庭園デザイナーの石原和幸さんが、庭づくりで大切な要素や、「英国チェルシーフラワーショー」でのエピソードを語った。
この内容をお届けしたのは、4月29日(月・祝)放送のJ-WAVEの特別番組『J-WAVE GOLDEN WEEK SPECIAL TOKYO TATEMONO presents FEELIN’ GREEN』(ナビゲーター:豊田エリー、nico)。「GREEN」をテーマに、次世代に繋いでいきたいカルチャー、未来に残したい音楽=EVERGREEN MUSICをお届けするプログラムだ。
そんな特別番組のゲストに登場した庭園デザイナーの石原和幸さんは、世界最古にして最も権威がある「英国チェルシーフラワーショー」にて、これまでに合計12個のゴールドメダルを獲得。エリザベス女王が“緑の魔術師”と称えたほどの実力の持ち主だ。まずは石原さんに、エリザベス女王が称賛した庭園について聞いた。
石原:小さいとき、家の周りに棚田があって、石の上に苔がついてあったんですけども、それが大好きなんですね。イギリスで秘密基地を作りたいなと思って、ドア、壁、屋根も全部が苔の家を作ったんです。それを女王が見て、「石原さんは緑の魔術師ね」というお言葉をいただきました。女王がまるで少女の目をされて、本当に嬉しかったです。
nico:エリザベス女王が一番驚かれていたことは何でしたか?
石原:苔ですね。苔って普通の日本庭園だと石の上についているじゃないですか。僕はそれをドアや屋根につけたので(驚かれた)。
豊田:どうやってそれらに苔をつけたのでしょうか?
石原:壁につけた水苔ネットに、Uピンを使って苔を縫い込むんですよ。驚かれていたので説明したら話が長引きました(笑)。
石原:僕は絵を描くような、童話の世界に入るような庭を考えています。庭というのは必ずテーマがあります。たとえば、ホスピスの庭だと「この窓から見る庭が最後の景色になる」と考えるんですね。そういうときは桜を植えたり、1年中花が見えるような庭園にします。僕は渋谷ハチ公前庭園もやらせていただいんですけども、あの場所は外国人観光客も多くいらっしゃるから、フォトスポットになるといいなと思ったんです。なので、僕の盆栽、灯篭を飾りました。ハロウィンやイベントのときって掃除も大変なので、庭園もメンテナンスが楽なようにやらせていただきました。
nico:まさに石原さんが提唱されているサステナブル・ガーデンに紐づくところでもありますよね。
石原:そうですね。僕は基本的に地産地消、地元の植物を使います。桜が咲いたらメジロが蜜を吸いにいきますし、一本の木が生態系の一部になるんですよね。庭もそういうことで、森と街を繋げられたらいいなと思っています。
豊田:ということは、チェルシーフラワーショーに出られるときも現地で植物を調達されるのでしょうか?
石原:(イギリスには)20年通っているので、僕の農場があるんです。今まで使ったものを剪定したり、山のなかに石を持っていって、水をかけて苔をつけたりしています。毎年レベルが高くなっていますね。
豊田:1つのショーに作品を出すとき、どれぐらいの時間をかけるのでしょうか?
石原:約2週間です。普通に作ったら3ヵ月から半年ぐらいかかるものなんですけど、スポーツと同じなんですよ。今回は100名ぐらいで作るのですが、3交代で料理人も連れて行きます。たとえば、アヤメの花は一般的には6月に咲くのですが、審査が5月20日の朝だとしますと、その時点で咲かせるためにいろいろ調整したりします。
豊田:すごい! 庭を作ったら当日まで待つというわけではないんですね。ベストな状態で控えているのって、役者たちのようです。
石原:家が原爆の爆心地でして、父が復興として畑に花を植えていたんです。畑に咲いた花を活けるとめちゃくちゃ褒められるわけです。それで畑にいっぱい咲いた花を切って道で売ったら、売れたんですよ。そういうところから自分なりのスタイルができてきて、路上で音楽をかけながら花を売って、花づくりや庭づくりをスタートさせていきました。
豊田:そもそも、チェルシーフラワーショーはどういったきっかけで参加されることになったのでしょうか?
