上原ひろみが自身の新プロジェクトや、新曲のミュージックビデオのコンセプトについて語った。
上原が出演したのは、J-WAVEで9月10日(日)に放送された『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)だ。上原は9月6日に、およそ2年ぶりとなるオリジナルアルバム『Sonicwonderland』をリリースした。
【上原ひろみ~Solo~のライブ写真】TOKYO M.A.P.S Chris Peppler EDITIONにて
クリス:野外での演奏はどうでした? ああいう空間はなかなかないと思います。いわゆる外の通りに車が走っているという都会のノイズも聞こえてきました。
上原:いらっしゃっているお客さんたちの「静けさを作り出す集中力」みたいなものはすごいなと思って、エネルギーとして感じたんです。思ったよりも救急車とかがすごく聞こえたので、それをインプロビゼーション(即興演奏)に取り込みながら。
クリス:すごいよねえ。
上原:クラクションとか、そこもすべて「これも音楽」としていかないと、自分のなかで“ノイズ”になっちゃうので、いろいろ工夫してやりました。
クリス:六本木ヒルズアリーナでライブ、ピアノを1人で弾き語りをやっていただきました。外までずっと人が並んでいたからね、通り沿いに。それはすごくいい風景で、スタッフが外を歩いていたら周りがみんな立ち止まって。上原ひろみのピアノが聞こえるのはすごいという風に。
上原:全然知らない人に出会うチャンスというか、そういうのをいただけたのはすごくよかったなと。
クリス:いまひろみちゃんが言ったみたいにお客さんの集中力というか、なにか“気”みたいなものがすごくてね。5月のゴールデンウィークで風も気持ちいい晩に、大勢の人間が集まって1つになっているという感覚がありました。
クリス:表現したい世界はどんな感じなんでしょうか?
上原:最初に「Sonic」という言葉がつくと、一応私のなかでの定義は「エレクトロサウンド多め」という意思表示なんです。別に「Sonic」という言葉にそういう意味があるわけではないんですけど、自分のなかの位置づけになっていいます。トランペット、ピアノ、ドラム、ベースという編成なんですけど、トランペットの人にもけっこうエフェクトとかをかけてもらったりして、エレクトロサウンドになっています。
クリス:以前、Hiromi's Sonicbloomというバンドがあって、そのときはリード楽器がギターでしたが、今回はトランペットです。アルバムを聴いてみると「なるほど」という感じがしました。「ギターじゃなくてリードはトランペットなんだ」と思っていたけど、ひろみちゃんもすごくシンセを多用するし、トランペットにエフェクトがかかっているから、そこがまたいままでのピアノとストレートなトランペットと一線を画すようなところだったと思います。いままでやっていたアコースティックなサウンドにくらべて、エレクトロだとどういう風にプレイは変わるんだろう?
上原:単純にシンセを2台弾いているので、ピアノという楽器以外に2つ鍵盤が、だから弾く鍵盤が3つあって、そこを縦横無尽にずっといく感じです。それは弾いていて、まず音が伸びる楽しみがあります。ピアノは音が減衰しちゃうけど、(シンセは)ずっと音が伸びていくし、曲げられる。
クリス:ホイールでいろいろできると。
上原:そう。それがイタズラ心を刺激します(笑)。
クリス:みなさんすばらしいミュージシャンばかりですが、メンバー探しはどのようにしたんですか?
上原:2016年にベースのアドリアン・フェローがトリオ(上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト)の代役で来てくれて出会って。それからアドリアンと一緒にバンドがやりたいという気持ちがすごく強くなって、そこがスタートでした。
クリス:アドリアンの魅力はなんですか?
上原:聴く力です。飛んで来た音に対して、そのコードがあったらそれに対してどのルートというか音を弾くのが一番いいかという。その瞬時の判断とかが、すごく彼独自のハーモニックコンセプトがあります。
クリス:ひろみさんとは違うセンスというか。
上原:上で弾いているソリストが彼の解釈によって本当に輝くんです。
クリス:ほかの面子はどうですか?
上原:ドラムは曲をだんだん書き進めていくうちに、プレイにユーモアがある人がいいなと思って。パワープレイというよりは一緒に緩急を楽しんでくれるような、オーガニックなサウンドを持っているドラマーと思って探してジーン・コイに決めて。そのあとだんだん「もう1レイヤー欲しい楽器ってなんだろう?」とずっと探していて「トランペットだ」と思って。トランペットって本当に金管楽器という感じでパーンと突き抜ける音のイメージが多いと思いますが、アダム・オファリルの音は本当にまろやかで美しくて。中低音域が優しい、深みがあって少しダーク。彼もエフェクトとかをかけたりするといっていたので、彼に頼みました。
クリス:『Sonicwonderland』のミュージックビデオですが、うちの娘は1日3回は見て踊ってます。あのファミコン風の絵というのは、ひろみちゃんのアイデア?
