J-WAVE毎春恒例の日本最大級ギター弾き語り祭典「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2025 supported by 奥村組」（以下、ギタージャンボリー）が、2025年3月1日（土）・2日（日）の2日間にわたって両国国技館で開催されました。
「ギタージャンボリー」は、2013年の初開催以来、豪華アーティストによるギター弾き語りを楽しめるユニークなライブイベントとして、多くの音楽ファンにご好評をいただいています。両国国技館ならではの土俵に見立てたセンターステージが特徴で、観客が360度ステージを取り囲む形で臨場感あふれるパフォーマンスを間近で体感することができます。
千穐楽は、奥田民生、森山直太朗、根本 要（スターダスト☆レビュー）、宮沢和史、小山田壮平、内澤崇仁＋佐藤拓也（androp）、川崎鷹也、大橋ちっぽけ、冨岡 愛の全9組が土俵入り。
個性あふれるアコギパフォーマンスで会場を盛り上げた様子を、オフィシャルレポートでご紹介します。
千穐楽の紅一点の存在である彼女は大拍手に迎えられ「MAYBE」からライブをスタートさせた。ギターの音色に透き通った声が乗る、〈愛とか恋とかそう簡単に 片付けられないよこの日々〉と恋愛模様を彼女の筆致で紡ぐ。オーディエンスは1曲目から彼女の奏でる音楽に寄り添い体を揺らす。
堂々と歌い上げると、「路上ライブのときにたくさん歌っていた曲」と中島みゆきの「ファイト！」をカバー。リスペクトと冨岡 愛色の両方を感じさせるパフォーマンスだ。力強くも儚く歌い奏でる彼女。魂のこもった歌声に会場からは大きな拍手が。
「気合いを入れたい」と四股を踏んだ冨岡は、その勢いで昨年のバレンタインにリリースし、彼女の人気曲となった「恋する惑星「アナタ」」をかき鳴らす。心地よいサウンドに酔いしれる。
オーディエンスの心を鷲掴みにすると、「次が最後の1曲になります」と「グッバイバイ」を投下。この曲は彼女をメインストリームへ突き上げた1曲。国内外でヒットした楽曲を彼女は、青いライトに照らされながら、丁寧に奏でる。情感たっぷりに歌う彼女から目が離せなくなる。千穐楽のトップバッターにふさわしいパフォーマンスを我々に届けてくれたのだった。
手拍子が会場を包む、オーディエンスが刻むビートに乗りながら、彼は心地よさそうに歌い奏でる。クリアな歌声にオーディエンスはうっとりしている。歌い終わると、客席からの「おかえり」の声に笑顔で「ただいま」と答える大橋。2018年のオープニングアクトぶりに帰ってきた彼は、ひとまわりもふたまわりも成長してこの舞台に立っている。
「寂しくなるよ」を語りかけるように、想いを届けるように、丁寧に弦を弾き、歌う。大橋ちっぽけが作り出す世界観に我々は誘われる。記名性の高い歌声が耳と心に浸透していくのが分かる。
「僕の一番新しい曲を」と小気味のいいフレーズを奏でると、自然発生するクラップ。「人間ですから」を投下した大橋。先ほどまでの楽曲とは雰囲気の異なる、また別の顔を覗かせる。力強く、スキルフルなギターが鳴り響き、感情を表に出した歌唱に胸を打たれる。
「温かいみなさんの前で演奏できることを幸せに思います。ちっぽけという名前ですが、もっともっと大きくなります」と挨拶をすると、とびきりハッピーなラブソング「常緑」を最後に投下。クラップが巻き起こる会場。ビートに乗りながら、“愛”を歌う大橋。彼が会場にもたらした一体感、しっかりと次の取組へとバトンを繋ぎ、大拍手の中ステージを後にした。
1曲歌い終わると、イベントへの感謝とギターの話、そして「僕は、歌いながら回りたいと思います」と宣言し、「革命」を披露。テンポの速い展開に自然発生するハンドクラップ。間髪を入れず「空は藍色」。ハーモニカの音色が会場に響く。
andymoriが大好きだった筆者にとっては、このセットリストは胸に来るものがある。バンドヒーローだった彼が目の前でギターを掻き鳴らし、歌っているのだから。同じ気持ちのオーディエンスもきっといるはず。
