J-WAVEが共同プロデュースするオンラインマガジン「守破離 -SHUHARI-」。“守破離”とは剣道や茶道などの修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。(※1)
そんな“守破離”と“音”を切り口に人物のスタイルをリアルに掘り下げ、オリジナルインタビューをInstagramとJ-WAVE NEWSで配信していく。
(※1)引用:デジタル大辞泉「守破離」より
【過去の「守破離 -SHUHARI-」インタビュー】
【SHUHARI×ALLZ 連載企画】すべての記事はこちら
第4回は、SHOKIの“守破離”の「破」に迫る。第2回、第3回に登場した師匠たちからの教えをSHOKIはどのように自分の在り方に落とし込んだのか。
──まず、SHOKIさんが2人の師匠から教わったことからどのように今のスタイルに行き着いたのか教えてください。
みやちさんには特に、業界トップレベルのスキルを教えてもらったと思っています。みやちさんは今の僕が得意としているデザインカラーやハイトーンカラーの先駆けとなった人です。その技術を目の前で見させてもらって、吸収して、自分なりに進化させてきたことが今のスタイルにつながっていると思います。
僕はハイトーンのなかでもグレー系など無彩色にしたいというお客さんを担当することが多いんですけど、もともと僕が学生の頃やアシスタントの頃はグレー系が得意な美容師はほとんどいませんでした。僕自身グレーが好きだったのでグレーにしたいと思うことがあったんですが、当時はどこに行っても綺麗なグレーにならなかったんです。グレー系は難しいからできない色なんだと思っていたところ、みやちさんから技術を教えてもらうなかで「できるはずだ」と思うようになって。たくさん研究した結果、綺麗なグレーができるようになりました。今は様々な色をつくっていますが、一時期は、ホワイト、ホワイトグレー、グレーなど、グレー系のお客さんばかりを担当していましたね。「どの美容室に行っても上手くできないけど、ここなら上手くできる!」と任せてくれるお客さんが多かったです。
──師匠のみやちさんもグレーはやっていなかったんですか?
みやちさんはどちらかというと、ユニコーンカラーなど複数の色が入っているデザインカラーをつくっていました。でも同じことをしたら二番煎じになってしまうので、僕はグレーを極めようという思いもありました。
──kouseiさんから教わったことも今のSHOKIさんのスタイルに影響していますか?
kouseiさんから教わったことは、お客さんやスタッフとの向き合い方につながっていると思います。kouseiさん自身は人に関心がないと言いますけど、根っからの関西人なのでおもしろいし、すごく人情味があります。そんなkouseiさんの接客を見ていたことが、今の自分のお客さんを楽しませようという意識につながっているんじゃないかと思います。
──SHOKIさんが今、自分のなかで持っているルールはありますか?
1つは、営業中には基本的に白のTシャツを着るということ。早くて丁寧な仕事を心がけているので、汚さないことを意識するためにも白を着ています。美容師でもカラー剤を飛ばす人もいますし、アシスタントの頃は自分もよく飛ばして洋服を汚していました。でも今はほとんど汚さなくなりましたね。
あとは、美容室はお客さんが輝く場所だと思っているので、その空間のなかでお客さんの髪が主役となって一番綺麗に見えるように、という意味でも白や無彩色を着ています。
服のこだわりで言うと、友達が関わっているブランドの服しか着ないというのも決めています。今日着ているのはお世話になっている人がやっている、CAROLINE DINERのもの。友達の思いが込められた服を着て仕事するのは一番気持ちいいし、パワーが湧いてきますね。微力ながら宣伝になったらいいなとも思っています。
もう1つは、常に自分が楽しく働いていないとお客さんも楽しくないと思うので、自分が誰よりも楽しむことを意識しています。僕は仕事を仕事と捉えていない部分があるんですよね。仕事をしているときも遊んでいるときも、同じように楽しんでいます。
──遊びの延長で仕事をして、仕事の延長で遊んでいるんですね。
本当にそんな感じです。自分が心から楽しいと思っていたら、練習しているとか努力しているという感覚にはならないですよね。好きなことを続けていったら自ずと上手くなると思うので、昨日の自分には絶対に負けないように、常に今が最高だと思えるように、毎日楽しく生きようと思います。
──SHOKIさんにとって、「理想の美容師」とはどんな美容師ですか?
そのお客さんに一番似合うスタイルを引き出せる美容師が理想の美容師ですね。ある程度から先は技術の差がほとんどなくなっていくのもあって、練習用のウィッグを上手く切れる人がいい美容師だとは思いません。大切なのは、いかにお客さんのことを考えて似合うスタイルを提案できるかだと思います。
──SHOKIさんご自身は、お客さんに一番似合うスタイルを引き出すためにどのようなことをしてきましたか?