石原:私はもともと花屋をたくさんやっていたのですが、バブルが崩壊して花が売れなくなり、たくさんの負債ができました。そんなときにお客さんから「石原さんに庭を作ってほしい」と頼まれたんですけれど、その時点ではまだ作ったことがなかったんですよ。ただ、生き残る方法だと思いまして、庭を極めていこうと決意しました。そうしたらうちのスタッフがチェルシーフラワーショーというものがあると教えてくれて、2003年に初めて見に行きました。
壮大なスケールで展開されていたチェルシーフラワーショーに衝撃を受けた石原さんは、世界を魅了する庭を作りたいという思いを抱いたそう。「人を笑わせたり驚かせたりすることをいつも考えるようになって、チェルシーイコール自分の人生そのものになっていきました」と語った。
石原:今っていろんな芽が出ている時期ですよね。卵の殻の上を取って洗って、そのなかに土を入れるんです。そこにサボテンを入れると芽が出たみたいに見えますよね。
豊田:かわいい! 春らしくていいですね。
石原:周りに木くずか何かを置いて、カゴのなかに3個ぐらい置いてみるとかわいいですよね。
nico:優しい気持ちになりますね。
石原:ちょっとユーモアを入れるといいんですよね。手作りのギフトになります。
豊田:日常のなかにもアートって溢れているんですね。
石原:僕はお庭ってお金をかければいいというものじゃなくて、アイデアだと思うんですよ。ベランダの小さいプランターだとしても、野菜や花を植えれば食べられるし見て楽しめますよね。
nico:素晴らしいです。石原さんは今年もチェルシーフラワーショーに参加されるそうで、今日イギリスに出発されるとお聞きしました。ちなみに、今年はどのようなテーマなのでしょうか?
石原:「自分がもっとも幸せになる庭」です。自分が幸せになると家族も幸せになる。家族が幸せになると家族、街、国が幸せになる。花が増えると争いもなくならないかなと考え、みんなが笑顔になれる世界ができればいいなという思いで作ります。
豊田:今年も受賞ができるように応援しております。
石原:10回連続を目指します!
石原さんの最新情報は公式サイトまで。
この内容をお届けしたのは、4月29日(月・祝)放送のJ-WAVEの特別番組『J-WAVE GOLDEN WEEK SPECIAL TOKYO TATEMONO presents FEELIN’ GREEN』(ナビゲーター:豊田エリー、nico)。「GREEN」をテーマに、次世代に繋いでいきたいカルチャー、未来に残したい音楽=EVERGREEN MUSICをお届けするプログラムだ。
エリザベス女王が感動した家
今年で2回目の放送となる『J-WAVE GOLDEN WEEK SPECIAL TOKYO TATEMONO presents FEELIN' GREEN』。2024年は、地球環境、そして私たちの生活に欠かすことのできない「GREEN」をテーマに据えた。そんな特別番組のゲストに登場した庭園デザイナーの石原和幸さんは、世界最古にして最も権威がある「英国チェルシーフラワーショー」にて、これまでに合計12個のゴールドメダルを獲得。エリザベス女王が“緑の魔術師”と称えたほどの実力の持ち主だ。まずは石原さんに、エリザベス女王が称賛した庭園について聞いた。
石原:小さいとき、家の周りに棚田があって、石の上に苔がついてあったんですけども、それが大好きなんですね。イギリスで秘密基地を作りたいなと思って、ドア、壁、屋根も全部が苔の家を作ったんです。それを女王が見て、「石原さんは緑の魔術師ね」というお言葉をいただきました。女王がまるで少女の目をされて、本当に嬉しかったです。
2010年 チェルシーフラワーショー 「風花 ーkazahanaー 」
2010年のチェルシーフラワーショーにて、エリザベス女王に「あなたは緑の魔法使いね」と称賛された際の写真
石原:苔ですね。苔って普通の日本庭園だと石の上についているじゃないですか。僕はそれをドアや屋根につけたので(驚かれた)。
豊田:どうやってそれらに苔をつけたのでしょうか?
石原:壁につけた水苔ネットに、Uピンを使って苔を縫い込むんですよ。驚かれていたので説明したら話が長引きました(笑)。
ショーのためにイギリスで農場を所有
石原さんは個人・企業問わず、デザインにこだわったガーデンや壁面緑化のランドスケープデザイン・施工と総合プロデュースを国内外で手掛けている。石原:僕は絵を描くような、童話の世界に入るような庭を考えています。庭というのは必ずテーマがあります。たとえば、ホスピスの庭だと「この窓から見る庭が最後の景色になる」と考えるんですね。そういうときは桜を植えたり、1年中花が見えるような庭園にします。僕は渋谷ハチ公前庭園もやらせていただいんですけども、あの場所は外国人観光客も多くいらっしゃるから、フォトスポットになるといいなと思ったんです。なので、僕の盆栽、灯篭を飾りました。ハロウィンやイベントのときって掃除も大変なので、庭園もメンテナンスが楽なようにやらせていただきました。
渋谷ハチ公 庭園
石原:そうですね。僕は基本的に地産地消、地元の植物を使います。桜が咲いたらメジロが蜜を吸いにいきますし、一本の木が生態系の一部になるんですよね。庭もそういうことで、森と街を繋げられたらいいなと思っています。
豊田:ということは、チェルシーフラワーショーに出られるときも現地で植物を調達されるのでしょうか?