小山田壮平の歌声と生み出すサウンドには魔法のような力がある。リスナーの背中を押すような、包み込むような温かい力。歌い奏でる姿にオーディエンスは目を離せなくなっているのが分かる。曲を終えるたびに大きくなる歓声と拍手。
次に披露された「時をかけるメロディー」は彼のソロ曲。心地よいアルペジオに透き通った歌声で情感たっぷりに歌い上げると、ギターを掻き鳴らし「アルティッチョの夜」。〈吐いて 吐いて ああ〉と力強く歌い奏でる、ギアをさらに入れて、ライブの終盤を彩る。最後は、andymoriの楽曲「投げKISSをあげるよ」で締め括った。
短い時間で6曲を内包した極上のライブ。彼の現在と過去をクロスオーバーするような濃密な時間だった。
「よろしくお願いします」とライブは「RainMan」からスタート。曲の始まりと同時に会場ではクラップが起こる。嬉しそうな表情を浮かべて内澤は「ありがとうございます」と感謝を述べる。跳ねるようなアルペジオ、柔らかな歌声、会場を2人の世界観へと誘う。
1曲目を歌い終えると、デビュー前からお世話になっているというJ-WAVEへの感謝と、そんなJ-WAVEとの思い出の曲であり、彼らの人気曲「MirrorDance」を回転するステージ上で奏でる。バンドとは異なる極上のサウンドとアレンジにオーディエンスは体を揺らす。歌詞を"J-WAVEが好きだ"に変更し歌う一幕もあり、彼らの温かさを感じる。
続くは「Hikari」。ギターの優しく温かい音色が両国国技館に響き渡る。語りかけるように、まるで物語を紡ぐように歌う内澤と歩幅を合わせるように弦を爪弾く佐藤。2人の阿吽の呼吸でこのグッドミュージックは生まれているのか。〈一人じゃない〉とリスナーの背中を押す楽曲を歌い終えると、ラストの１曲へ。
「最後は一緒に乾杯出来れば」と「Toast」を投下。オーディエンスはクラップでビートを刻む。ここにいる全員で音楽を楽しむ。＜LaLaLaLa＞とシンガロング、2人の奏でる音に気持ちを委ね、心を開いて、歌いあった最高の時間。多幸感に満ちた余韻が会場には漂っていた。
大きな歓声が彼を迎えると、「みんなに会えるのを楽しみにしていました」と「中央線」からライブをスタートさせた。35年経っても変わらない歌声、宮沢の紡ぐ音楽に息を呑む。冒頭からオーディエンスの心を鷲掴みにして、センターステージが回る。
続いて名曲「風になりたい」を投下。「ぜひ一緒に歌ってください」と宮沢が語りかけると、大きな歓声が。自然発生するハンドクラップに〈風になりたい〉と歌うオーディエンス。一体感が生まれる会場＝両国国技館に心地よい風が吹き込んでいるようだ。宮沢とともに歌を奏でるオーディエンスの表情がとてもいい。
大歓声に包まれるなか、「若い頃は洋楽に憧れたものです。でもこの年になると、日本にもたくさん名曲があると思うんですよね」と「難破船」を奏で始める。この曲は加藤登紀子の作詞作曲、中森明菜がカバーしたことでも有名。男のセクシーさを感じる宮沢の至極のカバーでアダルトな時間を過ごした後は、宮沢が三線を手に取り、立ち上がる。次に鳴るのは、もちろん「島唄」だ。曲の成り立ちを語り、歌が始まれば宮沢の一挙手一投足から目を離せなくなってしまう。
圧巻のパフォーマンスに、クラップをしながら応えるオーディエンス。歓声と拍手が会場を包むと、「最後にもう1曲」と最新曲「Myr」。ウクライナ語で平和を意味するこの楽曲を語りかけるように奏で、宮沢和史の取組は幕を閉じた。
優しく柔らかい歌声、大切な存在がこの世に生まれた奇跡を歌う。ギターの音の葉、紡ぐ言の葉、その全てが耳にスーッと浸透していく。オーディエンスは会場に響くその音に寄り添い、体を揺らし、心地良い空間が出来上がっている。「ありがとう」と演奏を終えると拍手が巻き起こる。「かっこいい！」「鷹也！」と黄色い声援も届く中で、ステージを回転。
「最後まで幸せな時間をお届けできたらな」と始まった彼の代表曲「魔法の絨毯」。フェイクがクール過ぎて、胸が高鳴ってしまう。スキルフルな歌唱でオーディエンスを魅了し、丁寧に1曲を歌い終えると、再び大歓声が会場を包む。間髪を入れずに、ギターを爪弾きながら、〈I love you〉と歌う川崎。「新曲を持ってきました」と「曖昧Blue」を披露。オーディエンスはクラップでビートを刻む。川崎とともに音を奏でながら、彼の音楽に花を添える。