同じお客さんでも前回と同じにしない、同じ色のオーダーがあってもほかのお客さんと同じ色にしない、というのは意識してきました。「前回の髪型が気に入ったから同じにしてください」と言われるのも嬉しいですが、ベースは同じでこういうふうにしていこうか、などと毎回アップグレードできるような提案をします。また、同じ時間帯に2人のお客さんから「青にしたい」と言われたとしても、1人1人その人に似合うオリジナルの青をつくります。そういうふうに1人1人に向き合っていくことが、お客さんごとに一番似合うスタイルを引き出すことにつながると思います。
──カラーをつくるセンスはどのように身につけたのでしょう。
映画や雑誌からもインスピレーションを受けますね。あとは散歩が好きで、散歩からも色のバリエーションを取り入れていると思います。看板の色や道端に咲いている花の色も、1つ1つどんなバランスなのか、何色が何%くらいなのか、などと考えます。ほかには、街を歩いている人のこともよく見ますね。この人おしゃれだな、かっこいいな、かわいいな、と思う背景には理由があるはずなので、インプットしておくと、こういう系統だったらこの色味が似合うな、などと考えられるようになります。僕は仕事と生活が全部リンクしているので、生活のなかからも仕事のヒントを得ています。
あとはカラー剤のメーカーによって、たとえば同じピンクでも違いがあるので、その違いをしっかり理解するようにしています。基本的に1本の薬剤で染めることはなくて、大体5種類くらいを混ぜて色をつくるんですよね。
歌詞が深すぎる。聴くたびに頑張ろうと思える曲です。
Interview / Photo:Gaku Jungnickel
Text / Edit:Rana Hibi
美容師。28歳で独立、ALLZを立ち上げる。
26歳にしてSHACHU店長を任されたSHACHUの若き旗手。得意とする「ホワイトグレー」、「インナーカラー」や「裾カラー」などデザイン性の高いカラーリングがInstagramで話題になり、デビューから半年で売り上げを倍増させた実績を持つ実力派。デザイン性の高さや、お客様に寄り添う接客技術から芸能人やアーティストからの指名が急増中。昨今ではカラーだけでは無く、メンズのフェードカットなどの技術でも人気を博し、SHACHUでのメンズ指名率1位になるなど、常に進化し続ける次世代のオピニオンリーダーとして注目を集めている。
Instagram
「守破離 -SHUHARI-」
─師から学び、型を破り、確立する─
“守破離”を切り口に「人」のスタイルをリアルに掘り下げるオンラインマガジン
https://www.instagram.com/shuhari_official/
そんな“守破離”と“音”を切り口に人物のスタイルをリアルに掘り下げ、オリジナルインタビューをInstagramとJ-WAVE NEWSで配信していく。
(※1)引用:デジタル大辞泉「守破離」より
【過去の「守破離 -SHUHARI-」インタビュー】
守破離 -SHUHARI- × ALLZ 連載企画 vol.4
2023年3月、美容師のSHOKIが手掛ける美容室「ALLZ」(オルズ)が渋谷にオープンする。新たなキャリアの幕開けとなる渋谷の店舗を舞台に、鍵を受け取った入居初日から開店までを追う、守破離 -SHUHARI- × ALLZのコラボレーション連載がスタート。インタビューや対談など様々な企画で、独占取材を全8回に渡ってお届けする。【SHUHARI×ALLZ 連載企画】すべての記事はこちら
第4回は、SHOKIの“守破離”の「破」に迫る。第2回、第3回に登場した師匠たちからの教えをSHOKIはどのように自分の在り方に落とし込んだのか。
みやちさんには特に、業界トップレベルのスキルを教えてもらったと思っています。みやちさんは今の僕が得意としているデザインカラーやハイトーンカラーの先駆けとなった人です。その技術を目の前で見させてもらって、吸収して、自分なりに進化させてきたことが今のスタイルにつながっていると思います。
僕はハイトーンのなかでもグレー系など無彩色にしたいというお客さんを担当することが多いんですけど、もともと僕が学生の頃やアシスタントの頃はグレー系が得意な美容師はほとんどいませんでした。僕自身グレーが好きだったのでグレーにしたいと思うことがあったんですが、当時はどこに行っても綺麗なグレーにならなかったんです。グレー系は難しいからできない色なんだと思っていたところ、みやちさんから技術を教えてもらうなかで「できるはずだ」と思うようになって。たくさん研究した結果、綺麗なグレーができるようになりました。今は様々な色をつくっていますが、一時期は、ホワイト、ホワイトグレー、グレーなど、グレー系のお客さんばかりを担当していましたね。「どの美容室に行っても上手くできないけど、ここなら上手くできる!」と任せてくれるお客さんが多かったです。
──師匠のみやちさんもグレーはやっていなかったんですか?
