槇原敬之が、春の名曲『遠く遠く』を制作した当時の想いなどを語った。
槇原が登場したのは、4月22日(火)放送のJ-WAVE『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)のコーナー「atré MUSIC+1」。
現在、『STEP ONE』は、対象のアトレ館内で流れている特別ラジオ番組『atré MINI RADIO』をプロデュースしており、ゲストにはこの春のアトレのプロモーションテーマ「私にやさしい、春にしよう。」にちなんだ選曲をしてもらった。
サッシャ:今日は槇原さんとともに『遠く遠く』を掘り下げていきます。3枚目のアルバム『君は僕の宝物』に収録されています。名曲ですが、実は意外なことにシングルカットはされていません。ですがみんなには大切な、心のなかにある曲だと思います。槇原さんにとってはどんな曲でしょうか。
槇原:作った当初は私小説的に作った曲でした。みんなに伝わると思っておらず、どちらかといえば自分の私信をアルバムのなかに勝手に入れさせてもらった、みたいな曲でした。
サッシャ:アルバムナンバーとして自分のやりたいこと、歌いたいことを歌った1曲なんですね。
槇原:はい、そうです。
ノイハウス:この曲は故郷にお住まいのご両親を想いながら書かれた、ということを伺っています。書かれたときにはどんな状況だったのでしょうか。
槇原:実を言うと、僕は音楽の道に進もうと思って東京には出ていたのですが、親は僕が音楽の道に進むのが当時はとても嫌だったんです。電話をかけるたびに、親とすごく喧嘩したりと複雑な日々をずっと送っていました。『どんなときも。』とかも売れたりして「安心してくれるのかな?」と思いきや、それでもずっとそれが続くと。
サッシャ:えー! 売れていてもまだ、認めてくれなかったんですか?
槇原:やっぱり親心というんでしょうか。「『どんなときも。』だけが売れても、そんなの絶対に続かない」と思ったりして、心配していたんだと思います。だから、ずっと「どうやったら安心してもらえるのかな?」と考えていたら「遠く離れているところからでも自分のことがわかるぐらい、自分が頑張ったら安心してくれるのかな」みたいな。そういう気持ちを本当にそのままストレートに書いた曲です。
ノイハウス:ヒット曲を出しながらも認めてもらえない。悩んでいるところで、反抗するのではなく、それでも両親のところに気持ちを届けたいという想いが素敵だなと思います。
槇原:僕は大阪出身なんですが、大阪に残してきた友だちもみんな心配しているので、そういう友だちにも向けてメッセージを暗号のように届けられればいいなと思った感じでしょうか。
サッシャ:これは春にお書きになったのでしょうか。
槇原:春ごろに書いたのを覚えています。
サッシャ:春を詞のなかに入れたのはなぜですか?
槇原:(春は)いろいろなことが始まる季節。新しい世界が始まるんですが、ずっと僕は春については華やかさに隠れた不安、みたいなものをずっと感じていたんです。周りにこんなに桜が咲いちゃって、温かくなって希望にあふれている感じだけど、心にひっそりと隠した不安、みたいなものを思わず書きたくなったという。そういう感じだったと思います。
サッシャ:ワクワクとドキドキの季節ですもんね。
曲の後半では「同窓会には参加しない返事を出したが……」といった複雑な感情が描かれている場面がある。
サッシャ:ご両親は「いつ帰ってくるの?」みたいな感じですが、自分は頑張りたい。別に同窓会に行っても1日で帰ってこられると思いますが、欠席に丸を付ける。ここに槇原さんの決意みたいなものを感じます。
槇原:うれしいです。まさにそのとおりで、帰ってしまうとすぐに自分のなかのなにかがふわっと、地元にいたころと同じに戻ってしまうような怖さみたいなものが、どこか心のなかにあったんです。だから、そこはもう会わないで、ずっと頑張れるところは頑張っていく、という気持ちではいました。
サッシャ:槇原さんは、曲もヒットしていてみんなに知られていましたが、故郷に帰ったらお友だちとの関係も含めて、いつものデビュー前の槇原さんに戻れたと思います。でも、そこには「まだいまは戻れない」という感じだったのでしょうか。
槇原:そうですね。自分のなかにある「こうなりたい」みたいなところを目指す途中だったのかもしれません。
サッシャ:素敵だなあ。そのときの槇原さんに一緒にタイムスリップしたような気持ちになりました。
槇原:うれしいです。ありがとうございます。
番組では槇原の『遠く遠く』をオンエアした。
サッシャ:槇原さんみたいに上手に歌うのは難しいですが、当時の槇原さんの気持ちも味わいながらカラオケで歌いたくなりました。
槇原:みんなで歌ってください。
槇原:大貫妙子さんと坂本龍一さんで『a life』という曲です。
サッシャ:この曲は2010年にリリースされた、大貫妙子さんと坂本龍一さんによるアルバム『UTAU』に収録されています。槇原さん、なぜこの曲なのでしょうか?