「次は皆さんの掛け声と手拍子を！」と始まった、〈Oh, My love〉のシンガロング練習。川崎鷹也の最後の曲は、「ほろ酔いラブソング」。やはり彼にこの手の筆致の曲を書かせたら右に出るものはいないだろうなと、曲を楽しみながら思う。オーディエンスの〈Oh, My love〉、練習の成果が出ている模様、どんどん大きな声が会場に轟く。
愛の詰まった最高のライブパフォーマンスで、ここにいる全ての人間で作り上げた愛の空間。川崎鷹也は最後の最後まで声高らかに歌い、我々を魅了し、ピックを投げてステージを後にした。
「あ～♪、ありがとうございます。は～♪、初めてのギタージャンボリ～」と歌うように自己紹介。「今日の出演者の中で最年長。耳が遠いから他のみんなより大きな拍手を」とジョークを発すると、この日一番の拍手が会場を包みこむ。その盛り上がりのなか始まった「夢伝説」。
〈遠い昔のことさ〉と歌い出した瞬間にまた大歓声。たった一声で根本 要の空間につくり変えてしまう。衰えない歌声とエンターテイナーとしてのスキル。「みんな、ジジイに優しくていいな」と再びジョークを発して、お茶目で小気味なMCでオーディエンスは笑顔に。
「きっと皆さん知っている曲」と「木蘭の涙」を歌う。根本の歌声とギターが両国国技館に轟く。涙が出るのをグッと堪える。先ほどまで軽快なMCをしていたはずなのに、涙腺を刺激するなんて、ずるい。最高の1曲を歌い終えると、次はカバーソングを歌うという根本。ビートルズ「Oh! Darling」のカバーをロングボイスでクールに歌い終えると、両国という場にぴったりな元横綱・白鵬との思い出話から「たくさん飲まされて、俺が吐く方（白鵬）になっちゃった」というジョークをまたまた披露。
そこからの「追憶」でもう感情はめちゃくちゃだけれど、根本の声が耳に浸透していくのだ。スーッと浄化されるような気持ちになってしまう。「今夜だけきっと」が始まるころには、ここにいる全員が根本 要の虜。自然発生した客席のスマホライトが左右に揺れる、美しいこの光景はギタージャンボリーの名場面に刻まれることだろう。
最後は最高にポップに「ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス」でライブを締め括った。
「奥村です、よろしくお願いします」と冗談をかましてから、「息子」でスタートしたライブ。冒頭から鳴り止むことのないハンドクラップ。一発で場の雰囲気を掌握してしまうのは、流石だ。1曲目からオーディエンスの笑顔で会場は満開になっている。奥田の「おいっ！」の掛け声で、さらにボリュームが上がるクラップ。
「ありがとうございます！」と曲を締めると、「恋のかけら」へライブは展開。独特な歌声と確かなギターサウンド、オーディエンスはそんな彼のパフォーマンスを見つめ、体を揺らす。〈愛してる 愛してる〉と歌い終えると、「どうもご無沙汰しております。なんか近くない？ マス席って前からこうだった？」とMC。昨年、ソロ活動30周年を記念した2DAYSを両国国技館で行った奥田は、「だから、両国は庭（笑）」と会場を沸かせる。
「何曲かやったら帰りますね。最後の曲までよろしくお願いします」と「ぼくら」を投下。力強く弦を弾き、力強く歌い奏でる奥田。曲を終えるたびに歓声と声援のボリュームは上がる。「新しい曲がないんですよ。サボってないんですけどね」とオーディエンスとコミュニケーションを楽しみながら、この日がライブ初演となった「僕的地」「なんでもっと」と展開していく。
我々は、メインステージで鎮座するギター侍の演奏から目が離せない。〈遠い国から 大きな黒船にのってきた〉と歌うと客席から歓声が。UNICORNの「車も電話もないけれど」が始まる。オーディエンスのクラップに呼応してステージが回と、「民生〜！！」という黄色い声援が。
