提供:ENEOS株式会社
私たちの生活に欠かせないガソリンなどの石油製品。その貯蔵・出荷を行う中継基地の一つとして稼働するのが、ENEOSの市川油槽所だ。約70万世帯が1年間で使用する量に相当する石油製品を貯蔵し、主に千葉県の西部、東京23区・埼玉県の東部へ日夜エネルギーを供給する同施設。知られざる油槽所の実態やそこで働く人の思いを探るべくこの度、モデルで俳優の堀田茜が取材を実施した。
取材の模様を伝えたのは、8月31日、9月7日に放送されたJ-WAVEの番組『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(ナビゲーター:堀田茜)。毎週ゲストを招き、地球のより良い未来の実現に向けたSDGsについてリスナーと共に学ぶプログラムだ。今回のロケの様子はYouTubeでも配信中。
「油槽」とは、石油やガソリンなどを貯蔵する大きなタンクのこと。この油槽が常時15基から20基程度稼働するという同施設は、どのような役割を担っているのだろうか。早速、ENEOS株式会社 販売企画部の根本さんに詳しい話を聞いた。
堀田:市川油槽所はいったい、どういった施設なのでしょうか?
根本:製油所から石油製品を受け入れて貯蔵し、タンクローリーや配給船で出荷するための中継基地です。石油製品はこの場所からENEOSのサービスステーションにも運ばれているんですよ。
堀田:生活に必要なエネルギーを届ける上で、重要な役割を担っているのですね。では、同施設の油槽にはどんな石油製品が入っているのですか?
根本:ハイオクガソリン、レギュラーガソリン、灯油、軽油といった一般的な油種からジェット燃料、特殊ガソリンといった特殊な燃料まで計12種類、10万KL(1KL=1000L)の石油製品が貯蔵されています。
堀田:10万KLも!?
根本:はい。一般的な世帯で換算すると、約70万世帯が1年間で使用する量に相当する石油製品を市川油槽所では貯蔵しています。
堀田:約70万世帯…それもまた想像ができない量ですけども。見たところ、タンクローリーもたくさんありますよね。
根本:本日でいうと、大体150台のタンクローリーが入構されています。1台のタンクローリーが複数回入構されるため、1日延べ約400台弱が入構されているんです。
堀田:ちなみに、市川油槽所からどのあたりのエリアまで石油製品は配送されているんですか?
根本:主に船橋市など千葉県の西側、東京23区の東側にあたる足立区・葛飾区・江戸川区、さらには埼玉県の東側である春日部市・越谷市といったエリアまで配送しています。
堀田:タンク上部には穴が開いているんですね。
根本:こちらは、ハッチ(石油製品を積み込むローリーの各槽)の注入口です。今回見学いただくのは24KLローリーなので7つのハッチがあり、それぞれ2KLないし4KLまで石油製品を注げる構造となっています。24KLを1つのハッチに丸ごと詰め込むと、ハッチのなかで液体が大きく揺れ動き、静電気などが発生しかねません。そうならないために、4KL区切りでマス割りがなされているわけです。
今回ハッチに注ぐのは、ハイオクガソリン、レギュラーガソリン、軽油の3種類。「ローディングアーム」と呼ばれる筒をハッチの注入口に差し込み、ボタンを押せば油が流れ込んでくるという。なお積込作業は、タンクローリーの乗務員さん自らが行うそうだ。
堀田:危険物を取り扱っていることもあって、乗務員さんにはしっかりとした「守るべきルール」が定められていそうですね。
根本:おっしゃる通り、きちんと決められた手順に則って作業を進めています。はじめに、乗務員さんにはご自身に事故、トラブル、怪我のないよう、安全設備を正しく着用してもらいます。次に、表示板に表示される油種と手元にある「立ち合い荷卸確認書」に記載されている油種を照合し、積込する油種に間違いがないかを確認の上、積込作業を開始してもらっているんです。
「ハイオクセットよし!」「バルブ開放よし!」「ハイオクスタートよし!」そんなふうに、乗務員がいくつもの項目を指さし確認すれば、いよいよ作業開始。ハッチの注入口にセットされたローディングアームからハイオクガソリンが注がれていく。
堀田:積込作業をする上で、具体的にどんなことに気をつけているのでしょうか?
