J-WAVEの番組『GRAND MARQUEE』が2月22日、今年度のアカデミー賞作品賞最有力候補と言われる映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下、『エブエブ』)の試写会イベントを都内の劇場で開催。上映後には、同番組のナビゲーター・タカノシンヤと、映画・音楽MCとして活動する奥浜レイラによるアフタートークが行われた。
オンライン試写会で3度も鑑賞したというタカノは、同作の面白さを「人生ベストワンぐらい」と述べ、「笑えるし、泣けるし、全部の要素が詰まっている」と絶賛した。一方の奥浜は「すぐには理解できない、いわゆる王道の家族もの、感動巨編みたいなものではない世界観の作品がアカデミー賞でこれだけノミネートされているのは画期的」と評価。続けて、今年のアカデミー作品賞にはバラエティに富んだ作品がノミネートされているとした上で、「(『エブエブ』が)どれぐらい作品賞に食い込むのか読めない」と語った。
監督・脚本を務めたのは、ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートによるコンビ“ダニエルズ”。『エブエブ』の前に2人が製作した2016年公開の映画『スイス・アーミー・マン』について、奥浜は「すっごい変な映画」と端的に寸評。その内容を「ダニエル・ラドクリフが死体役なんですね。初めから。で、ガスが溜まるじゃないですか。オナラが出るじゃないですか。そのオナラでポール・ダノが無人島から脱出するっていう」と説明すると、タカノは「すっごい面白い! バカだね~(笑)」と笑った。
ちなみに奥浜によると、『エブエブ』の着想は、ダニエル・クワンの実体験から得られたのだという。ダニエル・クワンは中華系移民の2世で、キリスト教福音派を信仰する家庭で育った過去を持つ。敬虔なクリスチャンであるがゆえに同性愛などの先進的な価値観を受け入れられない両親とのギャップを抱えていたそうで、そういった経験に基づき描かれたと思われる描写が、作中いくつも登場する。
そのミシェル・ヨー演じるエヴリンは、家の中で、家事にコインランドリー経営にとマルチに活躍しながらも誰からも褒められない“お母さん”。そのため奥浜は「お母さん試写会」をやってはどうかと提言し、「お母さんってマルチタスクで、お家のいろんなことをこなすじゃないですか。途中で『私は作家であり、料理人でもある』というセリフがあるじゃないですか。あのセリフはマルチバースとも掛かっていますけど、『普段の生活からいろんなことをやってるよね、私たち』っていう目配せもあったんですよね」と意図を紐解いた。
子役としてブレイクしたキー・ホイ・クァンだが、その後は、アジア人としてハリウッドでキャリアを築いていく難しさに直面。成人してからは俳優業を離れ、アクションコーディネーターや監督のアシスタントなど裏方業務に専念していたという。そんな中、2018年公開の映画『クレイジー・リッチ!』で同じアジア系のミシェル・ヨーが出演していたことで、役者としての再起を決意したとのことだ。奥浜からそんな裏話を聞くと、タカノは「子役ならではの苦しみ・悩みを抱えながらも、また『エブエブ』で大活躍したのは激熱ですよね」と目を細めた。
作中に登場する多種多様な宇宙(バース)の中で、タカノが特にお気に入りなのは「ソーセージの指の世界」。全人類の指がソーセージになるという摩訶不思議でコメディテイストな世界観ながらも、その設定だからこそ紡ぎ出されるある印象的なワンシーンを取り上げて「なんかちょっと感動しちゃった」と振り返った。なおもタカノは「いやぁ、ほんとによかったなぁ、ソーセージ」としゃべり足りない様子だった。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は3月3日(金)公開。
(取材・文=小島浩平)
アカデミー賞最多11ノミネートの超話題作!
『エブエブ』は、家族との関係と赤字のコインランドリー経営に悩む中国系アメリカ人のエヴリン(ミシェル・ヨー)が、ひょんなことからマルチバースの力を手に入れ、世界を救うべく奮闘するという奇想天外なアクション・エンターテインメント。本年度アカデミー賞最多となる、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・スー)、脚本賞、編集賞、衣装デザイン賞、作曲賞、歌曲賞という、10部門に11ノミネートされている話題作だ。オンライン試写会で3度も鑑賞したというタカノは、同作の面白さを「人生ベストワンぐらい」と述べ、「笑えるし、泣けるし、全部の要素が詰まっている」と絶賛した。一方の奥浜は「すぐには理解できない、いわゆる王道の家族もの、感動巨編みたいなものではない世界観の作品がアカデミー賞でこれだけノミネートされているのは画期的」と評価。続けて、今年のアカデミー作品賞にはバラエティに富んだ作品がノミネートされているとした上で、「(『エブエブ』が)どれぐらい作品賞に食い込むのか読めない」と語った。
(© 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved./3月3日(金) TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー)
異色の映画製作会社「A24」とは?