大歓声に包まれながら曲を終えると、最後は「イージュー★ライダー」でお開き。一緒に歌って楽しむ者、一挙手一投足を見逃さないように視線を送る者、楽しみ方はそれぞれだけど、オーディエンスの表情はみんな笑顔。温かい拍手に見送られるように、奥田民生はステージを後にした。
今年の音楽花見を締め括る結びの一番は、森山直太朗が務める。昨年のギタージャンボリーは体調不良のため2曲のみの歌唱となった森山にとって、今年はリベンジの年。名前が呼び出されると、大歓声が沸き起こる。温かい声に迎えられ、ついにライブがスタート。
彼は笑みを浮かべながら、ギターを爪弾く。1曲目は、「夏の終わり」。優しいギターの音色と伸びやかな森山の声が会場に広がっていく。ある人は、隣にいる大切な人の肩を抱きながら、またある人は目を閉じて音に集中し、またある人はゆっくり横に揺れながら、目の前で鳴り響くグッドミュージックに寄り添っている。「2日間の余韻が舞台上に漂っています」とMCをすると、大きな拍手が会場を包む。
小気味よく始まった「坂の途中の病院」で抜群の歌唱スキルを魅せつけ、続くは最新曲の「新世界」。この曲は森山が父の死に直面したことで生まれたものだという。目を閉じて森山の紡ぐ言葉と鳴らす音に集中する。胸にじわっと音楽が浸透していく。割れんばかりの拍手が森山へ送られると、「この曲も去年歌いたかったんですけど」と「どこもかしこも駐車場」を投下。立ち上がり、360度客席を見渡しながらギターとハーモニカの音色を響かせる。オーディエンスとコミュニケーションを取りながら、共に歌いながら生まれる一体感。
「ギタージャンボリー2025、これにて一件落着でございます！」と高らかに声を上げた森山。アンコールを求めるクラップが鳴り響くと「嬉しいですね！ ありがとうございます！ アンコールなくても歌おうと思っていたんですけどね（笑）」とオーディエンスを笑顔に。
最後は、「またこの場所で会おう、さらば友よ！」と「さくら」で締め括った。千穐楽の結びにふさわしいライブ、大歓声と大きな拍手、そして余韻がいつまでも両国国技館には漂っている。
オーディエンスの笑顔が満開となった年に一度の音楽花見は最高の形で、幕を閉じたのだった。
■ラジオオンエア情報
イベントの模様をJ-WAVEの特番内で放送いたします。
放送局： J-WAVE（81.3FM）
タイトル：J-WAVE SPECIAL OKUMURAGUMI presents TOKYO GUITAR JAMBOREE 2025
放送日時：2025年3月19日（水）20:00～24:00
https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2025/
■TVオンエア情報
イベントの模様を2回に分けてBS朝日にて放送いたします。
放送局： BS朝日
放送日時：
①2025年3月20日（木・祝）17:00～19:00 ～第一夜・桜らんまん編～
②2025年3月22日（土）25:00～27:00 ～第二夜・夜ふかし花見編～
https://www.bs-asahi.co.jp/guitarjamboree2025/
「ギタージャンボリー」は、2013年の初開催以来、豪華アーティストによるギター弾き語りを楽しめるユニークなライブイベントとして、多くの音楽ファンにご好評をいただいています。両国国技館ならではの土俵に見立てたセンターステージが特徴で、観客が360度ステージを取り囲む形で臨場感あふれるパフォーマンスを間近で体感することができます。
千穐楽は、奥田民生、森山直太朗、根本 要（スターダスト☆レビュー）、宮沢和史、小山田壮平、内澤崇仁＋佐藤拓也（androp）、川崎鷹也、大橋ちっぽけ、冨岡 愛の全9組が土俵入り。
個性あふれるアコギパフォーマンスで会場を盛り上げた様子を、オフィシャルレポートでご紹介します。
冨岡 愛
グッドミュージックと美味しいフードに舌鼓、年に一度の音楽花見「J-WAVEトーキョーギタージャンボリー2025 supported by 奥村組」も今日が千穐楽。両日ともに満員御礼の両国国技館、大滝詠一・ナイアガラ盆踊りと恒例の鏡開きで景気良く開幕し、準備万端のセンターステージで2日目最初の取組に挑むのは、シンガーソングライター・冨岡 愛。千穐楽の紅一点の存在である彼女は大拍手に迎えられ「MAYBE」からライブをスタートさせた。ギターの音色に透き通った声が乗る、〈愛とか恋とかそう簡単に 片付けられないよこの日々〉と恋愛模様を彼女の筆致で紡ぐ。オーディエンスは1曲目から彼女の奏でる音楽に寄り添い体を揺らす。