みやちさんはどちらかというと、ユニコーンカラーなど複数の色が入っているデザインカラーをつくっていました。でも同じことをしたら二番煎じになってしまうので、僕はグレーを極めようという思いもありました。
──kouseiさんから教わったことも今のSHOKIさんのスタイルに影響していますか?
kouseiさんから教わったことは、お客さんやスタッフとの向き合い方につながっていると思います。kouseiさん自身は人に関心がないと言いますけど、根っからの関西人なのでおもしろいし、すごく人情味があります。そんなkouseiさんの接客を見ていたことが、今の自分のお客さんを楽しませようという意識につながっているんじゃないかと思います。
──SHOKIさんが今、自分のなかで持っているルールはありますか?
1つは、営業中には基本的に白のTシャツを着るということ。早くて丁寧な仕事を心がけているので、汚さないことを意識するためにも白を着ています。美容師でもカラー剤を飛ばす人もいますし、アシスタントの頃は自分もよく飛ばして洋服を汚していました。でも今はほとんど汚さなくなりましたね。
あとは、美容室はお客さんが輝く場所だと思っているので、その空間のなかでお客さんの髪が主役となって一番綺麗に見えるように、という意味でも白や無彩色を着ています。
服のこだわりで言うと、友達が関わっているブランドの服しか着ないというのも決めています。今日着ているのはお世話になっている人がやっている、CAROLINE DINERのもの。友達の思いが込められた服を着て仕事するのは一番気持ちいいし、パワーが湧いてきますね。微力ながら宣伝になったらいいなとも思っています。
もう1つは、常に自分が楽しく働いていないとお客さんも楽しくないと思うので、自分が誰よりも楽しむことを意識しています。僕は仕事を仕事と捉えていない部分があるんですよね。仕事をしているときも遊んでいるときも、同じように楽しんでいます。
──遊びの延長で仕事をして、仕事の延長で遊んでいるんですね。
本当にそんな感じです。自分が心から楽しいと思っていたら、練習しているとか努力しているという感覚にはならないですよね。好きなことを続けていったら自ずと上手くなると思うので、昨日の自分には絶対に負けないように、常に今が最高だと思えるように、毎日楽しく生きようと思います。
──SHOKIさんにとって、「理想の美容師」とはどんな美容師ですか?
そのお客さんに一番似合うスタイルを引き出せる美容師が理想の美容師ですね。ある程度から先は技術の差がほとんどなくなっていくのもあって、練習用のウィッグを上手く切れる人がいい美容師だとは思いません。大切なのは、いかにお客さんのことを考えて似合うスタイルを提案できるかだと思います。
──SHOKIさんご自身は、お客さんに一番似合うスタイルを引き出すためにどのようなことをしてきましたか?
同じお客さんでも前回と同じにしない、同じ色のオーダーがあってもほかのお客さんと同じ色にしない、というのは意識してきました。「前回の髪型が気に入ったから同じにしてください」と言われるのも嬉しいですが、ベースは同じでこういうふうにしていこうか、などと毎回アップグレードできるような提案をします。また、同じ時間帯に2人のお客さんから「青にしたい」と言われたとしても、1人1人その人に似合うオリジナルの青をつくります。そういうふうに1人1人に向き合っていくことが、お客さんごとに一番似合うスタイルを引き出すことにつながると思います。
──カラーをつくるセンスはどのように身につけたのでしょう。
映画や雑誌からもインスピレーションを受けますね。あとは散歩が好きで、散歩からも色のバリエーションを取り入れていると思います。看板の色や道端に咲いている花の色も、1つ1つどんなバランスなのか、何色が何%くらいなのか、などと考えます。ほかには、街を歩いている人のこともよく見ますね。この人おしゃれだな、かっこいいな、かわいいな、と思う背景には理由があるはずなので、インプットしておくと、こういう系統だったらこの色味が似合うな、などと考えられるようになります。僕は仕事と生活が全部リンクしているので、生活のなかからも仕事のヒントを得ています。
あとはカラー剤のメーカーによって、たとえば同じピンクでも違いがあるので、その違いをしっかり理解するようにしています。基本的に1本の薬剤で染めることはなくて、大体5種類くらいを混ぜて色をつくるんですよね。
「音」
柊人「好きなこと」歌詞が深すぎる。聴くたびに頑張ろうと思える曲です。
Interview / Photo:Gaku Jungnickel
Text / Edit:Rana Hibi
PROFILE
SHOKI26歳にしてSHACHU店長を任されたSHACHUの若き旗手。得意とする「ホワイトグレー」、「インナーカラー」や「裾カラー」などデザイン性の高いカラーリングがInstagramで話題になり、デビューから半年で売り上げを倍増させた実績を持つ実力派。デザイン性の高さや、お客様に寄り添う接客技術から芸能人やアーティストからの指名が急増中。昨今ではカラーだけでは無く、メンズのフェードカットなどの技術でも人気を博し、SHACHUでのメンズ指名率1位になるなど、常に進化し続ける次世代のオピニオンリーダーとして注目を集めている。
「守破離 -SHUHARI-」
─師から学び、型を破り、確立する─
“守破離”を切り口に「人」のスタイルをリアルに掘り下げるオンラインマガジン
https://www.instagram.com/shuhari_official/
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