石原:(イギリスには)20年通っているので、僕の農場があるんです。今まで使ったものを剪定したり、山のなかに石を持っていって、水をかけて苔をつけたりしています。毎年レベルが高くなっていますね。
豊田:1つのショーに作品を出すとき、どれぐらいの時間をかけるのでしょうか?
石原:約2週間です。普通に作ったら3ヵ月から半年ぐらいかかるものなんですけど、スポーツと同じなんですよ。今回は100名ぐらいで作るのですが、3交代で料理人も連れて行きます。たとえば、アヤメの花は一般的には6月に咲くのですが、審査が5月20日の朝だとしますと、その時点で咲かせるためにいろいろ調整したりします。
豊田:すごい! 庭を作ったら当日まで待つというわけではないんですね。ベストな状態で控えているのって、役者たちのようです。
チェルシーフラワーショーが人生の目標になった
庭園デザイナーとして世界で活躍する石原さんだが、かつてはモトクロスバイクのレーサーを目指していたという。しかし近眼になってしまったため、その夢は断念。将来に迷っていた際に生け花に出会い、22歳で生け花「池坊」に入門。そのとき目にした「3本の枝から生まれる美しい風景」に心を奪われたと語った。そんな石原さんは、花の路上販売から現在のキャリアがスタートしたと話す。石原:家が原爆の爆心地でして、父が復興として畑に花を植えていたんです。畑に咲いた花を活けるとめちゃくちゃ褒められるわけです。それで畑にいっぱい咲いた花を切って道で売ったら、売れたんですよ。そういうところから自分なりのスタイルができてきて、路上で音楽をかけながら花を売って、花づくりや庭づくりをスタートさせていきました。
豊田:そもそも、チェルシーフラワーショーはどういったきっかけで参加されることになったのでしょうか?
石原:私はもともと花屋をたくさんやっていたのですが、バブルが崩壊して花が売れなくなり、たくさんの負債ができました。そんなときにお客さんから「石原さんに庭を作ってほしい」と頼まれたんですけれど、その時点ではまだ作ったことがなかったんですよ。ただ、生き残る方法だと思いまして、庭を極めていこうと決意しました。そうしたらうちのスタッフがチェルシーフラワーショーというものがあると教えてくれて、2003年に初めて見に行きました。
壮大なスケールで展開されていたチェルシーフラワーショーに衝撃を受けた石原さんは、世界を魅了する庭を作りたいという思いを抱いたそう。「人を笑わせたり驚かせたりすることをいつも考えるようになって、チェルシーイコール自分の人生そのものになっていきました」と語った。
ユーモアを取り入れた自分だけの庭を作ろう
庭づくりにはユーモアが大切だと考える石原さん。普段の生活にも、ちょっとした工夫で緑を取り入れることができる。石原:今っていろんな芽が出ている時期ですよね。卵の殻の上を取って洗って、そのなかに土を入れるんです。そこにサボテンを入れると芽が出たみたいに見えますよね。
豊田:かわいい! 春らしくていいですね。
石原:周りに木くずか何かを置いて、カゴのなかに3個ぐらい置いてみるとかわいいですよね。
nico:優しい気持ちになりますね。
石原:ちょっとユーモアを入れるといいんですよね。手作りのギフトになります。
豊田:日常のなかにもアートって溢れているんですね。
石原:僕はお庭ってお金をかければいいというものじゃなくて、アイデアだと思うんですよ。ベランダの小さいプランターだとしても、野菜や花を植えれば食べられるし見て楽しめますよね。
nico:素晴らしいです。石原さんは今年もチェルシーフラワーショーに参加されるそうで、今日イギリスに出発されるとお聞きしました。ちなみに、今年はどのようなテーマなのでしょうか?
石原:「自分がもっとも幸せになる庭」です。自分が幸せになると家族も幸せになる。家族が幸せになると家族、街、国が幸せになる。花が増えると争いもなくならないかなと考え、みんなが笑顔になれる世界ができればいいなという思いで作ります。
2024年 チェルシーフラワーショー「MOROTO no IE」イメージパース
石原:10回連続を目指します!
石原さんの最新情報は公式サイトまで。
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2024年4月29日(月・祝)9:00-17:55
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豊田エリー、nico