そんな異色の作品を手掛けた映画製作・配給会社が「A24(エートゥエンティフォー)」だ。A24の特長は、奥浜曰く、「監督が作りたいものを自由に作らせてあげる」とのこと。ハリウッド映画の製作現場で日常的に行われている「プロデューサーからの口出し」を絶対に許さず、「監督のビジョンがしっかりあればお金を出す」というスタンスを取り、ヒット作を連発しているそうだ。監督・脚本を務めたのは、ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートによるコンビ“ダニエルズ”。『エブエブ』の前に2人が製作した2016年公開の映画『スイス・アーミー・マン』について、奥浜は「すっごい変な映画」と端的に寸評。その内容を「ダニエル・ラドクリフが死体役なんですね。初めから。で、ガスが溜まるじゃないですか。オナラが出るじゃないですか。そのオナラでポール・ダノが無人島から脱出するっていう」と説明すると、タカノは「すっごい面白い! バカだね~(笑)」と笑った。
ちなみに奥浜によると、『エブエブ』の着想は、ダニエル・クワンの実体験から得られたのだという。ダニエル・クワンは中華系移民の2世で、キリスト教福音派を信仰する家庭で育った過去を持つ。敬虔なクリスチャンであるがゆえに同性愛などの先進的な価値観を受け入れられない両親とのギャップを抱えていたそうで、そういった経験に基づき描かれたと思われる描写が、作中いくつも登場する。
「お母さん試写会」を実施してほしい理由
主人公エヴリンを演じたミシェル・ヨーは、もともとバレリーナを目指していたものの挫折し、その後、サモ・ハン・キンポーにカンフーの腕を見出されて香港映画のスターになった異色の経歴の持ち主。奥浜は「今、ハリウッドで一番活躍しているアジア系女優と言っていいのではないでしょうか。『007』のボンドガールなどもやっていますし」と評価する。そのミシェル・ヨー演じるエヴリンは、家の中で、家事にコインランドリー経営にとマルチに活躍しながらも誰からも褒められない“お母さん”。そのため奥浜は「お母さん試写会」をやってはどうかと提言し、「お母さんってマルチタスクで、お家のいろんなことをこなすじゃないですか。途中で『私は作家であり、料理人でもある』というセリフがあるじゃないですか。あのセリフはマルチバースとも掛かっていますけど、『普段の生活からいろんなことをやってるよね、私たち』っていう目配せもあったんですよね」と意図を紐解いた。
全人類の指がソーセージに!?
キャスティング面でもう一つ注目すべき点は、子役時代に『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』や『グーニーズ』への出演で名を馳せたキー・ホイ・クァンが、本作で俳優復帰を果たしたことだ。タカノは「『グーニーズ』すごい好きで。子役のイメージがずっとあったから、まず『あんなに大きくなってたの?』『アクションこんなにできるんだ』と驚いた」と話した。子役としてブレイクしたキー・ホイ・クァンだが、その後は、アジア人としてハリウッドでキャリアを築いていく難しさに直面。成人してからは俳優業を離れ、アクションコーディネーターや監督のアシスタントなど裏方業務に専念していたという。そんな中、2018年公開の映画『クレイジー・リッチ!』で同じアジア系のミシェル・ヨーが出演していたことで、役者としての再起を決意したとのことだ。奥浜からそんな裏話を聞くと、タカノは「子役ならではの苦しみ・悩みを抱えながらも、また『エブエブ』で大活躍したのは激熱ですよね」と目を細めた。
作中に登場する多種多様な宇宙(バース)の中で、タカノが特にお気に入りなのは「ソーセージの指の世界」。全人類の指がソーセージになるという摩訶不思議でコメディテイストな世界観ながらも、その設定だからこそ紡ぎ出されるある印象的なワンシーンを取り上げて「なんかちょっと感動しちゃった」と振り返った。なおもタカノは「いやぁ、ほんとによかったなぁ、ソーセージ」としゃべり足りない様子だった。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は3月3日(金)公開。
(取材・文=小島浩平)
番組情報
- GRAND MARQUEE
-
月・火・水・木曜16:00-19:00