根本:品質が一番大事なので、まずは、積込む前にハッチ内に異常がないかどうか必ず確認します。ハッチに異常があった場合に生じるのが、異なる2種類の油が混ざる「混油」のリスクです。この混ざったガソリンが、たとえばガソリンスタンドに納品されると、給油した車に何らかのトラブルが発生してしまいます。
堀田:なるほど。
根本:また、前に積んでいた油種がガソリンやハイオクガソリンだった場合、非常に可燃性の高い蒸気がハッチのなかに充満しています。その蒸気を「ガスパージ」という方法で、あらかじめ取り除くことも行うべき大事な作業の一つです。
1つのハッチへの積込作業はおよそ4~5分で完了。一部始終を見届けた堀田は「なかなか見られない景色でした。一生忘れないと思います!」と話していた。
堀田:タンクローリーの運転手さんになるには、どんな資格が必要なのでしょうか?
渡邊:大型自動車第一種免許と、トレーラー車も扱いますので、牽引の免許。あとは、乙種第4類 危険物取扱者免許も必要となります。(編注:そのほかにも、危険物取扱者免許「丙種」や「甲種」があります)
堀田:たくさんの免許を所持されている方が運転していると思うと、生活者としては安心できますよね。この油槽所からサービスステーションなどに石油製品を輸送しているそうですが、1日に多いときで何往復されるのですか?
渡邊:1日に3~4往復ですね。石油製品の量でいうと、60KLから80KL程度を日々輸送しています。
堀田:すごい…! 大切な燃料を積んで運転している間は、どういったことを意識されているのでしょうか?
渡邊:私たちの運ぶ製品は危険物であるため、より慎重により安全に輸送することを第一に心がけています。事前に安全な輸送ルートを調べて危険を回避し、事故・トラブルがないよう、無事にお客さまのもとにお届けすることが私たちプロドライバーの役目だと思っています。
気をつけているのは安全面だけではない。渡邊さんによれば、ENEOSのタンクローリー乗務員は、燃料消費量やCO2排出量を減らし、地球温暖化防止につなげるための運転技術および心がけを意味する「エコドライブ」の意識を持っており、環境面にも配慮した運転を実践しているという。
渡邊:タンクローリーは1km走行するごとに約0.9kgのCO2が発生し、年間に換算するとおよそ87tのCO2を排出していることになります。そのため、乗務員一人ひとりがCO2削減を図っていく必要がある。そこで私たちはタンクローリーを運転する際、十分な車間距離を確保し、急加速、急減速をしないよう気をつけます。そうすることで燃費向上化し、CO2の削減につなげているんです。
堀田:素晴らしい取り組みですね。では、渡邊さんにとってこのお仕事のやりがいとは何か教えてください。
渡邊:私は石油製品が社会にとって欠かせないものであり、それを運ぶ乗務員は専門性が高く、社会的責任と社会的使命感を感じられる職業だと捉えています。タンクローリーの乗務員は危険物を扱うので、一つひとつの作業において正確さが厳密に求められます。私自身、最初は作業を覚えることで必死でしたが、業務に慣れ、1日の配送をトラブルなく終えられたときは達成感を覚えました。また、何度か行く配送先で顔と名前を覚えてもらい、「今日もありがとね」「次回もよろしくね」と感謝の言葉をいただけたときなどに、より一層のやりがいを感じます。
インタビューを終えた渡邊さんは、タンクローリーに乗り込んで市川油槽所を出発。その後を追った堀田は、近隣のサービスステーションで渡邊さんが荷卸作業する様子を見学した。ガソリンをはじめとした石油製品が油槽所からどのようにエンドユーザーのもとに届けられるのか。そんな知られざるプロセスを学んだ堀田は、最後に感想をこう述べた。
堀田:今回、私たちが移動するために欠かせないガソリンなどがどのように運ばれるのかを見学させていただきました。本当にたくさんの指さし確認、チェックポイントがあって、環境や安全面に配慮されているんだなとよくわかりました。サービスステーションで自分が乗る車に給油することはあっても、その燃料油がどうやってサービスステーションに貯蓄されるのか知りませんでしたし、本当にたくさんの人たちの協力の上に私たちの安心・安全な生活が成り立っていると実感できた時間でしたね。
(構成=小島浩平)
