「ベースってこんな音がするの!?」衝撃の凄腕ミュージシャンは? ベーシストが集まるライブ開催

11月11日は、4つ並ぶ1をベースの弦に見立てて「ベースの日」。J-WAVEの番組『BEAT PLANET』にて、音楽プロデューサーでベーシストの亀田誠治が2013年に提案し、「ベースという楽器の素晴らしさを知ってもらい、もっと音楽の楽しさを分かち合うきっかけを作っていこう」という目的でクラウドファンディングを通して賛同を集め、2014年に日本記念日協会に認定された。

そんなベースの日を記念して、豪華ベーシストが集まるライブイベント「THE BASS DAY LIVE 2023」が開催。今年の11月10日(金)、11日(土)の2日間、場所は渋谷Spotify O-EASTだ。サカナクション、RADWIMPSといった日本の音楽シーンを牽引する人気バンドから個性豊かなベーシストたちが集結し、この日だけのスペシャルなパフォーマンスを繰り広げる。

他に類を見ないこのライブは、いったいどんな内容になるのか? ライブに関わるJ-WAVEナビゲーター・藤田琢己に見どころを聞くとともに、衝撃を受けたベーシストについて語ってもらった。

藤田琢己(ふじた・たくみ)◎2005年からJ-WAVEにて音楽番組を担当。各種メディアに出演し、国内外3千組以上のアーティストへのインタビューを経験。年間100本以上のライブやフェスに足を運ぶ一方でアーティストのライブ演出や作品にも参加している。近年ではライブイベントのプロデュースや番組制作、次世代エンタメ企画に関わるなど幅広く活動している。

あなたの知っているアーティストの、知らない音が聴ける

――「THE BASS DAY LIVE」が4年ぶりに開催されます。ベーシストが集結するライブは、なかなか内容が想像しにくいものです。どんな楽しさがあるのでしょう?

ソロやセッションなど、ベーシストによってパフォーマンス内容は異なりますが、すべてに共通するのは「あなたの知っているアーティストの、知らない音が聴ける」ことだと思います。

例えば、サカナクションの草刈愛美さんは、ドラマーのmabanuaさん、DJ・ボーカルのYonYonさんとともにステージに上がります。サカナクションの楽曲は毎日のように耳にしますし、mabanuaさんも最近では米津玄師さんの楽曲を手がけるなど、いつも音楽シーンを賑わせています。でも、このふたりが力をあわせた音楽は、ちょっと想像がつかないですよね。打ち込みっぽいイメージのあるサカナクションと、R&Bテイストのドラムを叩くmabanuaさん。そこに、透き通った声の持ち主のシンガーソングライターでDJのYonYonさんが加わると……。

──新鮮な化学反応が起きそうなメンツですね。

そうなんです。ベーシストのみなさんは、それぞれ自分が好きなようにステージをプロデュースするんですね。RADWIMPSの武田祐介さんはソロでの出演で、バンドとはまた違った音を聞かせてくれると思います。THE ORAL CIGARETTESのあきらかにあきらさんは、KEYTALKのギタリストの小野武正さん、フレデリックのドラマーの高橋 武さんと、この日だけのバンドスタイルで出演されます。

楽曲は、即興で演奏する方もいるでしょうし、事前につくってくるケースもあると思います。「それはもう新曲じゃん」っていう(笑)。そんな貴重な演奏を楽しめるのも、このライブの醍醐味だと思います。

「ベーシストが主役」のライブは、どんな体験が得られる?

──セッションなど、ベーシストが複数いる場合も?

あります。須長和広さんは、ウッドベース・トリオとしても共に活動する安ヵ川大樹さん、古賀圭侑さんと、さらに休日課長さんをむかえて、ベーシストのみでの演奏をされます。WONKの井上 幹さんとSOIL&"PIMP"SESSIONSの秋田ゴールドマンさんはツインベースでの初共演で、影絵と音楽のアーティストの川村亘平斎さん、打楽器奏者の角銅真実さんをゲストに迎えるとのことで、ジャンルレスな音楽が楽しめると思います。

そのほかにも、TOKIEさんの出番では、ギタリストにJake Cloudchairさん、ドラマーに城戸紘志さんというベテラン勢が揃います。BAND-MAIDのMISAさんは、ベーシストに吉田一郎不可触世界さん、ドラマーに前田遊野さんを迎えます。BREIMENの高木祥太さんのパートでは、ドラマーの田中航さんと、TENDREさん、MELRAWさんが登場します。

――ジャンルも多種多様だけど、ベーシストが主役というのが共通していると。

そうですね。たまにベーシストの方が「音を聴く環境によっては、ベースが引っ込みがちに聴こえてしまったりするよね」なんておっしゃるんですけど、この日はおなかを刺激されるような重低音が心ゆくまで堪能できます。あとは、会場が渋谷Spotify O-EASTなので、普段はホールなどで大きな会場でライブをしているバンドのベーシストを間近で見られることも、よさのひとつだと思います。音が出てきた瞬間に心を打ち抜かれるんじゃないでしょうか。

──ベーシストによる音の違いも体感できそうです。

ベーシストごとに、全くプレイが違いますしね。例えば、BAND-MAIDのMISAさんのベースはハードなメタルの雰囲気があり、一方で井上幹さんと秋田ゴールドマンさんはジャズがベースにある。「同じ楽器なのに全く違うものに聴こえる」という体験になると思います。

――ベースの音の違いや、ベーシストごとの個性に詳しくなくても、楽しめるものでしょうか。予習は必要ですか?