堂々と歌い上げると、「路上ライブのときにたくさん歌っていた曲」と中島みゆきの「ファイト！」をカバー。リスペクトと冨岡 愛色の両方を感じさせるパフォーマンスだ。力強くも儚く歌い奏でる彼女。魂のこもった歌声に会場からは大きな拍手が。
「気合いを入れたい」と四股を踏んだ冨岡は、その勢いで昨年のバレンタインにリリースし、彼女の人気曲となった「恋する惑星「アナタ」」をかき鳴らす。心地よいサウンドに酔いしれる。
オーディエンスの心を鷲掴みにすると、「次が最後の1曲になります」と「グッバイバイ」を投下。この曲は彼女をメインストリームへ突き上げた1曲。国内外でヒットした楽曲を彼女は、青いライトに照らされながら、丁寧に奏でる。情感たっぷりに歌う彼女から目が離せなくなる。千穐楽のトップバッターにふさわしいパフォーマンスを我々に届けてくれたのだった。
大橋ちっぽけ
心地よい余韻が流れる場内。次の取組に臨むのは、西から姿を現した、日本語ポップの新次元を切り拓くシンガーソングライター・大橋ちっぽけ。メキメキと頭角を表す彼は、「嫌でもね」からライブをキックオフした。手拍子が会場を包む、オーディエンスが刻むビートに乗りながら、彼は心地よさそうに歌い奏でる。クリアな歌声にオーディエンスはうっとりしている。歌い終わると、客席からの「おかえり」の声に笑顔で「ただいま」と答える大橋。2018年のオープニングアクトぶりに帰ってきた彼は、ひとまわりもふたまわりも成長してこの舞台に立っている。
「寂しくなるよ」を語りかけるように、想いを届けるように、丁寧に弦を弾き、歌う。大橋ちっぽけが作り出す世界観に我々は誘われる。記名性の高い歌声が耳と心に浸透していくのが分かる。
「僕の一番新しい曲を」と小気味のいいフレーズを奏でると、自然発生するクラップ。「人間ですから」を投下した大橋。先ほどまでの楽曲とは雰囲気の異なる、また別の顔を覗かせる。力強く、スキルフルなギターが鳴り響き、感情を表に出した歌唱に胸を打たれる。
「温かいみなさんの前で演奏できることを幸せに思います。ちっぽけという名前ですが、もっともっと大きくなります」と挨拶をすると、とびきりハッピーなラブソング「常緑」を最後に投下。クラップが巻き起こる会場。ビートに乗りながら、“愛”を歌う大橋。彼が会場にもたらした一体感、しっかりと次の取組へとバトンを繋ぎ、大拍手の中ステージを後にした。
小山田壮平
３番手として東からステージに登場したのは、トーキョーギタージャンボリー初出演となる小山田壮平。2014年に解散した彼のバンドandymoriの名曲「16」からキックオフしたライブ。ハーモニカとギター、そして小山田の優しく語りかけるような歌声、フォーキーなサウンドは聴く人全てを魅了する。1曲歌い終わると、イベントへの感謝とギターの話、そして「僕は、歌いながら回りたいと思います」と宣言し、「革命」を披露。テンポの速い展開に自然発生するハンドクラップ。間髪を入れず「空は藍色」。ハーモニカの音色が会場に響く。
andymoriが大好きだった筆者にとっては、このセットリストは胸に来るものがある。バンドヒーローだった彼が目の前でギターを掻き鳴らし、歌っているのだから。同じ気持ちのオーディエンスもきっといるはず。
小山田壮平の歌声と生み出すサウンドには魔法のような力がある。リスナーの背中を押すような、包み込むような温かい力。歌い奏でる姿にオーディエンスは目を離せなくなっているのが分かる。曲を終えるたびに大きくなる歓声と拍手。
次に披露された「時をかけるメロディー」は彼のソロ曲。心地よいアルペジオに透き通った歌声で情感たっぷりに歌い上げると、ギターを掻き鳴らし「アルティッチョの夜」。〈吐いて 吐いて ああ〉と力強く歌い奏でる、ギアをさらに入れて、ライブの終盤を彩る。最後は、andymoriの楽曲「投げKISSをあげるよ」で締め括った。