槇原:いろいろ考えましたが、この曲の歌詞全部がこれから新しいことが始まるとか、または春からなにかを始める人にとっても大事なことを歌っているような気がするんです。すごくやさしいメロディで、伴奏もピアノだけということもあって、「教え」みたいな曲に僕には聴こえるんです。ピッタリかなと思って選ばせていただきました。
サッシャ:まるで親から「歯を磨きなさい」みたいに言われている感じもしなくはないです。
槇原:本当にそうですよね。
サッシャ:特に歌詞で好きな部分はありますか?
槇原:ほとんど全部好きです。悲しいニュースを乗り越えていこう、というような歌詞があります。大貫さんが歌詞を書かれていますが、「すごいなあ」と思いました。すごく簡単な言葉ですが「これを僕は言いたいんだよな」と思いました。
ノイハウス:これはタイムレスというか、どんなときにも当てはまるというか、いまでも響くし、きっとリリース当時も響いたんだろうと思います。
サッシャ:簡単な言葉を選ぶことほど難しいけど、それを選べたときに、それが力強い言葉になるんですね。
槇原:本当にそうだと思います。あとはその人がどれだけ、そのことについて考えていたか、ということが簡単な言葉のなかに織り込まれているような、そういう気がします。
今回、槇原が選んだ曲はSpotifyにてプレイリスト「J-WAVE STEP ONE atré」としても公開中。
最後に槇原は、「春は本当に心が揺れ動いたりすることが多いですが、絶対にその先には素敵なことがいっぱい待っていると思って。それこそ心で飛び越えて、素敵な春を迎えていただきたいなと思います」とリスナーにメッセージを送った。
槇原の最新情報は、公式サイトまで。
J-WAVE『STEP ONE』のコーナー「atré MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時30分ごろから。
槇原が登場したのは、4月22日(火)放送のJ-WAVE『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)のコーナー「atré MUSIC+1」。
現在、『STEP ONE』は、対象のアトレ館内で流れている特別ラジオ番組『atré MINI RADIO』をプロデュースしており、ゲストにはこの春のアトレのプロモーションテーマ「私にやさしい、春にしよう。」にちなんだ選曲をしてもらった。
故郷の両親や友人を想って作った曲
この週の「atré MUSIC+1」は、特別企画「あの春SONGは、こうして生まれた!」と題した名曲制作秘話特集を実施。2025年10月にデビュー35周年を迎える槇原の春の名曲といえば、1992年にリリースされた『遠く遠く』だ。Tohku Tohku
槇原:作った当初は私小説的に作った曲でした。みんなに伝わると思っておらず、どちらかといえば自分の私信をアルバムのなかに勝手に入れさせてもらった、みたいな曲でした。
サッシャ:アルバムナンバーとして自分のやりたいこと、歌いたいことを歌った1曲なんですね。
槇原:はい、そうです。
ノイハウス:この曲は故郷にお住まいのご両親を想いながら書かれた、ということを伺っています。書かれたときにはどんな状況だったのでしょうか。
槇原:実を言うと、僕は音楽の道に進もうと思って東京には出ていたのですが、親は僕が音楽の道に進むのが当時はとても嫌だったんです。電話をかけるたびに、親とすごく喧嘩したりと複雑な日々をずっと送っていました。『どんなときも。』とかも売れたりして「安心してくれるのかな?」と思いきや、それでもずっとそれが続くと。
サッシャ:えー! 売れていてもまだ、認めてくれなかったんですか?
槇原:やっぱり親心というんでしょうか。「『どんなときも。』だけが売れても、そんなの絶対に続かない」と思ったりして、心配していたんだと思います。だから、ずっと「どうやったら安心してもらえるのかな?」と考えていたら「遠く離れているところからでも自分のことがわかるぐらい、自分が頑張ったら安心してくれるのかな」みたいな。そういう気持ちを本当にそのままストレートに書いた曲です。
ノイハウス:ヒット曲を出しながらも認めてもらえない。悩んでいるところで、反抗するのではなく、それでも両親のところに気持ちを届けたいという想いが素敵だなと思います。
槇原:僕は大阪出身なんですが、大阪に残してきた友だちもみんな心配しているので、そういう友だちにも向けてメッセージを暗号のように届けられればいいなと思った感じでしょうか。
歌詞に込めた決意
『遠く遠く』には、歌詞に桜が登場する。槇原は春という季節への想いを語った。サッシャ:これは春にお書きになったのでしょうか。
槇原:春ごろに書いたのを覚えています。
サッシャ:春を詞のなかに入れたのはなぜですか?