私たちの生活に欠かせないガソリンなどの石油製品。その貯蔵・出荷を行う中継基地の一つとして稼働するのが、ENEOSの市川油槽所だ。約70万世帯が1年間で使用する量に相当する石油製品を貯蔵し、主に千葉県の西部、東京23区・埼玉県の東部へ日夜エネルギーを供給する同施設。知られざる油槽所の実態やそこで働く人の思いを探るべくこの度、モデルで俳優の堀田茜が取材を実施した。
取材の模様を伝えたのは、8月31日、9月7日に放送されたJ-WAVEの番組『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(ナビゲーター:堀田茜)。毎週ゲストを招き、地球のより良い未来の実現に向けたSDGsについてリスナーと共に学ぶプログラムだ。今回のロケの様子はYouTubeでも配信中。
1日延べ約400台弱のタンクローリーが入構
J-WAVEがある東京・六本木から高速道路を使って車で約1時間。堀田は、千葉県市川市にあるENEOSの市川油槽所へとやってきた。その広大な敷地が見渡せる施設内に建つ建物の屋上に足を運ぶと、開口一番「おお!すごーい!壮観!」と声を上げ、「タンクローリーが何台も見えて、奥には大きなタンクが何基も並び、その先には海が広がっていて……。なかなか見たことがない景色になっています」と、そのスケール感に圧倒される。「油槽」とは、石油やガソリンなどを貯蔵する大きなタンクのこと。この油槽が常時15基から20基程度稼働するという同施設は、どのような役割を担っているのだろうか。早速、ENEOS株式会社 販売企画部の根本さんに詳しい話を聞いた。
堀田:市川油槽所はいったい、どういった施設なのでしょうか?
根本:製油所から石油製品を受け入れて貯蔵し、タンクローリーや配給船で出荷するための中継基地です。石油製品はこの場所からENEOSのサービスステーションにも運ばれているんですよ。
堀田:生活に必要なエネルギーを届ける上で、重要な役割を担っているのですね。では、同施設の油槽にはどんな石油製品が入っているのですか?
根本:ハイオクガソリン、レギュラーガソリン、灯油、軽油といった一般的な油種からジェット燃料、特殊ガソリンといった特殊な燃料まで計12種類、10万KL(1KL=1000L)の石油製品が貯蔵されています。
堀田:10万KLも!?
根本:はい。一般的な世帯で換算すると、約70万世帯が1年間で使用する量に相当する石油製品を市川油槽所では貯蔵しています。
根本:本日でいうと、大体150台のタンクローリーが入構されています。1台のタンクローリーが複数回入構されるため、1日延べ約400台弱が入構されているんです。
堀田:ちなみに、市川油槽所からどのあたりのエリアまで石油製品は配送されているんですか?
根本:主に船橋市など千葉県の西側、東京23区の東側にあたる足立区・葛飾区・江戸川区、さらには埼玉県の東側である春日部市・越谷市といったエリアまで配送しています。
ローリーに石油製品を積み込むうえで守るべきルールとは
その後、実際にタンクローリーの積込作業を見学させてもらうことに。階段を上って作業場に足を運んだ堀田は、「すごい!タンクローリーの上、初めて見ました!」と声を弾ませる。堀田:タンク上部には穴が開いているんですね。
根本:こちらは、ハッチ(石油製品を積み込むローリーの各槽)の注入口です。今回見学いただくのは24KLローリーなので7つのハッチがあり、それぞれ2KLないし4KLまで石油製品を注げる構造となっています。24KLを1つのハッチに丸ごと詰め込むと、ハッチのなかで液体が大きく揺れ動き、静電気などが発生しかねません。そうならないために、4KL区切りでマス割りがなされているわけです。
堀田:危険物を取り扱っていることもあって、乗務員さんにはしっかりとした「守るべきルール」が定められていそうですね。
根本:おっしゃる通り、きちんと決められた手順に則って作業を進めています。はじめに、乗務員さんにはご自身に事故、トラブル、怪我のないよう、安全設備を正しく着用してもらいます。次に、表示板に表示される油種と手元にある「立ち合い荷卸確認書」に記載されている油種を照合し、積込する油種に間違いがないかを確認の上、積込作業を開始してもらっているんです。
「ハイオクセットよし!」「バルブ開放よし!」「ハイオクスタートよし!」そんなふうに、乗務員がいくつもの項目を指さし確認すれば、いよいよ作業開始。ハッチの注入口にセットされたローディングアームからハイオクガソリンが注がれていく。
堀田:積込作業をする上で、具体的にどんなことに気をつけているのでしょうか?