短い時間で6曲を内包した極上のライブ。彼の現在と過去をクロスオーバーするような濃密な時間だった。
内澤崇仁＋佐藤拓也（androp）
次の取組は、トーキョーギタージャンボリー初出演となる、ロックバンド・andropから内澤崇仁と佐藤拓也によるパフォーマンス。西から姿を現した2人は、どんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。「よろしくお願いします」とライブは「RainMan」からスタート。曲の始まりと同時に会場ではクラップが起こる。嬉しそうな表情を浮かべて内澤は「ありがとうございます」と感謝を述べる。跳ねるようなアルペジオ、柔らかな歌声、会場を2人の世界観へと誘う。
1曲目を歌い終えると、デビュー前からお世話になっているというJ-WAVEへの感謝と、そんなJ-WAVEとの思い出の曲であり、彼らの人気曲「MirrorDance」を回転するステージ上で奏でる。バンドとは異なる極上のサウンドとアレンジにオーディエンスは体を揺らす。歌詞を"J-WAVEが好きだ"に変更し歌う一幕もあり、彼らの温かさを感じる。
続くは「Hikari」。ギターの優しく温かい音色が両国国技館に響き渡る。語りかけるように、まるで物語を紡ぐように歌う内澤と歩幅を合わせるように弦を爪弾く佐藤。2人の阿吽の呼吸でこのグッドミュージックは生まれているのか。〈一人じゃない〉とリスナーの背中を押す楽曲を歌い終えると、ラストの１曲へ。
「最後は一緒に乾杯出来れば」と「Toast」を投下。オーディエンスはクラップでビートを刻む。ここにいる全員で音楽を楽しむ。＜LaLaLaLa＞とシンガロング、2人の奏でる音に気持ちを委ね、心を開いて、歌いあった最高の時間。多幸感に満ちた余韻が会場には漂っていた。
宮沢和史
しばしの休憩と幕間で行われた新弟子オーディションでグランプリを勝ち取った柚木みいなという若き才能の歌声とギターを堪能したのち、千穐楽の5番手として東から登場し取組に臨むのは、昨年音楽生活35周年を迎えた、宮沢和史。大きな歓声が彼を迎えると、「みんなに会えるのを楽しみにしていました」と「中央線」からライブをスタートさせた。35年経っても変わらない歌声、宮沢の紡ぐ音楽に息を呑む。冒頭からオーディエンスの心を鷲掴みにして、センターステージが回る。
続いて名曲「風になりたい」を投下。「ぜひ一緒に歌ってください」と宮沢が語りかけると、大きな歓声が。自然発生するハンドクラップに〈風になりたい〉と歌うオーディエンス。一体感が生まれる会場＝両国国技館に心地よい風が吹き込んでいるようだ。宮沢とともに歌を奏でるオーディエンスの表情がとてもいい。
大歓声に包まれるなか、「若い頃は洋楽に憧れたものです。でもこの年になると、日本にもたくさん名曲があると思うんですよね」と「難破船」を奏で始める。この曲は加藤登紀子の作詞作曲、中森明菜がカバーしたことでも有名。男のセクシーさを感じる宮沢の至極のカバーでアダルトな時間を過ごした後は、宮沢が三線を手に取り、立ち上がる。次に鳴るのは、もちろん「島唄」だ。曲の成り立ちを語り、歌が始まれば宮沢の一挙手一投足から目を離せなくなってしまう。
圧巻のパフォーマンスに、クラップをしながら応えるオーディエンス。歓声と拍手が会場を包むと、「最後にもう1曲」と最新曲「Myr」。ウクライナ語で平和を意味するこの楽曲を語りかけるように奏で、宮沢和史の取組は幕を閉じた。
川崎鷹也
トーキョーギタージャンボリー千穐楽もすでに中盤戦に突入。音楽花見を彩るべく、6人目のギター侍として次に西から姿を現したのは、川崎鷹也。今回が初登場となる川崎は、「両国国技館、ギター１本、川崎鷹也」と言葉を発して、「君の為のキミノウタ」をスタートさせた。優しく柔らかい歌声、大切な存在がこの世に生まれた奇跡を歌う。ギターの音の葉、紡ぐ言の葉、その全てが耳にスーッと浸透していく。オーディエンスは会場に響くその音に寄り添い、体を揺らし、心地良い空間が出来上がっている。「ありがとう」と演奏を終えると拍手が巻き起こる。「かっこいい！」「鷹也！」と黄色い声援も届く中で、ステージを回転。
