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28歳で独立し渋谷に美容室「ALLZ」をオープン。SHOKIが考える、人を笑顔にする美容師という仕事【SHUHARI×ALLZ 連載企画vol.1】

28歳で独立し渋谷に美容室「ALLZ」をオープン。SHOKIが考える、人を笑顔にする美容師という仕事【SHUHARI×ALLZ 連載企画vol.1】

J-WAVEが共同プロデュースするオンラインマガジン「守破離 -SHUHARI-」。“守破離”とは剣道や茶道などの修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。(※1)そんな“守破離”と“音”を切り口に人物のスタイルをリアルに掘り下げ、オリジナルインタビューをInstagramとJ-WAVE NEWSで配信していく。
(※1)引用:デジタル大辞泉「守破離」より

【過去の「守破離 -SHUHARI-」インタビュー】

守破離 -SHUHARI- × ALLZ 連載企画 vol.1

2023年3月、美容師のSHOKIが手掛ける美容室「ALLZ」(オルズ)が渋谷にオープンする。新たなキャリアの幕開けとなる渋谷の店舗を舞台に、鍵を受け取った入居初日から開店までを追う、守破離 -SHUHARI- × ALLZのコラボレーション連載がスタート。インタビューや対談など様々な企画で、独占取材を全8回に渡ってお届けする。

第1回は、大人気美容室・SHACHUの店長を経て独立し、映像やアート、ファッションなど多様なジャンルのALLZクルーとともに、今までにない美容室をつくるSHOKIにインタビュー。美容師を目指したきっかけ、美容学生やアシスタント時代の経験、そして今考える「美容師」という仕事とは? コンクリート打ちっぱなしのまっさらな部屋で、これから始まる新たなスタートを目の前に、初心を振り返りながら現在まで通づる思いを訊いた。
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ALLZの公式YouTubeチャンネルでもインタビューの模様を配信中。

SHOKIが美容師になるまで

──SHOKIさんが美容師を目指したきっかけを教えてください。

高校を卒業するとき、髪型が自由な職業として思いついたのが美容師だけでした。もともとずっとサッカーをやっていて、高校3年間は五厘刈りだったんですよ。赤点を取ったり問題を起こしたりしたら坊主にしなければいけない規則がある環境で。スポーツ推薦で入学したので勉強についていけなかったのもあり、ずっと坊主でした(笑)。美容師になるきっかけとして「髪の毛をいじるのが好きで」とか、「友達の髪をセットするのが好きで」と言う人も多いと思うんですけど、僕はセットするほどの髪の毛もない状態で美容師を目指し始めました。

──今振り返ってみて、美容師になろうと思った当時の自分の選択についてどう考えていますか?

最初はそんな感じだったので他の人と比べるとモチベーションが低かったと思うのですが、続けるうちに美容師の楽しさに気づく瞬間や天職だと感じる瞬間がたくさんあったので、最高の選択だったと思っています。中3のころ、ブラジルのサントスというチームに1ヶ月間サッカー留学をして、日本で高校に行くか、ブラジルでサッカーをするか、という選択を迫られたことがありました。昔は、そのときにブラジルに行かなかったことがどこか心残りだったんですが、今はサッカー選手の髪の毛を切る人生になっているのでそれもおもしろいですね。

──美容師を目指し始めてからはどのような道のりだったのでしょう。

美容師になるからには中心地の東京に行こう!と18歳で上京し、美容学校に通いながら美容室でアルバイトをしていました。入学する2週間前に東京に引っ越して来たんですけど、やることがなかったので散歩していると、たまたま近所の美容室でスタッフの募集を見つけて。すぐにお店のドアを開けて「バイトできますか?」と聞いて、そのまま雇ってもらいました。

──すごい行動力ですね。

そのときはなんの迷いもなかったです。結局、その美容室では4年くらいお世話になりました。スタッフの方々も優しくていい人ばかりで、雇ってくれた社長にはとても感謝しています。今働いているSHACHUとはテイストが全然違うけれど、そこでの経験があったから今があると思います。

──専門学校時代はどんな学生でしたか?

遅刻もするし、座学は寝てるし、そういう意味では劣等生だったと思います。バイトも掛け持ちをしていたし、ライブに行ったりクラブに行ったり、地元にはなかった楽しいこともいっぱいあったので、基本的にいつも寝不足でしたね(笑)。そんななかでも、美容室でのバイト経験も活かしながら、実技はどんどん成長していたと思います。学校で学ぶことももちろん大事だけど、美容室でリアルを習い続けられたのは大きかった。最初から現場でお客さんに接することができていたので、接客の面でも学ぶことが多かったです。

──美容学校を卒業したあと、一人前の美容師になるまでの流れについても教えてください。

近所の美容室から渋谷のSHACHUに移り、1年半程はアシスタントをやっていました。朝早くお店に行って営業前に練習して、営業中はアシスタントをして、営業後も夜遅くまで練習する、という生活です。修行期間なのでお給料はあまり高くないけれど、東京は家賃が高いので、ご飯を食べるお金に困ることもざらにありましたね。悩みごとなんてないのに思い詰めた表情で先輩に「ご飯行きません?」って言って、連れて行ってもらって、黙々と食べて、先輩に「どうした、話あるのか?」と聞かれたら「あ、ないっす」って(笑)そうやってよく奢ってもらってました。

