元サッカー日本代表で、2024シーズンより神奈川県社会人1部リーグ所属「品川CC」のトップチーム監督に就任した槙野智章が、J-WAVEの番組『ORIENT STAR TIME AND TIDE』のナビゲーターとして今年4月より加わった。ファッションモデルでタレントの市川紗椰と共に、同番組でゲストの「現在」「過去」「未来」を掘り下げていく。
J-WAVE NEWSでは、槙野に取材を実施し、ラジオ番組を通じて感じていること、そして、現役時代にサッカー日本代表の移動車で流していたという、ある曲を紹介してもらった。
毎回、収録が楽しいです。ゲストを迎えて、その人の人生を深掘りすることで、自分の知らない世界を広く知る機会になっています。刺激になっていますね。
──槙野さんは初回放送で、「人への興味が強い」と仰っていました。まさにその言葉を体現するかのように、日々、楽しんで取り組んでいるんですね。
そうですね。僕はこれまでサッカー選手としてスポーツの世界で育ったので、スポーツに関わる人の考えはなんとなくわかっているつもりです。なので、異なる業種の方々がどんなことを考えているのかを知りたい。それが楽しいんです。これから監督業を続けていく上で、人へのアプローチの仕方など、いろんな方の話を聞いて成長していきたいという気持ちがありますし、さまざまな素晴らしい考え方を吸収していきたいです。
スポーツ選手って現役時代、派手に見られがちですけど、意外と異なる業種の方々と関わる機会は少ないんですよ。なので、また違う角度からのアドバイスが心に刺さることは結構あるんです。
──これまでの人生でそういった経験があったということでしょうか?
ラッパーでシンガーソングライターのSEAMOさんとの出会いは大きかったです。彼の生き方・考え方は、僕の現役時代の支えになりました。歌詞はもちろん、実際にお会いして話をする中で、刺さる言葉がありました。
──くじけそうになったときに、SEAMOさんの曲や言葉を思い出していた?
くじけそうというか、くじけたときですね(笑)。生きていれば誰もが挫折やミスなんかを経験すると思うんですけど、サッカー選手は試合に負けたときがまさにそれです。でもそんなとき、SEAMOさんの<負けたら終わりじゃなくて/やめたら終わりなんだよね/どんな夢でもかなえる魔法/それは続けること>という、『Continue』の歌詞を思い出したり。シンプルなメッセージなんですけど、<やめたら終わり>というフレーズは支えになりました。
──今後ナビゲーターとしてゲストを迎えることで、これからの人生の支えになる言葉と出会いそうですね。
ぜひ、そういう言葉を引き出したいですね。当たり前だけど人って、自分とは違う経験・考えを持っている。新しい世界に出会えることを楽しみにしています。
──今後ラジオで挑戦してみたいことは?
僕、動物のお仕事をしたいんです。
──えっ!?
これも、異業種の人とどんどん交流していきたいという意味もあって。動物と触れ合える場所を、日本にもっと作りたいって思っているんです。例えばサッカーのスタジアム観戦に動物と一緒にいけるような環境整備がしたい。そういったことに詳しい方をラジオに呼んで、人と動物が一緒になって暮らす未来を目指していくような発信をしていきたいんです。
──なるほど。
それこそ、僕がプレーしていたドイツのブンデスリーガ(槙野さんは2011年1月〜2012年1月に古豪「1.FCケルン」に在籍)でも、エスコートドッグといって保護犬と選手が一緒になってピッチに登場する機会があります。一方で日本ではそういった事例は決して多くない。そういった動物と人との関わりを発信していくことも、このラジオ番組で叶えられたらいいと思います。
選手・監督業とフィールドが変わっても、学ぶ姿勢が大事だと思っています。だって、自分よりも優れた人は、どの世界にも絶対にいますから。
長らくプロサッカー選手としてプレーして、日本代表にも選ばれましたけど、僕は自分のことを“すごい”と思ったことがないんです。いや、正直に言うと、高校に進学するまでは「自分が一番うまい」思っていたかな(笑)。でも高校に進んでから、自分よりサッカーのうまい人間がたくさんいることを知って、大きな挫折を味わいました。世界は広いし、ステージが進めば、どこに行っても自分よりも優れた人間はいると知って、常に学ぶ姿勢を持ち続けることが大事だと思うようになりました。
一方で、オリジナリティも大切にしています。自分の新しい像を作るために、謙虚でありながら、いろんなことを見て、研究することが、プレイヤーであろうと、リーダーであろうと、自分の成長に繋がっていくことだと思います。
メンタルトレーナーはいましたけど、特別なトレーニングはしていないですね。意識して鍛えたというより、環境が心を強くしてくれました。だって、試合に負けたら5万人から大ブーイングを浴びるんですよ。勝ったら、勝ったで相手チームのサポーターからブーイングを受ける。自分がどうこうではなくて、環境が自然と強くさせてくれたんです。強靭にならざるを得なかったというか。そういう意味では特殊な職業だと思います。
