾はO・ヘンリーの短編「賢者の贈り物」と「ミス・マーサのパン」を原案にお届けしました。現在、全話をポッドキャストで配信中です。ぜひラジオドラマから古典文学の世界に触れてみてください。■ゲーテ『若きウェルテルの悩み』
本作で主演の上杉照役を演じるのは実力派声優の川島零士。脚本を手がけるのは、期待の新星、阿部凌大。
<あらすじ>
大学の劇団「飢えてる」を主宰する上杉照は、演劇プラットフォームアプリ「ミルミル」に寄せられる観客からの酷評や劇団員との不和に悩みながらも、演劇を愛し、その才能を渇望している。一方、圧倒的な人気を誇る天才劇団主宰者・有部帯に嫉妬を募らせる日々。
そんな中、劇団に入団したヒロイン・春との出会いが、上杉の世界を少しずつ変えはじめる。春の純粋な言葉に励まされ、新たな公演を目指す上杉だったが、ある事実に直面し、深い挫折を味わうことに……。才能、努力、そして演劇への情熱――自らの信念と劣等感に板挟みになりながら人生を賭けた公演へ挑む彼が、最後に選んだ道とは?
■第1話─俺は演劇を損なうような恋など、しないと誓うよ
■第2話─天才だなって、思ったんです
■第3話─四捨五入したら余裕で恋心だろ、それ
■第4話─だって君は、演劇を殺そうとしている人間じゃないか
■第5話─才能も恋も、あいつは自分にないものを持っている
■第6話─人気も信頼も収入も─俺はあいつと違って何もない
■最終話─「何のために演劇やってるんですか?」
■『ジーキル博士とハイド氏』
第2弾は『ジーキル博士とハイド氏』を原案に、「わたしと誰かの裏の顔」と題して、アイドルを描く心理サスペンスを放送&配信しました。本作は、俳優・伊原六花が一人二役を演じます。脚本は、デビュー作の『AKBラブナイト恋工場』から淡い恋心や寂しさのぶつかり合いなどの湿度の高い描写や、コミカルな会話劇に定評がある阿部沙耶佳。
<あらすじ>
きれいな嘘と、醜い真実─どちらを知ることが幸せ?
アイドルグループ「ジーキル」での活動を経て、現在は深夜番組のADを務める主人公・安高鈴。あるとき、雇い主であるプロデューサーから「暴露系配信者」であるハイドの正体を突き止めるように依頼される。困惑しつつも相棒である縁に寄り添われながら調査を進める鈴。しかし、ハイドの魔の手はジーキルへと忍び寄ってしまった。ハイドがメンバーの悪事を暴露したことを皮切りに、鈴の周囲は疑心暗鬼が渦巻き始める。誰が嘘をついているのか? 人間の表と裏は、どちらが真実なのか? 黒い感情に触れるうち、鈴の心境も変化していく──彼女が辿り着く真実とは?
■第1話─「理性を失った邪な姿」こそ、その人の本質?
■第2話─「ねえ、教えてよ。私のこと、どこまで知ってるの?」
■第3話─「ハイドってもしかして私たちの近くにいるんじゃないかな?」
■第4話─「なんで私の部屋に勝手に入ってるんですか?」
■第5話─「邪魔者はぜ~んぶいなくなった!」
■最終回─「最後の暴露をしてあげよっか!」
■O・ヘンリー「賢者の贈り物」 主演は、2022年公開の映画『月の満ち欠け』で第46回日本アカデミー賞新人賞を受賞し、本作がラジオドラマ初挑戦となる菊池日菜子。セレブ妻の女性とパン屋を営む女性の二役を演じます。脚本は、TVerアワード2023ドラマ大賞受賞作の『あなたがしてくれなくても』やドラマ『わたしの宝物』を手掛けた市川貴幸が担当。
<あらすじ>
高級ブランドを爆買いし、いろんな人からプレゼントをもらう──セレブ妻の日常が、夫のとある“報告”によって揺らぎ、ふたりは全てを失ってしまう。離れ離れとなり、あくせく働いて稼ぐふたり。元妻がネットに公開した爆買い動画も、今や“闇落ちセレブのデジタルタトゥー”に……そんな中、街で起こった小さな偶然をきっかけに、ふたりの未来が動き出す。
■O・ヘンリー「ミス・マーサのパン」
<あらすじ>
すべてを恋のせいにすることはできないけれど。浮き足だった私の体はいつもより軽く、いつもより大胆にさせた──東京でパン屋を営む、ひとりの女性が主人公。若くして店を切り盛りしている真面目な女性だ。仕事一筋で恋などしてこなかった人生だったが、とある常連客と出会って惹かれ始める。恋に浮き足立つ彼女を待ち受けていたものとは……?
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