角野隼斗、妹・角野未来とメディア初の対談。お互いの“受験エピソード”を明かす

ピアニスト・角野隼斗と角野未来が、メディア初の兄妹対談を行った。

この内容をお届けしたのは、3月9日(日)放送の『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のコーナー「TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES」。角野隼斗が音楽を通じたさまざまな“出会い”をもとに、楽曲とトークをお届けするコーナーだ。

radikoでは3月16日(日)28時まで再生可能。

角野兄妹のメディア対談が実現

角野未来は1998年、千葉県生まれ。東京藝術大学在学中に藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演したほか、アカンサス音楽賞、同声会賞、藝大クラヴィーア賞を受賞するなど優秀な成績で卒業。第17回ショパンコンクールin Asiaコンチェルト部門金賞、併せてコンチェルト賞受賞。

ニューヨークのカーネギーホールで演奏デビューし、日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団などと共演。2024年からはフランスに拠点を移し、現在はリヨン国立高等音楽院マスター課程に在籍中だ。今回は、兄・角野隼斗との初のメディア対談となる。未来は3月16日(日)のオンエアにも出演予定だ。

隼斗:未来さんは僕の妹なんですけど、ラジオのような公の場で一緒に話すことが初めてです。

未来:緊張します(笑)。

隼斗:カーネギーホールで演奏デビューっていつの話ですか?

未来:これは5歳ですね(笑)。5歳と6歳で2回行っています。

隼斗:このことをまだプロフィールに書いているんですか(笑)。

未来:もうちょっと、あと10年ぐらいは書き残したいかな(笑)。隼斗さんこそカーネギーホールでデビューということで。

角野隼斗は2025年11月にカーネギーホール大ホールでのソロリサイタルのデビューを控えている。

隼斗:未来さんと比べると25年ぐらい遅れて(笑)。ようやく私もカーネギーに立てるぐらい一人前になれました。

未来:すばらしい! おめでとうございます。

物心がつくころからピアノに触れていた

角野隼斗と未来は3歳差の兄弟だ。また、母・美智子さんはコンクール入賞者を100名以上輩出したピアノ指導者である。音楽が常にある環境で育った未来は、気がつくとピアノを演奏していたと話す。

隼斗:最初は弾きたいと思って弾いてた?

未来:全然覚えてない。

隼斗:兄がやってたら自然と触るのかね?

未来:そうだね。

隼斗:当時はピアノが1台しかなかったけど、お互い練習は真面目にやっていましたね。

ここで未来は、日曜のお昼にふさわしいピアノ曲を紹介した。

未来:シューベルト作曲の即興曲Op.90-3です。

隼斗:お送りしたのはシューベルト作曲の4つの即興曲第3番 変ト長調。演奏はマリア・ジョアン・ピレシュです。

リスボン出身のマリア・ジョアン・ピレシュは、1953年から1960年までリスボン音楽院でフランシーヌ・ブノワにピアノと作曲を学び、のちにドイツにてローゼル・シュミットとカール・エンゲルに師事。1970年にベートーヴェン生誕200周年記念コンクールにて優勝し、国際的な活動を始め、極めて高い評価を得ている。

隼斗:マリア・ジョアン・ピレシュは好きなピアニストですか? 実は実際に聴いたことがなくて。

未来:好きです。パリのフィルハーモニーで初めて演奏を聴いて、涙を流した。

隼斗:へええ! それはなぜ?

未来:ベートーヴェンのピアノソナタ第31番の最初の音で涙がぶわーっと出てきて、めっちゃ不思議な感覚でした。もともとCDを聴いていて大好きだったんですけど、その一音でものすごく心が揺さぶられましたね。聴いたのは1年半前ぐらいかな。

隼斗:生で聴いてみたいなあ。あとどれぐらい続けてくれるんだろう。

未来:ケガをされたりしているときもあるから、聴けるときに聴かないとだよね。

中学3年生の夏から高校受験

続いて、ふたりは学生時代の受験を振り返る。未来が藝大附属高校(東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校)に入学したきっかけは、兄の影響によるものだろうか。

隼斗:当時、真面目な話をしなかったからよく知らないんだけど、なんで急に藝大附属高校に行きたくなったんですか?