上原:あのイメージで。だんだんメンバーに会っていって、冒険に出るみたいな。
クリス:最初はアドリアンと会って、どんどんほかのメンバーと会っていって。
上原:出会った順番に出会っていきました。
クリス:ひろみちゃんも子どものころは、ファミコンとかやっていたの?
上原:ファミコン世代です。
クリス:ああいう8ビートっぽいゲームとかはやっていた?
上原:最初は白黒のゲームウォッチで、ファミコン、スーパーファミコンの世代です。
クリス:そういう風にしてくれと頼んで。
上原:「横スクロールのイメージ」って(笑)。
クリス:『Sonicwonderland』は横スクロールなイメージなの?
上原:あの曲がすごくそのイメージで自分が書いていたので。
クリス:ミュージックビデオって作るほう?
上原:いや、そんなに。いつもアルバムで1曲とか多くて2曲。
クリス:今回このミュージックビオと自分の曲との接点というのは、なにが決め手なんだろう?
上原:すごく「自由で楽しい」ということが、パッと伝わりたいなというのがあって。メンバーに出会っていく様子とか、バンドを組んでツアーに出るということがロールプレイングゲームみたいで、それをイメージしました。
上原:この作品の作り方というのが全然違っていて。監督が作る映像にサポートする音楽を書いていく、ということなので。自分のアルバムみたいに自由に作るというのと全然違っていて。映像作品を作るという意味で、とても勉強になりました。やっぱりもともと原作があっての作品だったから、きっと漫画を読んだ人の数だけ音があったから。そこで原作を愛している人たちが映画を観て「この音じゃない」と思うことも、もちろんそういう人もいらしたと思います。でも、大方みなさん喜んでくださったので、それが本当によかったなと思って。
クリス:大ヒットでしたもんね。これからもまた劇伴はやっていきたい感じ?
上原:たくさんの人が関わるので、一緒に真摯に仕事ができるというのはとても大切だなと思ったんです。ちゃんと同じ情熱を持っている人であれば、一緒にやりたいなと思います。
上原の最新情報は、公式サイトまで。
『SAISON CARD TOKIO HOT 100』ではさまざまなデータをもとに、世界の音楽シーンからJ-WAVEが厳選した100曲をカウントダウン。放送は毎週日曜の13時から。
上原が出演したのは、J-WAVEで9月10日(日)に放送された『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)だ。上原は9月6日に、およそ2年ぶりとなるオリジナルアルバム『Sonicwonderland』をリリースした。
救急車のサイレンも演奏に取り込んだ
上原は5月に開催された、クリスがプログラム・オーガナイザーを務めた「TOKYO M.A.P.S CHRIS PEPPLER EDITION」に出演。まずは同イベントを振り返った。【上原ひろみ~Solo~のライブ写真】TOKYO M.A.P.S Chris Peppler EDITIONにて
クリス:野外での演奏はどうでした? ああいう空間はなかなかないと思います。いわゆる外の通りに車が走っているという都会のノイズも聞こえてきました。
上原:いらっしゃっているお客さんたちの「静けさを作り出す集中力」みたいなものはすごいなと思って、エネルギーとして感じたんです。思ったよりも救急車とかがすごく聞こえたので、それをインプロビゼーション(即興演奏)に取り込みながら。
クリス:すごいよねえ。
上原:クラクションとか、そこもすべて「これも音楽」としていかないと、自分のなかで“ノイズ”になっちゃうので、いろいろ工夫してやりました。
クリス:六本木ヒルズアリーナでライブ、ピアノを1人で弾き語りをやっていただきました。外までずっと人が並んでいたからね、通り沿いに。それはすごくいい風景で、スタッフが外を歩いていたら周りがみんな立ち止まって。上原ひろみのピアノが聞こえるのはすごいという風に。
上原:全然知らない人に出会うチャンスというか、そういうのをいただけたのはすごくよかったなと。
クリス:いまひろみちゃんが言ったみたいにお客さんの集中力というか、なにか“気”みたいなものがすごくてね。5月のゴールデンウィークで風も気持ちいい晩に、大勢の人間が集まって1つになっているという感覚がありました。
新プロジェクトによるアルバム
続いてはアルバム『Sonicwonderland』の話題に。同アルバムは上原の新プロジェクト「Hiromi's Sonicwonder」によるもので、コンセプトやバンドメンバーとの出会いについて語った。クリス:表現したい世界はどんな感じなんでしょうか?
上原:最初に「Sonic」という言葉がつくと、一応私のなかでの定義は「エレクトロサウンド多め」という意思表示なんです。別に「Sonic」という言葉にそういう意味があるわけではないんですけど、自分のなかの位置づけになっていいます。トランペット、ピアノ、ドラム、ベースという編成なんですけど、トランペットの人にもけっこうエフェクトとかをかけてもらったりして、エレクトロサウンドになっています。
クリス:以前、Hiromi's Sonicbloomというバンドがあって、そのときはリード楽器がギターでしたが、今回はトランペットです。アルバムを聴いてみると「なるほど」という感じがしました。「ギターじゃなくてリードはトランペットなんだ」と思っていたけど、ひろみちゃんもすごくシンセを多用するし、トランペットにエフェクトがかかっているから、そこがまたいままでのピアノとストレートなトランペットと一線を画すようなところだったと思います。いままでやっていたアコースティックなサウンドにくらべて、エレクトロだとどういう風にプレイは変わるんだろう?