── 一般的には、人生を通しても5万人と会う機会すらないですもんね。
タフじゃないとやっていられない環境でした。気持ちが沈んでいたって明日はやってくるし、週末には試合が控えている──いつまでもクヨクヨしてはいられない状況が10年以上続きました。すごくポジティブに角度を変えていうなら、ずっと文句を言われ続ける人もなかなかいないんですよ。言われ続けるというのは、それだけ期待してくれている人がいることの裏返しだと思うんです。人は無視されるのが一番つらいですから。
──たしかに。
実は僕、引退したあとに解説者としてスタジアムに行ってもブーイングされるんですよ(笑)。それで「なんでだよ」とリアクションをすると、みなさん笑ったあとに拍手をしてくれるという。ひとつのコミュニケーションになっているんですね。引退してもブーイングされる人はそうそういないので、ある意味でうれしいです。
音楽、大好きです。実は試合前って、アゲアゲになる曲ばかりじゃなく、けっこうしっとりとしたのも聴くんです。僕は、SPiCYSOLの『Coral』をよく聴いていました。これは日本代表の移動中の車でよく流していましたね。 この曲の良さはどっちの気分にもなれるところ。アゲアゲにもなれるし、一方で、横ノリのサウンドだから、夜の高速道路を車で走りながら、しっとりした気持ちにもなれる。めちゃくちゃ聴いてます。僕の結婚式でもSPiCYSOLを招いてこの曲を演奏してもらいました。ちなみに本田圭佑さんもこの曲がめちゃくちゃ好きなんですよ。
──サッカー界にも浸透しつつある楽曲なんですね。
この曲は今の代表チームの面々にも人気です。僕は森保JAPANの発足から2年目までいたので、久保選手や堂安選手もこの曲を聴いて、「いいですね」って言っていましたから。
──最後に、リスナーのみなさんにメッセージをお願いします。今後はスタジアムで、「ラジオを聴いてます」なんて声を耳にする機会があると思います。
僕はもともと、関西の局でラジオ番組をやっていましたし、ラジオは聞いているんですけど、サッカー選手ってラジオを聴く文化があまりないんですよ。今後はサッカー界にラジオが浸透していくように、『ORIENT STAR TIME AND TIDE』に取り組んでいきたいと思います。
(取材・文=中山洋平)
J-WAVE NEWSでは、槙野に取材を実施し、ラジオ番組を通じて感じていること、そして、現役時代にサッカー日本代表の移動車で流していたという、ある曲を紹介してもらった。
<やめたら終わり>というフレーズが心に刺さった
──『ORIENT STAR TIME AND TIDE』に、今年4月からナビゲーターとして加わりました。どんなお気持ちでしょうか?毎回、収録が楽しいです。ゲストを迎えて、その人の人生を深掘りすることで、自分の知らない世界を広く知る機会になっています。刺激になっていますね。
──槙野さんは初回放送で、「人への興味が強い」と仰っていました。まさにその言葉を体現するかのように、日々、楽しんで取り組んでいるんですね。
そうですね。僕はこれまでサッカー選手としてスポーツの世界で育ったので、スポーツに関わる人の考えはなんとなくわかっているつもりです。なので、異なる業種の方々がどんなことを考えているのかを知りたい。それが楽しいんです。これから監督業を続けていく上で、人へのアプローチの仕方など、いろんな方の話を聞いて成長していきたいという気持ちがありますし、さまざまな素晴らしい考え方を吸収していきたいです。
スポーツ選手って現役時代、派手に見られがちですけど、意外と異なる業種の方々と関わる機会は少ないんですよ。なので、また違う角度からのアドバイスが心に刺さることは結構あるんです。
──これまでの人生でそういった経験があったということでしょうか?
ラッパーでシンガーソングライターのSEAMOさんとの出会いは大きかったです。彼の生き方・考え方は、僕の現役時代の支えになりました。歌詞はもちろん、実際にお会いして話をする中で、刺さる言葉がありました。
──くじけそうになったときに、SEAMOさんの曲や言葉を思い出していた?
くじけそうというか、くじけたときですね(笑)。生きていれば誰もが挫折やミスなんかを経験すると思うんですけど、サッカー選手は試合に負けたときがまさにそれです。でもそんなとき、SEAMOさんの<負けたら終わりじゃなくて/やめたら終わりなんだよね/どんな夢でもかなえる魔法/それは続けること>という、『Continue』の歌詞を思い出したり。シンプルなメッセージなんですけど、<やめたら終わり>というフレーズは支えになりました。
──今後ナビゲーターとしてゲストを迎えることで、これからの人生の支えになる言葉と出会いそうですね。
ぜひ、そういう言葉を引き出したいですね。当たり前だけど人って、自分とは違う経験・考えを持っている。新しい世界に出会えることを楽しみにしています。
──今後ラジオで挑戦してみたいことは?
僕、動物のお仕事をしたいんです。
──えっ!?