未来:まず、小学校6年生まで毎年コンクールとかに出て、ピアノを一生懸命やってたわけなんだけど、小学校高学年になってだんだん曲とかが難しくなって。今まではただ楽しく弾いて、賞をもらって……それが楽しかった。でも、難しくなって弾けなくなり、思ったように結果が出なくなると、ピアノが楽しくてやってるのか、結果が出るから楽しいのかわからなくなったんだよね。お兄ちゃんが中学受験して、学生生活が楽しそうだったから、私も勉強してみようかなと思った。それで、小学校6年生の4月に塾に入ったんだよね。

隼斗:じゃあ、兄の影響が色濃く?

未来:色濃くはない。3割くらい(笑)。

隼斗:3割か(笑)。そうでしたか。

未来:それから中学校に入ったんだけど、学校も遠かったし勉強も忙しくて全然ピアノが弾けなくって。そうしたら、今度はやっぱりピアノ弾きたいなって思うようになった。そのときに金子先生に「藝高っていう学校があるよ」って教えてもらって、「受けてみたらどうなの」って言われた。

隼斗:金子先生という、我々の先生で大御所の方がいます。

未来:そう(笑)。それが中3の7月くらい。

隼斗:中3の7月って、受験が1月ぐらいだとすると、半年くらいしかないでしょ?

未来:そうそう。あと1カ月で課題曲が出るくらいの時期に言われて、「そんな学校があるんだ!」と思った。高校って勉強する場所なのに、音楽ばっかりできる場所があるなんて知らなくて。それで調べてみたら、めっちゃ楽しそうで! 学校で演奏会もあって、教室には大きなピアノがあって。学校には練習室がいっぱいあるし、みんな授業の合間に練習してる。そういうのって想像できないじゃん!

隼斗:たしかに。普通の中学生からしたらな。

未来:想像したらワクワクしすぎて、入ってみたいって思った。

受験勉強を支えたのは“パイナップル”

エスカレーター式で高校に進学できる道ではなく、藝大附属高校受験を目指すことを決めた未来。当時は高校浪人を辞さない覚悟だったという。

隼斗:かなりの覚悟ですけど、受かる自信があった?

未来:なかったから、高校浪人するんだろうと思ってた(笑)。入れないかもしれないけど、やってみたいっていう感じでやったかな。

隼斗:準備は?

未来:準備はめっちゃ大変だった! 毎日24時くらいまで練習して、終わったあとは“パイナップルを食べる”っていう謎のルーティーンがあって(笑)。

隼斗:パイナップル(笑)?

未来:半年くらい、毎日夜中まで練習して、パイナップルを食べて、そうしたらなんとか合格できたっていう。

隼斗:パイナップルのおかげで?

未来:そうかも(笑)! 酸味で気が引き締まったと思う。

隼斗:中学3年ってことは、俺が高校3年だから、ちょうど大学受験をしてる年かな。裏でそんなことをやってたんだね(笑)。

未来:そうだよね! 自分のことで精一杯で、受験の状況についてはお互い知る由がなかった(笑)。

隼斗:俺、家で勉強ができないタイプだったし、塾とかもあったからね。藝大附属高校に行って東京藝術大学に行って、今も籍があるんですよね?

未来:大学院に籍があります。

隼斗:大学生活はどうですか?

未来:藝大附属高校から環境はそんなに変わっていなくって。ずっと上野で、同じ場所だけど、やっぱりこんなに音楽ばっかりの世界で、同じ志を持った仲間がいっぱいいて、すばらしい先生がいる環境がありますから、入れてよかったなと思いますね。お兄ちゃんも藝大に入りたかったんだよね?

隼斗:ちょっと入りたかった(笑)。高校2年生ぐらいのころにはそういう時期があったけど、東大で音楽すればいいかと思って(笑)。俺の場合はクラシックピアノを毎日やって、最終的にピアノの先生になるということがあまり想像できなかった。

未来:東大でよかったと思う!

隼斗:そう言っていただけてよかったです(笑)。

ふたりの対談は、3月16日も引き続きオンエアする。J-WAVEで11時30分ごろから。
radikoで聴く
2025年3月16日28時59分まで

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番組情報
ACROSS THE SKY
日曜
9:00-12:00

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