前知識がなくても、初見のアーティストであっても、みなさん演奏で圧倒してくれると思います。すべてがユニークなライブイベントなので、ふらっと来るだけでも、見たことのない世界が広がっているはず。しいて言うなら、それぞれのアーティストの曲を一回聴いておくと、ライブならではの“奇跡”を、より強く感じられるかもしれません。

衝撃を受けた「縦横無尽に走り回るベース」

――藤田さんの「このベーシストに痺れた!」という原体験を教えてください。

例えばレッチリのフリーなど「画面越しでライブを見てすごかった」という原体験はたくさんあるんですけど、この仕事を始めてから生で見て──つまり体で音を感じて衝撃を受けたのは、ストレイテナー、Nothing's Carved In Stoneなどで活躍する日向秀和さん、通称“ひなっち”さんですね。圧倒的な存在感のベーシストで、楽曲に寄り添ってみたり、かと思えばぶち抜いてみたり、ぴょんぴょん跳ねたり……縦横無尽に走り回る様が、「なんてかっこいんだろう!」と。「ベースってこんな音がするの!?」と思ったほど。その出会いは、2005年に『TOKYO REAL-EYES』のナビゲーターになって間もない頃だったと思います。

──音楽業界で仕事を始める前から、ベースはお好きでしたか?

藤田:もともと洋楽のヒップホップをたくさん聴いていたタイプだったので、低音にはこだわりがありました。ただ、それは録音されたものであって、演奏されたものではなかったんですよね。ジャズのサンプリングなど、ドラムのほうが強く聴こえるタイプの音楽というか。だからライブに行っても、全体として音を聴く感じだったんです。でも『TOKYO REAL-EYES』を始めて、ロックバンドのライブ、特にストレイテナーを見るようになってからは、ベーシストに目がいくようになりましたね。動きも派手ですし。

――動きの派手さが印象的なベーシストはいますか?

スピッツの田村明浩さん。スピッツって、楽曲だけを聴くと、草野マサムネさんの歌声の優しさが沁みるバンドだと思うのですが、ライブだと田村さんのパワフルさがすごいんですよね。「どこを見たらいいのか!?」と思うほど動きが華やかで、かつ、ベーシストのみなさんが「エグい」と口を揃えるほど演奏技術も高い。曲だけでは伝わらないものが、やっぱりライブにはあると思います。

――弾き姿は、ライブの視覚的な楽しみの一つですよね。

そうなんです。クールに弾く方と動く方と、個性はいろいろですよね。例えばTOKIEさんとJake Cloudchairさんは、YouTubeでセッション動画も上がっているほど、勝手知ったる二人だと思うんですけど、変な話、競い合うような弾き姿だと思います。ドラマーも城戸紘志さんという凄腕。バチバチと火花を散らすようなパフォーマンスになるかもしれませんね。

一方で、井上 幹さんと秋田ゴールドマンさんは、影絵と打楽器の「ガムラン」を操る川村亘平斎さんと一緒なので、ビジュアル的に物語のような世界が広がる可能性も……とにかく、動きを見ろとも言えないですし、音だけ聴けとも言えない、実際に観るまでイメージのできないライブばかりですね。

お目当てのアーティストがいる方はもちろん、これまでベースの音をあまり意識して来なかった方にも、ぜひ来ていただきたいライブです。「ベースってこんなにも音の世界を作る楽器なんだ」と感動できると思います。

(取材・文=西田友紀)

「THE BASS DAY LIVE 2023」詳細

■日時
2023年
11月10日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
11月11日(土) OPEN16:30 / START 17:30

■会場
渋谷Spotify O-EAST

■出演

【11月10日(金)】
・草刈愛美(サカナクション)
 ゲスト:DJ&Vo. YonYon、Dr. mabanua
・武田祐介(RADWIMPS)
 ソロ出演
・須長和広
 ゲスト:Ba.休日課長 、WB.安ヵ川大樹、WB.古賀圭侑
・井上幹(WONK)&秋田ゴールドマン(SOIL&"PIMP"SESSIONS)
 ゲスト:川村亘平斎(滞空時間)、角銅真実

【11月11日(土)】
・あきらかにあきら(THE ORAL CIGARETTES)
 ゲスト:Gt.小野武正(KEYTALK)、Dr.高橋武(フレデリック)
・高木祥太(BREIMEN)
 ゲスト:TENDRE、MELRAW、Dr.田中航
・TOKIE
 ゲスト:Gt.Jake Cloudchair、Dr.城戸紘志
・MISA(BAND-MAID)
 ゲスト:Ba.吉田一郎、Dr.前田遊野

■チケット
すべて税込み・ドリンク代別
1Fスタンディング ¥7,700 / 学割 ¥5,500(※学割チケットは限定枚数)
2F指定席 ¥9,900
2日間通し券 ¥15,000

■公演やチケット情報はコチラ
https://www.j-wave.co.jp/topics/entry_basslive23/

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