これも、異業種の人とどんどん交流していきたいという意味もあって。動物と触れ合える場所を、日本にもっと作りたいって思っているんです。例えばサッカーのスタジアム観戦に動物と一緒にいけるような環境整備がしたい。そういったことに詳しい方をラジオに呼んで、人と動物が一緒になって暮らす未来を目指していくような発信をしていきたいんです。
──なるほど。
それこそ、僕がプレーしていたドイツのブンデスリーガ(槙野さんは2011年1月〜2012年1月に古豪「1.FCケルン」に在籍)でも、エスコートドッグといって保護犬と選手が一緒になってピッチに登場する機会があります。一方で日本ではそういった事例は決して多くない。そういった動物と人との関わりを発信していくことも、このラジオ番組で叶えられたらいいと思います。
学ぶ姿勢を持ち続けることが大事
──槙野さんは2022シーズンをもって現役を引退し、さまざまなメディアで活躍しながら、並行して指導者としての道を歩み始めました。そんな中で「いいプレイヤー」「いいリーダー」になるために、どんな心構えをすることが大切だと考えていますか?選手・監督業とフィールドが変わっても、学ぶ姿勢が大事だと思っています。だって、自分よりも優れた人は、どの世界にも絶対にいますから。
長らくプロサッカー選手としてプレーして、日本代表にも選ばれましたけど、僕は自分のことを“すごい”と思ったことがないんです。いや、正直に言うと、高校に進学するまでは「自分が一番うまい」思っていたかな(笑)。でも高校に進んでから、自分よりサッカーのうまい人間がたくさんいることを知って、大きな挫折を味わいました。世界は広いし、ステージが進めば、どこに行っても自分よりも優れた人間はいると知って、常に学ぶ姿勢を持ち続けることが大事だと思うようになりました。
一方で、オリジナリティも大切にしています。自分の新しい像を作るために、謙虚でありながら、いろんなことを見て、研究することが、プレイヤーであろうと、リーダーであろうと、自分の成長に繋がっていくことだと思います。
「5万人からのブーイング」が心を強くした
──現役時代の槙野さんは、チームを円滑にするムードメーカーという印象でした。どんなときでもブレない強靭なメンタリティの持ち主だと感じていましたが、その根っこには謙虚さがあるのですね。何かメンタル面でもトレーニングは行っていたのでしょうか?メンタルトレーナーはいましたけど、特別なトレーニングはしていないですね。意識して鍛えたというより、環境が心を強くしてくれました。だって、試合に負けたら5万人から大ブーイングを浴びるんですよ。勝ったら、勝ったで相手チームのサポーターからブーイングを受ける。自分がどうこうではなくて、環境が自然と強くさせてくれたんです。強靭にならざるを得なかったというか。そういう意味では特殊な職業だと思います。
── 一般的には、人生を通しても5万人と会う機会すらないですもんね。
タフじゃないとやっていられない環境でした。気持ちが沈んでいたって明日はやってくるし、週末には試合が控えている──いつまでもクヨクヨしてはいられない状況が10年以上続きました。すごくポジティブに角度を変えていうなら、ずっと文句を言われ続ける人もなかなかいないんですよ。言われ続けるというのは、それだけ期待してくれている人がいることの裏返しだと思うんです。人は無視されるのが一番つらいですから。
──たしかに。
実は僕、引退したあとに解説者としてスタジアムに行ってもブーイングされるんですよ(笑)。それで「なんでだよ」とリアクションをすると、みなさん笑ったあとに拍手をしてくれるという。ひとつのコミュニケーションになっているんですね。引退してもブーイングされる人はそうそういないので、ある意味でうれしいです。
試合前は、しっとりした楽曲も聴く
──槙野さんは番組の初回放送で「音楽が大好き」と話していました。代表チームの音楽担当だったそうですね。代表チームの中で、どんな曲を流していたのか教えてくれませんか?音楽、大好きです。実は試合前って、アゲアゲになる曲ばかりじゃなく、けっこうしっとりとしたのも聴くんです。僕は、SPiCYSOLの『Coral』をよく聴いていました。これは日本代表の移動中の車でよく流していましたね。 この曲の良さはどっちの気分にもなれるところ。アゲアゲにもなれるし、一方で、横ノリのサウンドだから、夜の高速道路を車で走りながら、しっとりした気持ちにもなれる。めちゃくちゃ聴いてます。僕の結婚式でもSPiCYSOLを招いてこの曲を演奏してもらいました。ちなみに本田圭佑さんもこの曲がめちゃくちゃ好きなんですよ。
──サッカー界にも浸透しつつある楽曲なんですね。
この曲は今の代表チームの面々にも人気です。僕は森保JAPANの発足から2年目までいたので、久保選手や堂安選手もこの曲を聴いて、「いいですね」って言っていましたから。
──最後に、リスナーのみなさんにメッセージをお願いします。今後はスタジアムで、「ラジオを聴いてます」なんて声を耳にする機会があると思います。
僕はもともと、関西の局でラジオ番組をやっていましたし、ラジオは聞いているんですけど、サッカー選手ってラジオを聴く文化があまりないんですよ。今後はサッカー界にラジオが浸透していくように、『ORIENT STAR TIME AND TIDE』に取り組んでいきたいと思います。
(取材・文=中山洋平)
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- ORIENT STAR TIME AND TIDE
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土曜21:00-22:00
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市川紗椰 / 槙野智章
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