槇原:(春は)いろいろなことが始まる季節。新しい世界が始まるんですが、ずっと僕は春については華やかさに隠れた不安、みたいなものをずっと感じていたんです。周りにこんなに桜が咲いちゃって、温かくなって希望にあふれている感じだけど、心にひっそりと隠した不安、みたいなものを思わず書きたくなったという。そういう感じだったと思います。
サッシャ:ワクワクとドキドキの季節ですもんね。
曲の後半では「同窓会には参加しない返事を出したが……」といった複雑な感情が描かれている場面がある。
サッシャ:ご両親は「いつ帰ってくるの?」みたいな感じですが、自分は頑張りたい。別に同窓会に行っても1日で帰ってこられると思いますが、欠席に丸を付ける。ここに槇原さんの決意みたいなものを感じます。
槇原:うれしいです。まさにそのとおりで、帰ってしまうとすぐに自分のなかのなにかがふわっと、地元にいたころと同じに戻ってしまうような怖さみたいなものが、どこか心のなかにあったんです。だから、そこはもう会わないで、ずっと頑張れるところは頑張っていく、という気持ちではいました。
サッシャ:槇原さんは、曲もヒットしていてみんなに知られていましたが、故郷に帰ったらお友だちとの関係も含めて、いつものデビュー前の槇原さんに戻れたと思います。でも、そこには「まだいまは戻れない」という感じだったのでしょうか。
槇原:そうですね。自分のなかにある「こうなりたい」みたいなところを目指す途中だったのかもしれません。
サッシャ:素敵だなあ。そのときの槇原さんに一緒にタイムスリップしたような気持ちになりました。
槇原:うれしいです。ありがとうございます。
番組では槇原の『遠く遠く』をオンエアした。
サッシャ:槇原さんみたいに上手に歌うのは難しいですが、当時の槇原さんの気持ちも味わいながらカラオケで歌いたくなりました。
槇原:みんなで歌ってください。
「教え」みたいな曲
『STEP ONE』は4月末までの期間、アトレとコラボレーションを実施していた。アトレのこの春のプロモーションテーマは「私にやさしい、春にしよう。」。春は暖かくなって気分も明るくなる半面、新しい環境でソワソワし、疲れやすい時期。そんな春に「自分にやさしくすごしてほしい」という想いが込めたもの。それを音楽でも体現するため、ゲストに選曲をお願いした。槇原:大貫妙子さんと坂本龍一さんで『a life』という曲です。
サッシャ:この曲は2010年にリリースされた、大貫妙子さんと坂本龍一さんによるアルバム『UTAU』に収録されています。槇原さん、なぜこの曲なのでしょうか?
槇原:いろいろ考えましたが、この曲の歌詞全部がこれから新しいことが始まるとか、または春からなにかを始める人にとっても大事なことを歌っているような気がするんです。すごくやさしいメロディで、伴奏もピアノだけということもあって、「教え」みたいな曲に僕には聴こえるんです。ピッタリかなと思って選ばせていただきました。
サッシャ:まるで親から「歯を磨きなさい」みたいに言われている感じもしなくはないです。
槇原:本当にそうですよね。
サッシャ:特に歌詞で好きな部分はありますか?
槇原:ほとんど全部好きです。悲しいニュースを乗り越えていこう、というような歌詞があります。大貫さんが歌詞を書かれていますが、「すごいなあ」と思いました。すごく簡単な言葉ですが「これを僕は言いたいんだよな」と思いました。
ノイハウス:これはタイムレスというか、どんなときにも当てはまるというか、いまでも響くし、きっとリリース当時も響いたんだろうと思います。
サッシャ:簡単な言葉を選ぶことほど難しいけど、それを選べたときに、それが力強い言葉になるんですね。
槇原:本当にそうだと思います。あとはその人がどれだけ、そのことについて考えていたか、ということが簡単な言葉のなかに織り込まれているような、そういう気がします。
今回、槇原が選んだ曲はSpotifyにてプレイリスト「J-WAVE STEP ONE atré」としても公開中。
最後に槇原は、「春は本当に心が揺れ動いたりすることが多いですが、絶対にその先には素敵なことがいっぱい待っていると思って。それこそ心で飛び越えて、素敵な春を迎えていただきたいなと思います」とリスナーにメッセージを送った。
槇原の最新情報は、公式サイトまで。
J-WAVE『STEP ONE』のコーナー「atré MUSIC+1」では、ゲストとして毎回話題のミュージシャンが登場する。放送は月曜~木曜の12時30分ごろから。
番組情報
- STEP ONE
-
月・火・水・木曜9:00-13:00