根本:品質が一番大事なので、まずは、積込む前にハッチ内に異常がないかどうか必ず確認します。ハッチに異常があった場合に生じるのが、異なる2種類の油が混ざる「混油」のリスクです。この混ざったガソリンが、たとえばガソリンスタンドに納品されると、給油した車に何らかのトラブルが発生してしまいます。
堀田:なるほど。
根本:また、前に積んでいた油種がガソリンやハイオクガソリンだった場合、非常に可燃性の高い蒸気がハッチのなかに充満しています。その蒸気を「ガスパージ」という方法で、あらかじめ取り除くことも行うべき大事な作業の一つです。
1つのハッチへの積込作業はおよそ4~5分で完了。一部始終を見届けた堀田は「なかなか見られない景色でした。一生忘れないと思います!」と話していた。
乗務員は1日約60~80KLの石油製品を輸送
続いて話を聞いたのは、タンクローリーの乗務員として働く株式会社エネックスの渡邊さん。乗務員歴8年目になるベテランドライバーが日々どんな思いで仕事に取り組み、また、どんなやりがいを感じているのか、深堀りしていった。堀田:タンクローリーの運転手さんになるには、どんな資格が必要なのでしょうか?
渡邊:大型自動車第一種免許と、トレーラー車も扱いますので、牽引の免許。あとは、乙種第4類 危険物取扱者免許も必要となります。(編注:そのほかにも、危険物取扱者免許「丙種」や「甲種」があります)
堀田:たくさんの免許を所持されている方が運転していると思うと、生活者としては安心できますよね。この油槽所からサービスステーションなどに石油製品を輸送しているそうですが、1日に多いときで何往復されるのですか?
渡邊:1日に3~4往復ですね。石油製品の量でいうと、60KLから80KL程度を日々輸送しています。
堀田:すごい…! 大切な燃料を積んで運転している間は、どういったことを意識されているのでしょうか?
渡邊:私たちの運ぶ製品は危険物であるため、より慎重により安全に輸送することを第一に心がけています。事前に安全な輸送ルートを調べて危険を回避し、事故・トラブルがないよう、無事にお客さまのもとにお届けすることが私たちプロドライバーの役目だと思っています。
気をつけているのは安全面だけではない。渡邊さんによれば、ENEOSのタンクローリー乗務員は、燃料消費量やCO2排出量を減らし、地球温暖化防止につなげるための運転技術および心がけを意味する「エコドライブ」の意識を持っており、環境面にも配慮した運転を実践しているという。
渡邊:タンクローリーは1km走行するごとに約0.9kgのCO2が発生し、年間に換算するとおよそ87tのCO2を排出していることになります。そのため、乗務員一人ひとりがCO2削減を図っていく必要がある。そこで私たちはタンクローリーを運転する際、十分な車間距離を確保し、急加速、急減速をしないよう気をつけます。そうすることで燃費向上化し、CO2の削減につなげているんです。
堀田:素晴らしい取り組みですね。では、渡邊さんにとってこのお仕事のやりがいとは何か教えてください。
渡邊:私は石油製品が社会にとって欠かせないものであり、それを運ぶ乗務員は専門性が高く、社会的責任と社会的使命感を感じられる職業だと捉えています。タンクローリーの乗務員は危険物を扱うので、一つひとつの作業において正確さが厳密に求められます。私自身、最初は作業を覚えることで必死でしたが、業務に慣れ、1日の配送をトラブルなく終えられたときは達成感を覚えました。また、何度か行く配送先で顔と名前を覚えてもらい、「今日もありがとね」「次回もよろしくね」と感謝の言葉をいただけたときなどに、より一層のやりがいを感じます。
インタビューを終えた渡邊さんは、タンクローリーに乗り込んで市川油槽所を出発。その後を追った堀田は、近隣のサービスステーションで渡邊さんが荷卸作業する様子を見学した。ガソリンをはじめとした石油製品が油槽所からどのようにエンドユーザーのもとに届けられるのか。そんな知られざるプロセスを学んだ堀田は、最後に感想をこう述べた。
堀田:今回、私たちが移動するために欠かせないガソリンなどがどのように運ばれるのかを見学させていただきました。本当にたくさんの指さし確認、チェックポイントがあって、環境や安全面に配慮されているんだなとよくわかりました。サービスステーションで自分が乗る車に給油することはあっても、その燃料油がどうやってサービスステーションに貯蓄されるのか知りませんでしたし、本当にたくさんの人たちの協力の上に私たちの安心・安全な生活が成り立っていると実感できた時間でしたね。
(構成=小島浩平)