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なでしこジャパンFW宮澤ひなた選手が語る、得点王に輝いた女子W杯と海外移籍の心境

なでしこジャパンFW宮澤ひなた選手が語る、得点王に輝いた女子W杯と海外移籍の心境

女子サッカーで活躍する宮澤ひなた選手が、自身が得点王に輝いたFIFA女子ワールドカップを振り返り、今後の目標を語った。

宮澤選手が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「Yakult FOOTBALL FANATIC」。8月25日(金)、9月1日(金)の2週にわたってゲスト出演した。

ベスト4チーム以外からの、初の得点王

この夏の「FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023」。その得点王に輝いた、日本代表の宮澤選手。ベスト4以外からの初の得点王という快挙を成し遂げた宮澤選手に、ジョンは試合についてさまざまな質問をした。

ジョン:ザンビア戦のファーストゴールをきめたとき、(得点王になるという)イメージはなかったでしょうね。

宮澤:なかったですね(笑)。

ジョン:ファーストゴール、前半の43分でした。ダイレクトで決めて……。

宮澤:初戦ということで、難しいゲームになるかなというのは予想していたなかで、何度かゴールネットを揺らしたシーンはあったんですけど、なかなか得点にはつながっていなくて。でもあのタイミングで、どうにかオフサイドに引っかからないように。

ジョン:そこですよね。VAR(ビデオアシスタントレフェリー)っていやですよね。

宮澤:けど、あのシーンは「オフサイドがないな」っていうのはわかっていたので、ボールをふかさないようにというか、しっかりミートすることだけを意識して、入ってよかったなと思います。

同じくザンビア戦、後半17分で宮澤選手の2ゴール目が決まる。これは、田中美南選手からのクロスがあったおかげだという。

宮澤:逆サイドにボールがあるときは、常に「なかに入ろう」っていう意識はあったなかで、ぎりぎりのボールを上げてくれたので、本当に当てるだけというか。

ジョン:本当に素晴らしい。

スペイン戦では「無意識に足を振っていた」

グループステージで当たったスペインとは、「2018 FIFA U-20女子ワールドカップ フランス」で対戦し、見事勝利。初優勝を手にした経験がある宮澤選手は、「個人的にあまり苦手意識がなかった」と語る。

ジョン:(スペイン戦)前半12分でした。熊谷(紗希)選手が起点で遠藤(純)選手、あの軌道のパスからのゴール、最高でしたね。

宮澤:やっぱり相手の選手がうまいこと、ボールを持たれる時間が長いっていうのはチームとしてもわかっていたなかで、「持たれている」というよりは「持たせている」ような感覚でチームとしては理解していたので。でもどこか、自分たちの時間があるっていうのは確信していたので、それがあの得点の瞬間だったかなっていうイメージです。

ジョン:そして40分、ほぼハーフラインのあたりで植木(理子)選手がボールを持っていて、パスが来ます。それをまた見事、ゴールの左に流し込みます。ご本人的には4ゴール目。

宮澤:あの瞬間は、正直覚えていなくて。ハーフラインぐらいからカウンターになる瞬間は、自分のなかで「いまだ」って、感覚的に走り出してたところがあって。植木選手がうまく時間を作ってくれたので、本当にいいタイミングでスピードを止めることなく行けてトラップも「丁寧に置こう」というよりは、走っていて流れであの場にあって。でも相手の選手が後ろから何人か来るのがわかっていたので、無意識に足を振っていった結果、お客さんが「わ~」って湧いた瞬間に「あ、入ったんだ」っていう。やっぱり一瞬考えたらもう触られるっていうのはあって、気づいたら無意識に足を振ってました。

得点王になった気持ちは?

グループステージをトップで通過した日本は、ベスト16ノルウェー戦に挑む。後半36分、藤野あおば選手からのパスを、宮澤選手は見事ゴールに入れた。

宮澤:あのシーンも、植木選手が最初に動き出してくれて、相手が少し引きつけられてスペースが空いたのが逆サイドから見えたので。あのシーン、指さして「ここに欲しい」っていうのをアピールしていたと思うんですけど、本当にあのスペースであの一瞬しかなくて、ちょっと遅かったらオフサイドに引っかかっていたと思いますし、藤野選手があのタイミングでぱっと顔を上げてくれたので、自分自身もスピードにのってあそこまでいけてたのかなっていうのはあります。あのシーンも、シュート打ったあとに、「あれ、トラップしたっけ、してなかったっけ」っていうぐらい、身体の思うままプレーしていて、みんなが駆けつけてくれて喜んで、「あぁ、入ったんだ」って。

ジョン:これは多分、天性というしかないですね。でも当然、普段から心がけているイメージングとか練習とか、ありますよね?