上原:単純にシンセを2台弾いているので、ピアノという楽器以外に2つ鍵盤が、だから弾く鍵盤が3つあって、そこを縦横無尽にずっといく感じです。それは弾いていて、まず音が伸びる楽しみがあります。ピアノは音が減衰しちゃうけど、(シンセは)ずっと音が伸びていくし、曲げられる。
クリス:ホイールでいろいろできると。
上原:そう。それがイタズラ心を刺激します(笑)。
クリス:みなさんすばらしいミュージシャンばかりですが、メンバー探しはどのようにしたんですか?
上原:2016年にベースのアドリアン・フェローがトリオ(上原ひろみザ・トリオ・プロジェクト)の代役で来てくれて出会って。それからアドリアンと一緒にバンドがやりたいという気持ちがすごく強くなって、そこがスタートでした。
クリス:アドリアンの魅力はなんですか?
上原:聴く力です。飛んで来た音に対して、そのコードがあったらそれに対してどのルートというか音を弾くのが一番いいかという。その瞬時の判断とかが、すごく彼独自のハーモニックコンセプトがあります。
クリス:ひろみさんとは違うセンスというか。
上原:上で弾いているソリストが彼の解釈によって本当に輝くんです。
クリス:ほかの面子はどうですか?
上原:ドラムは曲をだんだん書き進めていくうちに、プレイにユーモアがある人がいいなと思って。パワープレイというよりは一緒に緩急を楽しんでくれるような、オーガニックなサウンドを持っているドラマーと思って探してジーン・コイに決めて。そのあとだんだん「もう1レイヤー欲しい楽器ってなんだろう?」とずっと探していて「トランペットだ」と思って。トランペットって本当に金管楽器という感じでパーンと突き抜ける音のイメージが多いと思いますが、アダム・オファリルの音は本当にまろやかで美しくて。中低音域が優しい、深みがあって少しダーク。彼もエフェクトとかをかけたりするといっていたので、彼に頼みました。
ゲームのようなMV
番組ではアルバム『Sonicwonderland』のリードトラックである『Sonicwonderland』をオンエア。クリスはゲーム風になっているミュージックビデオについて触れた。上原:あのイメージで。だんだんメンバーに会っていって、冒険に出るみたいな。
クリス:最初はアドリアンと会って、どんどんほかのメンバーと会っていって。
上原:出会った順番に出会っていきました。
クリス:ひろみちゃんも子どものころは、ファミコンとかやっていたの?
上原:ファミコン世代です。
クリス:ああいう8ビートっぽいゲームとかはやっていた?
上原:最初は白黒のゲームウォッチで、ファミコン、スーパーファミコンの世代です。
クリス:そういう風にしてくれと頼んで。
上原:「横スクロールのイメージ」って(笑)。
クリス:『Sonicwonderland』は横スクロールなイメージなの?
上原:あの曲がすごくそのイメージで自分が書いていたので。
クリス:ミュージックビデオって作るほう?
上原:いや、そんなに。いつもアルバムで1曲とか多くて2曲。
クリス:今回このミュージックビオと自分の曲との接点というのは、なにが決め手なんだろう?
上原:すごく「自由で楽しい」ということが、パッと伝わりたいなというのがあって。メンバーに出会っていく様子とか、バンドを組んでツアーに出るということがロールプレイングゲームみたいで、それをイメージしました。
『BLUE GIANT』の音楽を担当
今年2月に公開された映画『BLUE GIANT』の音楽を手掛けた上原。いままでとは異なる音楽制作について「勉強になった」と振り返った。上原:この作品の作り方というのが全然違っていて。監督が作る映像にサポートする音楽を書いていく、ということなので。自分のアルバムみたいに自由に作るというのと全然違っていて。映像作品を作るという意味で、とても勉強になりました。やっぱりもともと原作があっての作品だったから、きっと漫画を読んだ人の数だけ音があったから。そこで原作を愛している人たちが映画を観て「この音じゃない」と思うことも、もちろんそういう人もいらしたと思います。でも、大方みなさん喜んでくださったので、それが本当によかったなと思って。
クリス:大ヒットでしたもんね。これからもまた劇伴はやっていきたい感じ?
上原:たくさんの人が関わるので、一緒に真摯に仕事ができるというのはとても大切だなと思ったんです。ちゃんと同じ情熱を持っている人であれば、一緒にやりたいなと思います。
上原の最新情報は、公式サイトまで。
『SAISON CARD TOKIO HOT 100』ではさまざまなデータをもとに、世界の音楽シーンからJ-WAVEが厳選した100曲をカウントダウン。放送は毎週日曜の13時から。
radikoで聴く
2023年9月17日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- SAISON CARD TOKIO HOT 100
-
毎週日曜13:00-16:54