藤原さくらに聞く「音楽と芝居の共通点」 初の映画出演で何を感じた?

唯一無二のスモーキーな歌声で、シンガーソングライターとして存在感を放つ藤原さくら。その活躍は音楽だけにとどまらず、今年は映画にも初出演。公開中の映画『銀平町シネマブルース』だ。

同作の舞台は、存続の危機にあるミニシアター「銀平スカラ座」。小出恵介が演じる一文無しの青年・近藤が、スカラ座の支配人やスタッフ、映画好きの路上生活など周囲の人との出会いをきっかけに、新たな一歩を踏み出す様を描く。登場人物もストーリーも“映画愛”にあふれる、やわらかな作品だ。
映画館のスタッフ・足立エリカ役を演じた藤原に、撮影のエピソードはもちろん、自身が好きな映画や映画音楽などインタビューした。(J-WAVE NEWS編集部)

実在する映画館での撮影は、和気あいあいと

──最初に映画『銀平町シネマブルース』への出演オファーが来たときはどう思いましたか?

今まで、映画は出演させてもらう機会がなかったので、お話をいただいたときはとってもうれしかったです。しかも、映画館でバイトしてる役だなんて素敵だなー!と。主演の小出(恵介)さんをはじめキャストの皆様もスタッフの皆様も個性豊かな素敵な方たちばかりで、より楽しみになりました。

──藤原さんが演じたのは、舞台になった銀平スカラ座でアルバイトをする足立エリカ。この足立エリカという役を、どのようなキャラクターだと捉え、どのように演じましたか?

脚本を読んで、エリカはギャルなのかなと思いました。美大ギャル(笑)。エリカと美久は、クラウドファンディングを勧めたりもするし、最近のことをいろいろ知っているじゃないですか。だから今時の映画好きな若者って感じなのかなって。だからコテコテに役作りをしたというよりは、美久を演じた(日高)七海ちゃんと普通に会話している感じが出せたらいいなと思っていました。
──銀平スカラ座は架空の街の架空のミニシアターという設定ですが、ロケが行われたのは埼玉にある現役のミニシアター・川越スカラ座。セットではなく、実際の映画館での撮影はいかがでしたか?

スカラ座さんはとっても雰囲気の良い映画館で落ち着く場所だったので、自分も自然体でいられた気がします。チケットもぎりとかも経験できて楽しかったです。実際に上映されている映画のセレクトが私好みで、飾ってあるポスターを眺めながら「この映画、観たいなー」と思っていました。

──現場での雰囲気はいかがでしたか? 共演者との印象的なエピソードがあれば教えてください。

和気あいあいと、のんびりとした時間が過ぎていました。終盤の河原のシーンは、夕暮れ時で、撮影も「急げー!!」って言いながら撮ったんですけど、景色がとっても綺麗で、シーンも相まってエモーショナルな気持ちになりましたね。七海ちゃんとは、のちにPodcastを始めることになるのですが、川越を一緒に観光たりして親交を深めていました。あと中島歩さんから「ラジオ聴いてます」って言ってもらえてうれしかった。黒田卓也さんは、最初顔と名前が頭の中でつながっていなかったので俳優さんかと思っていて。愉快な人だなぁと話していたら、トランペットの演奏がすごすぎて、「え!? どういうこと!?」って衝撃を受けたりしました(笑)。その後も音楽のほうの仕事でご一緒したりできて、とってもうれしいです。

──できあがった作品をご覧になった感想を教えてください。

緊張しちゃって最初は客観的に観られなかったんです。でも観終わったときには「すごく素敵な作品だな」と思いました。

仕上がった映画は「愛の結晶」だと感じた

──今回は藤原さんにとって初めての映画出演でしたが、今作の撮影を通して変化したことや感じたことはありますか?

私は脚本を読んで演技をしたところで終わっていますが、他の方のシーンが繋がって、音楽が付いて……みんなが集結して1つものが出来上がったって感じがありますね。だから完成したものを観たときに、すごく達成感がありました。みんなの愛の結晶のように感じてうれしかったです。

──今作が初めての映画出演となりましたが、俳優としてそのほかに今後やってみたいことや出てみたい作品はありますか?

今回、七海ちゃんと出会ってより思ったんですけど、しゃべくりの作品というか、ずっと話しているみたいな作品をやってみたいなと思いました。

──いわゆる会話劇?

はい。台本覚えるのすごく大変そうなやつ(笑)。

「ダムをぶっ壊していく映画」が好き!? 思い出深い作品を聞いた

──今回の企画は、コロナ禍で窮地になったミニシアター文化を再び盛り上げようという趣旨で生まれたものでした。映画館、ひいてはミニシアターや名画座という場所には、どのような想いや思い出がありますか?