「最後まで幸せな時間をお届けできたらな」と始まった彼の代表曲「魔法の絨毯」。フェイクがクール過ぎて、胸が高鳴ってしまう。スキルフルな歌唱でオーディエンスを魅了し、丁寧に1曲を歌い終えると、再び大歓声が会場を包む。間髪を入れずに、ギターを爪弾きながら、〈I love you〉と歌う川崎。「新曲を持ってきました」と「曖昧Blue」を披露。オーディエンスはクラップでビートを刻む。川崎とともに音を奏でながら、彼の音楽に花を添える。
「次は皆さんの掛け声と手拍子を！」と始まった、〈Oh, My love〉のシンガロング練習。川崎鷹也の最後の曲は、「ほろ酔いラブソング」。やはり彼にこの手の筆致の曲を書かせたら右に出るものはいないだろうなと、曲を楽しみながら思う。オーディエンスの〈Oh, My love〉、練習の成果が出ている模様、どんどん大きな声が会場に轟く。
愛の詰まった最高のライブパフォーマンスで、ここにいる全ての人間で作り上げた愛の空間。川崎鷹也は最後の最後まで声高らかに歌い、我々を魅了し、ピックを投げてステージを後にした。
根本 要（スターダスト☆レビュー）
次に取組に臨むのは、根本 要（スターダスト☆レビュー）。ベテランの大一番、東から姿を現した、根本を大きな歓声が迎える。「あ～♪、ありがとうございます。は～♪、初めてのギタージャンボリ～」と歌うように自己紹介。「今日の出演者の中で最年長。耳が遠いから他のみんなより大きな拍手を」とジョークを発すると、この日一番の拍手が会場を包みこむ。その盛り上がりのなか始まった「夢伝説」。
〈遠い昔のことさ〉と歌い出した瞬間にまた大歓声。たった一声で根本 要の空間につくり変えてしまう。衰えない歌声とエンターテイナーとしてのスキル。「みんな、ジジイに優しくていいな」と再びジョークを発して、お茶目で小気味なMCでオーディエンスは笑顔に。
「きっと皆さん知っている曲」と「木蘭の涙」を歌う。根本の歌声とギターが両国国技館に轟く。涙が出るのをグッと堪える。先ほどまで軽快なMCをしていたはずなのに、涙腺を刺激するなんて、ずるい。最高の1曲を歌い終えると、次はカバーソングを歌うという根本。ビートルズ「Oh! Darling」のカバーをロングボイスでクールに歌い終えると、両国という場にぴったりな元横綱・白鵬との思い出話から「たくさん飲まされて、俺が吐く方（白鵬）になっちゃった」というジョークをまたまた披露。
そこからの「追憶」でもう感情はめちゃくちゃだけれど、根本の声が耳に浸透していくのだ。スーッと浄化されるような気持ちになってしまう。「今夜だけきっと」が始まるころには、ここにいる全員が根本 要の虜。自然発生した客席のスマホライトが左右に揺れる、美しいこの光景はギタージャンボリーの名場面に刻まれることだろう。
最後は最高にポップに「ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス」でライブを締め括った。
奥田民生
年に一度の音楽花見「J-WAVEトーキョーギタージャンボリー2025 supported by 奥村組」千穐楽も残すところ、あと2組。セミファイナルの取組で、ギターを掻き鳴らすのは西からメインステージへと姿を現した、奥田民生。大歓声と「民生〜！」と声援が飛び交う。「奥村です、よろしくお願いします」と冗談をかましてから、「息子」でスタートしたライブ。冒頭から鳴り止むことのないハンドクラップ。一発で場の雰囲気を掌握してしまうのは、流石だ。1曲目からオーディエンスの笑顔で会場は満開になっている。奥田の「おいっ！」の掛け声で、さらにボリュームが上がるクラップ。
「ありがとうございます！」と曲を締めると、「恋のかけら」へライブは展開。独特な歌声と確かなギターサウンド、オーディエンスはそんな彼のパフォーマンスを見つめ、体を揺らす。〈愛してる 愛してる〉と歌い終えると、「どうもご無沙汰しております。なんか近くない？ マス席って前からこうだった？」とMC。昨年、ソロ活動30周年を記念した2DAYSを両国国技館で行った奥田は、「だから、両国は庭（笑）」と会場を沸かせる。