宮澤:普段からまずサッカーを楽しもうというか、ワールドカップも初めてでしたけど、本当に限られた選手しか出られないですし、そういう経験ができるのも一握りの選手なので。あまり緊張するタイプじゃないので、本当にその舞台を楽しもうっていう思いで臨んだ結果が、こういう形になっただけというか……。

ジョン:最高ですね。録画して何度もスローモーションで得点シーン見させていただいているんですけど、「まなじりを決する」っていう表情じゃなくて、本当にほわーっと入ってきて、決めたあとの笑顔。表情の周りにキラキラっていう星を書き込みたいです。得点王、ゴールデンブーツ、どう受け止めていますか?

宮澤:うれしいですし、とても光栄なことだなと思いますけど、本当に実感がないというか。よくわかっていない、頭が追いついていないのが現状ですね。
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世界の舞台で1歩進むために、足りなかったもの

宮澤選手は、準々決勝1‐2で敗れたスウェーデン戦について「大会の難しさが出た試合だった」と語った。ジョンは「試合開始後、何か違いましたよね?」と試合の様子を尋ねる。

宮澤:大会を通じて日本も相手の分析をしますけど、やっぱり相手も日本の分析をしてきて……。

ジョン:序盤、ものすごいプレスきませんでした?

宮澤:ずっと押し込まれている時間が長くて、前の選手としてはどうアプローチしよう、どうやってプレスをかけようって考えていたんですけど、やっぱり見れば見るほど相手のほうが多くて。

ジョン:そしてまたユニフォームの黄色ね。黄色って、圧ありませんか?

宮澤:(笑)。けっこういろんなところに黄色い選手がいましたね。そういうのでなかなかはめられなくて、ボールを持っても前に進めなかったり、落ち着いて回す時間がすごく短かったかなっていうのが前半あって。でも後半は自分たちの時間も作れて、ゴール前に迫るシーンも多くなったんですけど、後半みたいなサッカーを前半からできないと、世界の舞台でもう1歩前には進めないんだなとは思いました。

ジョンは「酷な質問は何度もされていらっしゃると思いますが……」と前置きし、スウェーデン戦を制すのに足りなかった要素は何だったかと、宮澤選手に質問する。

宮澤:個人としては、今大会を通じてスピードを生かしたプレーっていうところでは自信がついたかなと思うんですけど、やっぱり拮抗したゲームで何かを変えられないとチームに勢いをもたらすことができないんだなと改めて感じました。スペースがなかったり相手が押し込んだりしている状態で、「個」で相手が嫌がるようなプレーを何かしないと、チームとしても「いけるぞ」ってならないし、相手としても「あ、これはやばい」って思わせられないっていうところでは、まだまだ個人のスキルアップが必要だと思いました。まず「個」で勝たない限り、チームとしても勝てないと思うので、そういう意味でも一回り二回り大きくなる必要があるんだなっていう。そういうところの足りなさは実感しました。

ジョン:そうですか。

宮澤:昔から「サッカー選手としてもっと成長したい」「だからこそ海外でプレーしたい」っていう思いはあったので、そこはブレていなかったんですけど、やっぱりこういう大きい大会を経験すると、もっと成長したい、もっとうまくなりたいっていう思いも出てきますし、高いレベルのなかで常に世界基準で戦っていきたいという思いはより強くなりましたね。

ジョン:そうですよね。あのノルウェー、スウェーデンの体格差、スペインの俊敏、そして流れるようなパスワーク。そのなかで暴れてみたいと思いますよね。

宮澤:思いますね。クラブチームだと、ワールドカップみたいに国の色はあまり出ないと思いますけど、本当にいろんな国の選手のことがわかりますし、常にいろんな選手がいるなかで揉まれたいなっていうのはあります。

海外移籍、その先は…

かねてより海外移籍への意向を示していた宮澤選手は、イングランド女子スーパーリーグ(WSL)昨季2位の強豪、マンチェスターユナイテッドへの移籍が決定した。念願の海外チームでのプレーを目前に、宮澤選手は現在の心境を次のように語った。

宮澤:いまはすごく楽しみというか、実際に自分がどんなプレーできるのかなっていうのはあります。生活面とかいろいろ難しいところはあると思いますけど、まず慣れて試合に絡んでいくというところが、いちばん重要かなと思っています。

ジョン:海外デビューを果たし、その先はどういうイメージですか?

宮澤:昔から、たくさんの人に応援されて愛されるような選手になるっていう大きな目標が常にあって、だからこそいまは通過点というか、ワールドカップも海外のチャレンジも一選手として成長できるための行動だと考えているので、世界的にも有名な選手になれたらと思いますし、たくさんの方の心を動かせるような選手になっていけたらなと思っています。

「デビュー戦での衝撃ゴール、狙いたいですね」というジョンの期待に満ちた言葉に、「頑張ります」と力強く答えた。

『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「Yakult FOOTBALL FANATIC」では、ジョン・カビラがサッカーのビッグマッチやドリームマッチを、妄想ヴァーチャル実況する。放送は毎週金曜の8時10分頃から。

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