──アシスタントはどのようなお仕事をするのでしょう。

先輩スタイリストのヘルプとしてシャンプーをしたり、一緒にカラーやパーマをしたり、掃除をしたり。カットは全部スタイリストがやるので、それ以外の補佐が主な仕事です。一見するとただのサポート役だけど、すごく大事なポジションなんですよね。アシスタントの力量次第でお客さんがまた来てくれるかどうかが変わります。だから僕も、当時自分がついていた先輩スタイリストのお客さんには必ずまた来店してもらえるような技術と接客を目指していました。あくまで脇役に徹するんですが、スキルは高く、会話は楽しく、スタイリストに対して好印象を持ってもらえるように意識していました。

──そんなアシスタント時代を経て、スタイリストデビューしてからはどんな変化がありましたか?

スタイリストになってから、アシスタント時代に担当していた先輩のお客さんが僕を指名してくれるようになったこともたくさんありました。指名でお客さんが来てくれるのはやっぱり嬉しいですね。

あとは生活もすごく変わりました。アシスタント時代は食えないほどだったけど、スタイリストになってからはありがたいことにお客さんもたくさん来てくれるようになって、お給料も4〜5倍になったんじゃないかと思います。

──東京のなかでも、特に激戦区に位置するサロンで美容師をする難しさもありますよね。

やっぱり、ほかの美容師と比べてスペシャルな部分がないと選んでもらえない難しさはあります。何万人と美容師がいるなかで「誰にしよう」と探すときに、なにか感じるものがなければわざわざ行こうと思わないですよね。技術的にすごいのか、人間性がすごいのか、選ばれる基準はいろいろあると思うけど、なんにせよ選ばれないと激戦区では生きていけないと思います。
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SHOKIの考える「美容師」という仕事

──SHOKIさんはご自身の強みをどんな部分だと考えていますか?

技術面も強みですが、1番の強みは接客だと思います。「かわいくなりたい」とか「かっこよくなりたい」とか、お客さんが求めているよりいい仕上がりにするのは当たり前。たとえば「この髪色にしたい」ってお客さんが来てくれたとして、イメージ以上によくできなかったら僕の価値はないと思ってるんです。求められているものを超える技術はマストで、プラスアルファでその時間をどれだけ楽しくできるか考えています。大袈裟かもしれないけれど、お客さんの人生のなかから3時間ももらう仕事です。その時間を楽しんでもらえる時間にできるのが僕の持ち味だと思います。

──そのスタイルには、SHOKIさんの性格が表れているのでしょうか?

そうですね。僕は超楽天的な性格なんですよね。自分自身も楽しい人生を送ってきたと思っているし、これからも常に楽しく生きていきたいと思っています。だからこそ接客中もネガティブな話はしないし、お客さんの話を頭ごなしに否定することも絶対にありません。

──生き方が接客の仕方につながっているんですね。

だって、笑顔が溢れる空間って素晴らしいじゃないですか。人間は笑顔のときが1番美しいと思っているので、その笑顔を引き出せる美容師という職業は最高です。髪型は、1度切ったら次に切るまで基本的に変えられない。その上で、いかに気分が上がる髪型にできるか、毎日鏡を見て「いけてるな」って思って気持ちまで明るくなる髪型にできるか。髪を切っているだけに見えて、その人のマインドまで変えてあげられるのが、美容師の仕事だと思っています。
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「音」

Lose Yourself / Eminem

上京した当時に聴いてた曲です。これから東京でやるぞって感じが映画『8 Mile』と重なる部分がいっぱいあって、音楽が刺さったのをよく覚えてます。



Interview / Photo:Gaku Jungnickel
Text / Edit:Rana Hibi

PROFILE

SHOKI
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Photo by Gaku Jungnickel

美容師。28歳で独立、ALLZを立ち上げる。
26歳にしてSHACHU店長を任されたSHACHUの若き旗手。得意とする「ホワイトグレー」、「インナーカラー」や「裾カラー」などデザイン性の高いカラーリングがInstagramで話題になり、デビューから半年で売り上げを倍増させた 実績を持つ実力派。デザイン性の高さや、お客様に寄り添う接客技術から芸能人やアーティストからの指名が急増中。昨今ではカラーだけでは無く、メンズのフェードカットなどの 技術でも人気を博し、SHACHUでのメンズ指名率1位になるなど、常に進化し続ける次世代のオピニオンリーダーとして注目を集めている。
Instagram

「守破離 -SHUHARI-」
ー師から学び、型を破り、確立するー
“守破離”を切り口に「人」のスタイルをリアルに掘り下げるオンラインマガジン
https://www.instagram.com/shuhari_official/

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