私自身も、映画館のポイントを集めて「あと何回で、1回タダで観られる!」なんてホクホクしていた10代を過ごしたので、映画館は大好きな場所です。しかも、ダムをぶっ壊していく映画とか結構ニッチなものが好きなので、ミニシアターとは相性が良いタイプで。今は携帯でも映画を見られたり、YouTubeがあったりと、スマホ1つで何でもできてしまう時代ですが、そんな時代にわざわざ五感を映画だけに捧げて、自分が作品の一部になるという体験は何にも変え難いことだと思います。

──音楽活動や俳優業など、藤原さんが何かを表現するということにおいて、映画や映画を観るということは何か影響を与えていますか?

音楽を作ったり、演技をしたりすることには想像力がすごく必要だと思います。曲をカバーするときも歌の主人公の感情を想像したり。映画や小説などを観て「こういう気持ちの人がいるんだ」とインプットしたことが役に立ってるのかもしれません。それを目的として観ている、読んでいるわけではないですが。

──そういう面で一番影響を受けた映画を挙げるなら?

影響を受けたと言われると難しいですが……私が一番好きな映画は『ブルース・ブラザース』です。音楽映画でもありますし、カーチェイスもカッコよくて好きですね。カーチェイスがカッコいい映画で言うと『ベイビー・ドライバー』も好きです。

──『ブルース・ブラザース』のほかに、好きな映画音楽や音楽が特に好きな映画はありますか?

たくさんあります。Belle And Sebastianのアルバムを、フロントマンのスチュアートマードックが映画にした『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は、流れている音楽もかわいいし、ファッションもかわいいんですよ。あとウェス・アンダーソン監督の『ムーンライズ・キングダム』の音楽も好きですね。

──次々と挙がりますね。そもそも藤原さんが映画を好きになったきっかけは何だったのでしょうか?

お父さんが映画好きなので、小さい頃は金曜日の学校が終わるとお父さんと一緒にTSUTAYAに行って、土日に観る映画を借りるというのが習慣だったんですよ。お父さんの趣味だったので、『ゴッドファーザー』とか『砂の器』とか、小学生の女の子が観るには渋い作品が多かったんですけど(笑)。でもそのうちにどんどん自分でも好きな作品を見つけて観るようになりました。

──子どもの頃から慣れ親しんでいた“映画”というものに、ご自身が出られたと思うと、感慨もひとしおでは。

そうですね。初めてドラマに出させてもらったあとは(2016年フジテレビ系『ラヴソング』)、「音楽を頑張ろう」という気持ちが強くて、次に演技をするまで時間が空きました。そのあと舞台に出させてもらって、またドラマもちょっとずつやるようになって……というタイミングで映画『銀平町シネマブルース』のお話を頂いたので、良いタイミングだったなとも思っています。

──初めてのドラマに出たあと、音楽に専念しようと思ったのはどうしてだったのでしょうか?

音楽をやるためにここにきたからです。あとは、『ラヴソング』は音楽をやる役だったから演じられたけど、自分と関係ないキャラクターを演じる自信が当時はなくて。それよりは、いっぱい曲を書きたいというモードでしたね。

俳優業は、音楽にどんな影響を与える?

──その期間を経て、最近は演技のお仕事も増えていますが、お芝居に対する気持ちは変化していますか?

そうですね。楽しいことだなと思いますし、表現としては音楽と遠からず近からずな気もして、すごく勉強にもなります。今作で七海ちゃんと出会えたり、黒田さんとその後もご一緒できたりしたこともそうですが、普段は違うお仕事をしている方たちと出会える場所でもあって面白いなと思っています。

──俳優業が、音楽活動に与えている影響もありますか?

ドラマや舞台で私のことを知ってライブに来てくれる方々もいますし。書く曲も、経験によって変わってくるので、そういう意味では曲にも影響を与えていると思います。

──では最後に、そんな藤原さん初出演の映画『銀平町シネマブルース』の、藤原さんが思う魅力を教えてください。

私はこの作品を観て「無気力になってしまって、どうしたらいいか分からなくなってしまっても、計らずにいつしか赦されたり、前に進めることがあるのが人生だし、リスタートできるんだ」という気持ちになれました。なにより映画愛溢れる作品です。私の家族も地元の素敵な映画館に観に行ってくれたのですが「泣いて笑った」と感想をもらって、素敵な映画に出られてうれしいなぁと改めて思いました。映画に救われた人には、より観てほしいです。
(取材・文=小林千絵、撮影=藤木裕之、ヘアメイク=筒井リカ、スタイリスト=岡本さなみ)

映画情報

映画『銀平町シネマブルース』
公式サイト:https://g-scalaza.com/
3月31日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中

藤原さくらが弾き語り! ライブをラジオでお届け

藤原さくらがReiとともに弾き語りを披露したライブイベント「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2023 supported by 奥村組」。J-WAVEでも、その一部をオンエアした。

27日(月)まで、radikoで楽しめる。

【radikoで聴く】https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20230320220000

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