7月28日-30日に開催が迫る「FUJI ROCK FESTIVAL '23」(以下、フジロック)。今年は、世界で最も美しいと言われている移動式テントを中心としたエリア「THE PALACE OF WONDER」が4年ぶりに復活するなど、「コロナ以前のフルパワーのフジロックが戻ってくる!」と心待ちにしている人も多いでしょう。
会場となる苗場スキー場では、5月20日から準備がスタート。ステージ間を繋ぐ森の中にある木道「ボードウォーク」の整備・修繕を行う「ボードウォーク・ボランティアキャンプ」の第一回目が開催されました。
フジロッカーに必要不可欠なボードウォークは、どのように維持されているのでしょうか? ボランティア活動に潜入したところ、人々や企業の自然やフジロックへの想いが見えてきました。
ボランティアたちが守ってきたボードウォーク
苗場の森にはもともと自然そのままの遊歩道しかありませんでしたが、車椅子ユーザーも楽しめるバリアフリーなフェスティバルにするため、2002年からボードウォークの製作がスタートしました。フジロックの主催であるスマッシュ、新潟県、湯沢町で協定を結び、ボランティアの手を借りながら修繕・整備を続け、今では約2kmものボードウォークが森の中を縦貫しています。毎年何万人もの来場者が歩き、冬の間は雪にさらされるボードウォークは、木の腐敗などで傷んでいきます。古くなった板から釘を抜いて自然の状態に戻し、新しいボードをはめこんで来年のフジロッカーを迎える──この大切な作業を、地元の方々やボードウォーク・ボランティアキャンプの参加者が行っています。
<フジロックは、森林の環境を保つために「フジロックの森プロジェクト」と題した活動を行っており、ボードウォーク・ボランティアキャンプはその一環。森を守るという理念に共鳴した企業もサポートしている>
大自然を楽しみながら作業
2023年の初回となるボードウォーク・ボランティアキャンプが開催された5月20日の新潟県は、長袖のシャツだと汗ばむほどのいい天気。しかし時おり服の中を通り過ぎる風はひんやりと冷たく、苗場らしい涼しさも感じられました。眼前に広がる新緑の山々は7月に比べると緑が濃く見えます。<木々が青々と茂る、フジロックの森。7月より、虫が多いようにも感じられた>
<開花式で撮影した記念写真。ボランティアに参加した人は、家族連れから友人同士まで、年代も幅広い。地元民だけでなく、東京など遠方から訪れた人も>
<ステージのないグリーンステージなど、新鮮な光景を楽しめるのもボランティアの醍醐味>
<古くなったボードを外して作業しやすい広いエリアへと運搬する様子>
<子どもたちも、安全に配慮しながら作業に参加>
<作業の合間にタンポポをつんで遊ぶ女の子も。自然の中で楽しんでいる様子がうかがえた>
<本番にもボランティアにも毎年参加しているという男性。お子さんもお腹の中にいるときから、ボブ・ディランなどを楽しんでいるという、親子二代のフジロッカーなのだとか>
<ナビゲーターのタカノシンヤは2023年のフジロックが初めての参加となる。そのため『GRAND MARQUEE』では、フジロッカーたちに魅力を教わるコーナー「ROAD TO FUJIRODK」を毎週水曜日にオンエア中。この日のボランティアも、コーナーの一環として参加した>
<古くなったボードは処分する前に、バールやペンチで一つひとつ釘を抜いていく。こうした作業が初体験だというタカノも、最後はコツを掴んでいた>
<ボランティアの参加者は、初対面でもフジロックや自然が好きという共通点を持つ。なごやかなムードで、協力し合いながら作業を行っていた>
大容量ポータブル電源を用いて、木製ベンチづくりも
この日はボードウォークの修繕のほか、ベンチづくりも行われました。電気ノコギリで木を切り、焼きごてでロゴマークをつけ、最後は子どもたちがペインティング。備え付けの椅子がそう多くはないフジロックの会場内において、気軽に足を休められる貴重なスポットとして活躍しそうです。<左は苗場観光協会・協会長の佐藤高之さん、右は株式会社Jackery Japan 平松 孝太さん>
<2023年の新製品「Jackery ポータブル電源 2000 Plus」(左)とソーラーパネル「Jackery SolarSaga 200」(右)>
<平松さんにインタビューをするタカノ。自身も音楽ファンである平松さんは、今年のフジロックのステージでは、Yeah Yeah YeahsやThe Strokesが楽しみだそう>
Jackery Japan 公式サイト
(取材・文=西田友紀、撮影=竹内洋平)
フォトギャラリー
<フジロックではお馴染みのゴンちゃんに抱きつくタカノ。「さまざまな人の血が通ったイベントだと感じました」「本番へのモチベーションという意味でも参加できてよかった」と嬉しそう>
<ボードウォークは一枚一枚剥がして地道に修繕していく>
<各々ができることを主体的に探して作業に取り組んでいた>
<フジロッカー歴20年だというご夫婦は、ボランティアには2回目の参加。お子さんが生まれたことをきっかけに12年ぶりに訪れたのだとか>
<お昼には、地元の山菜がふんだんに使われたメニューが提供された。「なかなか都会だと食べられないから」と関係者は語る。自然を楽しんでもらおうという気遣いが細部に感じられた>
<ボランティアでは、専門家が率いるバードウォッチングも開催。事前にキャンプができることも含めて、ただ作業をするだけでなく、森を満喫するイベントだという印象が強かった>