「何曲かやったら帰りますね。最後の曲までよろしくお願いします」と「ぼくら」を投下。力強く弦を弾き、力強く歌い奏でる奥田。曲を終えるたびに歓声と声援のボリュームは上がる。「新しい曲がないんですよ。サボってないんですけどね」とオーディエンスとコミュニケーションを楽しみながら、この日がライブ初演となった「僕的地」「なんでもっと」と展開していく。
我々は、メインステージで鎮座するギター侍の演奏から目が離せない。〈遠い国から 大きな黒船にのってきた〉と歌うと客席から歓声が。UNICORNの「車も電話もないけれど」が始まる。オーディエンスのクラップに呼応してステージが回と、「民生〜！！」という黄色い声援が。
大歓声に包まれながら曲を終えると、最後は「イージュー★ライダー」でお開き。一緒に歌って楽しむ者、一挙手一投足を見逃さないように視線を送る者、楽しみ方はそれぞれだけど、オーディエンスの表情はみんな笑顔。温かい拍手に見送られるように、奥田民生はステージを後にした。
森山直太朗
「J-WAVEトーキョーギタージャンボリー2025 supported by 奥村組」の千穐楽。ついに最後の取組の時間がやってきた。今年の音楽花見を締め括る結びの一番は、森山直太朗が務める。昨年のギタージャンボリーは体調不良のため2曲のみの歌唱となった森山にとって、今年はリベンジの年。名前が呼び出されると、大歓声が沸き起こる。温かい声に迎えられ、ついにライブがスタート。
彼は笑みを浮かべながら、ギターを爪弾く。1曲目は、「夏の終わり」。優しいギターの音色と伸びやかな森山の声が会場に広がっていく。ある人は、隣にいる大切な人の肩を抱きながら、またある人は目を閉じて音に集中し、またある人はゆっくり横に揺れながら、目の前で鳴り響くグッドミュージックに寄り添っている。「2日間の余韻が舞台上に漂っています」とMCをすると、大きな拍手が会場を包む。
小気味よく始まった「坂の途中の病院」で抜群の歌唱スキルを魅せつけ、続くは最新曲の「新世界」。この曲は森山が父の死に直面したことで生まれたものだという。目を閉じて森山の紡ぐ言葉と鳴らす音に集中する。胸にじわっと音楽が浸透していく。割れんばかりの拍手が森山へ送られると、「この曲も去年歌いたかったんですけど」と「どこもかしこも駐車場」を投下。立ち上がり、360度客席を見渡しながらギターとハーモニカの音色を響かせる。オーディエンスとコミュニケーションを取りながら、共に歌いながら生まれる一体感。
「ギタージャンボリー2025、これにて一件落着でございます！」と高らかに声を上げた森山。アンコールを求めるクラップが鳴り響くと「嬉しいですね！ ありがとうございます！ アンコールなくても歌おうと思っていたんですけどね（笑）」とオーディエンスを笑顔に。
最後は、「またこの場所で会おう、さらば友よ！」と「さくら」で締め括った。千穐楽の結びにふさわしいライブ、大歓声と大きな拍手、そして余韻がいつまでも両国国技館には漂っている。
オーディエンスの笑顔が満開となった年に一度の音楽花見は最高の形で、幕を閉じたのだった。
■ラジオオンエア情報
イベントの模様をJ-WAVEの特番内で放送いたします。
放送局： J-WAVE（81.3FM）
タイトル：J-WAVE SPECIAL OKUMURAGUMI presents TOKYO GUITAR JAMBOREE 2025
放送日時：2025年3月19日（水）20:00～24:00
https://www.j-wave.co.jp/special/guitarjamboree2025/
■TVオンエア情報
イベントの模様を2回に分けてBS朝日にて放送いたします。
放送局： BS朝日
放送日時：
①2025年3月20日（木・祝）17:00～19:00 ～第一夜・桜らんまん編～
②2025年3月22日（土）25:00～27:00 ～第二夜・夜ふかし花見編～
https://www.bs-asahi.co.jp/guitarjamboree2025/